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“神様”はどこへ行くのか?

前々からサッカーマガジンの売れない店だとは思っていたのですが、日本代表ジーコ監督の凄いインタビューの掲載された今週号も売れないので、本当に売れないのでしょう(^^;
というわけで、ジーコのインタビュー記事をパラパラと読んで参りました。基本的には、日本代表のスタメンを選ぶ基準は組織の中での機能性でも当日のコンディションでもなく、“以前の代表試合での生産性が高かったか(ジーコ主観)”と“直感”だそうで。つまり、代表試合に出る機会の無い選手は、生産性の証明のしようがないので、いつまで経ってもスタメンには選ばれる筈が無いと、そーいう事らしいです。
まあ一番凄いのはやっぱり、実際にポルトガル語でどういうニュアンスで言ったのかはわかりませんが、記事の見出しにもなった「なぜ私が責められないといけないの(です)か?」でしょうか。
それは、貴方が監督だからです。
やっぱりこの方は、根本的な所で何か勘違いしているような気がします。
おまけに、日韓ワールドカップ終了後の2002年7月に、ジーコの監督就任について書いた自分の文章が発掘されたので、ちょっと載せてみます。長文で、興味の無い方には申し訳ありません。


7/5 代表監督問題
 とりあえず、タイムリーなネタなので、日本代表の監督問題から。
 えーと……どうやら元ブラジル代表で、現在は鹿島の総監督である“神様”ジーコ氏で本決まりのようです。ジーコ氏も受諾の姿勢だとか。
 あー……個人的には、大反対です。
 勿論、ジーコ氏の選手としての経歴や人格、日本サッカーへの貢献度などを否定する気は毛頭ないのですが、ジーコ氏って、ブラジルサッカー至上主義者じゃないですか。まあ、ブラジルの元選手には、そういう人はたくさん居て、別にそれ自体は構わないんですが、ブラジルサッカーって、この4年間にトルシエ監督が建設してきたサッカーの、ちょうど対極にあるような気がするわけですが。
 まあ、チームが若い内に“色々なサッカー”を吸収しておくのは良い事だ、という話もあるみたいですが、はっきり言って、無理があると思うんですけどねぇ……。
 だいたいジーコ氏、まだこういう話が出る前に次の監督に望むものについてコメントして、
 「経験豊富な監督」とのたまい、
 トルコ戦の最大の敗因は、
 トルシエ監督に決勝トーナメントで戦った経験が無い事」
 とか言っていた筈なんですが、両方とも当てはまってないんですが貴方
 確かに、フランス大会の時に、ブラジル代表のベンチに居た事はありましたが。
 ……勿論、ジーコ氏の監督としての手腕は未知数ですし、もしかしたら上手く行くかもしれません。それはやってみないとわからない事です。ただ、それこそ選手としてワールドカップで大活躍した事のある人物が監督に必要な要件として自分で掲げた物を裏切るんじゃ、ダブルスタンダードもいい所で。正直まず最初に、そういう人に監督をやらせていいのか、という所に疑問を感じずにはいられません。
 3億円に目がくらんだ、て言われても仕方ないぞ、ジーコ
 ……ジーコって、母国で貧しい子供向けのサッカースクールとか運営していて、自国のスター選手に、もっと地元のサッカーに還元してほしい、とか言っている人なので、悪い意味でなく、金そのものは欲しい筈なんですよね(^^; ま、貰った給料の使い道は自由なわけですが。変な話、日本のサッカー協会が払った金で、ブラジルの若い才能を発掘するサッカースクールが運営される、と(笑)
 いや別に、それそのものは良いんですけどね。

 最大の問題は、未知数の監督を今この時に使う必要が果たしてあるのか、という事で、やっぱりその辺は非常に疑問です。
 あと、ジーコをして「日本のサッカーをよく知っている人」という風に評価していましたが、ジーコの場合、日本のサッカーを知っているのではなく、「日本のサッカーを育てて」、その延長線上で、「日本のサッカーをブラジル化しようとしている人」だという理解を、個人的にはしているのですが。
 そもそも、本当に「日本のサッカー」なんてものが確立しているかといえば私は否だと思いますし、そんな中でトルシエ監督が造ってくれた「日本が世界に対抗する為のサッカー」の道筋を、ほぼ間違いなくジーコ氏は破壊すると思っています。
 そして生まれるのがおそらく、プチ・ブラジル。
 ジーコ氏は確かに、日本のサッカーチーム自体には愛情があるでしょうし、強くなるようにと思ってはくれていると思います。それは確かに。でも、ジーコ氏の愛情って、年寄りがよちよち歩きの赤ん坊に対して注ぐ愛情だと思うんですよね。
 「早くここまで来い」的な。
 そういう視点の人が今の日本代表を率いるというのは、あまり望ましい事ではないんじゃないかと、個人的には思っています。

 んでまあそもそも、なんでジーコか? て事なんですが。
 外国人ならジーコ、日本人なら岡田武史、と協会が割と早くから言っていたのには非常にわかりやすい理屈がありまして。
 「日本のサッカーを理解している人」=「協会の話を聞いてくれる人」
 て事なんでしょう、結局。
 如何に、トルシエ監督に好きにやられていた4年間を協会が根に持っているかって事で(笑)
 好きにやられた結果惨敗、ならともかく、好きにやられた結果ベスト16、なわけですから、どっちがいいかは明白だとは思うんですが、そんな事実は無視する方向のようです。

 私は世界の監督事情に知識が無いので個人名は出せませんが、今の日本代表監督にとって望ましい要素は、まずは図らずもジーコ氏本人が言っていたように「経験豊富」である事。そして何より、「日本のサッカーが強くなる可能性を見いだしている」が、「現時点で日本のサッカーに愛情はない」 人であるべきだと思っています。
 つまり、フィリップ・トルシエがそうであったように、なにはなくともプロ監督である事。「結果を出す義務を背負っている人」にするべきだと思うんですけどねぇ…… このままでは多分、どっかで通ってきた道をまた通る事になるんじゃないかと、非常に危惧しています。
 だいたいジーコ、契約はとりあえず2005年まで、結果が出せなかったらクビにしてくれ、とか言ってるみたいですが……本来、「結果は出さないといけない」わけです。この辺に、本質的には監督としての栄達を目指しているわけじゃない人物の限界を正直見るんですが。
 上のような言い方は日本人好みの潔さとして評価されがちですが、全年代の日本代表を監督として統括し、4年間、サッカー日本代表全てを指揮してきたトルシエ監督の方が、本来は、よほど潔いやり方をしているんですけどね(^^;
 逃げ場のない状況で勝つ為のチームを造る
 ていう、プロ監督の仕事ですよ。
 3年後に結果が出なかったからじゃあ契約は延長しません、と、契約の途中でやっぱりあんたはクビだ、じゃダメージが全然違うでしょう? 勿論引き受けたからには本気で監督やってくれるとは思いますが、それにしても最初から非常に不安を感じずにはいられない、船出です。
 えー……色々書きましたが、あくまでも現時点での個人的な推測です。
 もしかしたら2006年、ジーコ監督のもと、日本代表は凄まじい強さを見せつけて破竹の快進撃を行うかもしれません。
 そしたら、ジーコに謝ります。
 川淵三郎にも謝ります。
 ただ、現時点では上記したような様々な点で、不安だ、というのが正直な所です。

……知識不足による事実誤認(協会と岡田監督との関係とか)もまま有るかとは思いますが、それほど、大外しでは無いかな、と。とりあえず、ジーコ川淵三郎には謝らなくて良さそうです。……まあしかし、こういう事が書けるのはある意味で、サッカーファン歴が長くないからなんだろうなぁとも思いますが。