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『QED 六歌仙の暗号』読了

QED 六歌仙の暗号 (講談社文庫)
年を取ってくると便利だな、と思うのは「面白い・面白くない」という以外に「自分の求める方向性に合っている・合っていない」という評価基準が出来る事(笑) 読書人としては、これは正直有り難いな、と思うわけです。
……そんなわけで、このシリーズは自分の求めているものとは「方向性が違う」のだな、というのが結論。


七福神に関する論文が禁止されている、ある大学。実はその大学では過去に、七福神に関する論文を発端に、三人の人間が死んでいた。「七福神は呪われている……」遺された言葉の意味は何なのか? 
一方、薬剤師・桑原崇は、二人の後輩に頼まれて京都七福神巡りに付き合う事になる。果たして、七福神に隠された秘密とは――
というわけで、第2作のお題は“七福神”。カバー裏のあらすじで強調しているのですが、タイトルの方は「六歌仙の暗号」。……考えるまでもなく、七福神六歌仙が絡むわけなんですが、とりあえずこのタイトルでいいのかな、と(笑) なんかもう少し、別にあった気するわけですが。
近過去の事件(大学での殺人)と、お題(七福神)そのものにまつわる謎解きが絡むという展開も、シリーズの特徴として前作同様。
今作では、「七福神とは実は怨霊(御霊)である」という事を紐解いていき、そこに六歌仙が絡んでいって、実はこうだったんだ! という展開。
前作ほど、最終的な謎解きと結論が美しく感じなかったのも、不満点の一つ。
あと個人的には、無駄に厚いのもマイナス。今作、その性質上、主人公の口を借りて物証というか資料の話をする場面が非常に多いのですが……というか要するに、主人公の台詞の8割がたぐらいは、歴史の話だったり何らかの引用だったりです。本来的には、この部分をある程度シェイプアップするなり何なりして、人間の台詞に直す(主人公のキャラクター性は一貫しており、歴史的資料をどんどん暗誦してしまえるにしても)という作業がエンターテイメントしては必要だろうと思うわけなのです、が。
……要するに、エンターテイメント性よりも、順を追ってお題の謎解きを立証する、事の方が重要なのですよね作品的に。……この辺がつまり、私の求めている方向性との違い。
あと気になるのは、ほぼ全てが“主人公の口から台詞として語られる”という体裁を取っている為に、「厳密な歴史的資料」と「既出の解釈」と「作者(主人公)独自の解釈」の境界が、やや曖昧。……まあ多分これは、わざとでしょうし、フィクションだから別に問題は無いのですが。
ただ一方では民俗学やら何やらの資料に則って真面目に考証した上での結論です、みたいな形式を取りながら、もう一方ではフィクションである事を(こっそりと)活用する、というのはあまりフェアでない気もするわけで。
それだったら、フィクションとエンターテイメントに徹した上で、「こんな解釈もあるかもしれません!」と大上段に風呂敷広げた話を現代の殺人事件と絡めて、としてくれた方が個人的には断然面白く感じるのです。(※というか要するに実は、そういう作品シリーズなのかと期待していたわけなんですが(^^;)
まあ問題は、もしかしたら作者はそのつもりなのかもしれない、という事ですが。……でも多分、読んだ感覚ではそうでは無いと思うのですが。
……んーまあ、要するに、説得力を取るか面白みを取るか、みたいな話なんですけどね。私は面白みを取る方が好きだという話。