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『おおきく振りかぶって』(ひぐちアサ)を読んだ

今、けっこう話題の野球マンガ

おおきく振りかぶって (1)

おおきく振りかぶって (1)


三橋廉は中学時代、“理事の孫”という理由で贔屓され、3年間エースピッチャーを務めていた男。チームは連戦連敗、チームメイトとの間には大きな亀裂が生まれ、罪悪感もあって完全に自信を喪失した彼は、エスカレーター式に上に行かず、別の高校に進学。しかしそこで、偶然と勢いも手伝って、新設された硬式野球部に入部する事になる。
“自分は駄目なピッチャーだ、だけどマウンドに立ちたい”
相反する想いを抱える三橋だったが、キャッチャー阿部にその独特の球筋と抜群のコントロールを買われ、またしてもエースピッチャーになる事に。
しかしその卑屈な性格と失った自信が簡単に治る筈もなく……ここに、西浦高校野球部の前途多難な船出が始まった――。
大雑把に言うと、キャッチャーがピッチャーを調教する話(おぃ)
いや、コンセプトは間違ってないと思うんですが、というか、少なくともキャッチャーの阿部くんはそのつもりです。まあ、事がそう単純に運ぶわけもなく、ピッチャー調教するのがキャッチャーの仕事じゃないだろうと宣う女監督やら、自我の萌芽とか色々ありまして、果たしてどう進む、みたいな。というか、段々、調教から別の方向に流れていくわけなんですが。
……て書き方するとただでさえそっち方面で盛り上がっているらしい所を後押しする感じで我ながらアレですが、でも正直、そういう文脈で語られるのはわからないでもなく。
まあ、私自身は実際のボーイズラブ系の小説やらマンガって読んだ事無いので(読みたくないですが(笑))、文法や手法という点でどの程度まで寄っているのか、というのはわからないのですが、狙っている狙っていないは別にして、論法の通じる世界で書いているんだろうな、というのは何となく。
何が特徴的かというと、“男のプライド”の書き方が凄く女性的(て、作者、女性ですよね?)。
これは凄い説明しにくいの説明しませんが(おぃ)、大雑把な例をあげると、男の作家が書く男はまずそこでは喚かない、という所で喚く所とか。
良い悪いではなく、それが一つの大きな特徴であり、野球マンガとしては非常に独特といっていい世界観になっております。
肝心の野球マンガとしては、面白かったです。
心理的なアヤとかも良く書けていますし、動体視力とか諸々のファクターを落ち出す事で、選手の能力の強弱を現代的な理屈に沿って見せているのも面白い所。
気になる所といえば、今後どうやってその“強弱”だったり“凄い・凄くない”を描き分けていくか、ですかね。味方は良いとして、試合で出会う敵の凄さ、をどう表現していけるか、というのは野球マンガとしての鍵になりそうな。
この辺りは3巻(今月発売予定)で少し見られそうですが。
ところで、この作品を大雑把に美しく説明するならば本当は“散々だった中学時代のせいで自分に失望した卑屈なピッチャーが、新たな仲間との絆を得て成長してく話”とした方が良いのでしょうけど、あまりそういう気がしないのは何故か。…………汗くさくないからか?!(笑)
とまあ冗談はさておき、多分、「成長」てファクターにおいては実は、ピッチャー三橋よりもキャッチャー阿部の方がメインだからかな、と。
実は三橋は割と図太い。