はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

日本かんたん特撮史:付記

さて、ちょっと間が空いてしまいましたが、特撮史落ち穂拾いの話。
以下に挙げたのは、日本を代表する特撮シリーズ番組と、それにまつわるある数字。

一発で何の事か見当ついた方は、立派にマニアです(笑)
答は、中断なしでTV放映が続いたタイトル数。年数、にするとやや複雑になるので、単純に、番組タイトル数で計算しています。
ウルトラマン>シリーズは、『帰ってきたウルトラマン』〜『ウルトラマンレオ』までの第2期シリーズが最長。
仮面ライダー>シリーズは、『仮面ライダークウガ』から現在の『響鬼』の平成シリーズが記録更新中。
<戦隊>シリーズは一応『バトルフィーバーJ』から数えてますが、厳密にシリーズ化しているのは『電子戦隊デンジマン』からというのが一般的で、まあそれでも26なんですけど(笑)
メタルヒーロー>シリーズに関しては一応通しで数えてますが、この名称自体が便宜的なものであって、シリーズ含有作品のコンセプトが違い過ぎる事を考えれば*1、本来は<宇宙刑事>とか<レスキュー>シリーズに分けて考えるのが妥当でしょう。そう考えるとだいたい3年周期。
で、何が言いたいかというと、<戦隊>シリーズというのは日本の特撮史において、飛び抜けて異常なんです実は。単純に作品の数という点だけでいえば、ウルトラも仮面ライダーも映画やビデオ作品含めてかなりの数をやっているわけですが、TVシリーズの連続放映という点においては、戦隊の足下にも及ばない。
無論、TV特撮黄金期の黄昏頃(1975〜)に現れたというタイミングにより、結果的に(特に80年代後半から90年代)“なんとか戦隊は死守”みたいなものや、限られた購買力がある程度集中する事によって潰し合いから逃れられた、など色々な側面はあるわけですが、連続TVシリーズという点で見た場合、非常にイレギュラーな存在なのが、戦隊もの。というか多分、同一コンセプトのシリーズ番組、という事でいえば、日本のTV史上でも希有な存在なのではないかと。
水戸黄門』だって、かわりばんこなわけで(笑)
まあ勿論、設定は毎年違いますし、色々と手を変え品を変えてもいるわけですが、“色分けされた複数人のヒーロー達(だいたい5人)が、力を合わせて地球を狙う悪の組織と戦う”というコンセプトは常に一緒。
裏を返せば、そのコンセプトこそが、日本の物語作法におけるベストスタンダードなのかもしれない、という見方さえ出来たりもしますが。……ま、それはちょっと言い過ぎ。
特撮史における戦隊物の特異性というは、同時に、如何なビッグタイトルでもシリーズを継続させるのは難しい、という事でもあります。
まあ単純に、30分とはいえ同じ番組を1年続けるだけで大変で、それを同じ会社が毎年やろうとしたら、体力的に非常に大変なわけですが。戦隊シリーズというのはある意味でその“継続する事”に重きを置いたシリーズともいえ、多少の玉石混交も承知の上で、何よりも続けている事に価値のあるシリーズという言い方も出来るかもしれません。それもそれでまた、特異と言えるのかも。
この観点において、現行の平成ライダーシリーズは同一タイトル作品としてはかなり長期化していると言えるわけですが、それ故に舵取りが難しくなっている所もあり、どういう方向に今後転がっていくのか、興味深い対象であります。もっとも、脚註で前述しましたが、あまりコンセプトにこだわらないという、手法としてはメタルヒーロー型を行っているので、転がし方はかなり幅広いのですが。
まあ、それこそ現代では、そういう風にやらないと、なかなかシリーズなど続けられない、というのが実際でありましょうが。あのウルトラマンですら、コンセプトを少しいじって(『ネクサス』)きているわけですし。
結局、70年代半ば以降の特撮というは、期せずして東映&石森ヒーローの時代なわけですが、『ゴジラ』以降半世紀において歴史的に一番功績のあった作品というのは、戦隊シリーズというコンセプトデザインなのかもしれない、という話でした。
というわけで最後はやはり、上原大先生*2を誉めなくては駄目か?(笑)

*1:余談ですが、それ故に『龍騎』以降の現行仮面ライダーシリーズは、ある意味でメタルヒーローシリーズ的

*2:上原正三。初期の円谷系に始まり、戦隊シリーズ宇宙刑事シリーズの立ち上げに参加した他、70年代特撮作品の至る所でその名前を見る事が出来る脚本家。大御所だが、大量生産型な為か、とんでもな脚本も数多い。というか、もの凄い多い。多いのだが、たまに凄いのも書くので侮れない。「幼稚園バスジャック」や「悪の洗脳塾」などは、この方の持ちネタである。