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というわけで、知らない方の為のかんたん『妖星ゴラス』

公開は1962年。
1954年の『ゴジラ』公開から約10年間続く“日本特撮映画の時代”の最終盤、掉尾を飾った、と言っても構わないであろう作品。


巨大な引力によって近付くあらゆる物を飲み込み、質量を増大させながら宇宙を進む謎の星ゴラスが、地球の軌道に向けて近付いてきていた。このままでは、ゴラスと地球との衝突は避けられない。災厄を回避する方法は、地球の軌道を変えるか、ゴラスの軌道を変えるか、二つに一つ。あまりに巨大な質量を持つゴラスの軌道を変更する事は難しく、様々な協議や交渉の結果、各国の軍事・科学技術を総動員して、南極に推進装置を取り付ける事で地球の軌道を変更しようという計画が立案される。果たして人類は、迫り来る脅威を回避する事が出来るのか――。
思いっきり簡単に言うと、迫り来る惑星と地球の衝突を避ける為に地球の方を動かしてしまおうという話。
それだけでも凄いのに、南極の氷の下から巨大セイウチ怪獣が出現したりもしてしまいます。
本田猪四郎円谷英二のタッグも目映く、東宝特撮映画のピークに燦然と輝く金字塔。
まあとにかくストーリーが凄いんですが、地球の方を動かす話って多分これしか無いでしょう(笑) で、何故か作戦中に巨大怪獣まで出現してしまう話は絶対これしか無いでしょう(笑)
ホント、『ゴジラ』以降10年間の東宝特撮映画のポテンシャルの高さを窺わせる逸品です。
あと、SF読みの立場からこれが凄いなと思うのは、私の記憶にある限りでは、40〜50年代の英米SFでも、このアイデアで書いてしまった話はさすがに無い事(笑) まあ、妙なスペオペとか短編を引っかき回せば似たようなアイデアは出てくるかと思いますが、良くも悪くも、この超はったりを真っ正面から物語に仕立て上げる勇気と度胸はそうそう転がってはいないようです。40〜50年代の豊潤なる英米SF黄金期に無かったネタを国産でやった(そしてちゃんと仕立てあげた)というのは、かなり凄い事。
フリッツ・ライバー『放浪惑星』でも64年ですよ。
ちなみにどうでもいい余談ですが、私の中ではシャア・アズナブルはきっとこの映画を見た事があるに違いないだろうと、そういう設定になっています(笑)