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「キャプテン・フューチャーの帰還」

人類の起源の謎を追い求め、遙か外宇宙、アンドロメダ星雲へと旅だったフューチャーメン。1年での帰還を約束した英雄達はしかし3年を過ぎても帰還せず、遂に太陽系の人々は彼等の死を受け入れる。残された月の研究所の接収を議決する太陽系政府であったが、惑星警察機構のエズラ・ガーニーとジョオン・ランドールは、フューチャーメンと共に戦った仲間であり友として、政府の手が入る前に最も危険な幾つかの秘密を隠す事を決意し、月へと向かう。しかし、そこで彼等を待ち受けていたものは――
短編集『鉄の神経お許しを』所収の1編。
冒険活劇物である長編に対し、長編の連載時より少し間を置いて書かれた事もあってストイックで若干の寂寥感さえ漂う一本(これはこの短編集に概ね共通する)。ヒーロー物のスペースオペラとしての体裁はとっているものの、よりSF作家としてのエドモンド・ハミルトンらしさが強く出ているといえます。
過去にSFマガジンの特集号で読んだ時は、長編にはまりにはまりまくっていた頃だったので、ちょっと肩すかしを食った気分だったのですが、今になって読むとかなり味わい深かったです。

「ええ、わかっているわ。かれを失ったのは、太陽系の人々だけじゃないわ。あたしも、永遠にかれを失ってしまったのよ」
「それは違うな、きみは一度だってかれを手に入れたことはなかった。誰一人として、そんなことはできなかったんだよ。<生きている脳>とロボットとアンドロイドに育てられたカーティス・ニュートンという男は、われわれ他の人間のなかにはまったく属することのない男だったのだ」
(川合康雄+野田昌宏訳)
とか、前半、フューチャーという男を失ってのヒロインと老司令の会話が素晴らしく良い。
もちろん、長編を受けてこそ、なんですが、今読むとかえってこの後期短編の方が面白く感じるのかもしれない。