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TV東京お昼の時代劇アワー『江戸の牙』

いやー、久々に、普通に面白かったです。
江戸の治安を影から守る、秘密(?)組織が主役。秘密といっても一応、主人公達は本所方の役人であって、丁稚のように配下に若い3人の同心がついていたりもします。何らかの捜査権限は持った上で、最後に表で裁けぬ悪党をぶった斬る、というのが一回見た限りでの主旨。
主役を演じるは、天知茂! たぶん殺陣なんかはそんなに巧くないのですが、とにかく声が格好いい。あとこの頃の時代劇は、色男が惜しげもなく裾をからげて股を見せるのが良いんだよなぁとか改めて。
メインメンバーが他に、若林豪坂上二郎藤村俊二白都真理。出てきませんでしたが、大元締めに御船俊郎!*1 やはり若林豪は、この頃の荒くれ浪人系侍役が最も輝いています。同系で竜雷太も居ますが、若林豪の方が好き。あと、若い同心3人組の中の一人が、京本正樹だったり。
見た回がちょうど良かったのかもしれませんが、けっこうドラマが重厚。
旅籠で発生した、食中毒による大量死。事故と思われたそれはしかし、食中毒に見せかけた、毒物による大量殺人だった。誰がいったい、何のために。調べを進める内に、旅籠の事件は、来るべき幕閣の要人暗殺に用いる毒物の実験であった事が判明する。一方、その実験で殺害された旅籠の泊まり客の中に、元義賊だった男が田舎から呼び寄せた妻と子が含まれていた。妻子の復讐の為に、足を洗った盗賊の技を使い、毒物を追う元義賊。かつてその義賊と面識のあった主人公は、巨大な黒幕の存在に、男を止めようとするのだが――。
天知茂と、林成年によるオヤジ同士の熱い掛け合いがてんこ盛り。
勿論しっかり(?)、ツッコミ所も用意されていたりするのですが。
終盤、毒物を作成した医者は黒幕に裏切られ、その医者の屋敷(の秘密の地下室)で事の真相を知る主人公と元義賊。あくまで復讐を諦めない男に、幕閣の要人である黒幕を相手にして命を粗末にしてはいけない、と諭す主人公。「どうしても行きたいなら俺を倒していけ」とまでなるのですが、言われて思い切り顔を殴る義賊。突き飛ばす主人公。
そんな殴り合いで時間を潰している内に、敵に外から爆弾を仕掛けられ、地下室に閉じこめられます(笑)
抜け道を探して地下通路を移動しますが、敵はしっかり、もう一つの出口(井戸)の方にも上から発破を投げ込みます。頭巾かぶったお侍が、ダイナマイトを井戸に放り投げる映像はけっこうシュール。
閉じこめられた二人は脱出を試みて穴を塞いだ岩をどかしている内に、不発だったらしい発破を一つ発見。火をつけようと思うも、ちょうど蝋燭が燃え尽きてしまいます。万事休すかと思われた時、頭上から洩れる僅かな太陽光。主人公、愛用の遠めがねを取り出してレンズを外すと、光を収束して火をつけようとします。
一方、外では駆けつけた仲間達が穴を塞がれた井戸を発見。岩をどかそうと外から掘り始めます。
地下道の中では努力が実り、とうとう発破に火が!
出入り口を塞ぐ瓦礫に向けて発破を放り投げる主人公。
その外では、一生懸命に岩をどけている仲間達。
爆発
すわ、二次災害?!
幸運にも無事だったんですが、色々な意味で危険なシーンでした。
この後は、毒殺の陰謀をなんとか防ぎ、お約束の本拠地突撃。出撃シーンがあるのもお約束。音楽は必殺系のウェスタン調のものが随所に使われているのですが、この出撃シーンでは手拍子&足踏みのような感じのもので、これが結構格好いい。
そして爆発
敵本拠地での、笑い声→揃い踏みのシーンで、何故か、戦隊ヒーローばりの爆発とともに登場。
この辺り、随所の小技が効いています、江戸の牙
戦闘衣装は全員が紺系の地味な着物で統一して現れて、おや?と思わせておいて、決め台詞と共に諸肌脱ぎになると、その下は梵字みたいな何かが各所に書かれた白装束。背中には、南無妙法蓮華教(多分)。かなりキてます。
殺陣は普通ですが、見た回は、けっこう尺長め。天知茂は二刀流。
そして殺戮の行われている屋敷の中に、そっと忍び込む黒い影。
成敗終了シーンで、天知茂の前に姿を現したのは、あの元義賊。
「千両箱一つじゃ全然足りねぇ。もう二つ三つ頂戴にあがります」
「俺の金じゃねえ。好きにしな」
翌日の瓦版には、事の真相とともに、旅籠で毒殺された者達の家族のもとに、それぞれ百両ずつが配られたという記事が。妻子の菩提を弔う為、江戸を旅立つ元義賊。それを見送る主人公。
最後まで渋いドラマ。
いやいやホント、久々に、普通に楽しめる時代劇見ました。
ああ後、やたらに早口で展開するオープニングが格好良いので、お薦め。

*1:なお番組の制作は、御船プロダクション