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『殺戮姫』(みさき速)、感想

表紙凄いよ、表紙。

殺戮姫 (少年チャンピオン・コミックス)

殺戮姫 (少年チャンピオン・コミックス)

特攻天女』のみさき速の短期集中連載作品。
森川流は、他人の悪意に反応して、その場の人間を殺戮する無差別殺人鬼と化す少女。そんな彼女を唯一止められるのは、彼女の幼なじみ、石動王士だけ。悪意溢れる日常で、面倒くさがりの救世主は、殺人鬼の少女と生きていく――。
ヒロイン、殺人鬼。
洒落でも何でもなく、普通に殺人鬼。
ヒロインの設定も凄ければ、作中で発生する事件も陰惨そのものな上に、かなりグロ描写度も高し。オブラート抜きの直球勝負であんまり精神衛生に良くないのですが、物語の方は、やや、尻すぼみ。
初めから短期集中という事で、テンションを上げていった所で終わるのを期待していたのですが、どちらかといえば第1話が一番テンションが高く、あとは設定をなぞった上で、変態vs殺人鬼、というエピソードに終始した具合で、なんというか、失敗した連載、みたいな感じに。
結局、『必殺!』フォーマットの亜流作品になってしまった上で、変に余計なものを付け加えている分、カタルシスに欠けすっきりとも読めず、被害者の人達だけ可哀想、みたいな話に。
作者としては予定通りの展開なのではありましょうが、1話の段階では別の方向性も出来たであろうに、『必殺!』フォーマットの枠の中に入ってしまったのは、残念。
一つ大きく失敗したのは、作中のキャラ発言によるとヒロインの戦闘能力は相当凄まじいらしく、無差別殺人鬼どころか大量殺戮兵器になりうるという事なのですが、それが伝わらなかった事。人間離れした戦闘能力の一端ぐらいは垣間見えるのですが、あくまで個人レベルであって、それがもう、とんでも超人レベルぐらい、というのが表現しきれていない。結局、“弱者を虐げる犯人”の前に、“思いもかけぬ絶対強者(ヒロイン)”が現れる、という構図の内に収まってしまっていて、視点を変えると“弱者を虐げるヒロイン”でしかないのですよね。加虐者の前により強力な加虐者が現れる、というのもテーマの一つではあったようですが、せめて拳銃と戦うとか、もう少し超人アクションを強調しておいた方が良かったと思います。
その辺りで、社会的テーマとファンタジー的な要素が中途半端になって噛み合い損ね、作品としては何とも宙ぶらりんに。社会派でやるなら社会派に、ファンタジーに飛ばすならもう少し飛ばしてしまった方が良かったと思うなぁ。
主人公・王士くんの地味な狂いっぷりなんかは実に作者らしく良かっただけに、ちょっと惜しかった。
あと、好きなのはわかるけど、先生は伊佐兄(もともと、この名前からしてあれですが)まんますぎると思います(笑)
まあ要するに何というか、食い合わせが悪かった、というか。
この作者に関しては、私の期待値が高いので、どーしても辛くはなりますが。
いっそ時代劇が良いと思うのだけどなぁ、時代劇。