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ロング・ディスタンス・コール

<新装版>『ARIEL』が、思いの外、順調に発刊されております。
4巻出ているのを見て、慌てて3巻と一緒に買ってきました。綺麗に2ヶ月おきで出ているので、隔月連載ぐらいのつもりで、書き下ろしも書いているのかなー作者。主に友人関係による解説はともかく(3巻の解説はちょっと酷かった)、毎回あとがきも書いて、当時をちょっと振り返ってくれるのは嬉しい。このペースで是非ともお願いします。
改めて読んでも割と面白いのですが、やはり、新装版3巻収録、文庫版6巻にあたる、シモーヌ経理部長里帰り編は、白眉。ある種のパロディであった本作が、完全に一皮剥けた一編(番外含めて連作4話)であると思うのですが、(当時まだこの言葉はなかったと思いますが)ライトノベル的構造から、ここまで飛翔できるのか、というインパクトもあって印象深い。
もともとパロディであると同時にアイロニーめいたものを含む作風ではありましたが、「侵略」も「ロボット」も「地球側メインキャスト」もそっちのけで、
経理部長里帰り→父親が勝手に退職届提出&お見合い用意→売り言葉に買い言葉で、艦長と経理部長・決裂→もつれもつれて……
と1巻丸ごとオフィスラブ・メロドラマで通して、面白いのですから脱帽です。
で以後、役に立たない機動兵器を要する地球サイドより、キャラクターも一気に増えた宇宙サイドの人間ドラマの方が俄然面白くなってしまうわけですが(笑)
かく言う私も宇宙人贔屓なので、なんとも。
趣味とはちょっと違うけど、ハウザー艦長も、有能・二枚目・だけどへたれ、とよく考えると三拍子揃っているしなぁ(笑)
改めて色々、影響を受けているなぁと思う。
ちなみに、作者と同世代とおぼしき解説諸氏は、今作をして「(当時のロボットアニメの抱える構造的矛盾に関する)一つのアンサー(小説)」、という表現を割と使っていて、それに付随して語られる話と合わせると、岡田斗司夫が語る所の“第一世代オタク”的な世界観が透けて見えてきてなかなかに興味深かったりもします。
……思い切り続けると言ったまま放置しているネタは、ちゃんと続き書く気はありますよあるんでその内テンションがそっち方面に向かったら、はい。