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WBCいろいろ

終わったから書ける後付け分析などもありますが、思った事を幾つか。やっている最中は、原が心配でそれどころではなかったので(^^;
長いので、野球に興味の無い方はすっ飛ばしてください。

中継時間の問題でほとんど試合は見られなかったのですが、そんな中で特に決勝戦見ていて感じたのは、選手が皆、非常に“いい顔”していた事。
一歩間違えれば、シーズン前の大事な時期の余計な試合、にもなりかねなかったこのWBCにおいて、シーズン終盤もかくや、という顔を選手達がしていたのは、非常に印象深い。
ファンの盛り上がりという後押しもありましたが、あの顔だけで、いいチームになったなぁ、と本当に思った。

  • 打撃陣

最後まで微妙にタイムリー欠乏症でしたが、最後の一撃を放った人がずっと不調だった事も含め、全員がそれなりに打ち、それなりに凡退もし、際だったヒーローがいなかった割には相応の得点能力で、なんだかんだで
9試合で50点・5点以上取った試合が6試合・1点も取れなかった試合が1試合
という、優秀な数字。
「5点以上取って、3点以内に抑えて勝つ」のを野球の勝ち方の一つの型とするならば、9試合で16失点という点も含め、今大会の日本代表は、実に鮮やかに、期待値を上回る数字で勝っていて、チームの総合力の高さを証明しました。
特にやはり、絶妙な安定感のあった青木は素晴らしい。それから内川。ベテラン勢もいい所で仕事しましたし、よくよく考えるとイチローもベテラン組に入るのだと思えば、充分いい仕事したというべきなのか(笑)

しかしこのチーム、
イチロー(94’〜00’/パ)
小笠原(02’〜03’/パ)
福留(02’、06’/セ)
青木(05’、07’/セ)
稲葉(07’/パ)
内川(08’/セ)
セパでの首位打者経験者が、6人。そういうチームだとはわかっていましたが、改めて見ると物凄いな(笑) 過去10年で見ても、この6人で首位打者タイトル10回獲っています(笑)

  • 機動性

片岡とか川崎とかのわかりやすい「機動力」以上に、チームとしての総合的な機動性能のレベルが非常に高かった。
つまるところ、塁に出たら盗塁、というものとはまた別の、
バントが多少下手でも2塁にいけたり、ゲッツーを取られにくかったり、シングルヒットでも1塁から3塁に行けたり、という面での、走塁での安定感、次の塁へ進む可能性の高さ、が重視されたチームであったと思います。小笠原や城島あたりを除くと、走塁を非常に安心して見られた。実はこういうチームは案外と少ない。……というかまあ、狙って作らないと作れないですし。

かように“塁に出る事”を重視された打線において、一発のある軸として期待された村田は(まあその村田にしても 08年の打率は.323なのですが)、残念な形での離脱となりました。2次ラウンドでもう少し上向きなら、村田の大会になった可能性もあっただけに、非常に惜しかった。今となってはもはや、村田の離脱すらイチローラクルへの伏線であったように思えますが。……というか多分、村田はなにか吸われたよなぁ、イチローに。

  • 守備

そして、機動力は守備力へ繋がるとはよくいわれる話ではありますが、守備面での安定性も、評価されるべき。普通の仕事と思われがちですが、普通の仕事が出来るチームを作った、という事を、nakumaさんも書いてましたが、もっと評価して良いでしょう。
微妙に不安材料といえた横浜コンビが、予想外の大活躍をしたのも印象深いです。村田は1次ラウンドからダイビングキャッチを見せるし、内川はなんといっても決勝戦の大ファインプレー(ギャンブルプレーでもありましたが、あれは結果で評価されるべき)。

  • 亀井

という風に考えた時に、(状態悪かったという話もありますが)松中ではなくて、亀井、というのは非常にチーム構想の理にかなっているのです。巧打者で、足が速く、守備が良い。例えば外野の誰かが絶不調なり怪我なりで下がった時に、亀井だったらチームカラーを変えずに出せる。非常に論理的。まあ、現時点で小粒なのは確かですし、辞退が無ければ森野を選んだとは思いますけど。

  • メリット・デメリット

勿論、このチーム構想にはデメリットの面もあって、巷間言われるようなパワーヒッター不足、特に終盤もつれた時の“代打の切り札”的存在がいない。決勝戦などはまさに、その“あと一枚”が欲しいな、という展開ではありましたが、同時にまあ、短期決戦において代打の切り札は必要か? というのは論じられる余地のある部分かと思います。途中では、スタメン外れた時の小笠原や稲葉が、そういう仕事をしておりましたが。後おそらく、守備面で状態に不安のあると言われた阿部を残したのは、むしろ代打のパワーヒッター(キャッチャーも出来るよ)としての期待があったのかもしれません。

  • 一つ打っては国の為

総合的に、
打順は組み替えるけどチームカラーは変えない
というのが、打撃面に関する原の一貫した構想だったのではないかと。
私個人はスモールベースボール礼賛主義ではないですが、そちらの方面でもかなり理想に近い所でハイレベルなチームを作れたのではないかと思います。
短期決戦では、4番が大爆発でもしない限りは、点の取り方の引き出しが多い方が有利という事でしょうか。
ここぞのエンドランの成功率の高さ、というのがこのチームの一つの強さの象徴であったと思います。

  • 投手

選考の時点での“先発クラスを大量に”という方針には、贔屓の私でも疑問があったのですが、終わってみればこれが完璧にはまる形。選んだピッチャー陣がやたらに調子良かったというのはありますが、これには脱帽。
むしろ本職のリリーフ陣より、各チームのエースクラスの面々が軒並み素晴らしい出来で、杉内なんてもはや“誤算”レベルの出来の良さだったと思うのですが、この辺りが原は実に引きが強い。あまりに良ぎて、渡辺とか小松とかが“余る”始末というか、あそこで誰か崩れていても、まだいるぞ、という投手陣を組めたのはやはり今大会の最大の勝因であったと思います。
結果としては、岩瀬や斎藤隆の辞退がいい方向に行った形ですが、なんか今回、こういうの多い気もする(笑)

今回、一番見直したピッチャー。
正直、今後の為の若手の経験値稼ぎで選んだだけかと思ったのですが、しっかり投げさせて、しっかり応えました。投げさせた原も凄いけど、投げて抑えた田中も凄い。
そんなに評価していなかったのですが、見方を変えます。
伊達にノムさんが使い続けているわけではなかったか。

  • 巨人ファン的に

選抜の時点で覚悟した、“シーズン前から山口が大車輪”という事にならなかったのは、正直、ホッとしています(笑) 山口といえば、今月の「月刊ジャイアンツ」に掲載されていたミニコラム「WBC山口日記」(だかなんだか)が妙に面白かったので、お暇な方は近くの書店で是非どうぞ。
「凄い人ばかりでどうしたらいいかわからなかったので、ずっと内海さんの近くにいました」
とか、やたらに可愛い(笑)
スポーツ選手を「可愛い」と思う視点、て今まで全く無かったのですが、初めてそう思ってしまった(笑)

  • 覚悟

勝因が裏を返せば敗因になる、というのは野球では割とある話で、良すぎるが故にどこで誰に投手を替えるか、というのは難しかったのではないかと思います。
実際、決勝戦は8回頭からピッチャー交代、という選択肢はあったと思うのですけどね。
そしてリリーフエースというのは、チームとファンが、覚悟を決めて送り出せるピッチャーの事であって、こういった代表チームでは、その覚悟を決めるのが難しい。実際、途中で色々な惑いもあったでしょうし、状態面の考慮というのも変化していく中で、準決勝・決勝はダルビッシュで行く、というのをどこかで腹をくくったのでしょうね。くくったから行ったし、くくったからあの苦笑いになったのだろうし、この辺りの、良し悪しはさておいての覚悟の決め方は、実に原らしい(特に第二次政権以降)。

  • 原は本当に動かなくなった

原采配といえば、もともとは
動かして動かして流れを持ってくる
という戦術タイプだったのですが、例の人事異動を経て、2006年に監督復帰後は、徐々に動きが少なくなっています。構えるようになった。特に2008年シーズンは終盤に追いつめられてもどこか飄々としている所があったのですが、今回のWBCもそういった感じで、これは監督・原のスタイルとして定着しつつある模様。
そもそもは、更迭を経験しての、ある種の開き直りに基づくものではあると思うのですが、原辰徳がここから更にどう変わっていくのかは、ファンとしてはなかなか興味深いです。
なんかホントねー、次クビになったら、ゴルフのシニアプロになるからいいや*1、とか腹の底では思っていそうです(笑) 原曰く「バブルの頃に財テクに手を出して失敗した野球選手が沢山いたが、自分はそれをしなかったから身軽」なんだそうです。実際の現在の財政状態は知りませんが、まあ原の旦那気質(とにかく人に物をあげたり食事をおごったりというエピソードが多い)には、そういう背景もあるのでしょう。
食事の誘い断るなよイチロー

韓国の監督サイドから、「四球になっても構わない程度のくさい所で勝負しろ、という指示がうまく伝わらなかった」という話が出ているみたいですが、それもそれでまた妥当として、言う程、イチローとの勝負が馬鹿げている、とは思わなかったのですよね。
実況席では、当然勝負はしない、みたいな感じの事を全員が言っていましたが、次、中島なわけで、確かにあの日のイチローは好調でしたが、WBC全体の働き見ていれば、ツーアウト満塁で中島勝負(後ろに青木)というのも十二分に嫌だったと思います。まあ後、韓国サイドは感情的にイチローから逃げにくい、というのもあったのではないかと思いますし。
面白かったのは、岩村が盗塁して一塁が空いた途端に、解説の清原か佐々木か槙原(或いは全員)が、これでもう当然敬遠、みたいなコメントをした事。ああなるほど、“日本野球”というのはそういうものなんだな、と非常にわかりやすかった(笑)
あの場面に各国代表がどういう戦術的感想を抱いたのかは、ちょっと気になります。
イチローのタイムリーと結果的な勝利だけがクローズアップされてしまいますが、あそこの盗塁(というかファーストのベースカバーは外れていたのでもはや進塁)がなければ5点目は入らなかったであろう事を考えると、ベンチの指示なのか岩村の独断なのかも含め、非常に勝負の綾の詰まった面白いプレーであったと思うのですが、誰が何をどこまで考えた動きだったのか、どこかでコメント無いかなぁ。

  • 週刊誌

読むと大概、嫌な気分になるのわかっていて、遂読んでしまう私も私ですが。職場で目に留まるのが良くないのだと言い訳をしつつ、内紛報道大好きな各週刊誌が、この優勝を受けて来週どんな記事を書くのかちょっと楽しみです(笑)
急に「いい話」でいっぱいになっていたらそれはそれで笑いますが、優勝はしたけれど、みたいな記事もありそうではある。
基本的に、王・長嶋世代の記者って、「原は小馬鹿にしていいもの」だと未だに思っているみたいですが、この人達は「王・長嶋を知らず、原の全盛期を見ている世代」と自分達の温度差を理解できていないと思う。

  • GoGoサブマリン

ところでそんな週刊誌のどれかに、「WBC人物相関図」みたいなのが乗っかっていて、選手やコーチが<不信>とか<尊敬>とかで結ばれていたのですが、投手陣で、一人だけ四角囲みな渡辺俊介の所には誰にも線が引っ張っておらず、ただ一言
孤独を愛する男
って、そうなんですか?! ひどくないですか(笑)

  • 川崎!

まあしかし、これだけの選手を集めた代表チームでは、全ての選手とそのファンが完全に満足する出場機会を得るというのはどだい無理な話で、そんな中、
「東京ラウンドからベンチの中ですべて試合に出ていましたから」
という言葉が外野の下衆な発言を全てどうでもよくしてくれました。
いい男だ。

「本当にお前さんたちは……強いサムライになった!」
とまあ、最後までこのキャッチにこだわりきったこの人はやっぱり凄いよ。

  • カリスマなき時代に

長嶋・王がグラウンドを去り、
長嶋になりかわろうとした男が夢破れた後、
世界一のトロフィーを両手で掲げたのは、
カリスマである事を許されなかった男・原辰徳
常に表舞台を歩き続けながら、同時に貶められ続けてもいた男が、「野球人生最大の屈辱」*2を乗り越え、代表監督という名の泥を被る中で、あえて「誇り」と「憧れ」を口にし続け、侍の旗の下に掴んだ栄冠。
あの日、神宮の空に舞ったボールとバットの描く弧を、私は忘れない。
世界一の若大将の、夢の続きは終わらない。
伝説はまだ、これからだ。

  • ……とかなんとか

ちょっと詩的にまとめてみましたが、実際今回のWBCの結果は割と象徴的な出来事として、今後の球界のターニングポイントになる可能性はあるかと思います。
というか、しないと駄目だと思う。
まあまずはマスコミが、長嶋・王の洗礼を受けていない世代、の方を向いてくれるかどうか、というのはありますが。TV関係者も予想外の盛り上がりだったと思うので、今年すぐに地上波中継が増えるわけでは無いのもちょっと切ないけど。今年の地上波の視聴率が少しでも上がると良いなぁ。

  • 最後に

内川と川崎と田中は、今後応援しようと思う。

*1:もともとそんな人生設計もあったらしい

*2:03年の監督解任