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改めて有川浩は巧いなぁ

三匹のおっさん

三匹のおっさん


定年退職後、嘱託としてゲームセンターで働く事になった剣道の達人・キヨ、今は息子に店を譲った居酒屋の元店主で柔道の有段者・シゲ、町の工務店を経営する発明の天才・ノリ、かつて三匹の悪ガキであったおっさん達は、キヨの時間に余裕が出来た事をきっかけに、町内の平和を守る為に活動する事を思いつく。孫と娘の高校生カップルも交えながら、果たして、三匹のおっさん達の活躍や如何に――。
別冊文藝春秋」に連載しているらしい、というのは知っていたのですが、いったいなにを文春で……と思っていたら、こんな話を連載していた模様。
内容は、あらすじから想像できるその通りです(笑)
作者もあとがきで「時代劇」と書いてますが、あらすじとあとがきに偽りなく、ご町内の平和を陰から守ろうと三匹のおっさんが活躍する話。キヨの嘱託先が孫のバイト先であったエピソードを皮切りに、痴漢退治や悪徳商法との対決など、全6話収録の短編集。
三匹のおっさんの爽快な活躍を縦軸に、嫁を挟んで微妙な関係の息子夫婦とのやり取りや、今時の高校生であるその孫との交流、孫の恋愛話などが絡んで展開するのですが、おっさん達ばかりでなく、孫の方にもしっかり焦点を当ててくれるのが嬉しい。特に、思った以上にしっかり描かれた孫の恋愛話(まあ作者が好きなのでしょうが)はヒロインの可愛さもあって良い出来で、有川ラブコメ好きにも楽しめる構成となっております。
歴代最強が武田三尉なのは譲れませんが、今作ヒロインもベタなキャラ作りかと思わせてひとひねり加えてくる辺りが、実に鮮やかで巧い。
ベタな話ほど作家の力量を問われるものはないのですが、この設定と筋でこれだけの話を書ける有川浩は間違いなく巧い、と確信させてくれる1作。