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『Q.E.D.〜証明終了〜』(加藤元浩)33巻、発売

Q.E.D.証明終了(33) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(33) (講談社コミックス月刊マガジン)

ああそういえば、講談社漫画賞を取ったのだよなー、とオビを見て思い出しました。
ええ、以前から、「講談社は『Q.E.D』になにか賞をあげろ」とわめいてはおりましたが、

  • TV化後で、まがりなりにも知名度が上昇
  • 別作品と同時受賞
  • 青年部門の受賞作に見られる、全体的なやっつけ感

という、このタイミングなら、正直むしろ要らなかった気がしないでもなく。いくらお手盛りにしても酷いというか、もっと早くから評価されるべき作品に対して、この賞の出し方はない。
と思ったので、黙殺していたのでありました。
気を取り直して33巻は、アパートで見つかった変死体を巡る奇妙な矛盾を追う「パラドックスの部屋」、飲み会の席で同業者に語ったトリック通りに死亡した推理小説家の死の真相に迫る「推理小説家殺人事件」の2編を収録。
パラドックスの部屋」は、「人間花火」辺りに連なる、事件というよりもそれを通して人間心理により踏み込みたい、といった作品。個人的には今ひとつでしたが、この巻数においても(それ故に、か)実験的な話を意識的に組み込んでいく作者の姿勢は評価したい。ただ近年、コマの使い方が大きくなっているのが、こういう話だと非常に手抜きっぽく見えてしまうというのはあって、その辺り、マンガとして若干の修正は必要かな、という気はします。
推理小説家殺人事件」は、ある推理小説家の語る事故死にしか見えない完全犯罪トリック・それを聞いた3人の同業者・そして死亡した推理小説家。
果たして彼は事故死なのか、はたまた自分の語ったトリックで殺されたのか、殺人だとしたら犯人はそのトリックを聞いた内の一人なのか――?
という、ある種“本歌取り”的な趣のある、本格テイストの一品。ひねり方と、スパイスの利かせ具合が絶妙で、なかなかの名作。