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『Q.E.D』(加藤元浩)34巻、読了

Q.E.D.証明終了(34) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(34) (講談社コミックス月刊マガジン)

“災厄の男”アラン・ブレードとその秘書エリーの結婚エピソード「災厄の男の結婚」と、可奈の中学時代の友人の住む岩手県で土地の大地主の絡んだ事件に巻き込まれる「母也堂」の、2編を収録。「災厄の男の結婚」は、基本的に時間がループしている『Q.E.D.』世界において、サブキャラクターの関係性が明白に変化する、という点で非常に珍しい位置づけのエピソード(アランがらみの一つ前が婚約エピソードではありますが)。そういう意味では重要なのですが、肝心の内容は今ひとつ。ミステリとしては面白くないし、風刺ネタとしては中途半端……なのですが、これはもう、
エリーさんが可愛い話
として割り切るべきでありましょう(笑)
ある意味、約90P、アランとエリーさんの惚気です。
もうちょっと、それに反応する水原さん、とかあったら面白みが増した気もするのですが、最近の水原さんと燈馬くんは、安定しすぎて逆に弄りにくくなっている感はある。なんというか、普通に夫婦。
ところで敢えてツッコミたいのですが、アランて「災厄の男の災厄」(17巻所収)時点で、38歳だったのですが、時間経過はあまり考えないようにしても、エリーさん、幾つなんだ! エリーさんって実は30越えていたりするのだろうか、とは思う次第であります。
というわけで、世界一の大金持ちが美人秘書と結婚する、という展開は有りか無しか、については討議の余地がある気がします(笑)
もう一本、「母也堂」はいい話なのですが、結果的に、過去のある名エピソードと印象が被ってしまい、そこが残念。作者にその意図があったとは思えないのですが、若干、焼き直しめいてしまった気が。
個人的には『Q.E.D.』は、ある程度の所できちんとした幕引きをしてほしいなぁと思ってはいるのですが、そろそろ考えても良いのではなかろうか、とはここ数巻を読んでいて感じます。いや、充分に水準以上の出来ではありますし、32巻の「マジック&マジック」みたいな名作もポンと出てくるから、このペースで作者にアイデアがある内は、“侮れない作品”という位置づけは変わらないのですが。
ただ、タイムループしているとはいえ、無限に続いて何となく終わるよりは、作者に力のある内に、渾身の最終回、というのを見たい作品なのです。で、要請があればその後に、年に2本ぐらい、最終回から時間を前後しての不定期連載、とかいう形もこの作品ならありかと思いますし。
災厄の男の結婚を契機に、40巻辺りを目安に、何かしら動かないかなぁ、とは思う。
なお仮想最終回に求めるハードルは、「サクラ サクラ」越えです。今のところあのエピソードが、ある種の最終回といってもいいと認識しているので。
ところで全くの余談ですが、今巻の発売で『Q.E.D.』は私が今手元に持っているマンガコミックスのシリーズ最長巻数に並びました。これまでは『俺たちのフィールド』(村枝賢一)だったのですが(外伝が1冊あるので厳密には35巻ですが)、まさか『Q.E.D.』が最長不倒になるとはなぁ。