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六月の勝利の歌を懐かしむ〜トルシエ会見全文集より〜:8

〔スポーツナビ | サッカー|日本代表 | トルシエ会見全文アーカイヴ〕
フランスに大惨敗とか、その後のマスコミ報道とか、色々あって、しばらくトルシエがえらくエキサイトした状態が続きます。まあ、アジアカップ後しばらくは、トルシエも少し調子の良い事を言っていた所もあって、自分で煽って自分で怒ったらダメだろ、みたいな部分もあるのですが(笑)
そんなわけで、フランス戦後、2時間に及んだ、スポーツナビ8ページ分(笑)の会見からどうぞ。


〔2001.4.6 仏戦、西戦、コンフェデ杯を語る〕より
皆さまには、私に2つ質問をしていただこうと予定しております。「これぞ質問」という質問をお待ちしております。もし、「これぞ質問」という質問でなかったら、私が自分自身に質問を投げ掛けることに致しましょう(笑)。やはり「質問」というからには、物事を前に前進させるような、そうした前向きなものであってほしいと思うからです。

痛みは伴うものです。選手にとっても、監督にとってもそうです。コーチングスタッフにとってもそうです。サポーターにとってもそうです。日本のサッカーそのものについてもそうです。アジアにとってもそうなんです。すごい痛みを伴うのです。

もしかしたら、それがアジアの外に出ていくという、私どもの目的に向かうプロセスを実際に始める一番いい方法なのかも知れません。地にたたきのめされるのがいいかもしれない。そして、何も先が見えない状態で存在する雲から落ちることが必要なのかもしれない。そこで必要となってくるのが、その時にどうするか、プレスに対していろいろ言うことではなくて、まず自分自身の姿というものを鏡に映してしっかりと見つめるということです。

あの試合で分かったこと。それは、やはりハイレベルまで上がるためには、新たにもっと要求基準の厳しいものをやっていかなくてはいけないということです。アジアで通用することが、ヨーロッパで通用するとは限らない。そして、世界で通用するとは限らないのです。そうなると、やはりハイレベルな要求に対して、自分たちがしっかりと適応できるようにしなくてはいけないというのが、一番最初にやっていくことです。

幸いなことに、ワールドカップの1年半前から、そのことがスタートできているんです。つまり、幻想というものを打ち砕かれるという現実が、1年後のワールドカップの直前ではなく、今で良かったと思うわけです。

私は日本国民の皆さまにお願いをしたいと思います。つまり、自分たちの自負とか自信はまず横に置いておいて、今は勇気をもって、自分たちとほかのチームのどこが違うのかということを煮詰めて、その対処をしていかなくてはいけないのだということを、はっきりと意識していただきたいのです。

アジアで試合をやっていても、私たちの方向性は見えてこないわけです。日本のリーグ戦は、そこまでいろいろと厳しいものではないからです。そうなると、そうした経験というものは自ら外に出かけて行って、探してこなくてはならないわけです。こうして、問題点というものに、自ら立ち向かっていくようにしなくてはなりません。フランスに「ありがとう」と言いたいと思います。少なくとも、解決策というよりも、方向性というものを教えてくれたことにお礼を言いたいと思います。スペインにも、そうしたデータをしっかりと取りに参ります。

日本というのは文化的に言っても、ディフェンスが強いとは言えません。ディフェンスに対する考え方を今後、改善していく必要があります。これが次の目標になるでしょう。個人という意味でも集団という意味でもです。

自分自身の力というのものを、大いにアピールしなくてはいけません。それぞれの選手が、そのことをしっかりと意識していかなくてはいけません。
でも、中田だけはやっぱりそれに慣れている、彼だけがしっかりとそのことが出来ていました。慣れなんですよ。もう一回言いましょう。本当は慣れなんです。

――今回の惨敗は、私の中では結果通りなのですが、その幻想(勝てるのではないかという)を抱かせた責任の一端は、トルシエ監督のコメントにあると思います。その発言がマスコミに真に受け取られて幻想が生まれたのではないでしょうか? また、何らかの裏があって発言されたものだったのでしょうか?


はい、そうです。でも私の立場に立ってみてください。やはり、アジアチャンピオンを世界チャンピオンと戦わせたいわけです。でも、アジアチャンピオンの重さというのは足りなかったですね。アジアチャンピオンになったというのは、フィリップ・トルシエが頑張ったということにもよるわけです。でも、フィリップ・トルシエが頑張ったのは10パーセントだと思います。80パーセントは、クラブが頑張ったからこそです。クラブチームが、そしてフィリップ・トルシエの前のほかの監督がいるわけです。べつに、日本が目覚めたのはフィリップ・トルシエがやって来る1年前からというわけではなかったのです。

やはり、アジアチャンピオンになれたのは、プロリーグがあってこそということになります。でも、アジア以外のところでのプロセスを始めるに当たって、私が必要としたのは、チームをどのくらいの基準に見たらいいのかということで、その基準と参考になるものが必要だったわけです。そこで、このアジアチャンピオンをワールドチャンピオンと戦わせたわけです。だから選手たちをフランスと戦わせたのは私の責任です。そこで、私の最初の教訓というものが分かった。アジアチャンピオンでは圧倒できないということ、そうした教訓というものを引き出してやっていかなければなりません。

アジアでは、日本が30パーセントぐらいの割合で守っていたのが、欧州や南米のチームと戦う時は、7割方がディフェンスになる。これがディフェンスに対するカルチャーなのです。

2002年のワールドカップの時には、今まで7割方守っていたものを、5割にしていかないといけない。だから、こうした努力をしていかなければいけないのです。今は本当にこぞうっ子です。だから、もう少し大きい少年に成長してほしいと思います。自分の自負を横に置いておいて、しっかりと目を見開いて、現状を受け止めなくてはいけません。

このご質問の最後になりますが、そうです、私がアジアチャンピオンをワールドチャンピオンに戦わせました。その責任者です。でもアジアチャンピオンになった責任者も私だということを言わせてください。

やはり日本の試合を見ますと、ディフェンスのカルチャーというものが見えない。イタリア、フランス、ドイツというところを見てきますと、そこにはやはりディフェンスに対するカルチャー、しっかりとした考え方があると思います。日本にはそれがないと思うので、その辺をきっちり強化していきたいと思っています。それがアジア以外に向いたときのわれわれのチャレンジのポイントになると思います。
この話も、10年前からずっと出ていたのか…………。

チームというのは選手に「お前出ろ、お前代われ」と言っただけで変わるんですよ。入れてもらった選手にとったら、「俺は監督から信頼されているな」、という気持ちになります。それだけでもチームは変わってきます。

自信のない選手はいずれにせよ、チームには選ばれないわけです。自分はこういった状況に対して反応してやるぞ、というような面をクラブチーム(Jリーグ)でしっかりと見せていかない人間は、結局はほかの選手に席を譲ることになります。

ヨーロッパ選手権もないし、チャンピオンズリーグもないし、重いピッチでプレーさせることも日本人選手にはないわけですから。
ラウル(レアル・マドリー)が2週間前にハンドでゴールを決めましたよね。でも日本だったら「ハンドだからゴールには数えないよ」、と言いますよね。なぜかって日本人なら、「あ、僕いま手でいれちゃったから点にならないや」って、自分から言っちゃいますよね。
ヨーロッパだとハンドで入れてもゴールはゴールだと。だから日本のリーグ戦だけでは、日本の選手が何もかも分かるということにはならないわけです。

奇跡的なレシピなんてないんです。つまりディフェンシブなカルチャーなしで、2人センターバックでやれると思いますか?

私自身もこうした残酷な時というのを実際に体験することができて、自分自身がより強くなったような気がしますし、1年後のワールドカップのグループリーグの時にこの経験をしておいてよかったと思うでしょう。そして周りのみなさまには信頼をしていただいて、やっていかないといけません。
みなさまにこうして私の心のうちをお話することができてよかったと思っています。
ご静聴ありがとうございました。