連載ノスタルジー企画「六月の勝利の歌を懐かしむ」より、ひとまとめ第2弾。
〔2000.12・14 (キリンビバレッジサッカー2000)日本代表メンバー発表会見全文〕〜〔2001.6.6 コンフェデレーションズカップ 豪州戦前日会見全文〕まで、の内容を語録的にそれらしくまとめたものです。
- 「監督は何のためにそこにいるのだ?」と言われるとみんなのエネルギーというものを出させるためにいるのです。
- 日本のサッカーを考える上では、カズをはずせません。
- FWの個人の力というよりも、点を取るというのはチームのプロセスのことで、一番大事なのは守備から攻撃の切り替えを通じて、どうやってラストパスを出すのか。
- 私のチームは個人のチームではない、抜きん出るスター扱いのチームではない『チーム』です。
- 脇役として取り上げられたり、スーパースター扱いされる選手の影に隠れる選手も十分に代表で通用します。早く彼らも新しいスーパースターになってくれれば一番うれしいけどね。
- 2002年のワールドカップといっても、やはりその先には2006年、更にその先の2010年を見据えた形で、一つ一つ動いていかなくてはいけない。
- フランスと戦う、ドイツと戦う、オランダと戦うと申しましても、彼らと同じような戦いぶりをするわけではまったくなくて、そこに自分たちの日本式の戦い方というものを持っていくわけです。
- サッカーというのが最初から結果が分かっているものでしたら、誰もスタジアムまで足を運ばないと思うんです。小さなチームでも大きなチームを倒すことがあるからこそ、それが面白くてみんなスタジアムに来るわけです。
- 日本では「こういうことが言われてる」ということよりも「こういうことが書かれてる」ということが大事なようです。でも、みんな書いていることをいつもそのとおりだと思わないところがいいところです。
- 「質問」というからには、物事を前に前進させるような、そうした前向きなものであってほしい。
- 痛みは伴うものです。選手にとっても、監督にとってもそうです。コーチングスタッフにとってもそうです。サポーターにとってもそうです。日本のサッカーそのものについてもそうです。アジアにとってもそうなんです。すごい痛みを伴うのです。
- 幻想というものを打ち砕かれるという現実が、1年後のワールドカップの直前ではなく、今で良かったと思う。
- アジアで試合をやっていても、私たちの方向性は見えてこないわけです。日本のリーグ戦は、そこまでいろいろと厳しいものではないからです。
- やはり日本の試合を見ますと、ディフェンスのカルチャーというものが見えない。
- 奇跡的なレシピなんてないんです。つまりディフェンシブなカルチャーなしで、2人センターバックでやれると思いますか?
- コンフェデレーションズカップをワールドカップだと思っている方のためにこのお話をさせてもらいました。
- 私が魔法の杖(つえ)を持っているんじゃないです。私が何か杖を振ればすべてがガラッと変わるものではないということをしっかりとくみ取ってもらえたらと思います。
- 日本の選手には成熟度と経験が、そして、最後に自分の中でどっちにするかという決定力が不足しています。
- 皆さんが代表に勝ってほしいという気持ちは分かります。でも、本当に強くなっていく代償を今、われわれは支払っています。
- この3年間いろいろな努力をして、自分の戦術を合理的に説明しましょうということでやってきたが、あまりプレスの成熟が進まなかったから、じゃあ結果でいいと思って。
- カナダに0−5で負けて、0−10でカメルーンで負けて、それでブラジルにわずか1−0で勝てばナショナルヒーローになる。逆にカナダに5−0で勝って、カメルーンに10−0で勝って、それでわずか0−1でブラジルに負ければいろいろぼろくそに言われる。
- 日本も外国に出るしかありません。それは、不可欠なプロセスです。
- 本当の厳しいところであれば、スターをたまに外すべきです。
- とにかく1分しか出なくてもプレスはその選手をスターにしますから、それはプレスの問題ですね。
- そんなにサッカーを知らない人、普通にサッカーが好きだけれど内幕のことを知らない人は、スターばかりを見て「この人は本当にスターなんだね、神様なんだね」と信じる。それは大きな問題です。
- 代表以外のこともどんどん言わないと日本のサッカーは進歩していかない。私の期待は自分の代表、自分の大会だけではありません。
- ゴルフをやって、リーグを半年だけやってという日本式のサッカーだったら、日本は強くなりません。
- 常にベストメンバーで戦えるという意識を捨てないといけません。言い訳は作りません。「これは私のチームではない、この選手もいない、あの選手もいない」というような現実を語るつもりはありません。
- 日本のマスコミにひとつお願いがあります。われわれの仕事、集中力、チームを尊重してください。
- いつも言っているように、私の中ではだれにも特権はないし指定席もありません。
- 日本サッカー界の向上のためには戦術でも監督でもなく、選手個人が外国で得た経験が大切です。少なくとも10人もしくは20人の選手がヨーロッパでプレーすれば、日本の代表は強くなるし、日本サッカー全体にいいことです。
アジアカップ優勝後、遠征試合〜コンフェデ準優勝までのトルシエジャパンの流れについては、こちらのコラムがうまくまとまっています。
◆〔「創造的な破壊者」トルシエはいかに日本代表を導いたか?/湯浅健二〕
“現実へのアジャスト”とやらが言われる今日この頃に読むと、なおさら趣深い。