新潮社情報誌『波』連載「対談シリーズ・寿限無の言い分」(聞き手:吉川潮)より、立川談春と、さだまさしの会話。
まあ、まさしはまさしで特殊な部分はあるかと思うのですが、話の根本自体は、色々なジャンルにも通用する事ではないかと思う。
さだ「おれのやりたい<さだまさし>を十割やったとするだろう。そしたら客は来なくなるんだよ」
談春「来なくなりますか」
さだ「来ないね」
談春「どうしてです?」
さだ「やっぱり、秋桜歌ってくれよ、無縁坂歌ってよ、という話になるんだよ。じゃあ客の求めている<さだまさし>だけでやったとする」
談春「はい」
さだ「三回で来なくなる」
談春「なんでですか」
さだ「飽きるんだな。だから、客が求めている<さだ>七割、おれがやりたい<さだ>三割。長年やってきた結果、バランス的にはそれがいいと思うな」