このタイトルはどうかと思う(笑)
- 作者: 清武英利
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/09
- メディア: 新書
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やたらに熱い豊田清や、清武氏自身が、選手にドレスコードをたしなめられる話など、なかなか面白かったです。
特に興味深かったのは、豊田をFAで獲得した際に、人的補償で西武へ移籍する事となった江藤智を、そもそもは放出するつもりが無かったというくだり(年俸交渉も終わっていたらしい)。(あくまで清武さん主観の話ですが)もともと、当時の西武の球団代表だった黒岩彰氏との間に「豊田の保証は金銭だけになると思います」との口約束があり、プロテクトを緩めに作っていたら、西武の現場の方から強い希望があって、話が一転したとの事。
江藤が引退した途端に、コーチでの獲得という流れがちょっと不思議だったのですが、そもそも、清武さんは引退後の江藤にコーチをやってもらいたくて仕方が無くて、手ぐすねひいていたそうで、色々と納得。
これは、原−清武体制に入ってから凄くわかりやすいのですが、他球団からベテラン選手を獲得する時や、出す/残すを考えるときに、(1軍・2軍を問わず)若手選手の見本になれるか・将来コーチになりえる人材か、というのを強く意識しているのが、ここ数年の巨人編成の大きな特徴で、その萌芽はこの頃から既にあったという事らしいです。
清武さんが面白いのは、自分が“外から来た人間”である事に自覚的な上で、
「外から見ておかしいと思った事」
「外から来て凄いと思った事」
に対して、非常にオープンであるという事。
その双方に対する真摯さというものは、少なくとも評価されて良いと思う。
勿論、今後ますます“中の人”になっていく中で、今ある内と外とのバランス感覚の維持が難しくなっていくであろうとは思いますが、この方には出来るだけ長く、今持っている視点を、持ち続けていただければ、と思います。
なにぶん、日本のプロ野球というのは、(自戒も込めて)ファンが一番、古い世界で停止していたりするので。
こういうのを書ける所が、割と好き。
徹底的な敗北がなければチームの徹底強化もありえなかった。
私はといえば、球団代表としてこの六年間に450試合以上も勝ったが、負けも400近くに上っている。
これだけ負けて私は初めて、プロ野球というリーグ戦はいつも途中経過に過ぎず、負けても負けても明日があることを知った。だから今は、どんなに手痛い敗戦の夜も眠る事ができる。ちょっとだけ苦労はするけれども。