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変質の許容、変質する許容

上と微妙に繋がる話で、先日ちょっと話の勢いで、ライトノベル(及びその周辺展開)において、“ハーレムもの”が増えすぎてしまった故に逆にその中で技巧を凝らしたり先鋭化があったりで時々テクニカルに面白いものが出るようになった、という話をちょっとしたのですが、言葉足らずで触れ損ねた事で、その一つの流れとして、
(正)ヒロインがヨゴレ
というのが許容されるようになってきた、というのは面白い傾向だと思うのです。
もちろんこれは作風にもよりますし、過去に全く無かったというわけでは当然なく、ハーレムものに限った話でもなければ、資料的な裏付けをもった断定も出来ませんが、恐らく、傾向としては存在していると思います。
ある意味では、正ヒロインが正ヒロインであるが故にポジションに縛られる結果、サブヒロインなりが人気を博してしまうというよくある出来事に対する壮烈なクロスカウンター、と言えなくもないかとは思いますが、一昔前なら無かっただろうなぁ、という構造的要素が、爛熟の中から生まれるというのは、どのジャンルでも面白い。
つまるところこれは例のスタージョンの法則(黙示)の応用であって、「全てのものの90%はカスである」という事はジャンルの裾野がそれだけ広がると、そこに10%の良作が含まれているという。この場合は、出てくる、というべきではありましょうが。
というわけで、残念と変態性とヨゴレについては、ちょっと考えてみると面白いかなぁとか思っている。
まあ、キャラ作りの極端化の行き着く先、と言ってしまえばそれまでですが。
後は、そういったキャラクター作りに関しては先進(?)・先鋭の部分がある、18禁PCゲームとの垣根が低くなった事により、輸入/逆輸入の関係の中で、発生してきた(許容される範囲が広がってきた)、とは言えるかとは思いますが。同時にこれは、ライトノベル読者層の拡大(延長?というか)も背景にあるのでしょう。
ライトノベル読者層、というのが構造として面白いのは、入り口の場所はあまり変わらない(ある種、はしか的なものなので)まま、上限だけが伸び続けている、という所。で、この伸びた上の方に市場がある筈だと思ってそこを狙ったレーベルを作ると悉く失敗するという事。何故なら、別に違うものを求めているわけではないから。違うものも求めている層は、自分で勝手に他のジャンルに手を出しているので、市場としては既に拡散していますし。
そういえば、角川グループは、角川つばさ文庫講談社青い鳥文庫と同市場狙いの児童文学レーベル)に、ライトノベルを下ろす、という事をやっていて、児童文学へのライトノベル逆輸入による浸食、みたいな作業を進めているけど、あれは手応え出ているのかなぁ。