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『斬り捨て御免!』<第3部>、最終回感想

最終話 「今あかす 翁の御前の正体」
幕府転覆を目論み暗躍を続けてきた翁御前が大阪に居る事を突き止めた花房出雲(中村吉右衛門)以下、三十六番所の面々は、最後の決着をつけるため上方へと向かう。
その頃江戸では、おみくじをひけば凶が出、それを結ぼうと思えば下駄の鼻緒が切れと、不吉な予感が募った小蝶(出雲馴染みの芸者)が、思いあまって上方への旅路を選んでいた。道中で花房出雲の潜伏先を探す翁御前の配下に捕まってしまうが、通りすがりの武家に助けられる。その男と共に大阪に入った小蝶は出雲を捜す為、男の薦めで伝言板を用いる。だが男は翁御前の手の者であり、出雲をあぶり出す為に、小蝶を騙していたのだった。
潜伏先を襲撃されるが、いち早く難を逃れ、潜伏先を脱出して再会した小蝶としっぽりしながら乳首をサービスする人間国宝
小蝶を助けた男の名は、森軍兵衛(演ずるは森次晃嗣!)。かつて島原の乱天草四郎の軍師を務めた森宗意軒の末裔を名乗る浪人であった。翁御前の命により、大阪城の全軍を指揮する事となった軍兵衛は、襲撃を逃れた花房出雲が翁御前が潜む大阪城に乗り込んでくる事を予想し、警戒にあたる。
軍兵衛の予想通り、大阪城への侵入を目論む出雲と部下二人。
夜陰にまぎれ……てない。
ロケ地と照明の都合でも悪かったのか、割と明るいので、むしろ黒装束が目立って仕方がない3人。
凄く狙撃されそう。
潜入シーンは無駄に凝っていて、ボウガンのような道具を使って堀にローブを張り、その上を渡っていくというもの。一つ前の話で忍者屋敷に潜入するのに、崖の間に渡されたロープを伝っていましたが、黒装束でロープを渡る人間国宝が見られるのは『斬り捨て御免!』だけ!(多分)
城内の潜入に成功する3人だったが、待ち受けていた軍兵衛の手勢に鉄砲を浴びせられ、一時撤退。この辺り、最後のライバルとなる軍兵衛の知謀が描かれます。これは小手調べ、出雲は思いもかけぬ方法で潜入を考える筈……と警戒を強くする軍兵衛。
対して出雲が思いついた策はなんと……グ ラ イ ダ ー
花房出雲、大阪城へ、驚天動地の上空から潜入。
夜の内に見事に大阪城に乗り込むと、天井裏に身を隠す。
翌日、部下二人は協力者の伝手で役者一座に紛れ、わざとらしく大きな長持ちを城内へ運び込む事に成功する。長持ちの中に出雲が隠れていると思わせる事により、前夜忍び込んだ出雲から目を逸らさせると共に、自分たちも城内を混乱させるという手筈であったが、森軍兵衛に動きを読まれ、閉じこめられた部屋で毒ガスによって始末されそうになる。危機一髪であったが、数ヶ月前に大阪城に潜入しながら連絡の途絶えていた、楽翁(出雲達の後援者)の影目付が現れ、窮地を助けられる。
一方、出雲が隠れている(と思いこんでいる)長持ちを取り囲んだ軍兵衛以下、長持ちに向けて、ガトリング砲を連射
翁御前の手勢がかなりの軍備を整えているのを表現しつつ、派手な演出。しかし長持ちの蓋を開けると勿論出雲の姿はなく、驚いている所にやってきた出雲の部下二人が、ガトリング砲を奪い取って城兵へ向けて乱射
酷い、ガトリング砲でトループ撃ちまくる主人公パーティは初めて見ました(笑)
「大将は翁御前の元に向かっている」という挑発にその場を脱した森軍兵衛は、翁御前の部屋へと向かう。
天井裏に忍んでいた出雲は、階下の足音を頼りに、御前の元へ辿り着く為、天井裏から軍兵衛を追う!
巨大な翁面のかかった部屋へ至る軍兵衛、天井裏から降り立つ出雲。全ては、広大な大阪城内で翁御前の隠し部屋へ案内させる為の出雲の一計であった!
3mほどの巨大な能面を背景に二人が切り結ぶシーンは実にシュール。
出雲と互角の戦いを演じるも右腕を切り落とされた軍兵衛は、部屋のからくり仕掛けを作動させて隠し通路から翁御前の元へ。翁御前へ逃げるように進言するが、御前の椅子に仕掛けられた隠し飛び道具で、射殺される。
部屋の仕掛けを見つけだし、翁御前の潜む秘密の部屋へと向かう出雲。
隠し通路の奥、椅子に座って待ち受けるラスボスと、その前に遂に辿り着く主人公。
「貴様が翁の御前か」
「よく来たな、花房出雲」
「俺は貴様を殺す為だけに、今日まで生きてきた」
「ふっふっふっふっふ、ふふふははははは」
なんかもう、完全に、特撮の最終回(笑)
翁面を被り全身を漆黒のマントですっぽり包んだ、正体不明の悪の黒幕、翁の御前。
斬りかかろうとする出雲へ向けて、椅子の仕掛けが作動。肘掛けから射出された短刀が出雲の胸を貫く!
血を流し倒れ伏す出雲にトドメを刺すべく、遂に立つ翁御前。腰に差した剣で心臓を貫こうというその瞬間、カッと目を見開いて身をかわした出雲の刀光一閃、御前の剣をはじき飛ばすとその体を貫き、そして最後の、
「ご めぇぇぇぇぇん!!」
上段からの必殺の一撃が、翁御前の面を断ち割る。
能面が床に落ち、その下から現れたのは――
「異人だったのか……」
江戸幕府転覆を目論んで数々の謀略をめぐらし、最後は大阪城に軍備を集めて決起を図った翁の御前の正体は、なんと外国人であった。
(豊臣ネタかと思わせておいて、この斜め上!)
「コノ世ニ、黄金ト、欲望ガアル限リ……翁ハ、不滅ダ!」
どこまでも特撮テイストな台詞を叫びながら、致命傷を負った翁御前の体は、脱出路とおぼしき部屋へ転がり落ちる。
負傷した体にむち打って追いすがろうとする出雲の目前で、部屋ごと、大・爆・発。
炎上する部屋の奥から、翁御前の断末魔が響き渡る。
ディアブロディアブロォォォ! ディアァァブロォーーー!!」
かくて稀代の巨悪は、花房出雲率いる三十六番所の活躍により、遂に最期の時を迎えたのであった。
戦い終わって、江戸へ帰る部下二人に、ここでお別れだと告げる出雲。
「翁御前も滅びた事だし、俺も人間らしい暮らしに戻ろうと思ってな」
江戸には真っ直ぐ帰らず、小蝶と夫婦になり、しばらくゆるり旅の空を楽しむ事にした花房出雲。
画面奥、部下と別れ、街道を歩いてゆく出雲と小蝶の姿……
画面手前、カメラが左へ動いていくと、小さなお堂。
そこに祀られたお地蔵様の顔には、翁の面が――。
−完−
2004年に再放送で出会って悶絶しながら、よりによって最終回を見逃すという致命的なへまをしてから7年。まさかの再会を果たした最終回は、大満足の内容でした。いやぁ、凄かった。グライダーによる大阪城突入から、翁御前との決戦まで、見所満載。中村吉右衛門長門勇を激しく無駄遣い(或いは最大限に活用)しながら、ラストまで完璧。最初(シリーズ1)は普通だったのに、どうしてこうなった。改めて、この作品は「時代劇」ではなく「特撮ヒーロー」のカテゴリで評価されるべき(笑)
有り難う、千葉TV。
……あ、トンデモ時代劇として笑いのネタにしていますが、番組の造り自体は割としっかしている、という点は念のために付け加えておきます。ふざける為にふざけているわけではなく(多分。多少の悪ノリはあると思うというかむしろ思いたい)、結果的に何故かオカシイ。それがいい。