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『電磁戦隊メガレンジャー』感想30

最終話「つかむぜ! 俺たちの卒業証書」
もう今回は、ヒネラー(鮫島)の台詞だけで構成したいぐらいの感じ。
遂に卒業式当日、恵理奈は校長に卒業式の延期を直談判するが、聞く耳を持たれない。
一方、ユガンデ決死の攻撃に甚大なダメージを受け、東京ドーム前にうつぶせに倒れたまま動けないギャラクシーメガの周辺に付近住民が集まってきて、「迷惑だ」「早く出ていけ」「巻き込まれたくない」の大合唱。思わず飛び出したメガレンジャーは人々に囲まれるが、「責めるなら私を」と久保田博士が割ってはいる。
そこへ、ネジレジアと、謎の怪人が襲撃。
そのまま戦闘へ突入した為、メガレンジャー最後の揃い踏みポーズの後ろに、久保田が居るというのが実にいい。
メガレンジャーは謎の怪人へ戦いを挑もうとするが、怪人はギャラクシーメガ内部へ戻ろうとする久保田を執拗に狙う。なんと怪人の正体は、遂に自らの肉体をも改造したDr.ヒネラーだった!
ネジレ次元に長く居すぎた為か、肉体改造の何らかの副作用か、肉体の一部が突如ネジれるという症状に冒されるヒネラーは、己の生命力全てを使い、久保田、そしてメガレンジャーへと挑む。

「鮫島……」
「久保田……貴様だけはこの手で」
「鮫島……やはりお前の体」
「言うな! 戦いはこれからだ……私の科学の頂点を今こそ見るがいい!」

Dr.ヒネラーは悪魔科学の最後の切り札として、根拠地であり要塞である、デスネジロそのものを改造。自らそれと融合する事で、己の頭脳を活かし、不死の生命力を持つ巨大変形ロボット・グランネジロスを造り出していた!
残りのクネクネも全て材料として吸収されたとか、そんな感じでしょうか。
月では裕作がメガウィンガーを用いて瓦礫の下からボイジャーマシンを何とか引きずり出していた。その作業によりメガウィンガーは完全に行動不能になってしまうが、出力70%ながらもメガボイジャー発進。いよいよ、最後の戦いが始まる。
「来たなぁ……久保田のつまらぬ科学が産んだ産物が!」
……それは、早川裕作という人が作りました(ごにょごにょ)
まあ、メガレンジャーに対応したロボット、という意味において広義では久保田の産物かもしれませんが。鮫島と久保田の対比を出す意図があったかと思うのですが、基本的に久保田は戦隊シリーズの博士ポジションにありながら、独力で超兵器を作成したという描写が、実はありません。メガボイジャーにしても、早川の存在がクローズアップされては居るものの、登場回で早川の部下達の姿が描かれています。勘違いネタの為とはいえ、バトルライザーのパワーアップに久保田でも早川でもない隊員が関わっていたりと、アイネットの兵器類は“組織制作”がアピールされているのは、実は伏線(どこまで意識していたかはともかく、少なくとも伏線として機能した)。
一方、天才・鮫島(ヒネラー)は、自ら独りを選んだ。
そして狂気に溺れた天才は、遂に神を名乗る。
「見るがいい、この神の手が生み出した最高の生命体だ」
BGMは、モーツアルト『レクイエム』より、「ディエスイラエ(怒りの日)」


-Dies irae-

ダヴィドとシビッラの予言のとおり
この世が灰と帰すべきその日こそ
怒りの日である
すべてをおごそかにただすために審判者が来給うとき
人々のおそれはいかばかりであろうか




ボイジャースパルタンの直撃を受けて吹き飛ぶグランネジロスの右腕。
しかしそれは、瞬間的に再生する!

「バカめ。グランネジロスは、私という最高の頭脳を不死身の肉体に埋め込んだ究極の生命体」
久「鮫島……自らを犠牲にしてまで……何故だ!」
「見ているか久保田、これは復讐だ。
人間どもが私を排除する原因となった、おまえへのな」

久「鮫島……!」
青「どういう意味だ、なんの復讐だ!」

「私にもかつて不完全だった時代があった!
人間を信じ、人間のために科学を使おうとした、青い時代が。
宇宙開発の為、どんな環境にも耐えうるよう、人間の体を強化しようとした私は、誰からも期待の目で見られた。だが、進んで実験台となった娘が命を落とすと……人間どもは途端に私を責め立てた。
殺人科学者だ、悪魔だとな。
それは久保田、おまえが掲げたメガスーツ理論が、私の理論に代わって脚光を浴びたたからだ!
人間の弱さ・脆さになんの手も加えず、ただスーツで人間を守ろうとした浅はかな理論が!!

人間を神に近づけようとした私のどこが悪い!
科学者として当然ではないか。
どこが悪い、どこが悪いと云うんだ!!」

黄「悪いとか、いいとかじゃない。それであなたは幸せなの? 娘さんまで犠牲にして、幸せなの?」
「ならば聞こう。
おまえたちは幸せかっ。
久保田の科学でメガレンジャーとなり、あげくのはてに人間どもに裏切られ、
それでも幸せか?!」

やや急な印象のあったメガレンジャーの学校追放・世間の風は冷たいぜ展開ですが、ここで
人間を捨てたヒネラー と 人間を信じる事を止めなかったメガレンジャー
として、オーバーラップする形で、きちっと収束しました。
各脚本家の連携が取れていたのだと思いますが、メガレンはドラマ的な伏線や提示要素はほぼ回収されているのは素晴らしい。
なお、実験台となって命を落とした鮫島の娘・静香は、回想シーンで城麻美さんが演じており、ここに来て、シボレナはヒネラーの娘の姿を模した存在だった、という事も発覚します(バラネジレの回でシボレナさんには遺伝子が存在する事になっているので、保存しておいた娘の遺伝子を組み込んで作ったサイボーグとか、そういう事かもしれない)。
心ない人々の言葉が甦り、一瞬、言葉を失うメガレンジャー
「だからって……だからってこんな事してもいいのかよ!」
絶叫する健太の反撃がグランネジロスを打つが、グランネジロスは槍状の剣を取り出し、メガボイジャーを押し返す。

「人間は裏切る。感情に左右され、すぐに平気で裏切る。だが科学は裏切らない。ジャビウスは私に、私の科学を完成させてやると言った。それを確かめる為に、私はネジレ次元に飛び込んだのだ」
黒「科学は人間の為にあるんだ。おまえの為にあるんじゃない!」
「そんな人間レベルの科学のくだらなさ、証明してやる!」
強烈な斬撃を受け、左腕を失うメガボイジャー。
その光景に、久保田はギャラクシーメガの修理を急がせる。
個人的には久保田からもう一言ぐらい鮫島にあっても良かったかなとは思っているのですが、これ以降、久保田と鮫島の直接の会話はなく(意図的というよりは尺の都合かとは思いますが)、結果的に、ここが久保田博士が、鮫島への思い(恐らくは、人間に戻って罪を償って欲しいという)を振り切るシーンとなりました。
その狂気と妄執で、戦い続けるヒネラーのグランネジロスに圧倒されるメガボイジャーは、諸星学園の校舎近くまで押し込まれる。学校を巻き込むわけにはいかない、と必死にその攻撃をしのぐメガボイジャー。逃げ出す生徒達。戦う健太達を応援しようと、一人クラスに残る事を選ぶ恵理奈。

「私を認めないものは……死あるのみだ!」
その時、首から下全てをネジれさせるような症状が、ヒネラーを襲う。苦悶するヒネラーは、しかし前進を止めない。
「たとえ命尽きるとて……悔いはない。メガレンジャー、おまえたちを倒す事で、私の科学の素晴らしさは証明されるのだ!」

赤「負けるかよ……そんなおまえなんかに!」
青「そうだ、おれたちの青春、潰されてたまるか!」
黒「俺達は、人間を信じたいんだ!」
黄「そうよ、ひとりひとりは弱いけど、仲間がいれば強くなれる!」
桃「私たち、それが心からわかったんだから!」

「ほざくなっ!」
追い詰められるメガボイジャー。
だがその時、学校からの声がコックピットへと届く。
恵理奈が、退院したジロウが、大岩先生が、そしてクラスメイト達が、教室からメガレンジャーを応援する。
だが、
「おまえ達の無力さを教えてやる。
はははっ、友情とやらの儚さもな」

この時のヒネラーの表情が、物凄くいい。
学校へ向けられる攻撃。それをなんとか防いだメガボイジャーだが、コックピットへも伝わるダメージの大きさに、とうとう5人の変身が解けてしまう。
その時、戦闘に巻き込まれたジロウが怪我をした事から、特にメガレンジャーを許せずにいたケンタロウも、教室へと駆け戻る。
「死ぬな、死ぬなーーー! みんな、頑張れ!!」
ジロウが怪我をした時に健太に自ら怒りをぶつけるシーンに始まって、この終盤3連作において“自分は喋らず腰巾着キャラが代弁する”という当初のギャグネタ・コメディ要員を、ドラマ部分にうまく取り込んだのは秀逸。
「ドクターヒネラー、俺達はおまえを、絶対に、倒す!」
満身創痍のメガボイジャーとメガレンジャーは、最後の力を振るいグランネジロスの剣を奪うと、それを深々と突き刺す。
「おのれぇ……グランネジロスは不死身だというのに、ぐっ、くっ……体が……」
積み重なったダメージもあったのか、いよいよ肉体が限界に達するヒネラー。
「だが私は神だ……
私は勝つ!
おまえ達を道連れに、人間界に別れを告げてやる」

ガボイジャーの体を掴むグランネジロス。自爆の気配を察したメガレンジャーは、街を巻き込まない為に、メガボイジャーで最大限のジャンプを決意。高速で上空へ飛び上がっていく、メガボイジャーとグランネジロス。
火花に包まれゆくグランネジロスの中で、Dr.ヒネラーは嗤う。
「久保田ぁ……俺はおまえに勝つ! 今それが、わかる! ふははははははは、おお、見よユガンデ、シボレナ、メガレンジャーの最期だ!! ははははははははははははは……」
空中大爆発。
2体のメカは破片も残さず、爆炎の中へ消えた。
久保田の絶叫に――答える者は無い。
・・・第42回、諸星学園、卒業式会場。
大岩「最後に、今日は来られなかったが、この学園を守って戦ってくれた5人の勇気ある生徒達の名前を呼んでやりたいと思います。……伊達健太!」
……



「おっまたせしましたー」
響き渡る陽気な声とともに、5台のオートスライダーと共にメガレンジャーが次々と飛び込んでくる。間一髪、インストールの間に合った5人は、オートスライダーで脱出していたのだった!
こうして5人は無事に卒業式に出席、卒業証書を手にすると共に、長い青春の戦いも終わりを告げるのであった。
ラストは、エンディングテーマ1番で卒業証書を受け取る5人をバックにスタッフロール。クラスメイト達に久保田・早川を加えたメンバーで、卒業写真を撮影したカットで、終幕。
いやー、最終回、面白かったです。
ヒネラーが凄すぎた。
私自身が、久保田とヒネラーが好きというのもありますが、結局ラストのラストまで、この二人の因縁が持っていくという超展開。『メガレンジャー』は全体的には、うまくまとまった秀作であって、戦隊シリーズ全体の中では地味なグループに入るかとは思うのですが、この点においては、奇作。
実はヒーロー物としては、最後、ヒネラーの情念に対し、メガレンジャー(正義の味方)の論理が勝てていない、という欠点はあって、彼等がもはや、「倒すんだ!」しか言えなくなってしまっています。
特にイエローの「幸せなの?」などは完全に価値観の押しつけになってしまっているのですが、これはむしろ、この後にヒネラーが返す
「ならば聞こう。おまえたちは幸せか」
の前振りになっていて、そこで、実は、明確な解答の出ないテーマが最後に一つ顔を出すという、意図的に凶悪な構成。
しかしまあ、ここまで引っ張ってきた中年男の情念に、高校生の綺麗事が勝ってしまうというよりも、この展開の方が良かったのかもしれません。
メガレンジャー』はその点に置いては、最後の最後で、ヒーロー物の定番から一歩踏みだして、ドラマを描く事を優先させたという点で、野心的な部分を持っていたと言えるでしょう。
最終的には、同じ年輪を背負っている筈の久保田ですらかける言葉の無い所にいってしまったヒネラー、その情念は、ある意味では勝ったのでしょう。
「見よユガンデ、シボレナ、メガレンジャーの最期だ!!」
ヒネラーの目に最後に映ったのは、爆発する己とメガボイジャー(メガレンジャー)、そして“家族”の姿だったのですから。
……まあ、脚本陣が、ヒネラー(鮫島)を書いている内にノリすぎた感はあり(笑)
色々な都合はあったかと思うのですが、ラスト3話、小林→武上→荒川、と分担してこれだけ盛り上げたのはお見事。武上純希は基本的に評価していないですし、今作も随所で何だかなぁな話をやらかしていますが、メインを務めつつ、小林靖子荒川稔久の二人の腕利きと上手く連携をとって、この物語を作り上げた事には感謝。
諸要素によって、中だるみや路線変更などでぐだぐだになりやすい1年物のヒーロー作品としては、改めてかなり綺麗にまとまった秀作だったと思います。上述しましたが、ドラマ的な伏線やネタはほとんど消化されていますし。
難を言えば、卒業関連の伏線はもう少し早めから回数ひいておけば、卒業式=クライマックスというのが盛り上がったかと思いますが、この辺りは、学校生活の場面が(おそらく予算上の都合もあり)微妙に少ないのもあって、限界だったか。一応、千里の卒業アルバム作りとか挟んでますが、耕一郎あたりが卒業式の答辞を考えている、とか、瞬とみくが卒業後の進路の話をするとか、もうちょっと細かいシーンを各キャラに1つか2つずつ、作っておければなお良かったとは思います。
最終的な総括と構成分析は、また別項で。
ちなみに最終回に出番が無く生死不明なビビデビですが、後にVシネマの『星獣戦隊ギンガマンVS電磁戦隊メガレンジャー』でグランネジロスの爆発時に死亡した事が明かされたそうです。
前回と今回文中、『レクイエム』の訳文は、手元のCD『レクイエム』(ヴェルディ)付属ブックレットより、〔ドン・ボスコ社版:フェデリコ・バルバロ師訳「毎日のミサ典書」並びに光明社版:「典礼聖歌集」、中央出版社版:H・マッケヴォイ師著「ミサ解説」〕に基づいて書かれたものを引用させていただきました。