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『電磁戦隊メガレンジャー』感想総括

久保田博士バンザイ
ギャラクシーメガバンザイ
鮫島バンザイ


率直なところ、メガレンは各キャラクターがかなり好きで、これだけキャラクター好きならそれは楽しく見られるよね、とは。
戦隊メンバーでは耕一郎と千里が比較的好きで、みくも凄くいいポジションでキャラが立っていると思うし、健太と瞬は比較的どうでもいい(おぃ)なりに嫌いではありませんし、早川さんは好き。とにかく、5人+1+1のバランスが非常に良い。
そういう点で私にとって『フラッシュマン』とは正直対照的な作品と言えるのですが、そこはまあ10年という歴史の蓄積が見られる所でもありましょうか。
恐らくは、アニメ畑での活躍が長い武上純希荒川稔久、がメインで組んだという影響があったとは思うのですが、メガレンは、キャラクターを立てる、という事はかなり意識していた節はあり、それが巧く転がった作品だとは思います。
その上で、それを“疑似家族”としてピースにはめる、という構成が最終的に成功した。
そして何と言っても、ギャラクシーメガ
100人あまりの職員が乗ったまま戦うというこの超燃えロボットこそがメガレンの花であります。
また、そんなギャラクシーメガを最初だけのネタにする事もせず、メインロボットの交代後も、随所で職員乗せたまま見せ場を作った、というのが非常に秀逸でした。
メガレンが巧かった事の一つは、ヒネラーの因縁を無理に高校生達に繋げず、久保田博士へとぶつけてしまった事
この展開への評は好みの分かれる所かとは思われますが、そうする事で、個人レベルの因縁を無理なく保ちつつ、久保田博士と戦隊メンバーの関係性がより強固になる事で、ドラマを深めた。
基本的に、成り行き戦隊という部分がある為、戦う為の使命感が薄かった5人が、それでも長い戦いを通してメガレンジャーとなっていき、それを頼もしくも嬉しく思いながらも悔悟を抱える久保田、そして自ら戦士となる事を選んだ早川、人間を信じる事を辞めた鮫島。
それらの要素が、最終盤に全てドラマとして繋がった、これがお見事。
若干最後にやりすぎて、鮫島の逆恨み&久保田への怨念(ただしこれはタイミングの問題で、鮫島は結局はどこかの誰かを逆恨みしたと思われる)に人類全てが巻き込まれた感じにもなってしまっていますが(^^;
この中年同士の情念のぶつかり合いという戦隊史上に残る驚愕のテーマにも、一応、“友情”というテーマも絡めて、初期の建前である高校生戦隊の青春もの、と繋げてはいるのですが。
もう何度か、クラスメイトを絡めた高校生活エピソードを盛り込めればその側面も補えたかと思うのですが、これは惜しかった所。


全体の構成で特筆すべき点としては、正体厳守にこだわり続けたところ。
もともと戦隊シリーズには、「変身すると急にコードネームによる呼び合い(ジン→レッドフラッシュ)」になる、という課題があります。
これは作劇上の多少の違和感は承知で、マーケットを考えた時に、ヒーローをヒーローとして成立させておく為に仕方のない部分があったのですが*1、この「変身後は名前を呼ばない」という部分に真っ正面から設定をつけて切り込んだ部分は、かなり意欲的(結果的にそうなったのかもしれませんが、序盤でシボレナにイエローの正体がばれないように工夫したりしていたし、少なくも中盤以降は作劇上で一つのテーマとしている)だったと言えるでしょう。
中盤以降、動きが宇宙刑事テイストだったりざっくり古典的な顔ばれ系ヒーロー・早川/メガシルバーを出す事で逆に対比を強くしていったのも、おそらくはかなり意識的。途中でコメントで指摘いただきましたが、「早川のお陰で、メガレンジャーの5人もアイネットの適当な関係者と思われているのでは」という結果的に煙幕になっている解釈も、非常にアリだと思います。
最終的には、正体バレが物語と絡み、やや急な展開ではありましたが、ヒネラーの過去も含めたテーマ性と繋げたのはお見事。
感想本文でも触れましたが、メガレンはなんだかんだで、随所に盛り込んだ伏線や要素が、だいたい物語の中でしっかりと収束しているという点は、評価されて良いと思います。
……………………敢えて言ってしまうと、肝心要とアピールしていた“青春”が置き去り気味なのですが(笑)
ただこれが、スタッフの中でどこまでウェイトあったかは、相当に怪しいとは思います(笑)
本当にその気があったら、もうちょっと、こだわっていたと思う。
その路線を捨てて、久保田と鮫島の話にしてしまったのは、個人的には正解であったと評価しています。
それが正解な戦隊ものどうよ、というのはさておき。
好きだから仕方がない。
全体としては、序盤の単発エピソードの弱さ、スーパーギャラクシーメガ出てからネジレンジャー出てくるまでが今ひとつ盛り上がらない(メガシルバー頼り)、とかありますが、ネジレンジャー出てきてからのラスト1クールは非常に好きです。


演出面では、重鎮・長石多可男がメインを務め、中堅の竹本昇、辻野正人に若手の田崎竜太という組み合わせで、長石監督は安定として、16話の好演出をはじめ辻野監督が光りました。長石監督はいい時は抜群にいい一方、流し気味に撮っている感じがする時もあるので、平均的な質を向上させたという部分では、辻野監督の存在は大きかった。
しかし終盤も終盤に2話だけ、ベテランの坂本太郎が参加していたのはなんだったのか……。


好きなシリーズなので誉める所から始めましたが、欠点を挙げると、変身後の個性の薄さ。
個人武器とキャラクター性の関わりが薄く(特にメガスリングとメガキャプチャー辺りは、誰がどう使ってもいい)、合体攻撃もレッドと4人に分かれる演出が、盛り上がりとしては今ひとつ。各色ごとに設定されたスーツの特殊能力も、ときどき思い出したように使うので、むしろ非常にご都合になってしまったのは、いただけない所。これはもう少し物語にしっかり組み込んで欲しかった。
また、後半に登場したボイジャーマシンも、せっかく個人メカの合体という体裁を取っているにも関わらず、初登場時以外は、まったく個別使用されず。……まあ、明らかに地上で使用するメカという感じも無いのですが。
当初は宇宙ミッションのようなシナリオの予定もあったのか。
もともとメガスーツが宇宙開発用ですし、50話ではシルバーとユガンデの月面バトルもあるので、拾いきれなかった初期設定の名残、という感じもありますが。
実際、撮ろうと思うとシナリオ的にも演出的にも難しくなりますし、プロットはあったけど諦めた宇宙ネタのエピソード、とかありそうです。


好きなエピソード・ベスト3

  1. 第5話「キメるぜ! これが裏技バトル」
  2. 第38話「戦慄! ネジレジアの凶悪戦隊」
  3. 第16話「激ヤバ! オレたち 死ぬのか?」

メガレンを象徴するエピソード、として、ギャラクシーメガ回である第5話。久保田博士と5人の関係性が先に向けて構築されるエピソードでもあり、ギャラクシーメガの魅力の発揮される回となりました。
38話はネジレンジャー登場回。終盤に向けての一発盛り上げ&久保田vs鮫島の本格発動で、印象深い。
それから、毒ガステロ回は、高校生戦士のメンタル面に踏み込んだ、メガレンらしさの出た、前半の良エピソード。


滑り気味の格ゲー風味演出、見た目パッとしない(失礼)長官ポジション、成り行き高校生戦隊、と、非常に期待値の低い滑り出しでしたが、個人的には物凄く“化けた”作品。特に、長官/博士ポジションが大好きの私としては、初めがっかりした久保田博士が、徐々にいい味を出していって最終的に凄く格好良くなる、というのがお気に入りです。
改めて、巧くまとまった作品。
また見て良かった『メガレンジャー』。
構成分析は、『フラッシュマン』同様改めて別項で。

*1:後に『地球戦隊ファイブマン』中盤以降、役者さんからの意見などもあり、変身後も個人名で呼ぶスタイルも徐々に出てくる