◆CaseFile.7「ドモン入院中」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
今回の見所は、病院で妙に甲斐甲斐しいタツヤ。
さすが総攻め系主人公(おぃ)
タイムワープ時に、行き先の時代に関する情報を促成学習する副作用で、過去と未来の記憶がごちゃごちゃに混ざる“データ酔い”にかかってしまったドモンは、深夜、「試合に遅れちまう!」と会社を飛び出した挙げ句に、道の真ん中で気絶。救急車に運ばれて入院する事になる。
各メンバーのパジャマ姿、という珍しいシーン。
年に数時間しか眠らなくていいというハバード星人のシオンも、一応、パジャマに着替えている事が発覚。
そして、ロボットなのにむしろ熟睡しているタック。
最近ゴーカイジャーの鳥が永久機関で動いている事が発覚したので、タックが未来的な何かで動いているのか、動力源がちょっと気になります。20世紀規格のコンセントで充電できるのか、それとも節電してスリープモードなのか。
最悪、シオンがちょちょいと改造できそうですけど。
……とか考え出すと、メカニックが善人、なのは良い事だ。
悪人は悪人で面白いですけど(笑)
一足遅れで出てきたユウリさんは、化粧完璧でブランケット全身巻き付けという、女力の高さ。以前も早朝に化粧完璧で飛び出していきましたが、きっと未来には瞬間化粧セットがあるに違いない。……この辺りはまあ、本来はツッコミ所では無いのですが、今作は明らかに、故意に生活感を出そうとしているので、ちょっと気にしてみる。
まずは一晩安静にして翌日に精密検査を受ける事になったドモンだったが……その夜、たまたまロンダーズファミリーの怪人が、医者や看護士を洗脳し、密かに病院を乗っ取ってしまう。
翌朝の病院は、出鱈目な治療費を請求された患者達で阿鼻叫喚。
タツヤも、ドモンの治療費として100万円を請求される。
……でも、保険入って無さそうだしなぁ(タックとシオンが悪さしていなければ)。
病院を乗っ取っていたのは、何人もの患者を手術室でバラバラに切り刻み、懲役500年の刑で圧縮冷凍されていた悪徳殺人医・ドク。
一方、記憶の混同が治りきらないドモンは、診察室で姿を見せたドク(ロボットぽい外見)を見て、「やっぱり3000年だったのか……」と、むしろ安心してしまう(笑)
ドモンの回想シーンでは、1話から単語は出ているものの謎の競技だった未来の格闘技・グラップが、一種のバーチャル空間で戦うものだった事が判明。そしてドモンはやっぱり、プロレス。
手術室であわや脳をチェーンソーで刻まれる寸前、仲間達が駆けつけて九死に一生を得るドモンだが、今度は一気に幼児退行を引き起こしてしまう。更に逃げたドクを追いかけている途中に、タツヤをリュウヤ(タツヤと瓜二つの時間保護局の偉い人。1話時点では、リラの変装)と混同し、「おまえさえいなければ、この時代に来る事も無かったのに」と殴りかかる。
ドクの追跡を3人に任せ、川原でドモンと殴り合うタツヤは、最近妙なテンションだったドモンが、本来居るべき30世紀への郷愁に心を痛めていた事を知る。
そのタツヤを散々殴り飛ばしてスッキリしたのか、急に正気を取り戻すドモン。
ビルの谷間に沈みゆく夕陽に自分の住んでいた未来の風景を重ね合わせ、一つの思いを振り切ると、タツヤと共に仲間の救援に向かい、ドクを撃破。
出来ればどこかでやっておきたかった、“30世紀へのホームシック”ネタ、一番それらしいキャラクターにスポットを当て(アヤセ:割とどうでも良さそう、シオン:割とどこでも楽しそう、ユウリ:そんな弱みは見せない)、巧くまとまりました。
タツヤとドモンの、川原で殴り合うイベントも消化し、フラグがまた一つ進行。
「未来の格闘技選手」「大事な試合をすっぽかして追放処分」「ファイティングスタイルはプロレス」と、ここまで設定が小出しだったドモンですが、単独メイン回で過去(未来だけど)シーンも入り、それらの線が繋がりました。
それにしても、22歳、ドモンも22歳……!
25以上だと思っていたのですが、ドモン、ふ(以下略)
なんとなくドモンは兄貴系ポジションかと思っていたので、勝手に幾つか上だと思い込んでいたのですが、シオン以外は、皆同い年設定なのかな……まだ、アヤセさんは不明ですが、敢えて明言する必要も無い年齢をわざわざ台詞で言わせているので、意識しているならその内、アヤセの年齢もハッキリしそうな気はします。
ちなみに私の妄想では、2話時点で各人のポジションから大体、〔タツヤ22,ユウリ24,アヤセ25,ドモン27,シオン15〕ぐらいのつもりで見ていました。ドモンなんかは、一つの競技で王座を極めた男が転職だからなぁと思っていたのですが、テニスとかフィギュアスケート寄りなのか、グラップ。
ユウリさんもドモンも時間保護局以前の職歴があるわけで(ユウリはむしろ現在進行形の本職ですが)、3000年の未来世界は、今で言う所の高等教育後に就職するのが一般的なのかもしれない。
あとドモンの「大事な試合をすっぽかした理由」はまだ語られず。今回、どうやら試合遅刻の常習犯であったらしい事が発覚したので、単なる寝坊かもしれないし、今はまだ後で拾えそうなら拾おうというネタ振りの模様。
こういった“拾えそうなら拾おう”というネタに、当面の理由付けになりそうなもの(今回なら、遅刻の常習犯)を一応用意しておく、というのはテクニックを感じる所であります。
演出面では、ホラーとスラップスティックを巧く合わせた、凝った演出。諸田監督は『超光戦士シャンゼリオン』が監督デビューだったと思いましたが、その辺り、蓄積が出ているか。
ラストでは、久々に怪人保管ロッカーが登場。何か札が貼ってあったなぁと思って確認したかったのですが、
非常持出
でした。
誰だろう、貼ったのは……。
◆CaseFile.8「芸術に爆発を」◆ (監督:諸田敏 脚本:山口亮太)
ユウリさん、絵が下手な事、発覚。
しかも自覚なし。
探偵業で犬探しをする事になったトゥモローリサーチだが、その最中にロンダーズファミリーの怪人が空を飛んでいるのを目撃、後を追跡する。怪人は、元ハイジャック犯・ナボコフ。解凍後にリラに骨抜きにされ、その命令で一人の青年を攫おうと襲撃するが、タイムレンジャーに阻まれる。
タイムレンジャーが助けた冴えない青年の名は、鳥羽賢治。現在は食事にも事欠く全く売れない貧乏画家だが、3000年の未来では世紀の巨匠と謳われる、21世紀の伝説的画家であった。
リラの目的はなんと、この伝説の画家に自分の肖像画を描かせる事。
ドルネロとギエンさんは呆れていましたが、タイムワープを利用したSFネタとしては、これは面白い。
その頃、眼鏡にぼさぼさ頭、三日間飲まず食わずだったりでトゥモローリサーチの事務所でラーメンをご馳走になる昭和な雰囲気の貧乏絵描きは、ユウリさんにときめいていた。
ロンダーズファミリーに狙われる鳥羽をそれとなくガードしようと、鳥羽の家を訪れる5人。未来の話に配慮しつつ、絵描きを辞めて田舎へ帰ろうかと思うとこぼす鳥羽に、成り行きで「描きたいものはないのか?」と尋ねると、「ユウリさん」と即答される。
「あいつ……モデルなんてやるかな」
「無理だろ」
「やるわ」
こうしてユウリさん、鳥羽のモデルになる事に。
アパートの外へ出た4人の男衆。
赤「それにしてもどうしたんだ、ユウリのやつ」
黄「あいつ……ああいう男が趣味なのか。……俺の方が数段上だよな」
青「そんなわけねえだろ」
赤&緑「「あはは」」
黄「おい、なんだよ!」
怒るドモン、笑いながら逃げる3人。
……ユウリさんは早く、このダメンズ4人衆と手を切るべきだと思います。
しばらく外で無駄に時間を潰していた4人だが、中の事が気になり、誰が覗きに行くかをじゃんけんで選ぶ。
……
…………
なんかこう、男衆は、本気で駄目だな……。
結局タツヤが見に行く事になるが、外の事を気にしてばかりのユウリに、鳥羽は筆を進められず、とうとう「ユウリさんの心は、僕の方を向いてない」と逆ギレ。確かに承諾したのユウリさんですが、もともと彼の方から頼んできたわけで、凄くどっちもどっちというか、これだから歴史に名を残すような芸術家は、みたいな感じに受け止めてしまえば良いのか(笑)
ゲストキャラの鳥羽はいっけん人が良さそうですが、終始割とマイペース。
そしてそんなこんなで揉めている隙にナボコフの奇襲を受け、鳥羽を攫われてしまう。
最初からロンダーズの襲撃を待ち受ける為だけにモデル役を受けたのにと悔しがるユウリに、捜査の為なら人の心を踏みにじってもいいのか、とタツヤ説教。
一方、攫われた鳥羽は立派なアトリエと豪華な食事を与えられ、リラに自分の肖像画を描くよう依頼されていた。
……なんだろう、リラの方が誠実な気はします(笑)
筆を取る鳥羽だったが、やはりそれは進まず、「本当に心の底から描きたいと思ったものしか描けません」と曰い、リラさん激怒。
今回は、どちらを向いても駄目人間ばっかりだ!
まあ、もともと拉致されているといえば、拉致されているのですけど。
金も無いのに仕事選ぶなというか、リラさん、普通に正面から頼めば良かった気はするのですが、それはそれで鳥羽は断りそうで、やっぱり今回は、どっちを向いても駄目人間パレード!
絵を描かない画家など殺してしまえと鳥羽はナボコフに始末されそうになるが、間一髪、駆けつけるタイムレンジャー。ユウリさん、鳥羽に謝る。変身した5人を見て創作意欲をかきたてられたのか、外で始まった戦闘を気にする事なく、猛然とスケッチを始める鳥羽。
タイムピンクとリラが一騎打ちで微妙に因縁を作りつつ、リラを男らしくかばったナボコフを5人の攻撃で撃破。ロボ戦では、祝・ベータ活躍。空中射撃からのスピンキックは格好良かったです。
騒動終わって、田舎へ帰る事にした鳥羽を見送るユウリ。若干遅れてホームに着いた男4人は、二人の姿を見て物陰に隠れる。「タイムレンジャーの事は、みんなには秘密で」……って、そんな軽くていいのか(笑)
鳥羽は最後に、ユウリを描いたスケッチブックを彼女に渡し、勢いで告白しようとするが、タイムアップ。
圧縮冷凍されて 電車が発車し、後に歴史的な画家になる(かもしれない)男は、田舎へと帰っていくのであった……画家の場合、生前に評価された、とは限りませんが、さてどうなりましたのやら。
スケッチブックを抱え、駅を出たユウリを外で待ち受けていた、ダメンズ4人衆。
黄「嬉しそうじゃん」
桃「いたの?」
赤「これで2度目だな」
桃「なにが?」
赤「あいつの気持ちを踏みにじったの」
桃「2度目ってなんのことよ」
青「鈍感……だな」
というかね、ユウリさんの場合、眼中にないんじゃないかなー。
あるスペック以下の男は、守備範囲に入っていないっぽい。
それでも、鳥羽から貰った自分の絵は「これは私の宝物だもの」と微笑み、ダメンズ4人衆には見せずに大事にする……と、またちょっと円くなるユウリさんでありました。
<女性に体の前で物を抱えさせると可愛さ3割増しになる法則>(提唱者:私)を使いつつ、演じる勝村美香さんがだいぶ柔らかい表情を作れるようになってきた&アフレコに多少は慣れてきた&そんなユウリさんに視聴者も慣れてきた事もあり、最終的にユウリさん可愛い回に着地成功した感じ。
ダメンズ達は……その内、圧縮れ(以下略)。
また、過去の人に見せるのはどこまでOKなのか、というパラドックスネタにちょっと踏み込んだ1本。鳥羽のその後への影響など、視聴者の解釈次第として、まあこのぐらいなら良いだろう、と設定面を含めてバランスを探っている感じです。
まあ、2話あたりの理屈だと、細かい個人の人生は多少変わっても、(歴史の修正力の存在も含めて)あまり大きな歴史の流れに影響しないからOK、ぐらいの設定みたいですが。
そして次回予告が全編ドルネロ様のナレーションでやたらに格好良かったのですが、次回、まさかのドルネロ回?!