◆第1話「特命戦隊、集結せよ」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
続ける事にした際に後で面倒くさくないようにとりあえずフォーマット作りましたが、続くかは今後次第。
初回の出来としては、35点ぐらいかなぁ。
脚本家がシリーズ通した仕掛けを入れるのを好む人なので、あれこれ動き出してからが勝負かとは思いますが。
主要キャラを3(+3)に絞ったという事もあり、キャラクターの描写と色分けは、相変わらず達者。黄色と青とエンターの、「サヴァ」のくだりは面白かったですし、年長者ポジションという点も含めて、青い人は好きになれるかもしれない。
戦隊シリーズは、1話は勢い・説明は2話から、という王道フォーマットがあるのですが(近作の第1話を視聴していないので最近はどうかわかりませんが)、戦闘シーンの最中に本部からナレーション的に説明をかぶせる、という大胆な手法。試みは面白かったかとは思いますが、正直ちょっと気が散った(笑)
気が散ったといえば、画面右下の〔転送完了時間〕の表示は無駄だったかなぁ……よくある、「あと何分」の割には時間の流れが速いとか遅いとかそういったものに対してリアルタイム表示でカウンターしてみるというチャレンジなのかもしれませんが、そうなると、主人公が病室出て3秒で着替え完了しているのはどうなのか、と。もしかしたら変身スーツと同じで、あの上下も瞬間的に着替えられるのかもしれませんが。
演出主導だとしたら失敗だったし、脚本主導だったとしたら、もう少しその辺りを詰めて欲しかった。
まあ、ネタとしては、主要視聴者層に受ければ、それはそれでいいかとは思いますが。
脚本主導だったとすれば今後のシナリオで1回は絡めて使うでしょうし。
アバンタイトル含め、ロボット戦が、絵作りに金がかかっていて面白かったです。
(公式サイト覗いたら、かなり久々の野外ロケだったとの事。やはり絵の雰囲気が変わる)
ただ、崩れたビルは、元の位置に戻しただけでは直らないぞ?(笑)
フィクションにおけるリアリティの表現というものは、ディテールを細かくすればするほど看過できない矛盾が生じる可能性が増えるのが難しいのですが、そのバランス取りが全体的にやや失敗していた感じ。
リアルタイム時間が出ていなければ瞬間的に着替えていても構わないし
崩れたビルの中に人が居る描写が無ければ、ミサイルで街が吹き飛んでいても物語に影響を与えるような人命被害は無いものとする
というのが“フィクションの力”なのですが、崩れたビルの中に人が居て、主人公ロボがそれを支える、というシーンを入れてしまうと、その後始末をしなければならない(例えば、ロボットがビルを支えている間に中の人達を救助するなど、“物語”に組み込まなくてはならない)。同時に、周辺にもまだ逃げ遅れた人々が居るという可能性が“発生”してしまう。
故にあのシーンはそもそもやらないか、或いは少なくとも、ビルを崩す以外の形で演出されるべきでありました。
或いはロボットが超接着ビームを出すとか、そういう手法の方向性もありますが。
更にまた、そのシーンを入れたが故に、その後の主人公の回避方法が明らかに周辺の被害を広げているのも、問題になる。
もっとも今後、作品自体が「周辺被害」に踏み込む可能性も現時点では消し切れませんが。
後これは好みの問題かつ昔からの事なのですけど、ロボ戦と通常戦のシンクロ演出、というのは、作り手が思っているほど効果的でないというか、実はあまり盛り上がらないと思っている。
出来れば初回は、揃い踏みしての名乗りあげを見たかったなぁ、というのも含めて。
青と黄の変身シーンとか、敢えて揃い踏みをしなかった所とか、従来パターンの“決め”を意識的に外していったのだとは思うのですが、でもそこはお約束の“決め”をしてくれた方がスッキリするのだけどなぁ、とは思う。マンネリズムというよりは、伝統芸能としての様式美に近いわけですし。
そんなこんなで、盛り上がりよりも気になる部分の方が多かったという点であまり手応えの良くなかった1話ですが、上記の部分を2話でどう扱ってくるのか、画面が落ち着いてくるであろう3話以降、敵の目的が「エネルギーの入手」という事で単発エピソードの方向性をどう捻ってくるか、など、むしろ3話以降にどう転がしていくのかに期待。
あと脚本家の傾向的に、主人公のお姉さんはロマンス要員だと思うのですが、今のところ
◎青の人 ○今後の新キャラ ▲バイク
という所か。
姉×バイクは有りだと思う。
で、色々ううーんと唸りながら見ていたのですが、EDのノリノリの踊りで一気に長官を好きになったら、割と細かい引っかかりが吹き飛んだ(笑)
長官、恐ろしい人……。