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『未来戦隊タイムレンジャー』感想7

長らく、見出しで「未来戦戦隊」とか書いていた事に、今日気付いた(^^;
◆CaseFile.13「バトルカジノ」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
今回から、OPに、歌詞と配役名が表示されるように。
歌詞はともかくとして、配役はこれまでどうして表示していなかったのかは謎。さすがにもう、覚えましたが。そして歌詞表示の都合でテロップが全体的に上にずれた為、若干、違和感。
妻からの依頼で、闇カジノに入り浸って帰ってこなくなった夫を捜し出す事になったトゥモローリサーチ。格闘家達を戦わせ、その勝敗に金を賭けるというカジノにまずはドモンが入り込むが、失敗。ついでタツヤが選手として売り込みをかけ、中から男を捜す事になる。ただ男を連れだしてくるだけの簡単な仕事だと思われたが、実はそのカジノは、ロンダーズファミリーの一員、賭博師・ベリトに運営されていた!
イカサマを用いて都合のいいように勝敗を操作するベリトを引きずり出す為、ユウリが客として潜入。オーナーであるベリトと賭けで直接対決し、一方、タツヤはベリトのイカサマ(ボディ部分が審判に変装し、自分の賭けていない選手に妨害攻撃を仕掛ける)を見事に打ち破り、タイムレンジャーは正体を現したベリトを逮捕。バトルカジノは閉鎖に追い込まれ、細木夫妻も絆を取り戻すのであった。
カジノの退廃的な雰囲気は演出で上手く出していたのですが、話の方は、色々と杜撰。
博打のシステムがあまりに杜撰。
イカサマのやり方もあまりに杜撰。
タイムレンジャーの潜入もあまりに杜撰。
子供向け番組で賭博のディテールを書かなくてもいい、といえばそれまでなのですが、賭博らしさを出す為に勝利選手の配当をアナウンスさせるなら、試合後ではなくて、試合前に選手紹介とともに言わせないと、博打の盛り上がりが表現されません(もちろん、物語上は前にも言っているのだと思いますが、そこは演出で補完しなくてはならない)。
例えば細木が選手としてタツヤと戦う事になる所で、「タツヤ1.5倍」「細木36.0倍」とか言わせておけば、博打のディテールも出るし、彼我の戦闘能力の差の雰囲気も出る。その後も、ちょっと絡みのあるムキムキの人がタツヤよりオッズが低ければ、バトルカジノの実力者だという表現も出来ますし、どうせなら、そこは凝って欲しかった所。
それから肝心のイカサマが、明らかに相手が攻撃していないタイミングで対戦相手が吹き飛ぶという、誰がどう見ても怪しすぎる展開で、あんな試合で金を賭ける人は居ないと思います(笑) それこそ、提供されている飲み物に興奮剤とか入っていたのかもしれませんが。
更に、ロンダーズ云々抜きにして、背後関係を想像したら闇カジノへ乗り込むなど相当リスキーな仕事だと思うのですが、タツヤが「簡単な仕事だと思ったのに」など、タイムレンジャーのノリが少々軽すぎ。まあ、普段ロンダーズ相手にしているので感覚がマヒしているのかもしれませんが、下手に裏社会などと絡んだら、ロンダーズより面倒くさい可能性もあるかと思うのですが、その辺りのリアリティが(キャラクターのリアクションとして)全く無かったのは残念。
これは事がロンダーズ絡みだとわかった後半部分にも言えて、あまりにあっさりカジノへの潜入と店員へのすり替わりに成功しすぎるので、話としての緊迫感が全く出ませんでした。
まあ言ってしまえば今回はあくまで、永井マサル空手アクション回なので、本題ではないディテールは最初から捨ててかかっていたのかもしれませんが、出来ればもう少しきっちりと書いて欲しかった所。
作品の平均的な質が高いからこその、高い要求として。
細部にもうちょっとずつ凝ったら、もう少し面白くなったと思うので、惜しい。
まあロンダーズ側は2000年代の犯罪に慣れていないし舐めてかかっているので結構杜撰ではあり、多少隙がある方がむしろリアルとは言えるのですが、そういう抜けた部分と、闇カジノという題材が合わなかった感あり。或いは、その“抜けた”部分をタイムレンジャー側が突く、という描写を入れてほしかった。
他、特筆すべき点としては、賭博師・ベリトは人間の頭部にあたる部分が本体で、ボディ部分はメカニックスーツ。本体が圧縮冷凍される寸前、ボディ部分だけを巨大化した為、メカニックスーツだから破壊しちゃって構わない、という事で、極めて珍しくタイムロボベータがトドメを刺しました。