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『特命戦隊ゴーバスターズ』感想4

◆第4話「特命と決意」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
んーーーーーーーーーーーーーーーーーー、小林靖子はキャリアもあるし、けっこう買っている脚本家の一人なのですが、
“時に戦力の損耗も辞さないのが、シビアで有能な指揮官の表現”
だと、本気で思っているのでしょうか。
それがシビアさと有能さの表現になるのは戦力に替えが効く時に限ってであって、戦力が限定されている場合は、“戦力の無駄な損耗を防ぐ”のが大前提。
設定聞いている限り亜空間に突入できるのがゴーバスターズのみらしい以上、黒木長官が最も恐れるべきは、“ゴーバスターズという中核戦力が無駄に損耗する事”であり、全ての戦略は、それに基づくべき。
ゴーバスターズが、温存のきかない切り札、である以上、彼等を如何に無駄遣いしないかこそが、指揮官の有能さの見せ所でありましょう。
今回の黒木長官の間違ったシビアさこそ、まさしく、的はずれ。
実は独自に亜空間に突入できる素材を育成していて、後半、「もはや貴様達は用済みだ! これからは私だけのゴーバスターズが世界を救う!」とか言い出してゴーバスターズ裏切る伏線だったら凄いですが(笑) 悪役、似合いそうな顔してるし。
話としては、面白くなかったです。
長官云々を抜きにしても、単純に、1エピソードとして面白くなかった。
エンターの陽動作戦に対するゴーバスターズ側のリアクションで展開するわけですが、どうもギリギリの所で緊迫感に欠けるのは、前回の感想でも書きましたが、“世間が描かれていない”からではないかと思います。世界の危機の筈が、ゴーバスターズとエンターの追いかけっこに、堕している感じ。敢えて、いわゆる“日常パート”を入れていないような感じではあるのですが(説明しないといけない事が多すぎる、というのもあるのでしょうが)、やはり物語構造としての日常パート、というのは、それなりの必然性があるわけです。
作戦のディテールだけで面白いほど詰まった話では無かったですし、やはり、怪人が、ただ暴れているだけ、というのが致命的に面白くない。売りにしているロボット戦も、それ単体で盛り上がれる、というほど面白くもないし。なぜロボット戦が面白くないかというと、物語が乗っかっていないから。で、これは、“世間が描かれていない”という事に繋がる。
もう一つ加えると、敵の巨大メカに個性が薄いから。
ドラマが乗らないならせめて敵が憎たらしくて特徴的でなければなりませんが、それが無いので、見ていて気持ちが乗らない。
Bパートほぼ全部までメカ戦にこだわるというのなら、今、今作に必要なのは、わくわくする敵、であると思う。
CGでバリア張る程度では、個性とは言えません。
従来の戦隊シリーズにおける巨大メカ戦は、人間大で悪さをしていた怪人が切り札として巨大化したのに対して、戦隊も切り札として巨大ロボを呼んで倒す、という所にカタルシスが存在していたわけですが、その欠けた(意図的に外した)要素を埋める、今作独自の要素というのが未だ存在していない。
で、それならせめて、「人々の生活を守るんだ」というような単純な正義感でも良いからとりあえず挿入してくれればいいわけですが、むしろ今回、メンバーのクローズドな目標が提示されてしまい、「あれれ?」といった感じ。そこは脚本家のリアリズムだったのかもしれませんが、建前無しに本音だけ提示されると、視聴者としては共感のし所に困ります(まだ個人の目標に感情移入できるほど、キャラクターが描かれていないわけですし、その個人の目標も、段階を踏んでしっかりと描かれたわけではない、今回割と唐突)。
『ゴーバスターズ』はこれだけ、世間も建前も存在しないのなら、私設軍隊か秘密組織の設定にしてくれた方が、すっきり見られた気がします。
次回、青の人の暴走ネタみたいなので、期待。
というかこれでまた面白くないと、正直、ちょっと辛くなってくる。
……あ、そういえば中澤監督があっさりと、転送時間表示を止めました
一度やったなら、全体で1クールぐらいは、続けましょうよ(笑)
個人的には嫌な演出だったので、無くなってホッとはしましたけど。
柴崎監督回でまた復活したら笑える。