はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

大トミノ祭:ぼちぼち見ている『ダイターン3』

他にも色々見ようと思っていたのですが、『ダイターン3』面白いなー。
もはや伝説的な『ザンボット3』と、言わずと知れた金字塔『ガンダム』の間に挟まっている事もあって、キャラクター性を除いては評価が後回しにされている感がありますが、かなり面白い。ただまあ、当時の制作環境などの問題もあってか、幾らなんでもこれは酷い……という作画の回が定期的にあったりで、平均的なクオリティがどの程度か、というのは作品総体の評価としては気になってくる所ではありますが。乱れるだけならはまだしも、酷い回に限って悪ふざけみたいなカットが入っているのは、少々いただけない。
以下、軽く各話のメモ。
◆第5話「赤ちゃん危機一髪」
予告とサブタイトルからあまり期待しないで見たら、意外な秀逸回。
万丈が巨大な手首に追いかけられるシーンなど、カットが色々秀逸。
ダイターン3を楯に、メガノイドの砲火から赤ん坊と母親を救う万丈。
「つまらんヒューマニズムに溺れた、愚か者めがぁ!」
「可哀想なやつだな!」
「なにぃ?!」
「お前達メガノイドには、赤ん坊を可愛いと思う気持ちが無いって事がだ」
「そんなものが何になる。赤ん坊など、我々の科学力でいつでも造れる!」
「ちっとも大きくならない赤ん坊がな! だが人間の赤ん坊は違う。あの子も今はおまえ達にとって役には立たんだろうが、成長して、人を愛し、また子供を産む事ができる。そしてお前達を!」
「ええぃ、ほざけほざけ」
「赤ん坊を愛おしいと思う気持ちがあればこそ、人間は強く生きられる! それがわからんメガノイドには、人間を越えられん!」
ここは演出も良くて、非常に格好良かった。
◆第6話「アニマッドの華麗な招待」
作画があまりにも破綻しすぎ。どのぐらいまでギャグをやっていいのか、作画の方とバランスを取れていない感もあり。
ちょっと酷かった。
◆第7話「トッポの出撃大作戦」
お嬢様方(レイカ、ビューティ)を強敵の方へ行くように唆しておきながら、万丈に「お嬢様方が危のうございますな」とか、しれっと伝えるギャリソンさん悪魔。
呼べばどこでも飛んでくるダイターン3の秘密基地が、海底にあるのが判明。ダイターン3は物凄くいい加減にやってくるので基地は出さずに誤魔化すのかと思ったのですが、一応ちゃんと書きました。基地のメインコンピュータの人工音声が年上のお姉さん系(CV:間嶋里美)なのですが、万丈の趣味なのかどうなのか。有力なのは、万丈に気を遣ってギャリソンが設定。
それにしても、当時どれぐらいのキャリアだったかはさておき、この3話だけでも、ゲスト悪役が、飯塚昭三八奈見乗児−伊武雅之(伊武雅刀)とか、今見ると豪華、そして渋すぎる。メガノイド・コマンダー、基本的におっさんだしなぁ(笑)
◆第8話「炎の戦車に散るジーラ」
と書いたら、女コマンダー(CV:小原乃梨子)&女ソルジャー軍団、登場。
かつてのレイカの友人が、地味で陰気な自分へのコンプレックスを復讐心に変えてメガノイドとして襲ってくる……のですが、その流れの描き方が浅いので、後半、妙に万丈が彼女の境遇に感情的になるのが今ひとつ不自然。最後は涙を流しながらダイターンクラッシュを決めるのですが、そこで泣くのは、元友人のレイカの立ち位置ではないかと思うのですが、レイカはあまり反応しない。結局、レイカと幼馴染みのトニーにとって、この娘、かなりどうでも良かったのだなぁ、としか思えない(^^; (そのつもりで話を書いていたら、凄まじくえぐいけど、どちらにせよ万丈の反応がやや不自然)
話としてやりたかった事はわかるのですが、空回り。ううーん、星山(脚本)&斧谷(絵コンテ)回としては、出来が悪い。
−−−−−
『ダイターン3』は実は、地球人類vs異星人類(異生物種)ではなく、地球人類vs地球人類(でなくなったもの)という構図でむしろ『仮面ライダー』などに近い、というのがロボットものとしての一つの特徴。その為、人間がメガノイドになる部分に関して「悪魔との契約」という古典的テーゼを下敷きにされています。これにより「自ら人間を捨てたもの」という部分を、ある程度強調する事で、戦闘の本質的な悲劇性においてワンクッションを置いている。
一方で、多分に作劇上の都合もあるでしょうが、「悪魔に魂を売って人間を捨てたもの」が人間離れした“怪人”になるのではなく、むしろ非常に人間らしく描かれる、というのは面白い。