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『特救指令ソルブレイン』感想10

◆第17話「手錠のままの脱走」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一)
連続金塊強盗犯の一味・永田哲也が逮捕されたが、仲間について一切口を割らない。業を煮やした正木は、非合法とされている囮捜査に手を染める事を決断し、大樹が囮役として名乗りを挙げる。永田以外は警察関係者で固められた護送車を用い、護送中に事故を偽装。手錠で繋がれた大樹と永田は、山中へと逃走する……。
犯人をわざと逃がしてアジトの場所を探る、てもはや囮捜査の領域すら踏み外しているような(^^;
見所は、チンピラ役が偽装に見えない大樹さん「兄貴!」プレイ
なんかもう、大樹の見た目から浮かんだアイデアとしか思えません(笑)
しかし、「このままでは被害者が浮かばれない」という大義名分をかかげて、違法操作に手を染める警察組織ってむしろ怖いのですが、そろそろ誰か、後ろから撃ってでも正木を止めた方がいい気が。変に大義名分を掲げるのが一番タチが悪いわけで、素直に『ソルブレイン』世界では囮捜査はやむを得ない場合は認められている、という事で良かったと思うなぁ。
リアリティの線引きを、凄く悪い形で間違えた感じ。
手錠に繋がれたまま、山中を逃げる永田とリアルヤクザ大樹さん。途中で、無理矢理に手錠の鎖を断ち切る為に、気絶させた大樹を線路に寝かせて鎖の上を列車に通過させる……とか無茶を永田が行おうとしますが、ギリギリで大樹が目覚めて、二人揃って、鉄橋から落下。
たぶん実行したら、永田も一緒に巻き込まれて死亡したと思うので、失敗して良かったと思います。
落下した川から二人は何とか這い上がるが、その際に発信機が外れてバックアップしていた玲子達が大樹を追跡できなくなってしまう。
というかどうして、発信機をジャケットの外側にだけ付けていますか。
更に今度は大樹が崖から転落しかけ、手錠で繋がれた二人はもろともに落下しそうに。隠し持っていた鍵を取り出し、
「手錠を外して、兄貴だけでも!」
と変なプレイで盛り上がる大樹さん。
その姿に心打たれたのか、「兄貴!」を連呼して正直鬱陶しいチンピラを嫌がっていた永田、なんとか大樹を引っ張り上げる。
「殺しはごめんだ、それだけさ」
……いや貴方、ついさっき、そのチンピラを列車に轢かせようとしていたじゃないですか。
散々悪事を働いてきたのに、「子供に顔向けできんことはやらん」とか支離滅裂な永田は「俺は兄貴から離れないからな」と言うチンピラを仕方なく受け入れ、グループのアジトへ向かう。
「早く分け前をくれ。俺はぬけさせてもらう」と言ってはいけない台詞を口にし、当然のように命を狙われ、逃げ出す二人。ここでは珍しく、大樹が格好いい生身アクション。なんとか二人は逃げ延び、大樹は永田の事情を聞く。殺し以外の数々の悪事を積み重ねてきた永田は子供が産まれた事で自分のそれまでを悔いたが、妻は子供を連れて出ていってしまう。今更子供の前に顔を出す気はないが、しかし子供に何か残してやりたい……と考えた永田は、連続金塊強盗犯に加わったのであった。
……えーもう……なんだろうこの人……ミラクル駄目人間というか、たぶん自分がカッコいいと思っているのが、物凄くタチが悪い。通常、こういった立ち位置の人物は、犯罪者ではあるが同情の余地がある、という形で描くわけですが、何の余地もなくて凄い。
「けど子供が喜ぶかな、そんな金」
と、いきなり説教を始める大樹は、「ただのチンピラじゃねえな、なにものだ」とツッコまれて、笑って誤魔化す。
……素か、貴方。
いや、言いたくなる気持ちはわかるのですけど(笑)
永田から、グループが香港マフィアと取引しようとしているという情報を得た大樹は公衆電話から本部に連絡を入れるが、永田に身元がバレ、後ろから殴られて気絶。目覚めた大樹は玲子達に伝言を残すと、分け前を手に入れる為に取引現場へと向かう永田の後を追い、走る。チャイナ服の袖から手榴弾を取り出して投げる香港マフィアに追い詰められていた永田を、間一髪で助けた大樹は、自分が囮になっている内に彼を逃がそうとする。
「子供のために犯罪を犯すほどの気持ちがあるなら、必ずやりなおせる。俺は信じる」
香港マフィア達を引きつける大樹、そこへ本部長達が到着し、ブラスアップすると圧倒的な戦闘力で犯人グループを逮捕。
そして……どさくさに紛れて姿を消したかに思われた永田は、金の入ったトランクを手に大樹の前に姿を見せる。
「逃げられるわけないだろ、繋がってちゃ」
崖から落ちそうになった時についた、手錠の傷跡をみせる永田。
ここは演出的に格好良く、途中は色々どうかとは思うものの、最後は何となくまとめました。いつも出しゃばってくる本部長ではなく、主人公(大樹)が犯罪者を説得したのも良く、もう少し全体として丁寧に内容を詰めていれば、しっかりと面白いエピソードになっただろうだけに、詰めが足りなかったのが残念。
次回予告、
ソルブレインはどんな小さな犯罪も見逃さない!」
て、なんか怖いなぁ(笑)
色々と、過剰にされそうで怖い。


◆第18話「明日へ走る自転車」◆ (監督:小笠原猛 脚本:鷺山京子)
クレジットを見ると17の中の人(新堀さん)がどこかに居たようですが、誰だろう。たぶん、あの柄の悪い人の中の誰かだとは思われますが。
大樹達がよく利用しているサイクルロードが、イースト・ケミカル社の新工場用地として立入禁止になってしまう。看板を立てにやってきた柄の悪いごろつき達を見た大樹、「どうもおかしい、あのチンピラはとかく悪い噂のある地上げ屋だ」と、“顔が気に入らない”レベルの根拠で前回の恨みを感じる物凄い見込み捜査を開始。結果、最近イースト・ケミカル社の工場で不審な爆発事件が起きていた事や、胡散臭い連中が出入りしている事が判明。これまた見込み捜査で工場に忍び込んだ大樹は、隠蔽された爆発の跡を発見して煤を採取し、その分析からどうやら高性能爆弾が爆発していたらしい事がわかる。
青葉台サイクルロードを守ろう運動」を開始して署名を集めるサイクリングショップ店長・鶴岡(数話おきにちょろっと出てくる人)と仲間達だが、地上げ屋の嫌がらせを受ける。……まあ、地上げ屋さん達は普通に経済活動しているだけなのに(土地を買おうとしている段階ならともかく、看板を立てているという事は既に購入済みのわけですし)、正義を標榜して抗議されたらちょっとムッとして当然な気もするのですが、まず問題なのは、ざっくり売ってしまった地権者な気がするわけです(笑)
ところで鶴岡さんはここまでどちらかといえばコミカルな雰囲気だったのに、今回はやたらにシリアス。いかめしい髭面もあって、どちらかといえば真面目な顔をしている方が映えるのですが、こっそり路線変更している気もしないでもない。
その頃、ソルブレインの調査により、イースト・ケミカル社は業績が極めて悪化しているにも関わらず、工場は昼夜を問わず活発にラインを動かしている事が判明。そこから推理は転がり、正規ルートでは売りさばけない商品を扱っているのではないか→爆薬を密売しているのでは→公園に爆弾工場を造ろうとしているんだ!
何故、そんな目立つ事をしてわざわざ
……しかし、本当にそうだった!
事件の裏で糸を引く柳田は、これ以上土地の買収問題が目立たないようにと、「8年前の自転車レースにおける八百長」の証拠写真とテープを突きつけ、鶴岡を脅迫。かつてツール・ド・フランスにも出場した名選手であり、当時は名コーチとして指導に辣腕を振るっていた鶴岡は、その写真を前に、反対運動を止めてしまう。
鶴岡を信じる大樹だが、実はこの八百長事件には複雑な事情があった。当時、鶴岡が指導していた竹内という選手が、難病の息子の治療費の為に柳田から金銭を受諾し、八百長をしてレースを敗退。話を聞いた鶴岡は店の開業資金として貯め込んでいた金を用いて柳田にそれを返却したが、その時に札束を手にした姿を、あたかも鶴岡が金を受け取った場面のように、写真に撮られてしまっていたのだ。竹内はその後、酒に溺れ、事故死。鶴岡は残された竹内の妻子を気に懸けながら、父を英雄視して必死に難病のリハビリを続ける竹内の息子の為に、この事件の真実が明るみに出ない事だけを願っていた。
8年前の八百長事件と、今回の爆弾密造事件に繋がりを感じる大樹だが、竹内の息子を守りたい鶴岡は事件への協力を拒む。そして彼は竹内が遺した真相を告白したテープを手に、地上げ屋に独自の取引を求める。竹内のテープと脅迫写真を交換し、この事件の全てを完全に闇に葬ろうというのだ。取引現場に現れた柳田とそれぞれの証拠品を交換しようとする鶴岡だったが多勢に無勢、心配して姿を見せた息子のヒロシともども、抹殺されそうになる。
……だがその時!
「柳田、まんまと罠にかかったな」
鶴岡の背後に姿を見せるソルブレイン一同。
実は鶴岡は、既にソルブレインと協力態勢にあったのだ!
と視聴者にもミスディレクションを仕掛けてくる展開なのですが、今回は民間人を囮か正木
そしてヒロシがさらわれたゾ。
ヒロシを連れて逃走する車にロープを引っかけるが、凄い勢いでひきずられるブレイバー(笑) なんか反射的に引っかけたブレイバーも驚いているかのような、見事な転がりっぷり。
そして地上げ屋さんの思わぬ手榴弾部隊に、ちょっと苦戦するソルブレインであったが、ドーザーの活躍もあり、全員撃退。ブレイバーも無事にヒロシ少年を助け出し、柳田一味は逮捕されるのであった。
存在意義の薄かったセミレギュラーキャラに焦点を当て、過去の傷が現在の事件と繋がり、二組の父子の絆を描くという複雑なプロットを強引ながらも一つのエピソードとしてまとめたのは脚本家の手腕ではありますが、
正木が八百長に関する脅迫写真とテープを鶴岡に渡し
「柳田を罰する証拠は充分です。8年前の事件が表沙汰になる事はありません」
はまずい。
鶴岡はそれを炎上する車の炎で灰にしてしまうのですが、「自転車レースの八百長で稼いだ金が資金源」と、柳田が明言していたしなー、蒸し返されないわけないと思うんだけどなー、柳田は謎の獄中死とかしそうで怖い
「どんな小さな犯罪も見逃さない!」
というか、予断による捜査と恣意的な証拠の選択とか、今回は結果的に犯罪の拡大を未然に防げたからいいものの、明らかにソルブレインは、正木の私的機関として、暴走を開始している。
まあ前作における竜馬さんも何回か、容疑者宅に何故かこっそり侵入とかしていて叩けば埃が出ないわけではありませんが、ソルブレインはツッコミで済まない範囲で、自ら規程した法を踏み外している、というのはとても気になります。
こう見ると、『ウインスペクター』において、竜馬は決して唯々諾々と正木に従うばかりでなかった、というのは、そういう意図ではなかっただろうとはいえ、劇中の引き締めになっていたという事がよくわかります。竜馬は時に正木の意図を超えて自分の信念に基づいて行動し、それは竜馬のヒーロー性を担保すると同時に、正木の価値観が絶対ではないという事も表現し、更に、劇中を通して竜馬だけではなく正木もまた成長している、という関係性が構築されていた。
ソルブレイン』にはそれが無いので、組織として非常に危うく見えるし、大樹がいつまで経っても薄っぺらい。