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『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』感想

点数つけるなら、100点満点で、7点
あまりにあまりだったので、帰路に『ゴーカイジャーvsギャバン』(これは素晴らしい映画だった)のDVDを借りてきて解毒しようと思ったのですが、貸し出し中で借りられなかったので、憎念をかなりストレートに吐き出してしまっています。
ネタバレ無しですが、だいぶ酷評しているので、OKという方だけ、「続きを読む」ボタンで、どうぞ。
(※参考:■『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』感想(ネタバレ全開)



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ひどい映画だった
個人的な好きとか嫌いとかいう段階以前の話で、映画としてひどかった。
構成はなってない、演出はつまらない、脚本は絶望的にセンスがない。
映画ってまず、最初の5分でドキドキワクワクさせて作品世界に引き込んでくれるかが、一つの指標だと思うのですが、まず、そこから駄目。つかみに持ってくるアクションの選択を間違えている。
おそらく、“如何にもヒーロー映画っぽくない画”から入りたかったのでしょうが、そこからもう、勘違い。それでも面白いシーンと意味のある構成になっていれば良いのですが、物語のラインとして視聴者を引きずり込む構造になっていない。
冒頭で主人公と友人がある事をしている掴みのアクションシーンが入るのですが、その後に一つシーンを挟んだらいきなり二人が物語上で重要な意味を持つある職業についていて、掴みのシーンは職業とは別の趣味だったのか、それとも、あれから数年後……とかなのか、が映像からまるで伝わってこない為に、全く物語へ入っていけない。
入っていけないのに、テンポが悪くてアバンタイトルが長すぎる。
このアバンタイトルの一連のシーンと、タイトルコール前後のアクションシーンの順番を入れ替えるだけでも、かなり違うとは思うのですが、この10年ほどでだいぶ映画作りの経験値が蓄積されている筈なのに、どうしてこんな構成を通してしまったのか。
全体として、“まがりなりにもオリジナルの映画作品”(TVシリーズと連動していない)という事で「バトルだけではなく、子供向けと一笑に付されないドラマを盛り込みたい/盛り込まなくてはいけない」と、また妙なコンプレックスが顔を出したのか、余計な事を考えて余計な事をしたという失敗パターン。
もちろん意欲的にドラマ性を盛り込もうとする姿勢は大事なのですが、その方向性が何やら根本的に間違っていて、TVシリーズにだってお約束を踏まえながらドラマ性を引き上げた作品はいくらでもあるし、同じドラマでも、作風に応じた、“親子のドラマ”とか“師弟のドラマ”とか幾らでもあるのに、選択されたのは明らかに食い合わせの悪い、安易なメロドラマ。
そして出来上がったのは、これ以上ない、やっすいメロドラマ
ストーリーラインのコンセプトがどこから出てきたのかはわかりませんが(企画サイドから出て脚本家に依頼した、という可能性もある)、仮に脚本家からだとしたら無能の証明だし、脚本が上がってきた時点で叩き返していいレベル。修正に修正を重ねてこれだとしたら、目も当てられない。別にメロドラマでも覚悟を持ってしっかり書ける人のメロドラマなら構いませんが、メロドラマとしても、最低レベルのメロドラマ。
とにかく物語の骨子の時点で、これは駄目だ、という要素満載で、どうして誰かが途中で軌道修正しなかったのか。
加えて、演出もひどかった。
脚本が悪くても演出が良ければそれなりに見てしまえるのですが、金田治さん、こんな下手だったっけ……というレベル。
基本、アクション監督からの人でアクション演出重視の方ではありますが、過去のTVシリーズの参加作品ではそれほど悪印象は無いのですが、とにかく、アップが多すぎる。
出てくるキャラ、出てくるキャラ、みんな、舐めるようなアップ。
主役もアップ、ヒロインもアップ、金色の人もアップ。
映画館の大スクリーンでやたらにアップだけ見せられて、超食傷。
またアップへの持っていき方が、後ろから首筋に近づいていってそこから回る、という、何故か執拗にワンパターン。長官室の撮り方(というかセット)もおかしかったし、全体としてアクションシーン以外の映像のレベルが低すぎ。また、映画だから空回りパターンとして、アバンタイトルのアクションシーンでTVでは出来ない(であろう)描写をやっているのですが、これも正直、余計。全体として貫いているならまだしも、そのシーンだけなので非常に浮いていますし、物語演出上の意味もない。
脚本の展開上の不自然さとかおかしな台詞も色々あるのですが、ネタバレにならない所でこの映画の根本的な問題としては、劇中で
ギャバンを地球に送ってはいけない理由」 は幾つか思いつくけど、
ギャバンを地球に送らなければならない理由」 は一つも思い浮かばない事。
極端な話、後者が無いのは構わないのですが、存在する前者を覆す理由が無いのは問題です。そしてその理由の一つを発生させるに至った設定が、そもそも必要性が感じられない。
恐らくは先代との関係性という点で付けた設定だと思うのですが、物語の中で全く生きていないので、まるで必要なかったと思います。
あと脚本レベルの問題か演出レベルの問題かわかりませんが、凄く気になった部分としては、主役がひたすら「衣月、○○」「衣月、○○!」と、ヒロインに向けた台詞をヒロインの名前を呼んだ後に言うところ。単に名前呼びたいだけなのか状態で、典型的な駄目台詞なのですが、うんだからもう、どうして途中で誰か直さなかったの? と。
ラストのヒロインの台詞の絶望的なセンスの無さとか見るに、演出も悪いけど脚本家は根本的に能力が無かった、としか思えませんが。
とにかく、ちゃんと作っている人達なら途中でおかしいと気付いて直すところが全てそのままテーブルの上に乗せられてしまった、そんな映画。
で、そんな駄目な映画だったのに、大葉健二が出てきた瞬間に、テンション超上昇
自分のテンションの上昇具合を可視化できたらしたかったレベル。
とにかく大葉健二は、文句なく格好いい。
大葉健二と、まさかのオリジナルキャストで登場のコム長官は良かったです。
コム長官周りのネタだけは、ちょっとニヤっとできて、この映画の数少ない良かったところ。
年寄り向けの前作絡みネタは、「ほら、ちゃんと前作わかってやってますよー、ニヤニヤできて嬉しいでしょ?」という程度の使い方。やりすぎよりは良いですが、やはり物語の中で設定が生きるわけではなく、あまり関心はしません。とにかく映画という凝縮された媒体の中で、物語として不必要な設定が多すぎ。
結局のところ、根深いコンプレックスが未だ払拭されていないのか、制作時間がかつかつだったのか、もう本当に脚本家がどうしようもなかったのか、でも演出も酷かったし、とにかくプロットの時点で駄目だと気付かない人達が悪い、という駄目な方へ駄目な方へ光の速さでダッシュしていった作品。
ギャバン』として許せない以前に、映画として許せない出来で、関係者には猛省を望みたい。
なお仮面のヒーローによる世代の継承を描いた作品としては、『マスク・オブ・ゾロ』が傑作なので、お薦めです。そこまでのレベルのものは求めていなかったけど、せめてそういうものが見たかったなぁ。