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『快傑ズバット』感想1

西部劇+時代劇+渡り鳥+怪傑ゾロ+特撮ヒーローの、超次元ハイブリッドin宮内洋
見よこれが、70年代の狂気だ!
◆第1話「さすらいは爆破のあとで」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳
冒頭、

・幼稚園バスに仕掛けられる時限爆弾
・園児に突っ込む自動車
・幼稚園児をいじめる地獄竜の部下

たぶん、幼稚園を地上げとかしているのかとは思うのですが、劇中では全く理由は説明されません(笑)
その時、保母さん(ヒロイン・飛鳥みどり)をしばくちんぴらを止める一人の男。

飛鳥五郎……といったところで知らないだろうがね。山登りの好きな貧乏学者さ」

兄さん、割と華麗なハイキック。
だがそこへ、地獄組の用心棒、二丁拳銃の使い手ランカークが姿を見せる。拳銃を向けられた飛鳥五郎、絶体絶命。
「次は心臓をぶちぬいてやる」と言われ、なぜか上着の前を開く飛鳥、意味不明すぎる。
……という所で横から撃ち落とされる銃。ギターをかき鳴らしながら崖の上に現れたのは、黒ずくめに白マフラーのギターを持った渡り鳥、じゃなかった、早川健!!

「いい度胸だ。だが貴様、俺が誰だか知らないらしいな」
「地獄竜の用心棒、ランカーク。日本じゃあ……二番目の拳銃使い」
「二番目だと? じゃあ、日本一は誰だ」
「ひゅう〜♪ ちっちっちちちち、(早川健、自分を指さす)はっはっはは」

ここまで、開始3分
凄い
濃すぎる
飛鳥兄妹の知己であるオサム少年の飼うウサギにくわえさせた花を狙うという早撃ち勝負では、ランカークの銃弾を空中で全て撃ち落とすという荒技で早川が勝利を収め、ランカークはちんぴら達と撤退。だがその帰路、幼稚園バスに仕掛けられた爆弾の爆発により、飛鳥五郎が重傷を負う。更にトラブルは続き、飛鳥の入院した病院が爆破され、混乱の中で蜂の巣にされて死ぬ飛鳥。
飛鳥を殺したのは誰なのか……妹みどりから形見のギターを受け取った早川は、ゲリラテロ的な挿入歌を熱唱。そして飛鳥が研究中だった宇宙探険用の強化服と特殊自動車の開発を一人引き継ぐ。
「飛鳥見ていろ。おまえの強化服、おまえの車で、仇は必ず取ってやる」
一介の私立探偵を名乗る早川どれだけ有能なんだ、という話になりますが、まあ、本郷猛もIQ600か何かだった筈だしな……。
そして――
「できたぞぉぉぉ」
強化服に身を包み、平原に仁王立ちする早川健
主題歌インストとともに、
「見てくれ飛鳥、これがおまえの強化服……ズバットスーツ!」
突然の変なポーズ(笑)
ズバットスーツはバイザー下ろしてマスク閉めれば割と格好いいのですが、ヘルメット状態で顔出したままだと、えらく間抜け。
その頃、地獄竜は背後にある巨大組織ダッカー首領と個別面談で怒られていた……と悪玉側の巨大さを説明しつつ、地獄組接触をはかろうとする早川の姿。
「ランカークさんよ、地獄まで案内してもらいましょうか」
「慌てるなよカウボーイ」
色々とネタ元はあるのかと思いますが、あちこちに洒落た台詞が散りばめられているのが、『ズバット』の楽しさの一つ。早川は普段気取っているのに、帽子を脱ぐと何故か凄く普通の兄ちゃんみたいな言葉遣いになりますが(笑)
みどりとオサムを人質に取られ、地獄組に捕まる早川。竹を割ったやつ(何というのだったか)で、容赦なくみどりをしばきまくる地獄竜。今日的な目で見るとちょっと引くぐらい、女性キャラも容赦なくしばかれます(^^; 子供も踏まれます。時代の問題か、この作品がやりすぎているのかはわかりませんが。
続く拷問の中、地獄竜が病院に爆弾を仕掛けた張本人である事を知った早川は、いきなりの縄抜け
……あれー、もしかしなくても、地獄竜が口を滑らせるまで、みどりさんを犠牲にしていたような。
一瞬の内に姿を消した早川を捜して悪党達がきょろきょろすると、外にいきなりズバッカー! そして鞭を振るって窓から飛び込んでくる、真紅のスーツの男!!

ズバット参上! ズバット解決!
人呼んで……さすらいの、ヒーロー!

 快傑・ズバァァット!!」

地獄竜以下、地獄組の関係者を容赦なく鞭でしばきまくるズバット。逃げまどう地獄竜を絞めては投げ、絞めては投げ、そしてとどめは何度見ても謎な、大開脚アタック!
まあキックだと仮面ライダーとかぶるので何か別の決め技で…というのはあったのでしょうが、わざわざ高い所に上がってジャンプした後、空中で3回ほどひねった上で、足を広げて股間からダイブするという、おそらく特撮史上でも他に類を見ない必殺技。……一応、広げた足を当てに行っているように見えなくもないのですが、足当てるなら、広げる必要がない(笑)
「地獄竜! 飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな! き・さ・まだな!!」
ズバットは戦意喪失した地獄竜を締め上げるが、地獄竜は必死にそれを否定する。
そういえば病院で飛鳥が撃たれた時、銃撃のあったドアとは反対方向へ逃げていたなぁ……と散々叩きのめした後で思い出すズバットさん。
「では、やはり……飛鳥を殺したのはこいつではなかったのか……」
ここまで堂々と、薄々違うとは思っていたけど色々と腹立たしかったのでフルボッコにしました、と告白するヒーローも珍しい。この人が、ヒーロー、として成立していた時代が凄い、というか(笑)
刑事(早川の友人・東条進吾)が駆け付けた時、現場に残っていたのは地面に伸びている地獄竜、そして「この者、爆破犯人」と書き記されたメッセージカードだけであった……。
こうして、早川健快傑ズバットの復讐の旅は始まった。
そして、みどりとオサムは、姿を消した早川の後を追いかける……と、その流れのままエンディングへ。


男はひとり道を行く 男はひとり行くものさ
燃える願いに命をかけた 山の彼方に何がある

有名なOPは滅茶苦茶格好いいですが、EDもなかなか格好良くて好きです。挿入歌もメロディは格好いい(劇中でインストBGMとして使用)のですが、水木一郎版とか無いのかなぁ……(笑)


◆第2話「炎の中の渡り鳥」◆ (監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳
親友・飛鳥五郎殺害の真犯人を求めて復讐の旅路を行く早川健が訪れた街は、土地を買い占めて巨大な賭博場を作ろうとするブラックハート団に支配されていた!
何故か、馬に乗っている早川健とか、それをコソコソと遠巻きに眺める街の人とか、牧場の入り口にロープで吊り下げられている老人とか、要するに西部劇の世界なのですが、このパラレル日本ぶりは凄い。
老人を助けた早川が銃声に駆けつけると、酒場で拳銃を振り回しながらまたも女を殴り飛ばしている雑魚達。またもギターをかき鳴らしながら登場した早川はちんぴらをざっくり片付けますが、悪党の口に火のついたタバコを突っ込んだり、基本的に敵も味方も、悪い意味でやりたい放題
あと早川、友の形見のギターを、白く塗るな。
そこに現れる今回の用心棒は、居合の達人・風流之介(天本英世)。寸前まで西部劇だったのに着流しの浪人風キャラが現れるという、実にカオス。
居合切りでカウンターのビール瓶の口を断ち切り、そこからビールを煽ってみせる風流之介に、
「大した腕だな。見たところ、日本じゃ二番目の居合切りだ」
「二番目? では、日本一は?」
というお約束のやり取りの後、居合対決。風流之介が老人のシャツをハート形に切り裂いた後、刀を借りた早川は、そのハートの中に更に小さなハートを切り抜いてみせ、用心棒とチンピラ達は撤退する。
だがその夜、店に火がつけられ、放火犯を追った老人は撃ち殺されて死亡。犯人を探り出すべく早川はブラックハート団に用心棒として潜り込むが、その意図は団のボス・ブラックスターには見透かされていた……。
はい、ここで、挿入歌入ります。ごめんなさい、入ります。笑わずにはいられないけど、入りまーす。
宮内洋倉田てつをは、独自のジャンルなので仕方がない。
ブラックスターの強行手段によりダムから吊り下げられる姉妹を救い出す早川だったが、ブラックハート団に捕まってしまう。少女に迫る電ノコ……という所で今回は手錠抜け
そして外にズバッカー。
早川健はどうして、わざわざ敵に捕まりたがるのか
畳返しを駆使して風流之介を打ち破ったズバットは、ブラックスターの吊り天井の罠も回避。
さあ、お仕置きの時間だ
飛鳥五郎なんて知らない」と必死に否定するブラックスターに、執拗以上に殴る・蹴る・鞭でしばくと暴行を加えるズバット復讐に狂っているから仕方がない。これのエクスキューズの為に、悪役は終始ひどい悪事を働いているわけですが、それにしても酷い。70年代、怖い。
ブラックスターは飛鳥五郎の殺害犯ではなかった――ズバットは再びカードを残して去っていき、警察到着。姉妹はブラックハート団に裏切ったのだと誤解して酷い言葉を投げかけた事を謝罪しながら、戻ってきてほしい、と荒野に叫ぶのであった……と最後に追いかけない以外は、1話と完全に同じ構成のオチ。
まあ各回のゲストキャラがみんな早川を追いかけてきたら大変な事になりますが(笑)
様々な活劇の要素を目一杯に盛り込んだ、無国籍フルコースみたいな作品。深く考えないで楽しむのが吉。
良い子のみんなは真似しちゃ駄目だ!*1

*1:3話次回予告より