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『特救指令ソルブレイン』感想26

◆第43話「二つの顔を持つ女」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升
東洋銀行で強盗事件が発生、犯人の女を追ったソルジャンヌだったが、取っ組み合いの最中に女が撃った銃弾が通りすがりの子供を傷つけ、その隙に女に逃げられてしまう。身を潜める女に近づく1台の車、そして白尽くめの男。男は麻酔銃で女を気絶させると、車に乗せてどこかへと運んでいく……。
毎度の事ですが、『ソルブレイン』は、捕り物中に民間人が巻き込まれる不祥事が多すぎやしませんか、本部長。
逃亡した銀行強盗の主犯は、強盗殺人で指名手配中だった原島律子。格闘の最中に間近で顔を見た玲子は怒りを燃やす。
「許せません、私の目の前で通行人が撃たれたんですよ」
………………
………………?
………………えー……現場での出来事を、詳しく振り返ってみましょう。
−−−−−
逃亡する律子を追うソルジャンヌ

追いついて取っ組み合いになる

ジャンヌ、律子の覆面を剥ぐ

「あなたは?!」と驚く(指名手配犯だと気付いて)

その隙に手を振り払われる

律子、拳銃を撃つ

ジャンヌ、避ける

射線上に通りすがった少女、肩を撃たれて倒れる
−−−−−
以上、現場から東海林がお送りしました。
どう考えても、悪いのはソルジャンヌ。
(&戦闘力の低いジャンヌに単独で拳銃を持った犯人を追わせた隊長の判断ミス)
基本、拳銃を撃った律子が悪いのは確かです。耐火性能以外、ろくな機能がないソルジャンヌが身を伏せたのも良しとしましょう。親子連れが通りすがったも不可抗力で不幸な事故です。
しかし、それら全て呑み込んだ上で、責任は自分にある、と思えなくてどうするのか樋口玲子。
あの純子さんでさえ、自分の不注意から身内(久子さん)が撃たれた時は手帳を返納したというのに、反省の色の欠片も感じられないところに、ソルブレインという組織の体質を見る思いです。
と、割と真面目に書かざるを得ない(笑)
まー、手を振り払われた時点で、特殊チームの一員としては失策なのですが、何が凄いって、それら一連の出来事を無かった事にしているっぽい、正木の情報捜査能力が凄い。
残りのエピソードで、ソルブレインの捜査ミスを叩くフリー記者、とか出てこないかなぁ(笑)
むしろ『ソルブレイン』だからこそ扱えるテーマであるとも思うのですが。
この後、玲子の犯人に対する怒りが戸惑いと葛藤に繋がるというドラマの構成上どうしても必要だったのでしょうが、もう少しなんとかならなかったのか。
緊急配備して律子を追うソルブレイン、捜査中の玲子と純は、律子と瓜二つの女がトラックにひかれそうになった老婆を助ける所を目撃する。彼女の名は、古川美由紀。容姿は原島律子そのものだが、近所の養護園でボランティア活動を行い子供達にも慕われているなど、その性格や行動はとても律子とは思えず、とても別人を装っているようにも見えない。三日前に現在のアパートに引っ越してきたという美由紀の足取りを追うソルブレインは、“もう一人の古川美由紀”が存在する事を知る。同じく三日前に引っ越しをした美由紀、彼女の実家に連絡をつけた美由紀は、その美由紀こそが本物の古川美由紀であり、律子そっくりの美由紀は、偽物である事を突き止める。だが、本物美由紀と引き合わされた偽美由紀は、本物しか知らない筈の、極めて個人的な思い出の記憶を語る……果たして彼女は、いったい何者なのか?!
と、なかなか迫真のミステリー展開。
困惑するソルブレイン、そして偽美由紀の元へ届く、一本のビデオテープ。そこに映っていたのは、復讐の貴公子(笑)・高岡隆一であった!
ここで高岡さんのビデオレターによるネタばらし。
逃走中の原島律子を眠らせてさらった高岡は、記憶複写装置によって古川美由紀の記憶を吸い取ると、それを律子に上書き。肉体は原島律子であるが、記憶や人格は古川美由紀、という存在を作り出したのであった。そして現代科学では、律子の偽記憶を元に戻す事は不可能だという。
「産まれながら善良な市民でいるつもりの彼女を、貴様等は逮捕できるか? 警察の無力を、知るがいい!」
「おまえは人殺しの原島律子だ! ははははっ、はーっはっはっは!」
ソルブレイン用と律子用で、わざわざ別にビデオを作る辺り、貴公子、仕事が細かい。
高岡の超科学はひたすら何でもありですが、記憶複写装置は、以前に出てきたドリームマシンみたいなものか、とつい納得してしまったり(^^; 見た目も一緒だったような……。
この装置、高岡の発言を額面通りに受け取ると「記憶」だけを上書きしているようなのですが、明らかに「人格」も変化しているので、人格は完全に記憶/思い出/体験に対して従であるという前提なのか(もちろん、大きな影響は及ぼす筈)、高岡が「記憶」と称しているものは、人間の「精神」そのものなか、ここではとりあえず、「記憶と人格」の双方を上書きした、という事にしておきます。
体は律子、心は美由紀。果たして今の心優しい律子美由紀を逮捕するべきなのか、出来るのか……思い悩むソルブレインだったが、正木は、律子が犯罪者であった事実は変わらず、その記憶と人格はあくまで借り物に過ぎないと、律子美由紀の逮捕を決断する。
一方、高岡からのビデオに衝撃を受けた律子美由紀は混乱しながらも、養護園の少年との約束を守るべくカーネーションを買って施設へと向かう。律子美由紀を逮捕するべく施設へ向かう玲子と純、律子美由紀の部屋で高岡のビデオを発見する大樹。混乱する律子美由紀は人を殺めた自分自身を許す事が出来ず、飛び降り自殺をはかるが、間一髪飛び込んできたブレイバーに助けられる。
母親に捨てられた足の悪い少年に、「自分の新しいお母さんになってほしい」とすがりつかれ、抱きしめて涙を流す律子美由紀。ソルブレインはただ、そんな彼等を黙って見つめる事しか出来ないのであった……。
前回の今回で、杉村升が気合いの入った脚本。
人はいったい、何によって裁かれるべきなのか?
犯罪者の人格が完全に別人のものに上書きされた時、それでもその人間は“犯罪者”なのか? と、SFの中編ぐらい書けそうなワンアイデアをベースに、サスペンスフルに展開。
どだい正味20分で扱えるテーマではないので、最後は新生と再起を匂わせつつ適当に濁しましたが、変に結論づけるよりは良かったと思います。あくまで一連の<高岡シリーズ>の一編とする事で結論までは出さずにテーマだけを扱う、というのは、やり方としては少々ずるいのですが、一回ぐらいは許されるズルだと思います。もう一回は駄目ですが(笑)
テーマ/アイデア(その持ち込み方含めて)が良かっただけに、最初から最後まで、相手を取り逃がしまくり、養護園の子供達には何の配慮もできないソルブレインの組織としてのダメっぷりが凄く浮き彫りになりましたが。
ラスト、
「思い知ったかソルブレイン、人の心など救えはしないという事が! これでよぉくわかった筈だ! ふっふっふふ、はっはは、はっはははははっ」
と貴公子が高笑いするのですが、律子美由紀が現状を受け入れられるかはわからず、一部関係者には納得がいかないでしょうが、もしかしたら一人の凶悪犯罪者を更正させたのかもしれない、という捻れは意図的……かな?
自然な改心を待つのではなく、科学の力で人の心をねじ曲げる、というのもまた、ソルブレインに対する挑戦の部分でありましょうが。
まあ、貴公子としては究極的には、ソルブレイン(大樹)をあおれれば目的は達成なので、充分に大樹さんはあおれました。
翌年から戦隊(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)に入るので途中で抜けるのかと思っていたらむしろ前作より本数多い気がする杉村さんなのですが、高岡編はレスキューシリーズへの置き土産という意識なのか、良くも悪くもフルスロットル。


◆第44話「コソ泥と老博士」◆ (監督:小笠原猛 脚本:扇澤延男)
7件入って1万円そこそこの稼ぎ、というツキのないコソ泥が、忍び込んだ屋敷で腹が減って動けない老博士と出会う。「泥棒くん、何か食わせてくれたまえ」と言われ、つい弁当を買ってきてしまう人の好い泥棒に、博士は「この弁当のお礼にいいものをあげよう」と謎のヘッドギアを渡す。某サターンヘッドに激似のヘッドギアをかぶったコソ泥が夜間金庫の前で「金庫よー破れろ、金よー出てこい」と博士に言われた通りに念じると、ヘッドギアから光線が迸り、大破して吐き出される札束吹雪。そのヘッドギアは博士が開発した、超念動ヘッドギア……人の念力を増幅する装置だったのだ!
念力を増幅するとビームになって出てくるのが、世紀末TOKYOクオリティ。
さて、念願の大金を手に入れたコソ泥であったが、「こう見えても筋金入りの泥棒よ」と、妙な職人気質を出して装置を博士に返しに行くと、博士も博士でそんなものは捨ててくれ、と冷たい反応。実は博士は、装置の研究に没頭する余り全財産を注ぎ込み、妻子には愛想を尽かされ、もはや友の一人もおらず、半月前にようやく装置を完成させたものの、その喜びを分かち合える相手もいない……という現実にただただ虚しさを感じていたのだった。ところがそこへ、チンピラ達が乗り込んできて事態は一変。昨夜の夜間金庫の破壊事件を目撃した男達は強引に装置を奪っていき、「捨てる手間が省けた」と呟く博士に対し、「俺が奪い返してやるよ」と男達を追っていくコソ泥。
今回、力の入っているところではあるのですが、コソ泥と博士のやり取りはなかなか軽妙。惜しむらくは、コソ泥役の演技力が少々つたなく、台詞回しの面白さが活ききっていない。
一方、目撃者の証言などから超念動ヘッドギアに辿り着いたソルブレインは博士のもとを訪れるが、人生に荒む一方の博士は装置が何に使われようが知った事ではないという態度で、大樹と玲子を呆れさせる。
毎度の事ではありますが、大樹と玲子は常にエリートのド正論で、間違ってはいないけどそれはイラっとするよなぁ、という時があるのを、恐らく今回は意図的にやっていて、脚本、タチ悪い(笑)
ヘッドギアを使って現金輸送車の襲撃に成功したちんぴら達は装置を量産させようと博士をさらい、それを目撃したコソ泥は博士を助けてもらうべく、意を決して自らソルブレインに出頭する。
普段は速攻で突撃しそうなのに、今日はのんびり取り調べ室でコソ泥の話を聞くソルブレイン。相手が手配中の犯罪者なので当然といえば当然ですが、脚本、タチ悪い。
「あんたも助けに行ってくれよ! 爺さん殺されるかもしんねえんだぞ」
「もちろん僕も行く。しかし、そのまえに一つだけ聞きたい事がある」
一体全体、どうして逮捕されてまで、博士を助けようとするのか。大樹の問いに、コソ泥は照れくさそうに鼻を鳴らす。
「今考えりゃ、一緒に弁当食っちまったのがまずかったんだよなぁ」
「誤魔化さないで、話すんだ!」
「誤魔化してなんかいねえよ! 二人で弁当食ったんだ! 爺さん言ってたよ。誰かと一緒に飯食うのなんて、久しぶりだったって。その時、他人とは思えなくなっちまったんだよ。早く助けにいけよ! お願いだからよ!」
コソ泥の真剣な様子に、大樹は一つの決断をする。
「博士を救うのにあいつも連れていきたい……」
「命を救うだけなら、我々の手で充分です。しかし、孤独に歪んでしまった博士の心を救えるのは、あいつだけだと思うんです」
「わかった、やってみろ」
コソ泥の覚えていたナンバーを元に、彼を助手席に乗せて博士を拉致した車を追う大樹。
「隊長さんよぉ」
「なんだ」
「爺さんの発明したあの機械、発表したらみんな、誉めてくれるよな?」
「世界的な評価を得るはずだ」
「そうだよな? そうじゃなきゃ、じいさん、辛すぎるもんな」
「……おまえ、どうして泥棒なんかになったんだ?」
「他に……生きてく道、なかったもんな」
流れの中で、大樹とコソ泥の微妙なズレが会話のやり取りで巧く表現されているのが、いかにも扇澤脚本。
目撃情報から犯人グループのアジトが判明し、博士を脅す銃声を聞いた大樹達はブラスアップ。チンピラがヘッドギアを装着して放つ念動ビームに苦戦するブレイバーだったが、念動ビームに合わせてパイルトルネードを撃つ、という荒技でヘッドギアを破壊し、犯人の逮捕に成功する。
ソルブレインのくせに人間を撃つのか」みたいに犯人が脅えるのですが、撃ちました(笑) 最初は粘着弾撃つのかと思っていたのですが、普通に、破壊光線を撃ちました。幸い相手が念動ビーム撃ってくれたから相殺されたものの、タイミング的には、完全に殺りにいっていたような(^^;
まあ、パイルトルネードちょっと使わないと……的な感じで挿入した結果なのでしょうが、嗚呼、かくも力は人を狂わせるのか。
解放された博士は憎しみを込めてヘッドギアを踏み壊すが、それを止めるコソ泥。「世間に捨てられた」という博士に対し、「自分は捨て子で最初から捨てるものさえ持っていなかった」と語るコソ泥の姿に、博士は自分だけが孤独ではない事を知ると、刑務所を出たら一緒にやっていこう、と気持ちを新たに人生をやり直す事を決断し、コソ泥はそれに答えずに背中を向けて連行されていくのであった……。
いい年した男同士で「私には君が必要だ!」とか叫ばれると、いい話を通り越して、若干、笑うしかない感じになって、ここは少々、やりすぎだったような気はします(^^;
ソルブレインへの帰路、パトカーを停めた大樹とコソ泥は、川辺で夕陽を見つめる。

「隊長さんよぉ、俺、なんて挨拶すりゃあいいんだろうな。ムショから出て、爺さん、尋ねるときにさ」
「ただいま、でいいんだ」

全編通して、基本的に博士やコソ泥の立場が理解できない大樹が、最後だけ急に物わかりが良くてちょっと変ではあるのですが、いい台詞。今回のエピソードを通して、大樹も少し社会の爪弾きにされてきた人間の気持ちがわかるようになってきたという演出なのか。
(シチュエーション的には逆ですが)“駄目人間を立ち直らせる為に事件現場へ連れて行く”とか、“道を踏み外した人間同士がやり直そうとする”とか、前作7話(駄目オヤジ回)・33話(浦島太郎回)辺りを思わせつつ、非常に原点回帰(『ウインスペクター』初期)的なエピソード。
原点回帰であるが故に『ウインスペクター』的お約束を思わせる部分が多かったり、終盤少々しつこくなりすぎた所もあり、名作回というほどではありませんでしたが、大樹の肉付け、という点では良い回だったと思います。高岡を相手に思い悩む大樹が、ここで一度、本当の意味での「人の心を救う」という事に対して自らの意思で行動する、というシチュエーションは良かった。それが前作の竜馬さんの行動とほぼ一緒なのは作品として問題ですが(^^;
次回、
またも危機に陥った大樹を竜馬さんが助ける模様。
ヒロインは誰だ。