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『快傑ズバット』感想9

◆第14話「白羽の矢 涙の別れ」◆ (監督:小西通雄 脚本:長坂秀佳
狒大権現の使いを名乗り、宗教めいた装いで町から町に因縁をつけて美しい娘をさらっていく集団……その正体は、ヤクザ・赤耳一家。今月の生け贄として、どこからともなく飛んできた白羽の矢で指名されたのは、美登、という娘。
……確かに居並ぶ女性陣の中で圧倒的に美人で、狒大権現様、お目が高い(笑)
美登が連れ去られるのを阻止しようとした青年・繁樹ともども河原で袋叩きにあいそうになった所で、現れますは早川健
「何者だ貴様?!」
「狒退治にきた岩見重太郎……と言いたいとこだがねぇ」
白装束の雑魚達を蹴散らした早川に打ち込まれる五寸釘。姿を見せるのは、渡世人風の衣装に身を包んだ赤耳一家の用心棒。

「かなり有名ですからねぇ。赤耳一家の用心棒、殺し屋カーペンター甚十郎。
ただし……大工の腕前は日本じゃ二番目だ」

大 工 ?
(※「カーペンター」は「大工」の意ですが、何故そこだけ急に横文字だったのかは謎)
そして始まる、大工対決。
奇声とともに木材を切り裂き、ちょうなと鋸のみで超早業で木組みの処刑台を作成する甚十郎。対する早川も同様の早業で処刑台を解体すると、そこに乗せられていた美登を解放し、逆に甚十郎をくくり付けてしまう。
突き抜けた馬鹿馬鹿しさと思いのほか凝った演出で、予想外に面白い対決でした。
今回、こと「大工」という点に関しては、用心棒の方が凄かった気はしますが(笑)
美登と繁樹を助け出した早川であったが、町の人々が集まる公民館?に爆弾付きの矢が飛び込んでくる。そこには、つづらに入れた美登をいつもの社に届けなければ、狒大権現の祟りとして「子供30人がガス爆発で死ぬだろう」という凄く直球な脅迫がしたためられていた。余計な事をしたからだ、と早川を追い出そうとする町の人々、町の為に犠牲になろうとする美登、それを必死に止める繁樹。
当時のドラマ的な(世相的な)流行りだったのか、長坂秀佳のこだわりだったのか、大衆の無力さと残酷さが執拗に描かれるのは、今作の特徴的な部分。
「逃げよう、俺と一緒に逃げよう。好きだったんだ……ずっと前から」
成り行きで告白する繁樹の想いに答える美登だったが、そこへ甚十郎が姿を見せる。
ここ数回ずっとなので、どうやら意識的に、用心棒を、序盤・中盤・終盤、の3回出すパターンに変えていっているようですが、早川が颯爽と現れ、更に近づくサイレンの音にあっさり退却。
東条によると、どうやら赤耳一家はさらった少女達を海外に売り飛ばしているようだが、一家を恐れる町の人々は口裏を合わせて「そんな事件は聞いた事がない」と、毎月若い娘を差し出している事を否定し、捜査は遅々として進まない。早川の無茶を心配する東条に、
「ははははっ、赤耳一家ほどの組織力じゃ、いくら俺でも歯がたたん。そんな無茶せんよ」
と答える早川であったが、場面代わると、もちろん乗り込んでいる(笑)
だがしかし、赤耳一家はこんな事もあろうかと、事前に美登の母親を人質に取っていた。
「動くととばばぁの命はねえぞ」
「汚ねえぜ赤耳!」
(でも、どきどきしちゃう)
待望の 袋叩きにあった早川は意識を失い、倒れてしまう。
一方、二人で町を逃げ出す前に、母親に一目会ってから、と繁樹と一旦別れた美登は、自分の気持ちを押し殺し、町の為の生け贄としてつづらに入って社へと運ばれていた。みどりとオサムからそれを知らされた繁樹は待ち合わせ場所の橋から神社へと急ぐが、待ち受けていた赤耳一家に叩きのめされてしまう。そして一家がつづらの蓋を開けると――中から出てきたのは白装束の早川健
生け贄の娘の代わりに英雄が、というのは岩見重太郎の狒狒退治に限らず妖怪退治のお約束ではありますが、そう、お約束は時空をも捻じ曲げるのだッ!!
Aパートのラストで袋叩きにあった早川が気絶し、Bパート冒頭の個人面談で、赤耳の報告を受けた首領Lに
「そうか! あのこうるさい早川めが、毒蜘蛛のえじきになったか!」
という台詞があるのですが、袋叩きシーンに蜘蛛の姿は一切なく、その次の早川の登場シーンがここなので、全く意味不明(^^;
まあ、あまり気にしない方向で(おぃ)
白装束に赤襦袢、という早川のイカれた格好は、岩見重太郎に何かしらあやかった衣装なのかと思ったのですが調べた限りでは特にそういう事は無いようで、単なる早川カラーの模様。
袋叩きにされたダメージの影響か、赤耳一味に追い込まれる早川だったが、本邦発、ズバッカー抜きでズバット変身。名乗ったズバットに合わせて、ダッカー雑魚が一斉に白装束を脱ぐシーンがやけに格好いい。
今回も支部長から時間切れ勝利の指示を受け、曲尺を投げまくる甚十郎だったが、調子に乗って鞭の間合いに入った所で連続攻撃を受けて敗北。
ズバットは何故か繁樹をさらって逃げる赤耳をズバッカーで追い詰め、毎度お馴染み、尋問お仕置きタイム。漲るズバットは赤耳の首を締め上げ、声を出しにくい状態にした上で「貴様か?」「貴様だな?!」と死刑執行書へのサインを迫るが、赤耳、なんとか否認。ズバット・アタック(もはやただの回転数の多い跳び蹴り)が炸裂し、ここに赤耳一味は壊滅するのであった。
ラスト、「町を救ってくれたズバットさんにお礼を言いたい」と、解放された繁樹と美登の周りに集まる町の人々。彼等が「ズバットさーん」と叫ぶ中、背後にフレームインした早川が無言で反対側に立ち去っていく、と格好いいエンド。
演出・脚本ともにはまって秀逸回でした。
また、個人面談シーンで首領Lに
「早川が片付いたとなれば、後の邪魔者はズバットだけだ!」
という台詞があり、改めて、ズバットの正体を認識しているのは東条進吾だけである、という事が裏打ちされました。
もしかするとダッカーの中では「早川健を助けに現れる、ズバットというヒーロー」という認識なのかもしれない、と思うとそこはかとなく微笑ましい。