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『五星戦隊ダイレンジャー』感想2

◆第3話「魂ちょうだい!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升
将児がバイクで和の車を煽り、公道で最速バトルを始める二人。
劇伴と一緒に、和のカーステレオか何かという設定なのか、北島三郎の演歌みたいな曲が流れていて、えらくカオス。互いに相殺しあって何だかよくわからなくなっていて、正直、どうしたかったのか(^^;
ヒートアップする二人は、暴走の末にあやうく小学生を轢きかけ、その上あろう事か、どちらが悪いかで、喧嘩。少年の姉・かおりに、このショックがきっかけで後遺症が出たら責任を取って貰う、と住所と名前を聞き出される。
ここはもう二人が明らかに悪いのですが、90年始め頃に、東映の中でヒーローが人を轢く(轢きそうになる)のが流行っていたのでしょうか?(^^;
その夜、街に出現する黒尽くめに金のベルトの怪人・鍵道化師。どんな扉でも開く鍵で少年の家に潜入した鍵道化師は、少年の心の鍵を開いて魂を奪っていき、意識不明に陥る少年。勿論これを交通事故未遂が原因だとされ、少年の姉・かおりから病院に呼び出された二人は、同様の症状で入院する子供達が急増しているという事実を知る。
「とりあえず本部には秘密」にして状況を探ろうとする、悪戯した小学生のような、駄目な二人。
ところがその帰路、二人は謎の車に襲われる! 運転席に居たのは、小人の人形?!
これはゴーマの仕業に違いない、と本部に相談する二人だが、「人形が車を操るなんて、リモコンの悪戯では?」と、仲間達の反応は鈍く、導師カクも無言。挙げ句、「お二人でどうぞ」と、何故か一冊の雑誌を二人で一緒に読んでいた上に、お茶に行ってしまう亮とリン。導師も無言で立ち去ってしまうが、「手伝うよ。一人でもおかしいと思ったら、調べてみるのは当然だろう」と大五だけが調査に協力する事を申し出る。
怪事件を無視して、ピンクとデートするレッドって、歴史的快挙ではないでしょうか(笑)
あと、リンは最初から生身で気力を振るえる上にわざわざゴーマとの戦いの為に来日したっぽい感じだったのに、予想外にやる気が無くてビックリ。導師の関係者で訳知りなのかと思っていたのですが、そうではなかった模様。
調査の手始めに、何か変わった事が無かったかと改めてかおりに聞きに向かう3人だったが、かおりの態度は頑な。なにか責任転嫁しようとしているのではないか、と将児と和に食ってかかるばかりで大した情報は得られず、将児と和のテンションゲージも下がってしまう。そのあまりに攻撃的な態度に、「あいつら、君の弟に何したんだ?」と、かおりから事情を聞き出す大五。
二人の起こした交通事故未遂、そして両親が旅行中の為に弟の面倒をちゃんと見ないといけないと気を張るかおりの話を聞き、少女の頭を優しく叩く大五さんが、超・いい男。
1・2話の口数の少なさなどから、無愛想な孤高系かと思われた大五ですが、仲間を想い、子供に優しい、滅茶苦茶いい男。
レッド的優等生気質とはまた違う、ちょっと古くさい男気系の入った正統派いい男で、割とツボに入った事を正直に告白しておきます(笑)
かおりの話を聞いていた大五は、鍵道化師に襲われる少年を発見して後を追うが、人形部隊の足止めを受ける。人形達が逃走に使った車を追跡した大五とかおりは、車の逃げ込んだ工場の中で、唄う人形達を見る。鍵道化師は、盗み取った子供達の魂を人形の中に閉じこめる事で、悪事を働かせる事が出来るのであった!
工場の中で合唱する様々な人形・ぬいぐるみの図、は実によく不気味に出来ています。似たタイプの人形ばかりではなく、割と、取り留めがないのが無秩序さと不気味さを増させて良い感じ。
人形に見つかり鍵道化師と戦いになる大五は本部に救援を求めるが、ゴーマ3幹部の登場もあり、多勢に無勢、かおりの魂が鍵道化師によって奪われてしまう。ようやく4人が救援に来るが時既に遅し、かおりの肉体は救ったものの、姿を消すゴーマ一族。怒りの大五は、和と将児に鉄拳を食らわせる。
「貴様ら、こんな大事な時にどこへ?!」
茶店でお茶していました。
4人ともな!!
びみょーに目をそらす亮とリン(笑)
3話から、割り切った前後編。
ヤンキー系の将児とホスト系の和がセットで動く、というのがなかなか面白い構成。結果として亮が、レッドなのに駄目人間という、凄く新しい地平に。
大丈夫なのかダイレンジャー?!


◆第4話「俺たち甘いぜ!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升
本部に集ったダイレンジャーを、
「おまえたちの驕りがそうさせたのだ」
と一喝する導師カク。
前回、導師が黙っていたのは、何も言わなくても5人が自発的に動くかを見る為であった、らしい。
うわァァァァァッ
一番嫌なタイプだァァァッ!!
そもそも拉致って脅迫した事は棚に上げ、「油断だ」「ゴーマの幹部から見ればひよっ子同然」「このままでは人類は滅びるぞ」と罵倒の嵐に、「俺達に戦う力なんてあるの?」「もっと修行してからの方が……」「気力も使いこなせないし……」と、弱気になっていじける4人。
ひとり大五だけが
「気にくわねえ! おまえたちみんな、気にくわねえ!」
と4人の情けなさへの怒りと戦う意志を見せるが、4人は本部を去り、ダイレンジャーは早くも空中分解してしまう。
なぜか前回に引き続き、二人でお茶をしながら「もうダイレンジャーいいやー」と戦いを辞めようとする青と黄だが、街中で暴れる人形を目撃。鍵道化師の放った人形が、銃を撃ち、放火をし、爆弾を投げ、と街中で傍若無人に暴れ回っているのだった。人形達から自らの意思で人々を守った4人は、再び本部へと集う。そこでは導師と大五が瞑想を行っており、4人もそれに加わると、気力によって浮かび上がった6人の意識は肉体を離れ、中国の奥地へとたどり着く!
そこは数千年前に栄えた、ダオス文明の遺跡。ゴーマ一族とはもともと、その地で反乱を起こし妖力を振るって恐怖政治を敷いた者達であった。しかし虐げられた民衆も反乱を起こし、血なまぐさい闘争の中でダオス文明は衰退していった。5人はそこで龍星王以外の4体の気伝獣の姿、そしてもし自分たちが戦わなければ世界はゴーマ一族の恐怖によって支配されるだろう、という絶望の未来を見て、戦う意義と勇気を取り戻す。
−−−−−
拉致(命を助けたと主張)

刃物による脅迫

神秘体験
−−−−−
……て、見事に丸め込まれた気がするなぁ(笑)
結局、「どうして彼等が選ばれたのか?」という肝心の部分には一切言及しないし、導師は本当に胡散臭いというか若人を転がすのが巧いというか、そもそも『三国志』の軍師キャラの中から、あえてカクを選ぶ辺りが、怪しすぎて仕方がない。
街へ繰り出した5人は鍵道化師の居場所を突き止める為に人形を追い、大五が謎ワープで辿り着いた海岸で鍵道化師と一騎打ち。雑魚と交戦する残り4人は、リュウレンジャーが空から龍星王で大五を捜し出し、「天に輝く五つ星、五星戦隊ダイレンジャー!」。それぞれ個人武器を振るい、最後は気力ボンバーで鍵道化師を撃破。捕らわれた子供達の魂は元に戻るのであった。
ダイレンジャーの特徴の一つとなっていますが、棒術アクションは格好いい。
また今回、鍵道化師を演じて「むひょひょひょひょひょひょ」という奇怪な笑い声で怪演を見せたのは、2年前にはグレイの中の人だった名スーツアクター日下秀昭。変な衣装なのにやたらにキレのあるアクション、と面白い映像を見せてくれました。
基本説明であるパイロット版の2話の後に、改めて5人が「ヒーローになる」所を描くという、面白い構成の3・4話。
ヒーローらしからぬ暴走を見せる青と黄、ヒーローなのに怪事件へのテンションが低い赤と桃、その人達は大丈夫なのか? というのが伏線であり、実はまだ彼等は「ヒーローでは無かった」。
人形に襲われる街の人達を助けた時、絶望の未来を見た時、彼等は覚悟と決意を持って、「真のヒーローとなる」。
そもそも最初がえらく強引だったしなぁとか、油断するほど戦っているわけでもないとか、導師の説明が根本に不足しているのではとか、ダイレンジャーに責任を負わせるのには厳しいという部分はあるのですが、
「変身する」だけで「ヒーローになる」のではなく、
ヒーローになるとはどういう事なのか
というのをもう一段階かけて描く、というのは、まだまだ雑ではありますが、後の00年代ヒーロー物への芽吹きを感じさせる所であります。
またそれを、如何にもリーダーキャラの正論として持ち込むのではなく、サイドから展開するというのも面白い。
まあお陰で今のところ、亮が赤いけどリーダーどころか主人公ぽさの欠片もない状態ですが(^^;
早く亮にもスポットを当ててあげてください。
そして前後編でスポットが当たったにも関わらず、結局何者かさっぱりわからないままの大五さん(笑)
恐らくは80年代的ヒーローの無自覚な延長線を拒否したい白倉プロデューサーの志向が影響しているのかとは思いますが、わかりやすいアクションと勢い重視の作風と思いきや、けっこう仕掛けてくるなぁ『ダイレンジャー』。