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『特捜エクシードラフト』感想18

◆第35話「見えない巨人」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
不登校児と出会い、学校へ送った拳、いじめについて一席ぶって、
「拳にはわからないだろうな、いじめられっこの気持ちが」
と耕作に混ぜっ返される。
まあ、「いじめ」で思いつく行為が「上履き隠す」ぐらいで、そんな事で不登校になるのは精神力が弱いからだ、とか言ってしまうので、わかっていない事は間違いない(^^;
そんな時、建設中の反橋児童文化センターで爆発が発生、現場へ急行したエクシードラフトが見たのは、霧に包まれ、凄まじい地響きと共に崩壊するセンターであった。シムの捉えた映像にも崩壊の原因らしきものは映っておらず、しかし、現場に巨大な足跡が発見される。その大きさからから推測される足跡の主の体長は……身長40m?!
光の国から僕らのために 来たぞ我らのウルトラマン
この時期、スタッフの中で流行っていたのでしょうか(笑)
「事故じゃない……児童文化センターは踏み潰されたんだ。見えない巨人に!」
突然、物凄く飛躍した結論に飛びつく本部長。
今回の本部長は、教育論をぶちあげる実業家がお気に召さない様子でTVに向けてぶつぶつ言ったり、若干、精神的に不安定です(^^; 大事な釣り竿が折れたとか、娘に彼氏の存在が発覚したとか、非番の日に何かあったのでしょうか。
続けて起きる崩壊現場に駆けつけるエクシードラフト。レッダーはバリアス7のハイパーサーチライトを使用するが、見えない巨人はそれでも補足する事が出来ない。そして続けて起こる、緑が丘の造成地での同様の崩壊。仮に見えない巨人が存在したとしても、あまりにも移動スピードが速すぎる。
隼人「何か妙だ。見えない巨人なんて、本当にいるんだろうか?」
ところで、反橋児童文化センターの崩壊現場に向かった際、なぜかレッダーがシンクではありません。
制作順と放映順が違うのかな……と思ったら、次の現場ではシンクレッダーに。
記憶にある限り、過去映像の再利用というわけでもなく、謎。
もしかして、想定される脅威度に合わせて、トライとバトルを使い分けていたりするのでしょーか。
一番可能性高いのは、諸事情によりカットされてお蔵入りになっていた爆発レスキューシーンをサルベージした、という所ですが。
反橋児童文化センターの崩壊跡で現場検証していた拳は、午前中に出会った不登校児・新田保が事件現場に居るのを見つける。
「お願いしてたんだ……見えない巨人に」
巨人の事をニュースで聞いた保は、いじめっ子達を踏み潰してくれるよう、巨人に頼んでいたと言う。先生に相談しても信用してくれない、と言う保に、どうしていじめられると思うかを問いかける拳。
「貧乏でボロアパートに住んでいて」「父もいない」という理由を、
そんな事は理由にならない
とずばっと斬り捨てる拳(おぃ)

「君が逃げるからつけあがるんじゃ?」
「やられたらやり返せ」
「それぐらいのガッツがなきゃ駄目だろう」

ひたすら、駄目な対応をしまくる拳。
お客様! お客様の中に、村岡耕作様はいらっしゃいませんか! 早く来て、耕作! 今ここに必要なのは、拳ではなくて君だ!
20年前にしても、拳が典型的な“いじめはいじめられる側にも原因があり、ほとんどの場合、心の強さで乗り越えられる派”で凄い(^^;

「自分が強いから、そんな事を言えるんだ!」
「その通りですよ、エクシードラフト。権力を持つあなた達には、弱い人間の悔しさはわからない」

保少年の叫び声に応えるかのように、姿を見せる謎の男。
「我々は権力なんて持っちゃいない」
……いや、拳さん、権力、ある程度は持っていると思いますが。というかそこは、自覚していないとまずいと思うんですが(^^;
「しかし、権力を持つ者の味方だ」
ぐうの音も出なくなってしまう拳(笑)
一方、本部では隊長が、謎の崩壊事件の真実に辿り着こうとしていた。
「結論から言います。本部長、見えない巨人なんて始めから存在しないんです」
まあ、マスコミはともかく、足跡はフェイクだと考える方が自然であり、むしろいきなり巨人説を唱えだした本部長に何があったのかを検証した方がいい気がします。
足跡、霧、そして崩壊……それらの正体は、電磁波によって生み出された重力によるものであった。被害にあった3カ所は全て、実業家・反橋栄一郎の所有地であり、反橋に恨みを持つ電磁波の世界的権威、奥田広行が捜査線上に浮かび上がる。30年前の夏、奥田の兄・タカヒコは、反橋に2階のベランダから突き落とされ、下半身不随となる重傷を負った。そのタカヒコが、先頃、交通事故で死亡。奥田はその復讐を考えている可能性が高い……そして、拳と保少年とのやり取りに割って入った男が、奥田であった。
3人の詰問を受けても、とっくに金で片が付いた事だ、と全く悪びれない反橋。似たもの夫婦なのか、奥さんがまた、凄く嫌な感じ。そして反橋家の息子こそが、保少年をいじめているリーダー格であった事も判明。反橋家を張り込んでいたエクシードラフトの前で、拳の言葉に勇気を貰って反橋子供と話し合おうとするも邪険に追い払われた保は叫ぶ、
「やっぱり見えない巨人に、踏みつぶしてもらうしかないんだ!」
その時、屋敷の周辺に立ちこめる霧。地響きと共に反橋家が崩壊していく様子に電磁波の発信源をサーチしたエクシードラフトは、奥田のアジトを突き止めて現場へと急行する。
…………えー、家屋敷はともかくとして、反橋さんを救助していってください(^^;
幸い自力で脱出しましたが、明らかに、不愉快だからスルーしていて、これは非常にまずい。一晩、屋敷の前で張り込んでいたのだから、中に居るの、知っている筈ですし。
「あのうちを、潰してやるからな、兄さぁん!」
奥田研究所へ乗り込んだエクシードラフトは装置を止めるが、強引に停止した為に重力の影響が奥田研究所に向かってしまい、崩壊していく研究所。シンクレッダーは装置を完全に破壊し、ブルースとキースはなんとか瓦礫の下から奥田を救出する。
「30年間の恨みの重さに、自分が潰されやがって!」
拳の言葉に、そんなものはとっくに振り切っていた、と告げる奥田。
「恨んだって通じない奴だ。だから見限った。あいつの事なんか忘れて、前向きに生きてきたんだ、この30年」
しかし、児童文化センターを作った反橋のインタビュー記事、昔はいじめなんか無かった……という言葉、それだけは許す事が出来なかった奥田タカヒコは、怒りのあまり反橋に抗議しようと飛び出したところで事故死。そして今、眠っていた怨念を掘り起こした奥田は、自らが見えない巨人に踏み潰された……。
「やっぱりあれだなぁ……弱い奴は、強い奴になぶられても、好き放題なことされても、刃向かえないことになってるんだなぁ世の中ってさぁ。はっはっはっは、いい世の中だよ、まったく。ははははは……っ……くっ……ううぅ……」
拳も耕作も、崩れ落ちる奥田にかける言葉を見つけられず、ただ唇を噛みしめるしかないのであった……。
「踏み潰せ、あいつらを全員踏み潰すしてくれ、見えない巨人」
そして、遊園地で遊ぶ反橋親子らを、暗い瞳で見つめる保少年。
拳は、そんな少年を改めて諭す。
「見えない巨人なんか頼っちゃ駄目だ。自分自身で今、敵に立ち向かっていくしかないんだよ、保くん。心の中に見えない巨人を育てないでくれ。逃げないでくれ。諦めちゃ駄目だ」
拳にうながされた保は反橋息子に踏み出し、勇気を持って言葉にする。
「今度やったらやり返す、やり返すからな」
んん?
反橋息子はその姿に怯えて頷き、敵を乗り越えた保は、拳とともに帰路につくのであった。
…………えー、これで解決、で良いのでしょうか。
まあ、いじめ問題というのは当然非常に難しく、反抗心がある、と思わせるのは一つの対抗手段でもありましょうが、どうにも難しい所に踏み込んだ上でフィクションで許される範囲の綺麗なファンタジーとして解決するわけでもなく、現場のあるデリケートな問題に駄目な手の出し方をした、という気がします。
こういうデリケートな問題をテーマにした時こそ、フィクションにおけるファンタジーの作用が効果を発揮していい、筈なわけで、これはかなり、よろしくない脚本(20年前と現代の、いじめ問題に対するギャップ、というのは背景に影響あるかとは思いますが)。
というかこれ、


「話し合いは終わりだ。これからは……」
「これからは?」
「殺し合いだ!」
(『仮面ライダー(新)』第1話より)
だと思うんですが(笑)
そして反橋母子は、帰ると家が崩壊しているという、恐ろしいオチ。
物語的な因果応報を考えると、この崩壊事件をきっかけに反橋グループは衰退していき、反橋一家は転落、今度は反橋息子がいじめの対象になっていくのだろうなぁ……果たしてその時、保少年はどちらの側に立てるのか?
語弊を招く言い方を敢えてすると、『ソルブレイン』ぽいエピソードでした。
“見えない巨人”のダブルミーニングが最後に効いてくるのは面白かったけど、これは扇澤延男、悪い意味でやりすぎたし、書き手として持ち込んだテーマに責任を取っているように見えず、非常によろしくなかったかと思います。
なお途中まで、実は反橋父は、かつて奥田タカヒコによっていじめられており、ベランダから突き落としたのはその報復の為であった、ぐらいのねじれた構成だと思っていました。というか劇中の要素を繋げるとその方が自然なので(「やられたらやり返せ」という論法が何を生むかを、拳は知るべき)、初期段階ではそういうシナリオだったのではないか、ぐらいに邪推しています。
次回、隊長、激務のストレスで遂にレボリューション!
ナレーション「もはや夢でも幻でも、囮捜査でもない」
ああそこ、凄く大事なので強調しないといけませんね(笑)


◆第36話「隊長が裏切った!?」◆ (監督:小西通雄 脚本:酒井直行)
トロール中の隊長、道に倒れた男を轢きそうになる。
……事故、あくまで事故ですよ、事故。急に倒れてきたのは相手の方です。
慌てて車を降りた隊長は、倒れた男から催涙ガスを吹きかけられて昏倒……それは隊長を捕らえる為の罠だったのだ。意識を失い、次に目を覚ました時、隼人は奇妙な装置を頭にかぶせられた状態で、椅子に縛り付けられていた。
「お目覚めでございますか、ナンバー2。先ほどのご無礼、お許し下さい。あれからちょうど1年、お約束通り、お迎えにあがりました」
慇懃無礼な態度を取る、先ほどの男。
「何の事だかさっぱりわからないな、人違いしているんじゃないのか」
特捜エクシードラフト隊長、叶隼人、人違いではない」
そこへ現れる、恰幅のいい中年。
「なにぃ?」
「叶くん、カオスという組織を、ご存じかね」
カオス……それは、麻薬と武器売買を主体にヨーロッパを中心として拡大している、国際的な秘密結社。中年の男・山崎はそのカオス日本支部のボスであった。
この山崎、微妙に顔立ちが一色本部長代理に似ているのが、なんか面白い(笑)
「そして叶くん、君の本当の正体は、我がカオス日本支部の、ナンバー2なんだよ」
山崎によれば隼人はもともとインターポールに潜入捜査をしており、エクシードラフトの隊長に選任された折に、自ら過去の記憶を封印。来るべき日の為に別人の記憶を持った叶隼人として、エクシードラフトの隊長を演じていたのであった。頑強に否定する隼人であったが、なんと過去の自分からのビデオメッセージを突きつけられる。
「やあ、元気にしてたか。驚いただろうが、ボスの話は全て真実だ」
勿論これらは全て真っ赤な嘘。だが混乱する隼人は、息子を人質にとられカオスの言いなりになっている陣野博士の手により、自分が真実カオス日本支部のナンバー2であるという偽の記憶を、植え付けられてしまう! 偽記憶の効果は丸二日あまり……カオスの目的は、その間に、叶隼人/シンクレッダーによりエクシードラフトを壊滅させる事であった!!
早速、行き過ぎた力が身を滅ぼすという教訓が(笑)
隼人が連絡を絶って2時間あまり……シムの探査によって路上駐車されたバリアス7と、通信に応答しない隼人を発見した本部は、耕作と拳が隼人を追うが、カオスのナンバー2であるという記憶を植え付けられてしまった隼人は、未だかつて無い楽しそうな顔で「実装」。スクラムヘッドへと砲火を向ける!
まあ子供番組としての配慮なのでしょうが、潜入捜査とか洗脳とか、全部最初に種明かしをしてしまうのは、やはり勿体ない所。わかった上での、いったいどんな理由なんだ? というドキドキ感は欲しい所であります。
こう見ると、誘拐犯扱いを受ける不思議空間の中でじわじわと主人公の身に起こった出来事を明かしていく『ソルブレイン』第36話「誘拐犯は隊長!」は改めて意欲作だったのだなぁ。
「エクシードラフトを壊滅させる事が、カオス日本支部のナンバーツーであるこの俺に、与えられた使命だ! わかったか!」
ブルースとキースを抹殺するべく、襲い来るシンクレッダー。
……都合3回目の、仲間割れ?
ジャケット変わってはいるものの、さすがにもう、インパクトは弱い(笑)
「それは隊長を陥れる罠だ! カオスの奴らに偽の記憶を植え付けられたに違いない!」
ごくあっさりと、真相に辿り着いてしまう耕作。
「いったいどうすれば……」
「思い出させるんだ…… 俺たちとの思い出を!  人々を救い、悪を断つ為に身を投げ出して戦ったあの一つ一つを!」
真実の記憶を取り戻させるべく、説得を試みるブルースとキース。
「俺はこの身を犠牲にしてでも、隊長を目覚めさせるぜ!」
力強くヘルメットを外す拳。耕作と拳は互い互いに過去の激闘を語り、隼人を目覚めさせようとする……と軽い名場面集。
拳がヘルメット脱いでも耕作が脱がないのは、ジャケット着たまま中の人がアクションできるかどうかでしょーか?
二人の話を聞き、混乱していく隼人の記憶。
「エクシードラフトは、人の命を救う為に結成された筈だ! その人間が、人を殺せるのか……殺せるなら、殺してみろぉ!!」
「ひとのいのち……?」
「たいちょーーー!」
「たいちょーーー!」
迸る、隊長好き好きオーラ
そして隼人の脳裏には、陣野博士が偽記憶の中に仕掛けておいた、囚われの親子の映像がフラッシュバック。
「ひとのいのちをすくうために……」
ブレードを振り上げていたシンクレッダーの動きが止まり、そして膝をついた隼人はヘルメットを外す。
隊長、愛と気合いでここに復活。
気力を使い果たしてふらりと倒れる拳を支える。
……まずい、まさかここで、拳が真ヒロインに昇格するとは。
正気を取り戻した隼人は、陣野博士が囚われの息子を助けて貰えるようにと仕掛けていた映像の記憶から、カオスのアジトを割り出し、エクシードラフト突貫。バズーカ持ち出して抵抗したカオスであったが、怒れるエクシードラフトの敵ではないのであった。
……で、隊長、証拠物件(記憶改造装置)をサイクロンノバで完全消滅とかしないで下さい。プライド的に許せないものがあったのかもしれませんが、警察として、確保をお願いします(笑)
予告で煽った割には隊長もシンクレッダーもさして暴れないのが残念でしたが、いくら悪の陰謀で記憶を改変されたからといっても、やりすぎると本格的に免職の危機になるので、仕方が無い所か。
あと前回今回と、バトルジャケットにバージョンアップした要素が戦闘で全く意味を持っていないので、意識的にトライジャケットでは対応しきれない敵、というのを本当は出して欲しかったところ。
宇宙人やオカルトが出てこない限りはオーバースペックである、という事だけが裏打ちされていきます(笑)
次回、不死身のブラックウェンズデーの正体は?!
風忍馬風ですよね……。