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『仮面ライダー電王』感想1

この頃は仕事が忙しくて戦隊もライダーもすっぽり抜け落ちているので、初視聴。ただ話題作だったので、メインキャラクターとかは、何となく知っています。あと長石多可男監督作品という事で、TVシリーズ見ていないのに、劇場版『俺、誕生!』は見た(笑)
◆第1話「俺、参上!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
フルCGによる変な電車の疾走シーンから始まって、いったいこれはどうなるんだという不安と、新しい事を見せてくれそうな期待が入り交じる冒頭。そこから、よろけて、看板でジャンプして自転車のまま木の上に引っかかってしまった主人公、という不幸体質のインパクト見せ。
不幸なアクシデントが連鎖的に発生してヤンキーにからまれる主人公・野上良太郎、劇中モテヒエラルキーの頂点に君臨するとおぼしきその少々過保護な姉・愛理、そして謎の電車の乗客である少女・ハナ……と、メインキャラを見せていき、黒いパスケースを拾った良太郎は、不思議な電車の走る線路を見る……。
リアルヤンキーの主人公への暴行シーンは少々やりすぎかと思うのですが、今度は、鉄パイプで迫る主人公。
イマジンと呼ばれる謎の存在に憑依された良太郎は、性格と戦闘力が激変し、声が関俊彦に。

「俺、参上」
「いいか……俺に前振りはねぇ。最初から最後まで、徹底的にクライマックスだ。覚悟決めとけよ」
「逃げんなよ……今考えた俺の必殺技を見せてやる。必殺……俺の必殺技」

だが、ヤンキー達に振り下ろされようとした鉄パイプを止める、良太郎の中の良太郎。主導権を取り戻した良太郎はその場を逃走し、そんな良太郎を追いかけるハナ。
「あのとき気付くべきだったんだよね。君が特別な存在……特異点だって」
黒いパスケースの本来の持ち主であったハナは、良太郎に告げる。
「見つけた……君なら、電王になれる」
そこへ姿を現す、バットイマジン。
ハナは良太郎に変身して戦う事を要求。
「へ…………へ……」
「はやく!」
「変身!」
状況についていけないというより、いい歳して「変身!」と叫ぶ羞恥プレイに抵抗したように見えます(笑)
こうして無理矢理、変身させられた良太郎であるものの、その姿はモノトーンの白黒でどこかへにょっとしており、実に弱そう(笑)
クウガで言う所のグローイングフォーム、龍騎だったらブランクフォームといったところでしょうか。
ここで良太郎の腰に現れたベルトを、ハナが後ろから締めるのが、甲斐甲斐しくてちょっと可愛い。
というか、ヒロインの可愛いアピールはここだけで、後は終始フリーダム。
そもそも、良太郎が追われる原因(キーホルダー拾得)作ったのが、ハナ。
再びイマジンを憑依させた良太郎、ベルトの赤いボタンを押して、電王ソードフォームに。
「俺、再び参上!」
「貴様……何を考えている! 我々の使命を忘れたか?!」
「そんなもん最初っから覚えてねぇ。さっきはへこんだが、こっちの方が面白そうだぜ。ていうか、俺はこういうのがやりたくて来たんだよ! 相手は関係ねぇ!」
「はぁ……バカか」
「言っとくが俺は、最初からクライマックスだぜぃ!」
声優フル活用の時点で決め打ちでしょうが、この辺りはひたすら、台詞回しの面白さで見せ、印象づけていきます。
もともと特撮の怪人は担当声優の演技で個性をつけてもらう場合もありますが、相手役(バットイマジンの声)もベテランの梁田清之さんを配し、「はぁ……バカか」の辺りは実に絶妙。
「俺の必殺技――パート2」
戦闘はかなり一方的となり、ソード電王の連続斬りが炸裂し、バットイマジンを撃退。
「今のが電王……ずっとなれる人、探してたんだよね。一緒に戦おう。未来から侵略者が来てる。時の運行を、守らなきゃ」
わけのわからないまま、良太郎は再び現れた謎の電車・デンライナーに、無理矢理乗せられるのであった……。
気弱で不幸な主人公が流されがちな中で、拾ったパスケースは中身が無くても警察に届ける、憑依したイマジンの乱暴を止める、と意志を見せる一線、をきちんと描いており、嫌な感じのしない展開。そして細かい説明の不足はなんとなく“ハナが悪い”という所に集約(笑)
良太郎に憑依するイマジンの台詞回しを特徴付けたのに対応させるためか、ハナも台詞回しを独特にしているのですが、これが効くかどうかは、今後、役者さんの慣れ次第か。今のところ、ちょっと変、という方が先立ちます(^^;
とにかくインパクト重視で説明は全て2話以降で、というのはスタンダードな構成ですが、1話にしては車も爆発しないし、ビルも吹き飛ばないし、地味め。……いやこれを地味めと呼ぶ感性も微妙かもしれませんが、だいたい1話では、車を何台か破壊してみる、と相場が決まっている筈なんですが(笑)


◆第2話「ライド・オン・タイム」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
デンライナーに拉致された良太郎、押しの強い女達に囲まれるの巻。
「イマジンは、取り憑いた人間の望みを、一つ、かなえる」
未来から砂の粒子のような形で2007年にやってきたイマジンについて、ハナによる解説。
イマジンは憑依した人間のイメージによって実体化。その人間と契約を交わし、あるものを手に入れる。それは……
「その人の、過去の時間。それがイマジンと、取り憑いた人間の、契約」
良太郎に取り憑いた赤いイマジンも、デンライナーの中で実体化。そのイメージ元は、良太郎によると、「桃太郎ではないか」との事。良太郎にとって子供の頃のヒーローだったそうですが、どうして自転車で走っている時に桃太郎を思い浮かべていたのかは謎。……まあそれを言うと、バットイマジンの方も謎なので、そこは深く考えない方が吉か。
良太郎に望みを言うように迫る赤いイマジンを、張り飛ばすハナ。
着ぐるみとセメントで掴み合うヒロイン(笑)
一方その頃、街では生きていたバットイマジンが、キーホルダーを求めて、人を襲っていた。よく考えると1話では無かった、怪人による直接被害の描写。ハナが拾っていたキーホルダーを受け取った良太郎はそれをヤンキー1に返そうとするが、結果的にヤンキー1の望みを叶え、バットイマジンの契約を完遂させる事になってしまう!
「母さん……」
「契約完了だ」
ヤンキー1の強く思い浮かべる過去――それは、2004年12月24日。
その日、病気で入院していた彼の母親が死亡。しかし、外で遊びほうけていた彼は母の死に目にあえず、キーホルダーは死んだ母親からの最後のクリスマスプレゼントだったのだ。
過去のヤンキー1の時間を手に入れたバットイマジンは、ヤンキー1の体に乗り移り、タンクローリーを奪って激走。イマジンが過去で暴れると、その被害が現代に及び、破壊されていくビルや橋脚!
と、1話で無かった派手なクラッシュ展開。
そして、「契約によって過去の時間を手に入れ、人の強い記憶をたどって過去へ飛ぶ」イマジンの行動目的とその結果――「過去を変えて、今も未来も変える事」が、明確に表現されました。
まあそれでも割とわかりにくく、かなりわかりにくい話を、できる限りわかりやすくしようと監督頑張りましたが、これはパイロット版(1,2話)は大変だっただろうなぁという感じ。
文章で書くとそうでもないのですけど、映像表現で年少者にわかってもらう為に、相当苦労したかと思われます。
「私たちも行くよ……イマジンを止めないと、大変な事になる。街の人も……この子も……死ぬ」
「なんだかよくわからないけど……やらなきゃいけない事だけは、わかった気がする」
良太郎、自分の手でベルトを締めて、変身。
ここは、流され気味の良太郎が自分の意志にするプロセスが少々早すぎた気はしますが、今後もうちょっと踏み込んでいく事に期待したい。
ソードフォームに変身し、デンライナーに乗り込む電王。
先頭車両にバイク(笑)
電車の運転席に当たる部分に、置いてあるバイク。バイク型運転席、ではなく、文字通りにバイクがあって、それに乗ってデンライナーを動かす、という驚愕のギミック。
これは凄い(笑)
まさかこんな形で、バイクと電車を融合してくるとは。
デンライナーは過去へと飛び、暴走するタンクローリーを停車させる。車両からバイクが飛び出して逃げ遅れた子供を救う、というバイク単品の見せ場も盛り込み、鮮やか。
そして意味ありげな謎の男が、1シーン登場。
やたらに強いソード電王はバットイマジンを撃破するが、倒れたバットイマジンが、暴走モードで巨大化。
「でかいもんには、でかいもんに決まってるだろぉ!」
とソード電王はデンライナーに乗り込み、各車両の火器を解放。火力全開、集中砲火により、暴走イマジンを撃破……と、戦隊で言う所の巨大戦と認識すればいいのか、デンライナー見せ場。
……正直な所、平成ライダーの幾つかのシリーズで行っているこの二段構えは、どうもテンポが微妙になる気がして、あまり好きではないのですが。とはいえまあ、こちらが“慣れていない”だけで、見続けている内にこのテンポで納得できるようになるのかとも思えますが。
電車火器は、中途半端な事をせずに、とにかく全車両から色々出てきて撃ちまくる、と派手にいったのは良かった。
「あー……面白かったぁ」
と満足した赤いイマジンは良太郎から離れ、良太郎は運転席で気を失ったヤンキー1に近づく。
「ちょっとなにする気?! 私たちだって、過去を変えたら!」
「ちょっとだけ……ほんの、ちょっとだけだから」
良太郎はヤンキー1をデンライナーに乗せ、病院へ。ヤンキー1は、母親の今際の際に間に合うのであった……と、タイムパラドックス的な何かをどういう設定でどう処理するのかわかりませんが、良太郎の強さと優しさを見せつつ最後はいい話にして綺麗に落着。
これぐらいでは、ヤンキー1の性格もその後の人生も変化しない、というドライな世界観なのかどうかは、今後次第。
事件が解決して、改めて赤いイマジンに望みを言えと迫られる良太郎っだったが……
「僕の望みは……もう少し考える事」
と実質的な放置プレイでやり過ごし、ドタバタコンビ誕生の予感……? という所で、次回へ続く。
ライダーは桃、主人公は気弱で不幸、メインギミックはタイムトラベル、ヒロインはハードパンチャー、着ぐるみ芸+声優の徹底活用、と色々と大胆な事をやっている一方で、これまで戦隊やライダーであまり積極的に触れずに来た子供向け鉄板ネタの一つである「電車」を取り込んでいるというのは、なかなかバランスが面白い。
勿論、電車を取り込む事自体が大胆ではあるわけですが、一方でライダーはフォームチェンジ型という平成ライダーとしては先祖返りをしていたりで、企画段階での試行錯誤が窺えます。
赤いイマジンに関しては、関俊彦をキャスティングした時点で勝利。
出来れば早めに「良太郎の覚悟」を描く展開が見たいですが、どう転がしていくか楽しみ。