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『五星戦隊ダイレンジャー』感想21

◆第39話「魔拳 落日に散る」◆ (監督:小笠原猛 脚本:井上敏樹
ゴーマに囚われていた陣は牢獄を脱出するが、既にその体には、ザイドスによってある仕掛けがほどこされていた。
コウの行方不明も、東京大破壊も、さっぱり脇に置いておいて、仲間達と草野球に興じていた亮は、公園で倒れていた陣を発見。(なぜだ……なぜあの時、陣は俺をかばった……)。陣が雷撃拳から自分をかばった事に戸惑っていた亮は、重傷を負っていた陣を助け、思わず家に連れ帰ってしまう。
「どうやら、俺とおたくは切っても切れない縁があるようだな」
急速に上昇するドキドキゲージ!
陣の怪我の手当をした亮は、嫌がられるのも構わず、甲斐甲斐しく世話を始める。
おかゆを作ってふーふーしてみたり
(当然、嫌がられてレンゲを弾き飛ばされる)
食費と治療費の為に残業増やしてみたり
車椅子を押して散歩してみたり
……えー、何があったのでしょうか、亮。
古来から、「命を助けるイベント」はフラグを一気に進める効果があるとはいえ……遺産か?! 遺産目当てなのか?!
そして、わざとでしょうが、車椅子+広瀬匠、という画は『ジェットマン』的にえぐい。
途中で、駅の階段で困って周囲の人に助けを求めるも誰も手を貸してくれない……というシーンが入るのですが、その後、陣を背負った上で後ろ手に車椅子を掴んで階段を上がってしまうので、そもそも助けを求める必要があったのかどうかは、ちょっと悩ましい。
こうして亮が陣をほだしている頃、街では夜な夜な、ゴーマ怪人・餓狼鬼が人々を襲っていた。そしてある日、陣は自分の右手に見覚えのない血痕と不思議な白骨化の跡があるのを見て、自分の体に何らかの異変が起こっている事に気付く。
亮の餃子拳・尽くす妻の連続攻撃を受け、ときめきゲージがぎゅんぎゅん上がっていく二人は、ある日の散歩中……
「なぜだ……どうして俺にここまでする」
「おまえだって……俺を助けた」
「違う。前にも言ったはずだ。俺は貴様を自分の手で倒したい。だから貴様を助けた。それだけの事だ」
「そうだったな。本当言うとな、自分でも、よくわからないんだ。……ひょっとしたら、俺はおまえと同じ理由で、おまえを助けたのかもしれない。おまえを倒すのは、俺だ――! そう思っていたのかもしれない……




1,一人の、料理人として」
2,一人の、拳士として」 ←
3,一人の、天使として」

「一人の……拳士として……?」
陣・個別ルートに入る亮(そろそろ、いい加減にして下さい)。
「亮、頼みがある。もし俺が拳士でなく、心を無くした……怪物となった時、その時は、おまえの手で、俺を殺してくれ。急所は……ここだ」
胸の真ん中を示した陣は、突如苦しみだし、車椅子から転がり落ちる。
「忘れるな……俺との約束」
よろけながらもその場を走り去る陣、亮は慌ててその後を追うが見失い、そして公園に出現する餓狼鬼。駆けつけた4人との戦闘になり、テンマレンジャーの大輪剣が炸裂。右腕に傷を負って餓狼鬼は逃走し、陣を探していた寮は、右腕に深傷を負った陣を発見する。将児が傷跡の一致に気付き、5人の前で苦しみだした陣は、餓狼鬼へと姿を変える!
「もはやそいつは陣ではない……奴が脱走する前に、奴の体に餓狼鬼の細胞を埋め込んでおいたのだ」
待ってましたとばかりに登場するザイドス。
………………えーと、あれ、魔拳士にした意味はいったい……?
餓狼鬼自体がそもそも、魔拳士の肉体が触媒に必要とか、そういう事なのでしょうか。拾ってきた陣が全く言う事を聞かないので、魔拳士のまま利用するのは諦めた、とか理由は付けられそうですが、それにしても全く、伏線も描写も無いので、ザイドスが何をしたいのかさっぱりわかりません。餓狼鬼の強力描写が無いので、手間暇かけた理由も皆無ですし。
結局、暗躍してみたけどザイドスの知略は1でした、みたいな。
酷い事に。
「ザイドスぅ、停戦した筈じゃなかったのか?!」
「んん? 何だってぇ?」
……あ、見ている方も忘れていました(おぃ)
餓狼鬼と激突するダイレンジャー。陣はもう完全に、ザイドスの操り人形になってしまったのか……? 覚悟を決めたリュウレンジャーは、陣が告げた急所へと剣を突き刺す――が、その一撃は浅い。
しかし、
「俺は拳士……貴様の思い通りにはさせんぞ、ザイドス!」
意志の力を振り絞り、自らの手で、急所に剣を深々と押し込む餓狼鬼/陣。泡を食ったザイドスは餓狼鬼と陣を分離し、肉体を取り戻した陣は、亮とともにゴーマへと立ち向かう!
亮と陣の生アクション合わせ技は、さすがに格好いい。
魔性降臨した陣はザイドスと激突し、ジャシン風拳を放つが、完調で無かった為か反撃を受け、倒れる。餓狼鬼はその間に気力バズーカで瞬殺され、駆け寄ってくる亮の前で立ち上がる陣。
「拳士として……」
「拳士として……」
お互いの想いを胸に、ぶつかり合う二人。互いの拳の打ち合いはわずかに亮が勝るが、亮はその一撃を陣の眼前で寸止めする。軽く、その拳を脇へ払う陣。
「甘いな……どこまでも甘いやつだ、おまえってやつは。これだけは覚えておけ。拳士は、私情を乗り越える時も必要だと」
敗北を受け入れた陣は微笑し……深傷を負った体を引きずってその場を離れていく。
「どこにいくんだ? その体で」
「寄るな! 俺は俺でいたい。これ以上おまえのそばにいたら、俺が俺でなくなってしまう」
的場陣、逆転満塁ホームランで、ヒロインの座に躍り出る(待て)
しかも、逃げ切り体制に入った!
「世話ばかりかけちまったな……亮。ありがとう」
最後に一瞬、足を止めて振り返ると、急に清々しく笑って陣は姿を消す。
陣の性格がねじれた原因は師匠との一件にある筈なのですが、その辺りは完全にすっ飛ばしたままで吹っ切れてしまうという、さすがにこれは、魔拳士の踏み台的に殺された(?)亜紀さんが可哀想すぎて酷い(^^; 魔拳士そのものに、全く意味が無かったのも含めて。
夕陽の中を独りよろよろと歩く陣は、ゴーマ雑魚の大軍団を引き連れたザイドスと接触。夕陽をバックに雑魚を蹴散らしていく陣であったが、そこへ降り注ぐ銃弾の雨……銃声は幾重にもこだまし、砂地に落ちた金色のメダルがただ、風と砂にさらされる……
と、『明日に向かって撃て!』的ラスト。
うーん……魔拳士とは、いったい、なんだったのか。
いや一応まだ、最終盤で「実は生きていた!」展開が出来る見せ方にはなっていますが。
それはもう、あっても最終盤のお祭りであって別枠として、ゴーマ側にとっての魔拳士が、「ザイドスが独力で手柄を立てる為に都合のいい戦力が欲しかったけどうまくいきませんでした」以上のものに全くならなかったのは残念。
どうにも腰の据わらない主人公の腰を据わらせた、という点で、登場回は中盤の転機となるエピソードであり内容も面白かったのですが、その後の使われ方はどうにもおざなり。
亮のライバルとしてもっと時間をかけて使ってもいい筈なのに、登場回だけやたらに話がハイペースで進みますし(^^;
脚本や役者のスケジュールの問題もあったのかもしれませんが、杉村回が1.5話分ぐらいの内容を2話に引き延ばしているとしたら、井上回は1.5話分ぐらいの内容を1話に強引に圧縮しているというか。
ダイレンジャーの個々のメンバーと絡んだキャラの連続エピソードで物語が展開していく、という構成は、前半はこういうのもありかと思ったのですが、後半に至っても各個のエピソードが一切横の繋がりを持たないというのは、物語全体に奥行きと広がりが生まれず、どうにも苦しい。
この魔拳士編は特に、今作の構成のデメリット部分が大きく出てしまったように思われます。
……次回、3バカもタイトルで殺される(笑)


◆第40話「さらば! 3バカ」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒川稔久
将児の前に姿を見せる3バカ(神風大将、電話先生、墓石社長)。
「ゴーマはおろか、コットポトロにも見放されたんだ!」
固有名詞覚えてないのですが、たぶん、ゴーマ一般兵の事っぽい。
挑戦を受けた将児は、墓石社長と相撲、電話先生とプロレスで戦い、最後は天馬スーパー回転蹴りで3人を蹴散らすが、神風大将からバイク勝負を持ちかけられる。一応仲間に相談するが、まともに付き合わないでみんなで倒しちゃおうぜ、と仲間の態度は淡泊。表向きはそれに合わせる将児は、勝負には行かない、と告げてひとり先にファミレスを出るのだが、その後を追いかけるリン。
「ホントは行くんでしょ?」
「へっ……どこへだよ」
「どうして独りで行くの?」
「っ……わかんねぇよな。わかんねぇけど……俺が片を付けてぇんだ」
将児と3バカの関係性を知るリンが将児を気遣う、というのは拾ってくれて良かった。将児は独りで走り去り、それを待ち受ける3バカ……とザイドス。
「おぅ、ゴーマに見放されたとはいえ、おまえらは俺の可愛い部下だ。あいつを倒せば、命だけは助けてやる」
「本当か! 俺が勝ったら、幹部の椅子をたのむぜ」
会話、成立してない(笑)
これまで、野球だのサッカーだの、3バカに無茶なセッティングを用意してきたザイドスさんですが、割と真面目に気にしていた模様……言う事聞いてくれる相手が3バカしか居ないのかもしれませんが。
将児は約束の場所に特攻服で現れ、レーススタート。バイクが停止すると爆発する、という爆弾を付けた状態で、船と路線バスに取り付けた鍵を入手してゴールへ辿り着くというチェックポイントレースで、爆弾はチェックポイントとゴールの3つの鍵を使う事でのみ、解除可能。
「俺達はもう、ノンストップって事だぜ!」
墓石社長や電話先生の妨害行為をくぐりぬけ、神風大将とデッドヒートを繰り広げる将児。そして4人の仲間は陰からそれを見守り、電話先生の妨害行為を止める。
「将児は……男と男の勝負がしてえんだ!」
しかしこう、電話先生の能力は使い方次第でけっこう強力な気がします。……まあゴーマの場合、指揮官が怪人の能力を利用するというより、特殊能力を持った怪人が自分の裁量で行動するスタイルなので、能力以外の要素も必要な組織なのですが(^^;
「社長……なんだか楽しそうね、神風くん」
「せやなぁ。まじやでぇ、二人とも」
観戦モードに入った先生と社長のもとへザイドスが姿を見せ、先生の電話を神風大将へと繋ぐ。
「バカめぇ! こんな時に限って張り切りやがって。貸せ! もういい、神風……おまえは勝たなくていいんだよ! バイクにしかけた爆弾はダミーだ!」
本当の爆弾は、実にゴールに仕掛けられていた! つまり、このレースの勝者こそが、超強力爆弾の餌食となって吹き飛ぶのだ。
「おまえはいつも通り負けりゃいいんだ。いまさら気張ったってしょうがねえんだよ。落ちこぼれは落ちこぼれらしくしろってんだ!」
3バカの為にわざわざ周到な作戦を用意してくれたザイドス……むしろ気遣いを感じるレベルで、口は悪いけど、いい人?
「落ちこぼれだと……ぉっ!」
その言葉に反発を感じながらも神風大将はバイクのスピードを緩め、高笑いするザイドス。
「いいぞ……そのまま負けろぉ! はははぁっ!」
「そういう事だったのね!」
「卑怯な真似……しやがってぇ」
だがそこへ、4人の仲間が姿を見せる。そして、神風隊長もまた……自分の内側で燃え上がる炎に従おうとしていた。
「この勝負は……そんなんじゃねえ。男と男の、勝負なんだ。勝つ! 俺が絶対に、勝つ!」
神風大将は最後の直線で将児を殴り飛ばすと、ゴールへ向けてフルスロットル。その前に両手を広げて立ちはだかるザイドス。
「やめろぉ神風! やめろぉ! 裏切り者ぉ!」
爆弾に突っ込もうとする部下を体を張って命がけで止めるとか、ザイドスさん、やっぱり、いい人?
神風大将はバイクを食い止めようとしたザイドスを引きずったままゴールへと直進し、更に止めに入った先生と社長もまとめて、ゴールへ突入。
全員、大爆発(笑)
そして爆発に耐えたものの、転がってきた3人の巨大化爆弾で、ザイドス、まさかの巨大化。
成り行きで巨大化してしまったザイドス、しかし幹部の意地を見せ、大連王を後退させる!!!
大金星。
だがそこへ駆けつけてくる、ウォンタイガーとダイムゲン。大連王は分離合体して、重甲気殿に。
……えー、なんだろう、39話にして初めて、大連王がちょっと苦戦してからパワーアップという、展開に(笑)
そしてもはや完全に存在意義を失ったキバレンジャー。
「神風と……電話と……墓石の分まで怒りを込めて、てめぇをぶっ潰してやる! 大圧殺!」
重甲気殿に押し潰され、ザイドス、まさかのリタイア? ……かと思われましたが、プレスされた状態で退却、無駄にしぶとい。正直ここで勢いで始末しても、それはそれで良かったような(笑)
凄惨な爆発跡で見つけた神風大将のホイールの残骸を、ゴールへ向けて転がす将児。
「おまえの勝ちだぜ……神風」
3バカとかつての自分とを重ね合わせていた将児は、3人を思って絶叫するのであった……ところがある日、将児の家に届く差出人不明の宅配便、そして鳴る電話。
「宅配便は届いたか、ベイビー」
それは間違いなく、神風大将の声であった。
「ふっ……地獄でも落ちこぼれちまってなぁ……」
生き残った3人は、ゴーマと完全に関係を切り、どこかで細々と罪を償う生活を送る事に。
「心の中で、これからずっと、アニキって呼ばせてもらうぜ」
届いた荷物は……友情と中央に大書された3人からの寄せ書き、と……こちらは予定調和で(笑)
3バカはキャスティングのはまり具合で転がった部分は大きかったかと思いますが、檜山修之のヤンキー演技は本当に素晴らしい。実は登場3回ですし(お祭り回も含めれば4回)、最初は亮メイン回だったので将児回としては2回だったのですが、登場回数以上の存在感を残し、連続エピソードとしても巧くまとまりました。
そして次回、クジャクさんの命も危ない。
この調子だと、次々回は「コウ(亀夫)、永遠に眠れ」とかか。