◆第13話「いい?答えは聞いてない」◆ (監督:金田治 脚本:小林靖子)
「なんか……どんどん体重くなってく感じ。やっぱり、イマジンが3体ってきついのかな」
「僕が替わるから、少し休みなよ。気持ちだけでも違うんじゃない?」
甘い言葉で良太郎を引っかけるウラタロス、憑依した途端にガールフレンドに電話(笑)
消す端から登録されるのかもしれないけど、アドレス帳をそのままにしてあるのは、良太郎の優しさなのか。
「馬鹿だなぁ、愛「愛してるわけねえだろ! さっさと便所いって寝ろ!」
そこへ割り込むモモタロス。
「ちょっと先輩やめてよ、今の子ナンバー3なのにぃ」
最近の株価暴落にともなう諸々で、ストレスの溜まっているモモタロス、M良太郎になって行動しようとするが、「あのクマ野郎、なにかっつうと泣ける泣けるって」とつい口にしてしまった単語に、キンタロスが反応。
「……泣けるで! 誰がオレの強さ見たいて?」
そのまま主導権を握って揉める3人だったが、突然まとめてデンライナーへと吹き飛ばされ、何かの違和感を覚えるウラタロス。その場に倒れた良太郎は、一連の奇行を目撃していた、街路樹の手入れをしていた老人・戸山秀二に、助けられる。
「君……芸人さん? なんか、変わった芸だったけど」
「けっこう……きつい……です」
そして気絶(笑)
翌日――デンライナーでは、チャンプが3人をしめていた。
テーブルの上に足を乗せて(笑)
えー……わたくし、9話の感想において「空手部員、女の子に組み付くのはどうかと思うよ!」と書きましたが、以後、ハナに関しては「ヒロイン」というよりも、改めて「一人の修羅」として扱いたいと思います。
「いい! イマジンと戦う時以外は、良太郎に憑くの、ぜっっったい禁止!」
「「「ええっ?!」」」
「わかった?!」
「「「はい……」」」
一方、良太郎はミルクディッパーで、羽虫Bことスーパーカウンセラー三浦により、催眠治療を受ける事に。
「さあ良太郎くん、君の奥にあるものを言ってごらん。何が見えているのか」
しかし良太郎には、全く催眠効かず。
「三浦くぅん、無駄だよぉ、そんなオカルトで何がわかるっていうの」
ところが割って入ろうとした羽虫Aこと尾崎、さくっとかかって小学校時代からの恋の思い出を語り出す(笑) 更には背後ではぼんやりとした表情になった愛理の視線が、あの望遠鏡に向けられていた……。
……て、あれ、三浦、有能?
いやこの際、何をもって有能といえばいいのかはよくわかりませんが。
喋り続ける尾崎を外に放り出した三浦が再び良太郎に催眠術を試みたその時、デンライナーの3イマジンが何かの気配に反応する。
(見つかっちゃった……)
そして紫色に輝く、良太郎の瞳。
「良太郎が消えた」
良太郎に繋がらなくなる、M、U、K。いったい良太郎の身に何が起きたのか?!
その頃、公園で動物や鳥に餌をやっていた戸山秀二は、公園の芝生の上でラジカセの大音量を鳴らしながらダンスの練習を始めた集団に抗議するが、あしらわれる。ダンスグループの一員に、昔知っていた子供の面影を見る戸山であったが、すごすごと引き下がった帰り道、その体にイマジンが憑依する――。
良太郎の異変を知ってミルクディッパーに駆けつけたハナが目にしたのは、何かが大暴れして滅茶苦茶になったような店内と、床でのびている三浦であった。「強力な悪霊が現れて……良太郎くんが乗っ取られてしまった」と告げる三浦。また、望遠鏡の所で何かをしていたらしい愛理が、何故か店内から姿を消していた。
謎が謎を呼ぶ中、戸山が去った後の公園でダンスグループをいきなり殴りつけたのは――紫良太郎(声:鈴村健一)。
「猫たちおどかしたのおまえ?」
紫良太郎は華麗なブレイクダンスでダンスグループを叩きのめすと、なおも抵抗する彼等に向けて、指を鳴らす。
「僕のこと、好きになってくれるよねぇ」
この台詞は、草加雅人(『仮面ライダー555』)の「俺の事を好きにならない人間は邪魔なんだよ」への、軽いオマージュでしょーか。
そんな騒ぎが起きている公園の入り口で、近づく人々を次々と襲うオウルイマジン。イマジンは戸山がつい口にした「動物が安心して暮らせる場所に」という望みを公園に誰一人立ち入らないようにする事で叶えようとし、止めようとした戸山すら殴り飛ばして気絶させる。
オウルイマジンは白ベースのボディに顔など一部が銀色で、狂気が前面に出た良デザイン。イマジンのデザインはここまでそれほど魅力に感じていませんでしたが、狂った感じがなかなか格好良い。
良太郎を追っていたハナも公園に入り込んでいた事でオウルイマジンに襲われるが、そこに現れたのはダンス軍団を引き連れた紫良太郎。紫良太郎はハナを攻撃した際に公園の木に設置してあった巣箱を壊したイマジンに、怒りを見せ……なんと、電王ガンフォームへと変身する。
「ちょっと倒してもいい? 答えは聞かないけど」
踊るようなステップを踏みながら、えらく攻撃力の高い銃を乱射するガン電王。この辺りの動きも、ミズノスーツの力でしょうか。ガン電王は飛行して逃げるオウルイマジンを追ってバイクを召喚。バイクで追撃しながら銃を連射し、公園の建物を蜂の巣にするが、ハナに止められると「あ、そうか。鳥の巣が壊れちゃうね」とあっさり攻撃を中止。
「あなたなんなの?!」
「何って……?」
さすがのチャンプも、まともな会話が成り立たない相手に困惑し、砂状態のモモタロスが突撃を敢行するが、あっさりと蹴散らされる。
「ボク、良太郎やっつけなきゃいけないんだって。だから憑いたんだ」
良太郎に取り憑き、なおかつ電王になった上で、衝撃の目的をさらっと口にするガン電王。
……えーと、一見まともそうだけど実は狂っているのはツッコミやすいのですが、明らかに狂っているとツッコミにくいので勘弁……!(笑)
基本、ツッコんだら負け、という、戦慄のツッコミ殺し!
この発言に危機感を抱き、ウラとキンもデンライナーから現在へと跳び、砂状態で居並ぶ3イマジン。作り手の思惑に完全にはめられていますが、砂状態は、なんとも可笑しみがあります。特にじたばた走って行く姿は、妙に可愛いと言わざるを得ない(笑)
ガン電王に突っ込む砂弾3勇士であったが……あっさりと弾き飛ばされ、デンライナーまで戻されてしまう。変身を解いた紫に食らいつくハナだが、その手をひねりあげる紫良太郎。
「聞こえないよ。良太郎はすっごく深いところに――」
(駄目だ)
「あれ、なんで?」
(駄目だ、放して)
良太郎は強引に主導権を取り戻すが、その場に膝をついて倒れてしまう……。
その頃、愛理さんはどういうわけか、羽虫Aの車に乗ってどこかへ向かっていた。
「どこでも愛理さんの好きなところ、行きますよ」
「いつもの、いつもの場所に行きましょう」
「…………いつものって……どこでしたっけ?」
「希望ヶ原。いつもの、星が見える丘」
愛理の目は尾崎を見ず、過去の記憶の中を彷徨っていた。それは、一緒に星を見た男……そしてその手には、懐中時計が……
という所で、続く。
どうやら三浦の催眠術が余計な所で火を噴いたらしく、忘れていた何かを思い出しつつあるような愛理さん。キーアイテムは懐中時計のようですが、果たしてそれが意味するものは何なのか? そして戦慄のツッコミ殺しに乗っ取られた良太郎の運命や如何に?! 電王4フォームも揃い踏み、物語はますます切れ味を増して盛り上がる!
◆第14話「ダンス・ウィズ・ドラゴン」◆ (監督:金田治 脚本:小林靖子)
体を取り戻した良太郎はデンライナーに運び込まれるが、なんと紫のイマジンが実体化。あっという間に怖い先輩方に取り囲まれるが、車内で実力行使するとデンライナーが危ない……とまずは話を聞く事に。
それによると紫イマジンはウラタロスが良太郎に取り憑いた際にそれをカモフラージュに利用して一緒に取り憑いた後、良太郎の奥底に潜んでいた、との事。……となると、実はキンタロスより先輩。
H「狙いは、電王? 特異点?」
紫「わかんない。頭の中にやる事が入ってくるんだよ、勝手に。イマジンはみんなそうでしょ?」
良「そうなの?」
U「ま、そんなところかな」
この情報はハナも初耳だったらしく、驚いた表情。
それがイマジンという種の本能的なものなのか、“何かの意思”が介在しているのかはわかりませんが、どうやらイマジンはイマジン自身にもわからない所から、目的/情報を与えられているらしく、「電王」や「特異点」に関する情報を共有していたのも、その為の模様。
多分こんな感じで。
「はーいみんな、今週の『LET’sイマジン!』の時間だよ! 進行はお馴染み、DJ石丸と」
「アシスタントのオシリーナでーす」
「まずはみんなに緊急のお知らせから。先日、アイビーくんが電王にやられてしまいましたー。あちゃー。いいビーム持っていたのに、残念! みんなも電王には気をつけて、契約取りはくれぐれも慎重に! さーて、暗い話題はこれぐらいにして、最初のお便りの紹介の前に、まずは一曲どうぞ、今日の最初のナンバーは電車旅行に欠かせない名曲、『世界の車窓から』」
そして紫イマジンは、良太郎を殺す事で、時の列車の車掌にしてもらえる、と約束されたらしい。
「僕、リュウタロスでいいんだよね?」
と名前も決めて大はしゃぎ。
手早く劇中で名前を決定してもらえると、感想書きとしてはやりやすいですが(笑)
で、ここまで桃太郎、浦島太郎、金太郎、と「日本むかしばなし」路線だったのが、龍の加入で、「西遊記」に。
つまり、
三蔵法師=野上良太郎=夏目雅子
孫悟空=モモタロス=堺正章
沙悟浄=ウラタロス=岸部シロー
猪八戒=キンタロス=左とん平
玉龍(三蔵法師の馬)=リュウタロス=藤村俊二
という事か。
ハナさんはむしろ敵っぽいな……(おぃ)
しかし、リュウタロスが目的をもって良太郎に憑依したのなら、なぜ今頃になって出てきたのか? この問いかけにリュウタロスは、良太郎についていると「凄くいい事がある」といい、その「いい事」のために、もうちょっとこのままでいたい、と「お願い」。
「その後でちゃんとやるから。ばーん」
どこまでも人を食ったリュウタロスは、再び良太郎の中へ。
現れたオーナーにリュウタロスを乗車拒否してほしいと頼む面々だが、リュウタロスはどういうわけか、時の列車の無期限チケットを、“誰か”に貰って持っていた……。ハナに連れられてミルクディッパーに戻った良太郎は、愛理が外出している事を知る。望遠鏡の下から持ち出された、何か……ハナは再び公園へと向かい、愛理の不在を知ったリュウタロスは、良太郎に憑依。催眠能力で操ったダンスグループを呼び出すと、一踊り。
一方、デンライナーでは
「おいいいか、もういがみあっている場合じゃねえぞ」
「確かに。協力するしかないよねぇ。一緒にやりますか、先輩」
「うむ、良太郎のためやからな!」
ここで流れだす、妙に壮大な音楽が、凄く面白い(笑)
良太郎を取り戻すべく、3イマジンはがっちりだんけ……
「俺ぁ、誤解してたぜ。おいクマ! 正直バカな置物だと思ってて悪かったなぁ。カメこう! おめえもただのスケベ亀じゃなかったんだな! 俺ぁ嬉しいよ、ええ!」
「いやぁ、僕も先輩の事、キンちゃんと同じで脳みそ干物かと思ってたから、あおいこかなぁ」
「オレも、おまえら脱いだ靴下ぐらいに思っとぅた」
つするわけなかった。
しかし、何はともあれ本音はともかく、
「よーしよしよし、一緒に力をあわせ、あわ、あわ、あわねぇ、あわせっ」
モモの音頭でスクラムを組む3イマジン。
東映特撮において「スクラム組んで」というのは、伝統ある友情と団結のキーワードなのですが、共通の敵を前に駄目な人達がとりあえず手を組んだ、という素晴らしくダメな構図に。
台詞回し、中の人達の演技、BGMの面白さも加え、まさに『電王』という名シーン(笑)
その頃、相変わらず公園に近づく人間を襲っていたオウルイマジンは、車や自転車を積み上げて公園入り口にバリケードを作成。匠の仕事ぶりに満足していた所に、公園入り口に集う、戸川、ハナ、ダンサーズ、そしてR良太郎。動物好きのR良太郎は公園の動物たちと戯れて喜ぶが、そこに現れたオウルイマジンが契約完了、戸川の過去へと跳んでしまう。
それは、1997年2月20日。ダンスグループの一員だったレージが公園に足繁く通っていた少年時代、公園で餌をやっていた犬・コロが自転車にはねられて死んでしまった日。コロを病院に連れて行こうとして迷子になってしまい、助けられなかった事を悔いたレージは公園から足が遠のき、戸川はそんなレージの事をずっと気にしていた。
「隙が出来た、今だ!」
なんだかんだでスクラム組んだ3イマジンは、動物の話に気を取られたリュウタロスを強引に良太郎から引きはがし、M良太郎、参上。過去ではオウルイマジンが、懐中時計の謎の男・金田一(仮)を狙うような動きを見せていたが、そこへソード電王、見参。
ひっさびさに、Mさん見せ場だ!
「さーて、久しぶりにクライマックスといくか」
自覚あった!(涙)
「どこまでも邪魔するつもりらしいな」
「わりぃな、趣味なんだよ!」
バイクアクションも交えつつ、テンション高くオウルイマジンを追い詰めていくソード電王だったが、またも空に逃げられる。しかし……どうやら空中の相手への対抗策を考えていたようで、構えを取るソード電王。
「どうしても俺の必殺技を見たいらしいな……ふんっ、いくぜ、必殺俺の……」
R(早くしないと子犬がしんじゃうよぉ!)
良(え?)
リュウタロス、強制割り込みで、電王ガンフォームに。
見せ場が……(涙涙涙)
「倒すけどいいよね? 答えは聞かないけど!」
背後のビルの被害など一切気にせず、銃を乱射するガン電王。
思わず、「こいつおかしいんじゃねえのか?!」と本音の出るオウルイマジン(笑) ガン電王は凄まじい銃捌きでオウルイマジンを追い詰め、フルチャージ。
「最後行くよ……いい?」
「駄目だ……」
一応、言ってみた。
「答えは聞いてない」
やっぱり、駄目でした。
銃と両肩からの3点ビームで吹き飛ぶオウルイマジンだったが、2つに分かれて暴走。ガン電王は紫電車を呼び出し、4つの電車が、今、一つに連結! 紫電車はわかりやすく龍で、龍、マサカリ、亀、犬、猿、雉が一斉に攻撃態勢に入り、なんかもう、大変な事に。某宇宙刑事ばりに、バイクで先頭車両の屋根に乗るガン電王は、電車と一緒に射撃フルバーストで、暴走イマジンを消滅させる。
……ただでさえ飛び道具な所に、銃の威力は物凄いし、接近戦の回避能力も高いしで、何だかやたら強いぞガン電王。
コロも無事に助かり、レージ少年の心の傷も生まれる事なく、大団円。特に描写されませんが、普通に走っても間に合わない筈(そういう過去)なので、とりあえずガン電王がバイクで病院まで運んだとか、そういう事でしょうか。ただそれだと、ライダー状態で過去の人物とかなり関わる事になりますし、そこは少々強引。
まあ、今回のエピソード自体が、リュウタロスの引き起こす騒動と混乱+愛理さんの過去?が中心で、イマジンがらみのエピソードは付け足しっぽい造りではあるのですが。
現在へ戻るデンライナーの中で、姉さんを迎えにいかなきゃと良太郎はミルクディッパーではなく、愛理が居ると思われる希望ヶ原で途中下車。
(もし姉さんが思い出したのなら……でも、思い出したら姉さんは)
「あら、良ちゃん」
果たして愛理はそこに居た…………いつものままで。
「本当にどうしてこんな所まで来たのかしらね……こんな物まで持って」
「覚えてないんだ」
「んー……三浦さんの催眠治療までは覚えてるんだけど」
完全には、忘れている何かを思い出さなかった愛理。
ホッとした所で疲労がどっと来たのか良太郎はベンチに座り込み、それを心配する愛理さん。
飲み物持ってやってきた羽虫Aはどうにも入り込みにくいその光景を見て、
「あれ? なんで? こーいうオチ?」
まあ、羽虫Aは愛理さんを車の助手席に乗せた罪で裁かれるといいよ!
そしてデンライナーでは……
「あ……お姉ちゃんだ」
良太郎を通して愛理さんの波動を感じ、リュウタロスがなんだか喜んでいた。
というか拝んでいた。
「……お姉ちゃん、って……そうか。良太郎に憑いていると、凄くいい事があるって、愛理さんの事かも」
「ええ? 甘えん坊ってこと? ますます謎だな」
振り返るリュウタロス。
「ねえ、良太郎死んだら、お姉ちゃん、泣く?」
「あぁ?」「え?」「むう?」「は?」「えっ?」
この出鱈目な言動に呆気にとられるも、一斉に、「泣く」アピールをする、ハナ、3イマジン、ナオミ。
「そっか、じゃあ、良太郎殺さない」
……これが、真のヒロインの、パワァー!
「でも、時の列車の車掌も、いいよねー」
踊り出すリュウタロスの無縫すぎる言動に、顔を見合わせる5人。
「あいつ、あぶねえよ……ぜったい」
「無邪気」というよりも「狂気」。果たして、この危険な新入りは何をもたらすのか。「先輩」たちの立場はどうなる?! 次回、久々にロッド登場の模様。
良太郎憑きイマジンが揃い踏みすると共に、徐々に明かされていく愛理さんの過去。懐中時計といえば、あの謎の男ですが、いったいぜんたい、何がどう繋がっていくのか。それはそれとして、ヒロイン力とは、出番の量ではないという事を見せつける、そんなエピソードとなりました(笑)
まあハナさんは、「修羅」枠だから……。
しかし金田治は、TVシリーズで見る限りは、そんなに悪い監督とは思わないのですが……劇場版を撮らせてはいけないタイプなのか。あと前回今回と、短時間とはいえバイク単品のアクションが入ったのは、金田監督(JAE所属)という事でか。
で、前2話と、今回の2話を続けて見ると、11−12話がどうも作品の流れに合ってないように見える最大のポイントは、良太郎の使い方なのだなーと。
今作の大きなポイントは、1話でモモの必殺技を止めた所に始まり、イマジンだったり周囲の自由な人達だったりに振り回されつつも、肝心要な所では良太郎の精神力/心の強さと優しさが最大の武器になり、物語の軌道を(良い方向に)導く、という所。そしてそこで、良太郎のヒーロー性を、積み重ねている。
ところが11−12話では、K良太郎(キンタロス)のウェイトが大きすぎ、かつ、良太郎がキンタロスの暴走を止められていない。更にラストも、タイムパラドックス&オーナーの粋な計らいで物語が畳まれてしまい、キンタロスがデンライナーに残る事に、良太郎が寄与していない。
全体の筋もさる事ながら、ここに集約されるのかな、と。
13−14話ではこの点わかりやすく、13話ラストでハナの手をひねりあげるリュウタロスを良太郎が止める、というシーンが描かれています。ラストの戦闘に関して言えば、犬を助けたい、という点においてリュウタロスとの方がシンクロ率が高かった、という見方も出来ると思います。
ではラスト、リュウタロスが良太郎に与する理由が「お姉ちゃん」なのは、良太郎が寄与しないという点において減点ではないのか、という考えが出るかもしれません。ところが、ここまでの描写で今作において唯一、良太郎に対する絶対上位の存在こそが、愛理さんなのです。
愛理さんこそ今作における潜在的なバランスブレイカーであり、故に、これまでの3イマジンよりも良太郎に対する強い支配力を持ち、ここまで構成されてきたヒエラルキーに一石を投じたリュウタロスが、愛理さんの軍門に降っているというのは、構成として全くもって正しい。
言い方を変えると今回の展開により、劇中における愛理さんの立ち位置が明確に表現された、といえましょう。
で、こう見ると7話冒頭で
「姉さんって、昔から、ちょっと……強引だよね」
と、愛理さんがただの天然ほんわか系受け身キャラではないよ、という台詞を置いている脚本のセンスは抜群。
OPで表現されているキャラクターが一揃いし、ここからどんな線路を進むのか、ますます楽しみです。