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『仮面ライダー電王』感想17

◆第29話「ラッキー・ホラー・ショー」◆ (監督:田村直巳 脚本:小林靖子
イマジンカルテット、前回の経験を踏まえて一緒に良太郎に入り込めるか、大実験。
「まぐれかどうか……ま、ためし釣りだね」
自分達で合図を取るもうまく行かなかったが、ナオミの鳴らした玩具の拳銃の音で、一斉に良太郎に憑依するカルテット。
…………4人が色々いりまじって、キムチ鍋と土手鍋とちゃんこ鍋と豆乳鍋を一緒にやってしまったような、なにか色々と大変な事に。
当初はM良太郎ベースだったものの、次々と主導権が移り変わり、仕草もめまぐるしく入れ替わる良太郎。
佐藤健も大変なら、撮影も大変というか、前回、高岩さんに無茶なハードルを飛ばせたので、今回は佐藤健に飛ばせてみようかみたいな、若干、現場の悪のりを感じます(^^;
「ん……どうなんだよ、うまくいったのか?」
「あかん、なんか無理あるで」
「ねえ、狭いよ。僕が一番上になる」
どうやら主導権は上下にあるらしい(笑) ハナが必死にカバーし、羽虫Bが悪霊退散のアクションをする中、スープと具材が入れ替わり立ち替わる大混乱の末、
「そういうたら……良太郎はどこいったんや?」
「あぁ! なんか、死にそうになってるよ……」
(みんな……僕、もう……)
「やべぇ……出ろぉ!」
良太郎はその場に倒れ、慌てて飛び出した4体は、デンライナーへ。
「失敗かぁ……うまいこといかねえなぁ」
だから、やってみないとわからない。
デンライナー組が馬鹿騒ぎをやっている頃、侑斗とデネブはカードが残り2枚となってしまった事に考え込んでいた。そんな時、デネブの前に飛んでくる一枚のチラシ、それは……
中野ふれあい町会主催 肝試し大会
優勝賞金3万円!
副賞、ミルクディッパーの愛理さんとお茶する券
盛り上がる羽虫Aと羽虫B、そしてデンライナーではどういうわけか良太郎がイマジン達に大会への参加を呼びかけていた。しかし、お姉ちゃん大事のリュウタロス以外は乗り気にならず、そこで「優勝したら、みんな一日ずつ、僕の体を使う権」を自ら賞品として提供し、これで俄然盛り上がるカルテット。
そこまでして良太郎が大会に出場したがる理由――それは、皆の気持ちが一つになればうまく一緒に自分に憑依できるのでは、という大実験の為であった。
ハナ「もしかして……あれ、気に入ってる?」
「うん。凄くいいよね、あの新しい電王」
満面の笑みを浮かべる良太郎。
時間の止まる車内。
「……え? なに?」
「良太郎、お前のセンスなぁ」
「泣けるでぇ」
良太郎、不満げ(笑)
と、ここで久々に、忘れかけていた良太郎のセンスネタ。あの凄まじいデザインを逆手にとって、物語とこう繋げられると、参った、という他ありません(笑)
また、「うん。凄くいいよね、あの新しい電王」という時の良太郎の表情が非常に素晴らしく、冒頭の大実験もそうですが、ここに来て抜群に増す佐藤健の存在感に、スタッフが安心して色々なハードルを要求し、佐藤健という役者がそれに応えているのが、非常にいい方向に作品を加速させています。
しかしまさか、作中で良太郎が初めて積極的に肯定する電王がらみのギミックが、CLIMAXフォームとは……!
この流れは、見事にしてやられました。
かくて肝試し大会当日……羽虫Aと羽虫Bは張り切りすぎてスタートを待たずに熱中症でリタイアし、なぜかデネブも参加する中、無駄に盛り上がるイマジンカルテットは、順番に憑依してゴールを目指す事に。
幽霊ちょっと苦手、とこのところ上昇気味のヒロイン度を更にアピールしてみせるハナだったが、
「こういう勝負事は、黙って見てられなくて」
修羅が勝った。
幽霊をノックアウトしたチャンプがルートを外れて早々とリタイアする中、町内会凝り過ぎの肝試しに挑戦する良太郎&イマジン達だったが、大騒ぎの末にチェックポイントを間違えて失格。というかえらく難易度高いのですが、町内会はこれ、クリアさせる気あるのか。今流行りの生存率0%なのか。賞金の3万円は打ち上げの飲み会費用に一部使われますという堕落したオチなのか!
そんな暗黒肝試し大会に参加する、手にあざのある不審な男、そしてイマジンの影。イマジンの匂いにモモタロスが気付いて良太郎が駆けつけるが、イマジンは白骨死体を破壊し、男の願いを叶えて契約完了。2005年12月5日――男はこの肝試し大会の会場となった廃校で強盗を行い、動かなくなった被害者の死体を隠していた。その後、死体は見つからず警察に追われる事もなかったが、死体を隠した場所で肝試し大会が行われると知って、男は自ら参加すると共に、イマジンにその死体の始末を願ったのであった。
良太郎が過去へ跳ぶ一方、イマジンの事を侑斗に伝えるも、直後に肝試しのお化けに悲鳴をあげるデネブ。それを脳波?で聞いた侑斗はデネブがピンチになったと勘違いして貴重なカードを消費して変身。会場に駆けつけて真相を知り――深々と落ち込む(笑)
酷いネタで消費されてしまったカードですが、侑斗のデネブへの本音、というのがベタな手法ながら真っ当に描かれている、のがいい所。こういう、そつのない仕事も重要。
2005年では、過去で実体化したワスプさんが一暴れ。
「もう一度試してよ、あれ絶対いいと思う」
CLIMAXになりたい良太郎だが、皆の反応は冷たく、プラットフォームのまま逃げ回る羽目に(笑)
なんとなくスクラムを組んでみるカルテットだが上手く行く筈もなく、ひたすら逃げ回る良太郎。
結局CLIMAXを諦めて別個に憑こうとするイマジン達、誰が行くかで揉めた挙げ句に、
「おまえら、じゃんけん」
で何故か心が一つに(笑)
……CLIMAXフォーム、先週あんな格好良かったのに、たった一話で凄く残念な感じに。
ここで、良太郎のピンチに皆の心が一つになるのかと思いきや、全くそうならないのが酷い(笑)
一応みな、良太郎のオーダーに応えようとしつつ、そろそろ助けにいかないと、という行動理念は重なっているのですが。

「よぉ、待たせたな。クライマックスはこれからだ! ……てやっぱこれ気持ちわりいよおい!」

(みんな、ひとつになれたんだ……)
「…………まあな」
CLIMAX電王は登場するや否や、各ヘッドが左手に移動し、アックスヘッドが先端になって放たれるクライマックスパンチでワスプイマジンを滅殺。
これぞまさしく、
必殺・滝○国電パンチ
(前回、このネタを思いついたがキックだったので使えなかったらしい)
ギミック的に、他のヘッドが先端になるキックもあるのかな……とは思っていたのですが、先になるヘッドごとに、部位/技が違う、というのは面白い。
イマジンを倒した良太郎は強盗の被害者を助け起こすが、その人物はなんと、肝試し大会の主催者である町内会長であった! 町内会長は実は幽霊……なわけはなく、男が殺したと思った被害者(町内会長)はそもそも死んでおらず、強盗の犯人を見つけ出す為に、今回の肝試し大会を主催して、待ち構えていたのだった。
2007年では町内会長の呼んだ警察によって男は逮捕され、しかし自分が殺人までは犯してなかったと知ってスッキリ、犯人逮捕で町内会長もスッキリ、肝試し大会は有耶無耶。賞品の行方や如何に?!
そして一話完結のコミカルな話の裏で、ゼロノスのカードは残り1枚、という深刻な事態になっていた……。
基本コメディ寄りながら、
CLIMAXフォームを経てなんだかんだで以前より和気藹々となったデンライナー組/どうにも素直じゃない繋がりのゼロライナー組
消滅の危機を乗り越えたデンライナー組/カードの残りに追い詰められるゼロライナー組
というのがしっかり対比されて展開。
デンライナー組の雰囲気が終始弛緩しているのに対し、逆にゼロライナー組はきりきりと切羽詰まっていき、その中で、侑斗のデネブへの本音がわかりやすく描写される、と珍しい1話完結の中で、綺麗にまとまりました。
田村監督は『アギト』以降(確か)ちょくちょく参加していますが、悪くはない。特撮系ではないラインが混ざる所が面白かったのが、どちらがどちらに近づいているのかは別に、あんまり目立った差異はなくなってしまいましたが。まあ、グラビアポーズのナオミのお尻越しにイマジン撮るのは、ローテ監督にはやりにくい仕事だったかとは思いますが、やっていいのかはさておき(^^;


◆第30話「奥さん花火どう?」◆ (監督:田村直巳 脚本:小林靖子
愛理さんが三日かけて作った漢方ジュースの壮絶な匂いに、「あ……異臭がする」と警察を呼んでしまった大騒ぎがこじれ、珍しく喧嘩中の良太郎と愛理。ミルクディッパーを出た良太郎はそこでデネブと衝突。
「野上……俺と……契約してくれ」
「え?」
前回、侑斗のカードを無駄に消費させてしまったデネブはその事でもう顔も合わせられないと深く落ち込み、侑斗が変身せずに済むようにしようと良太郎とともに行動しようと考えたのであった。
「本当に大切なカードなんだ……」
その時、モモタロスがイマジンの匂いをかぎつけるが、そこへ向かおうとした良太郎は浮き輪の屋台に突っ込んでしまう。
良太郎の不幸とデネブの天然は、相乗効果でカタストロフを巻き起こす事が判明。
というか今、デネブが土手を後転で転がりながら、途中で膝入れてバック転したよ?!
ブルーバードイマジンに迫られる花火職人・寺崎トオルの元に駆けつけるM良太郎、とデネブ。
「俺、参上!」
「俺も、参上!」
デネブはソード電王を助けようとするが、背後から誤射(笑)
Mさん、不幸属性だから。
その間にブルーバードイマジンは逃げてしまい、
「嫌な事があったらコロコロ契約者変えんのかよ、便利な付き合いだな、てめえらは」
モモタロスはデネブにきつい一言。
良太郎が病院で寺崎から話を聞き出すと、寺崎の望みは「女房に花火を見せたい」というもの。5年前……妻に相談せずにサラリーマンをやめて花火職人になった駄目人間であるところの寺崎に、妻は生まれたばかりの赤ん坊をつれて別居。「男の俺から頭下げられるか」と、とても駄目人間な寺崎だったが、5年かかって、今日初めて自作の花火を打ち上げてもらえる事となり、ふと妻子の事を思い出したのだった。
一応、今日自分の花火が打ち上がると別れた妻子に連絡はした寺崎だったが、自分から謝りはしない、とそこは頑な。まあ、子供が生まれたばかりのタイミングで男の夢に走る駄目人間ではあるものの、真面目に5年修行して花火を使って貰える所までになっているので、ほどほどの駄目人間なのか。
一方ブルーバードイマジンは、子持ちのOLを適当に火球で攻撃していた。
サブタイトル、そういう意味か(笑)
今回のイマジンは、1話完結の関係で、いつにも増して適当の極み。花火=自分の繰り出す火球、というのはさすがに検察を納得させるのは難しいと思うのですが、いかがでしょうか。自己完結型であるブルーバードは、自分の花火を打ち上げに行こうと病院を脱け出した寺崎をさらうと、強引に契約完了。寺崎が妻と大喧嘩した日――2002年4月27日へと跳ぶ。
もう一人、こじれて面倒くさくなっているイマジンの方は、
「失敗したり迷惑かけたり喧嘩したり、ずっと一緒にいたら、よくあるよ。兄弟喧嘩……みたいなものじゃないかな。何があったって、結局、本当に嫌になったりはしないんだ」
と、侑斗の所に戻るように良太郎に諭されるも拒否。
「戻りたいと思っているんでしょ、本当は」
「全っ然」
ここで、侑斗の得意の台詞が飛び出すところは、さすが。
最後は、「ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさと戻れ!」とM良太郎に蹴りを入れられ、侑斗の所へ戻る事に。
「ごめん!」
「うるせえよ、いつまでもうじうじ言ってんな!」
“最後の一枚”のカードを、川に投げ捨てる侑斗。
「こんな程度の事なんだよ! 全然たいしたことじゃねえ。わかったか」
これにて二人は元の鞘に。劇中でよく謝るデネブですが、今回は前回のラストからこじれこじれて、最後の最後でデネブと侑斗を会わせて、今作の重要なキーである「ごめん」を改めて言わせる、という構成。
1話の中にかなり詰め込んでしまったのでどうしても忙しい印象なのですが、軽重は別にこじれた人達(寺崎夫婦、野上姉弟、侑斗とデネブ)を多重に対比させ、乗り越えた二人(良太郎とモモタロス)を置きながら、全体を作品のキーワードで繋げるという、テクニカルな一篇。圧縮度が高いので、敵イマジンとウラタロス達の扱いがぞんざいになってしまいましたが、今回はテーマ的にある意味でMさん主役回なので、たまには先輩に花を持たせる方向で。
過去に跳んだソード電王は、ブルーバードの火球乱舞に、間合いが違いすぎて反撃に出られず思わぬ苦戦。そこでCLIMAXフォームになりたくてなりたくて仕方がない良太郎。
「ありゃあもう無理だって」
(こないだ出来たじゃない)
「あれはだなぁ……心が一つっていうよりも」
(聞いたよ。だからあれよりはマシなの、ナオミさんに頼んであるから)
デンライナーでは、ナオミがウラタロス達に、ベストフレンドコーヒーを飲ませていた。それを飲んだ3イマジン、心が一つに!
……この実験からわかる事は、良太郎、イマジン達のこと、信じてない(笑)
コーヒーを絆に心を一つにしたイマジン達、今、CLIMAXフォーム、3度目の登場! そして今回、自分の担当パーツ以外は、攻撃を受けても痛くない、という事実が判明。楽しそうにウラ、キン、リュウ、の部分に火球の直撃を受けながらブルーバードイマジンとの間合いを詰めるCLIMAX電王であったが……多分これ、後で良太郎が痛い。
最後は、空へ逃げたブルーバードめがけて、ガン電王中心の必殺技、クライマックスミサイルが炸裂。胸部が開いてミサイル乱舞で殲滅、となかなかぞんざいで酷い。
現代では花火が無事に打ち上がり、妻子と再会する寺崎。
何この超できた奥さん。
野上姉弟も花火を見ながら何となく仲直りし(というかこの姉弟は、お互い、怒りが持続しないタイプだと思われます)、そして侑斗とデネブは、格好良く捨てたカードを探して、川を必死に攫っていた。
肝試し・花火と、夏の風物詩ネタで軽めに一話完結、という、夏休み特別編的な2話。
と言いつつも、侑斗とデネブの関係とか、ゼロノスカード残り1枚とか、重要な事も盛り込まれてはいるのですが。
次回、愛理さんに近づく新たなる羽虫の影!