はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2019〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

五つの愛の腕

コメントでお薦めいただいた、『仮面ライダースーパー1』22話を視聴。
『スーパー1』は、シリーズ第7作目。惑星開発用に宇宙開発研究所で改造された改造人間で、少林寺拳法(と空手)をアクションに取り入れ、特殊装備である五つの腕を使い分けて戦うのが大きな特徴。ある種、フォームチェンジの先駆け。
物語は、ドグマ帝国との戦いがいよいよたけなわ。度重なる作戦の失敗に、帝王テラーマクロから「余のために死ね、メガール」と言われてしまった実働隊長のメガール将軍は、ドグマの神・カイザーグロウの力を受け、スーパー1に最後の決戦を挑む。
その頃、主人公・沖一也の元を、ある女性が尋ねてくる。彼女は5年前に失踪した婚約者・奥沢正人を探し続けていた。優秀な研究者だった奥沢は5年前にアメリカ宇宙開発研究所に派遣されたが、その一ヶ月後に失踪。いったい研究所で何があったのか……婚約者を探し続ける女は、5年をかけて、かつてアメリカ宇宙開発研究所で育てられていた一也の元に辿り着いたのであった。一也のコネでジャパン宇宙開発研究所の所長に会いに行くが、目の前で爆発する研究所。所長室に駆け込むと、何者かが研究所に爆弾を仕掛けたという……そんな状態の所長に、「奥沢さんを知ってるか?」ととりあえず質問する一也、空気とかどうでもいい子。
「一也くん、宇宙研のタブーなんだよ」
口をにごす所長だったが、奥沢の婚約者を目の前に突き出され、重い口を開く。
実は奥沢は本部の秘密研究員であり、宇宙開発研究所で極秘に行われていた改造人間(スーパー1の前身)の研究に参加。志願してその手術を受けるが手術は失敗、異形の姿に変貌した彼は姿を消したのだった……。
………………5年の間、タブーだからと口をつぐみ、改造手術の失敗を内部でも隠蔽して(後に同じ流れを汲む和也は奥沢の存在すら知らなかった!)、婚約者にも「謎の失踪」でだんまり決め込んでいたとか、何この、ダーティーな組織。
アメリカ宇宙開発研究所は、番組スタート時に、ドグマの襲撃を受けて全滅するのですが、凄く、自業自得な気がしてきました。どう考えても、他にも、表にも口にも出せない非人道的な実験してますよこの組織!
ジャパン宇宙開発研究所の所長は襲撃してきたドグマ一般兵によって殺害されてしまい(しかし漂う、因果応報な感じ)、襲撃を切り抜けた一也は、どうやらドグマが奥沢について何か知っているらしい、と対峙したメガール将軍に問いただす。
「メガール将軍、一つだけ聞きたいことがある。奥沢正人さんを知ってるな!」
沖一也、どこまでも直球。
メガールはそれを否定するが、戦いの中、怪人・死神バッファローに変身したその姿に、一也は直感する。
「もしや、もしや貴方は奥沢さんではないのか?」
「そんな男は知らん!」
両者の戦いは、不気味な墓標が立ち並ぶ、怪人墓場へ。今までスーパー1が葬り去ってきたドグマ怪人の首が、十字架に滴る青い血とともに現れる、という演出はなかなか格好いい。
「スーパー1よ、貴様は美しい。貴様には、醜い怪人の悲しみがわかるまい」
「メガール、悪いのはドグマの心だ!」
いわゆる、ガワ萌え(?で言葉あってたか)の世界では、スーパー1は美形扱い、という話を聞いた事があるのですが、原作の台詞も汲まれていたのかしら。
将軍の姿に戻ったメガールとスーパー1の激しい戦いの中、こぼれ落ちるロケット。それは、奥沢を探す婚約者の女性が、5年の間、肌身離さず持ち歩いていたものと同じメロディを奏でる。やはり、メガールこそが奥沢だったのだ!
「この俺こそ、宇宙開発研究所改造人間、第一号になるべき人間だったのだ」
だが、手術は失敗。獣のような姿になった奥沢は自殺しようとした所をドグマの帝王テラーマクロに拾われ、ドグマの司令官として人類にその憎しみを向けていたのであった。
激しい戦いを繰り広げてきた敵幹部が、実は、改造人間第0号であった、という衝撃の展開。そもそも仮面ライダーは、“敵も味方も改造人間”というテーゼでありますが、敵幹部こそが、道を外れた改造人間だった、という一回転。初期ライダーにおける“異形”というモチーフも敵の中にこそ存在し、スーパー1が「美しい」と評された事と対比されるのは鮮やか。
進歩した現在の技術なら変身メカを直して 俺みたいに格好良くなれる 普通の人間の姿に戻れる、とメガールを説得するスーパー1。そこへ婚約者も姿を見せ、お互いの差し出したロケットに、今でも彼女が自分を愛し続けてくれていた事を知るメガール、いや、奥沢。――だが、メガールの脳には、テラーマクロにより服従カプセルが埋め込まれていた!
人間の心を完全に取り戻す寸前、服従カプセルによって支配されたメガールは死神バッファローへと変貌してスーパー1へと襲いかかり、それを止めようと割って入った婚約者の体を、その角が刺し貫く。
「おのれ死神バッファロー、もはや貴様は人間ではない! 来い、ドグマ怪人!」
割り切り早いよ、スーパー1。
怒りのスーパー1、スーパーライダー閃光キックが炸裂し、死神バッファローは爆死。恋人達の悲劇に怒りを新たにする一也は、メガールのロケットに、ドグマ基地の地図が隠されていた事を発見。雌雄を決するべく、ドグマ基地へとバイクを走らせるのであった……。
主人公が志願して人類の未来の為と改造人間になった世界観で、敵幹部の正体は主人公とルーツを同じくする改造人間第0号だった、主人公にとって家であった場所は実は凄くダーティーな組織だった、と、刺激的な要素を取り込みながら、全体としては凄くさばさばしているのが、なんとも80年(笑)
一也の怒りが、宇宙開発研究所には一切向かないところも、時代を感じます。ただここで作為的に裏のある組織だった、と強調してしまう作劇はかえって面白くない場合もあって、この、よく考えると真っ黒? というのがポイント。今となっては、アメリカ宇宙開発研究所が壊滅して、全てが炎の中に消えてしまったのは、正義の為には良い事であったかもしれない。多分、エリア51の中にあったのだろうなぁ……。
今とは見せ方とウェイトの置き方が違うだけで、この70年代的濃さ、久々に見ると楽しい。
「メガール、悪いのはドグマの心だ!」