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『特捜ロボジャンパーソン』感想22

◆第26話「超速カーバトル」◆ (監督:小西通雄 脚本:酒井直行)
父親の組んだプログラムのミスを修正するような天才少年・正晴と、その父・晋太郎博士が暮らす二階堂家に、ある日突然、帯刀からのビデオメッセージが送られてくる。ジャンパーソンを倒すべくダークジェイカーをしのぐ車を開発中の帯刀は、二階堂博士の設計したキャノン砲を参考に火砲を作成したが巧く行かず、博士に直接協力してもらう事にした、と一方的に通告。直後、二階堂家の窓を突き破り、マヤと新顔の秘書・シンディが二階堂家へと乗り込んでくる。
「一緒に来てもらうわ」
「断る! 悪の組織に荷担する私では無い!」
えらく男らしい博士だったが、シンディに鞭でしばかれ、息子をかばってマヤに撃たれ、拉致されてしまう。周平と正晴が友人だった事からこれを知り、二階堂家へとやってくるジャンパーソン。
三枝周平は使っているだけマシといえばマシなのですが、出てくる度に事件関係者の知り合いで、さすがにもう少し、使い方に工夫が欲しい所。この世界観で他に子供キャラの使いようが無いのでしょうが、せめてもう少し、ジャンパーソンと主体的に関わってくれれば劇中に新しい視点が提供されるのですが、そういった要素が無いのはつまり、そういう構想ではなかったから、という所に集約されてしまうのだろうなぁ(^^;
襲撃者の情報を得ようと室内をサーチしたジャンパーソンは、サーチ中に正晴の何かに気付き、さらわれた父を思って涙する彼をそっと励ます。
「……優しいお父さんなんだね」
児童層はなんともですが、オトナ視聴者は少年の“正体”についてピンと来るわけですが、普段色々あれだけど、こういう時のJPさんは、本当に格好いい。またここで、わからなくてもいいし、わかるとジャンパーソンの態度と台詞が染みる、と巧い二重構造になりました。
アジトに戻り、善後策を協議するジャンパーソンとかおる。
「二階堂博士……まさか、犯人はダークジェイカーの秘密を?」
「それはない。ダークジェイカーに搭載されているビッグキャノンは、彼の開発したキャノン砲を応用したものだが、博士はダークジェイカーの存在は知らない」
……博士、知らない間に悪の組織に荷担していたよ、博士(笑)
さらっと語られていますが、ヒーローサイドのやっている事が、悪の組織の先を行っていたという衝撃すぎる事実。
ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!
周平によると、正晴はまるでコンピュータのようにすらすらと問題を解く事で有名な、超天才少年。
「天才科学者親子なのね」
「ああ、信頼の絆で強く結ばれた、立派な親子だ」
かおるにも真実について何も言わない、JPさんひたすら格好いい。
ジャンパーソンはさらわれた博士を捜索し、かおるは開発中の新メカ・ジェイガリバーの完成を急ぐ事に。
その頃、地下20mの秘密工場に連れ込まれた二階堂博士は帯刀への協力を拒否し続けていたが、マヤが人質として正晴をさらってきた事で、やむなくキャノン砲の製作に取り組む事となる。しかしその途中で心臓病に苦しみ、父を助けてくれるなら、という条件で、代わりに正晴がキャノン砲を製作する事に。
リタイアしたセーラに代わって早速登場した新秘書のシンディさんは、鞭をびしばし振るう武闘派。強引な誘拐や暴力による強制など、帯刀は段々とただのチンピラに。なんだかんだでセーラのリタイアが効いているのか、言動にも行動にも余裕が無いのですが、正直ゲスト悪役レベルの振る舞いで、レギュラー悪の組織のボスとしては、もうちょっと頑張ってほしい所。レギュラー悪の組織が3つ並行というのは面白いと思うのですが、各キャラクターを深めきれていない、というデメリットがわかりやすく出てしまいました。
正晴は帯刀に目に物見せてやろうと、10発目の砲撃とともにキャノン砲が爆発するような仕掛けを設定。
一発目ではなく、ちょっと調子に乗ってきた辺りに設定するとか、性格悪い。
そんなことには全く気付かず、遂に完成したキャノン砲を装着する、バトルマシン。帯刀は基地に自爆装置を仕掛けると、博士は基地ごとぼかん、正晴はジャンパーソン相手に人質に使おうとするが、もみ合いになっている内に博士をかばって正晴が撃たれ、ロボットである事が判明してしまう。ロボットでは人質にならない、とバトルマシンには博士が乗せられ、基地に捨て置かれる正晴。そして遂に、ダークジェイカーvsバトルマシン、スーパーカー対決が始まる!
今回も、律儀にスーパカー対決に付き合う、ジャンパーソン。これが、ラスボスの余裕……!
地下で目を覚ました正晴は、自分がロボットであったという真実に衝撃を受ける。だが同時に、そんな自分を命がけで守ってくれた父の愛を改めて知る。
「今度は僕が、お父さんを助ける番だ」
剥き出しになった回路の配線を自らショートさせ、苦しみに耐えながら、地上で戦うジャンパーソンに信号を送る正晴。スカイジイカーで戦闘中のジャンパーソンは地下基地の存在と、10発目の砲撃でキャノン砲が爆発する事を知るが、撃墜されてしまうスカイジイカー。地上に降り立ったジャンパーソンはキャノン砲の砲撃を受けるが、そこへやってくる新メカ・ジェイガリバー!
正晴の正体判明にしろ、ジェイガリバーにしろ、唐突で今ひとつ盛り上がりに欠けるのは、勿体なかったところ。
ジェイガリバーは、戦闘機+ダークジェイカーの追加メカの輸送システムを兼ねているようで、撃墜されたスカイジイカーに代わり、ドリルジェイカーをランドジェイカーに換装。砲撃を受けて崩れた崖の下に埋もれるダークジェイカーだったが、ドリルジェイカーが分離して地下へともぐり、ジャンパーソンは爆発寸前の地下工場から正晴を救い出す。
「10発目は撃たせない!」
爆発リミットまであと一発、遊んでいる場合ではないと車を降りたジャンパーソンは本気を出し、ブレイクナックルからジャンバルカンのコンボでバトルマシンを撃破。二階堂博士を救出し、マシンを木っ端微塵に粉砕する。
セーラに引き続き、リタイアも懸念されたマヤはシンディの車に回収され、帯刀一味は逃亡。かくて戦いは、新たなメカを手に入れたジャンパーソンの完勝に終わるのだった。
サブタイトルで煽ったほどカーバトルしていないのですが、過去の例なども見る限り、カーバトルは実際には今ひとつ面白くならないので、仕方が無い。向き合って車同士が撃ち合うのは無理があるし、レース風にすると、ロケ地など、手間とお金がかかるので(^^;
正晴少年は事故死した息子を模して博士が作ったロボットであったが、博士にとっては実の息子と代わらない存在であった。改めて愛情を確認しあう親子の姿に、深く満足するラスボス。
人間の父親と、ロボットの息子の間に芽生えた深い愛情に、人間愛を過剰に信じるラスボスが、「愛って……やっぱ、いいよね☆」と見守るスタンスが格好いいのですが、息子と瓜二つのロボットを超高性能頭脳で作り、黙って学校へ通わせていた二階堂博士のやっぱりどこかネジの飛んだ感じが、どこまでも『ジャンパーソン』。
だって博士、今回の件で息子にロボットばれしなかったら、定期的に夜中に息子のボディを取り替えては、「おや正晴、最近、背が伸びたんじゃないのか?」とかやっていたわけですよね。
事故死した息子を模したロボットを作る、というエピソードは古今枚挙にいとまが無い(そもそも『鉄腕アトム』である)のですが、その狂気を正面から抉って個人的に印象深いのは、この2年後の『超力戦隊オーレンジャー』第17・18話。そこでは、ロボットの息子を作り出した天才科学者・ジニアス黒田は、ロボットの息子の為に、侵略者であるマシン帝国バラノイア(ロボットの王国である)に魂を売り渡し、最終的には自ら怪人化して死亡。で、途中で機能停止した少年は、「死んだのではない、壊れただけだ」と参謀長が修理してしまうという、実に酷いオチ(笑) 今思うと、レスキューシリーズから繋がる、杉村升の、ある種、集大成とも言える一編でありました。
失った者を模したロボットを作る、というのは、作った側には救いや愛をもたらすかもしれないけれど、いずれ取り残される作られた側を考える時、やはりそれは狂気の一発露であろうと思うわけですが、それだからこそジャンパーソンは、作られた側が満たされる為に、作った側の愛を、一途に信じているのかもしれません。
次回、ジョージ、ヒーーートアップ!
というか、どこから出てきた、「大首領」(笑)