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『特捜ロボジャンパーソン』感想27

◆第32話「脱出不能の迷宮(ラビリンス)」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
東洋銀行で、銀行強盗発生!
駐車場から逃げだそうとした犯人だが、その前に突き刺さるJPカード!
しかし現れた黒い影は、強盗の逮捕に協力するどころか、なんと銀行の警備員を撃ち殺す。
続けて今度は、パトカーから逃走する暴走族を、ニーキックミサイルで支援(笑)
もちろん全てはストレスの溜まったジャンパーソンの仕業……ではなく、ビルゴルディによる、嫌がらせであった。
投げつけられたJPカードを見た瞬間に、銀行強盗が無条件降伏しようとするあたり、この世界も随分、ジャスティスによる恐怖が根付いている模様です。
罠とわかっていても、この挑発を捨て置くわけにはいかない。かおるの制止を振り切り、ジャンパーソンは真の魔王がどちらかを決めるべく、ビルゴルディとの戦いへ向かう。
幼女を人質にした強盗グループに向けて投げつけられるJPカード。現れたビルゴルディは警官隊に銃を向けるが、そこへ突き刺さる、風を切るJPカード!
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
ぶつかり合う、ラスボスと魔王。
これまで重いアクションの多かった今作で、ビルゴルディは鋭い回し蹴りなど、スピード感あるアクションが非常に映えます。当然意図的な差別化でしょうが、これまでにない難敵、というのが良く出ていて素晴らしい。
格闘戦における反応速度、打撃力ではビルゴルディが上。ビルゴルディのロケットパンチ(ワイヤーパンチと違って、無線)を受けたジャンパーソンはブレイクナックルで反撃するが、なんとビルゴルディはそれを受け止めると、自らの右腕に装着してお返し(笑) 追い込まれたジャンパーソンはスカイジイカーを召喚するが、今度はコントロールをジャックされてしまい、逆に機銃の雨を浴びる事になる。
て、『バビル2世』!
駆けつけたガンギブソンによって窮地から救い出され、各種無線にはスクランブル対策がかけられるが、ジャンパーソンの攻撃すら取り込む闇の兄弟機・ビルゴルディの力に、組織はかつてない苦境に追い込まれるのであった。
なにか打開策はないのか……考え込むかおるは、鳴海の残した写真が、時実博士のプライベートラボを写している事に気付く。情報を求め、時実プライベートラボへと向かう、ガンギブソンとアールジーコ
凄い巨大だ、時実プライベートラボ。
なにか、奥さんの出て行った真の理由が垣間見えます。
そして迂闊ガンモドキ、あっさりと罠にはまり、謎の空間に取り込まれる(笑)
「ようこそガンギブソン、ラビリンスへ」
突然ミサイルが現れたり、地割れが起きる謎空間……まあストレートに言って要するに、定期的にやるように言われているとしか思えない魔空空間ですよ奥さん!
そこは、時実博士が自分の意識をパルス信号化してラボ内部に実体化させた、いわばバーチャルマインドシステムの世界であった。魔空空間に翻弄され、ビルゴルディの攻撃に追い詰められていくガンギブソンと、だっこちゃんのように腕にくっついて一蓮托生になりつつあるアールジーコ
修理を終えて目覚めたジャンパーソンは、モニターされている戦闘を見ながら、これを打ち破るには外部から時実博士の意識にアクセスするしかない、と提言。
「もっと深い、彼自身も気付いていない、隠された、心の奥底に対してなら!」
「潜在意識! それだわ、ジャンパーソン!」
時実対策をかおるに任せ、ガンギブソン救援へ向かうジャンパーソンもまた、時実ラボで魔空空間へと飲み込まれる。
火の玉や恐竜、果ては戦車に襲われる二人。続けて戦闘機、更にメテオストライク、と大盤振る舞い。
しかしビルゴルディは、普通に戦っても両者を圧倒できるのにどうしてわざわざ、謎空間でイメージ超能力で戦うのか。
今回はこの、ギミックとしての魔空空間ありき、で話を作る事になっていたのか、この空間のシナリオ上の必然性が全く描かれないのが困ったところ(^^; ハッタリはハッタリで良いのですが、出来れば物語の中に綺麗に組み込んでほしい所であります。
二人が追い詰められていく中、時実ラボへと車を走らせたかおるは、車内からあるデータをパルス信号として発信し、バーチャルシステムの妨害を開始する。
魔空空間を作成する時実の意識の中に姿を現し、「もうこんな事はやめて」と叫ぶのは、失われた妻子の幻影。
「これは……?!」
酷い、酷すぎる。
三枝かおる、鬼畜。
「こんな事が出来るのは。まさか……生きていたのか三枝くん]
時実の妻子の写真立てを持って現れたかおるは、自分がやったのはあくまで妻子の映像情報をパルス信号として送り込んだだけで、それをイメージ世界の中で実体化し、今の行為をやめるように叫ばせたのは時実の潜在意識である、と主張。
「目を覚まして下さい先生、奥さんと、お嬢さんのためにも」
動揺する時実はかおるをラボの部屋から追い出すが、これにより、魔空空間は消滅。現実世界へ帰還したJP、GG、BDは、生身の戦いを展開し、炎上していくラボの中で壮絶な死闘が繰り広げられる。
力の入った2対1バトルで、やはりここでも映える、ビルゴルディの飛び回し蹴り。
2体の最強ロボに挟まれながらも圧倒的優位に戦いを進めていたビルゴルディだったが、ガンギブソンにトドメを刺そうとした所をジャンパーソンが背後からアークファイヤーで焼きに入り形勢逆転。ジャンブレーダーからジャンバルカンの連打、ガンギブソンの銃撃などもあり、逆に追い詰められる。しかしその時、飛び込んできたマヤが二人を蹴散らしてビルゴルディを助けると、ラボを崩壊させて逃亡。マヤとビルゴルディはラボを脱出する為に時実のもとへと向かうが、そこでは変心した時実が待ち受けていた。
「やはり私が間違っていた。こんな事は人間としてするべき事ではなかった。おまえは、私が一緒に地獄へ連れて行く」
いきなり真人間に戻った博士、もろともに果てようと、ラボの自爆スイッチをぽちっとな。怒りのビルゴルディ帯刀はその場で時実を抹殺するが、大崩壊していくラボ……密かにピンチになるかおる(笑)
ついでにかおるも抹殺しようとしたのですね、わかります。
そもそも博士の台詞が、ビルゴルディとかおるの両者に向けられている疑惑(笑)
ジャンパーソン、ガンギブソンはかおると合流し、ブレイクナックルとドリルジェイカーで3人+アールジーコはなんとか脱出に成功するが、時実博士は妻子の写真とともに、炎に包まれて消えるのであった……。
後日、時実博士の墓碑の前で嘆くかおるをジャンパーソンが慰めようとするが、ガンギブソンがそっと止める、というのは、喪失を経験しているガンギブソンらしさが出て良かったところ。まあ、かおるとしてはここはジャンパーソンに慰められてヒロイン度を上げたかった所な気はしますが!
その辺り、微妙に余計な事をするのもガンギブソンらしいかもしれない(笑)
時実博士を救えなかった悲しみにくれるかおるだったが……その時、墓碑の十字架に突き刺さるビルゴルディカード!
あの大爆発の中、ビルゴルディとマヤもまた、生き延びていたのだ。
「必ず地獄に送ってやる。首を洗って待っていろ。ジャンパーソン、ガンギブソン……!」
様々な狂気を孕みながら、戦いはますます激化していく……!
うーん……前編の盛り上がりを生かし切れなかった、残念エピソード。
2対1で挟撃されても圧倒的だったビルゴルディに、いきなりジャンパーソンの反撃が決まって押し込んでいく理由が一切ないのが、非常に雑で勿体ない。そも特撮の戦闘は、勢いのみで逆転してしまうというのは良くある事ですが、ここまで圧倒的だったラスボスの前に初めて現れた対等以上の敵であり、強烈なインパクトをもたらしたビルゴルディだけに、そこは丁寧に描いてほしかったです。
アールジーコが何か切り札にでもなるのかと思いきや、後半、フェードアウトするし(^^;
また例えば、改心した時実が再びバーチャルシステムを起動して、それがビルゴルディに隙を作るとかすれば、バーチャルシステムにシナリオ上の意味も出るし、時実の変心が、印象的になったと思うのですが。
バーチャルシステムに関しては途中で書いたように、大きなハッタリを効かせてほしいというシナリオ外からの要望だった感はありますが、シナリオ上の必然性を何とかもう少しでっち上げてほしかった所です。
で、肝心の時実博士がそもそも、妻子を失って暴走したのではなく、妻子を失う前からMX−A1作ったりバイオボーグを計画していた人なので、その博士が「心の奥底では自分の研究を止めて欲しがっていた」から「幻の妻子の呼びかけに応えて改心する」というのは、かなりちぐはぐ。
そういった物語上の辻褄、というのはさておくにしても、後編でここまで安直に改心するなら、前編から振りようは幾らでもあった筈で、単純に非常につまらないシナリオになってしまいました。
結論として最も筋が通るのは、潜在意識と偽ったかおるの精神汚染攻撃。
あたしのジャンパーソンを汚した罪、許すまじ!
そして、それはそれとして、心から時実博士の死を悼んでいる所に、かおるの狂気を見るべきでしょうか(笑)
帯刀の変身、モブ含めけっこうな数の人死に、とかつてないハードな展開になってきたところで……次回、宇宙人襲来。
普通に考えると、世界観ぶち壊しのやってはいけないネタですが、この飛び具合といい、サブタイトルといい、扇澤脚本か? 今作はそうかと思うと、曽田さんが斜め上から抉り込んでくるので侮れませんが。まあ来週のお楽しみという事で、さて、鬼が出るか蛇が出るか。