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14年後の月に吠える〜『∀ガンダム』全話再見7

◆第7話「貴婦人修行」◆
〔脚本:浅川美也 絵コンテ・演出:森邦宏 作画監督佐久間信一


ディアナ・ソレルが月と地球の親睦パーティを企画し、ミリシャの女性パイロット、ローラ・ローラとしてそれに出席する事になったロランはキエルから淑女のレッスンを受け、キースはムーンレィスから親睦用の巨大なケーキを注文される。最初は打ち解けない雰囲気だったパーティだが、ローラとハリーのダンスをきっかけに交流が進み、地球と月の交渉再開が約束される。だが、運び込まれたケーキの台座からディアナを狙う暗殺者が出現。はじめはミリシャの暴走かと思われた暗殺未遂だが、現場には酸素呼吸器が残されていたのだった……。

「ワルツの曲をお願いしたい」
(ハリー・オード)

凄まじいアホ回。
どうしてこうなったのか、さっぱりわかりません!
まあ後にグエンの性癖が判明した後で振り返ると、「権力って素晴らシイ!」となるわけですが(笑)
改めて考えるとグエン様は、搦め手から遠回しに責めつつも決して無理強いはせず相手がなびくのを忍耐強く待っているとか、けっこう乙女(だいぶ違う)。
後のフェードアウト(終盤に再登場しますが)を知っているので端役というイメージのキースですが、この回では、ロランの貴婦人修行と並行してキースの巨大ケーキ作りの様子がコミカルに描かれており、この時点ではまだ、割とメイン扱いだった模様。展開が展開なら、MSに乗って戦うという事も有り得たのか。
パン屋のお嬢さんが全く美人ではない、というのは物語のバランス上、いいデザイン。
謎の女装展開とか、ハリーの謎衣装とか、アホネタのインパクトが強すぎる一方、グエンサイトもディアナサイドも一枚岩ではない、と陰謀展開が可能な布石が打たれてもいます。
ラスト、一度はミリシャがディアナ暗殺を計画したと交渉打ち切りを宣言したミランが、どうも暗殺者はムーンレィスの内輪らしいと判明した後、ミリシャの責任にしながらも深く追求しないで交渉は再開しようと恩に着せる、という展開はなかなか渋い。
またその後に、グエンの韜晦なのか本音なのかわからない台詞を入れる事で、視聴者を惑わせるというのも秀逸。
なお、ムック本のスタッフ裏話によると、

最初、富野さんの構成案だと今回の舞踏会の話と次の牛の話(第8話)で1本の予定だったんですよ。それでロランだけじゃなく、ハリーも女装をして、そのまま戦うという話で。
やらなくて良かった!
しかし富野の頭の中で、何がどうなってそんな事になる予定だったのか!
危うくディアナ様まで変な性癖を持ちかねない所だったのか。

「私はそれほど策士ではないよ」
(グエン・ラインフォード)