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『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想6

◆GP−11「電波ジャック」◆ (監督:竹本昇 脚本:古怒田健志
突然、TVでそれぞれ大きく取り上げられるゴーオンジャーの面々。

走輔……奇跡の江角、世界GP出場決定
早輝……スマイルコンテストグランプリでアイドルデビュー
連……クイズ王
範人……大富豪から遺産相続

それぞれが降って湧いたチャンスと成功を掴む中、軍平、一人蚊帳の外(笑)
何これイジメ?
もちろん現実がそうそう都合が良いわけがなく、全ては炎神王G6の脅威を封じるべく、ゴーオンジャーを分裂させようというガイアークの陰謀であった。蛮鬼獣アンテナバンキが密かにニュース番組に催眠電波を送り込み、それを見た人々がその内容の通りに行動するようになっていたのである。
アンテナバンキは、顔が直接首に繋がっておらず発信部分の先端についており、目も左右非対称と、なかなかマッドなデザイン。印象的なデザインの多い蛮鬼獣ですが、かなりの傑作。
「だーが、奴等の楽しそうな顔を見るのは……」
「なんだか癪でおじゃる」
「そう思って一人だけ、趣向を変えてやったぞよ」
やっぱりイジメだった。
犯人に告ぐ。無駄な抵抗はしないで、出てこい」
ぎんじろうの外から聞こえてきた声に何か事件か、と顔を出した軍平は警官隊に取り囲まれる。なんと軍平は、催眠ニュースにより銀行強盗犯に仕立て上げられてしまったのだ。
「俺は元刑事だぞ! 強盗なんかするか!」
過去の実例からいえば、そういう人が一番信用できないのです。
警官隊の囲みを突破して逃げ出した軍平は、何かがおかしいとメンバーに接触を取るが……
早輝はすっかりアイドルデビューを受け入れて盛り上がり中、ベアールVも盛り上がり中。
連も「TV見てないんすか? 俺はクイズで、世界一を目指してるっす」とTVの設定に飲み込まれてクイズの道を突き進み中。
範人は大富豪の孫扱いを受けてお小遣いに札束を貰って浮かれていた。
ゴーオンジャーより、お金持ちの方が、楽しいかも!」
3人の仲間に次々と邪険にされ、警察の追っ手をゴミの山に隠れてやり過ごす元刑事。
「なあ相棒……野良犬って、知ってるか?」
「さあ……マシンワールドには居なかったな」
それぞれの炎神もおかしい中、唯一まともなガンパードが、街のそこら中にゴミが溢れている事に気付く。ゴーオンジャーの分断に成功したガイアークは作戦の第二段階として、家庭ゴミをどこに捨てても良い、工場の排煙を10倍にする事、など世界を汚す無茶苦茶な法令を次々と催眠ニュースに乗せていたのだ。
ゴーオンジャーだけではなく、通常進行の汚染作戦にも繋げたのは、そろそろ敵組織が方向性を見失いがちになる時期に、非常に良かったところ。
人々をおかしくしているのはTVだと気付いた軍平は、ボンパーにその調査を頼むと、最後の一人、誰よりもヒーローである筈の男、走輔の元へと向かう。
「目を覚ませ! 俺にはおまえが必要なんだ!」
しかし走輔もまた、催眠電波にすっかり自分を見失っていた。国内でも優勝していない奴が世界GPに出場できるか、という軍平の至極真っ当なツッコミも無視して、ゴーオンジャーへ戻る事を拒否。やむなく軍平はひとり催眠電波の発信源へ向かい、そこでアンテナバンキと対峙するが、ガイアーク出現の通信に、4人の仲間も炎神も、誰一人反応しようとはしない……。
孤軍奮闘するもアンテナバンキの衛星ビームなどで叩き伏せられ変身の解けた軍平は、警官隊によって身柄を確保。
「TVで言ってたぞ! おまえは死刑だ!」
と、物語的楽しさに、風刺的な部分も入った好シナリオ。
アンテナはその光景をウガッツに撮影させて電波に乗せて生中継。やむなく警官隊を蹴散らした軍平だが、アンテナバンキに追い詰められる映像が、メンバーの元にも届く事になる。
「往生際の悪いヤツ、おまえはもう、おしまいだっテナ」
「黙れ! こんな事で、ゴーオンジャーは負けたりしない!」
結構、軍平がやられているのを、じっと見ているみんな(笑)
人徳か、人徳の問題なのか。
絶体絶命の軍平は、それでも力を振り絞ってアンテナバンキへと立ち向かう。

「俺は仲間を信じてる……俺が倒れても、走輔の熱いハートが、おまえ達を許さない!
 早輝の笑顔は、どんな時にも絶対くじけない!
 連の知恵が、おまえ達の悪巧みを、暴き出す!
 範人の自由な心を、おまえ達は絶対に縛れない!
 あいつらは、必ず目を覚まし、おまえ達を、倒す! この世界は絶対に、おまえ達の思い通りにはならねえ!」

なんだかんだで走輔大好きで終わるかと思ったら(レッドだけ取り上げられる、というのはありがち)、他のメンバーの分もあって良かった(笑)
ここでいいのは、軍平が仲間が助けに来てくれる事を信じているのではなく、自分がここで死んでもいつか必ず仲間がガイアークを倒してくれる、事を信じているという事。“正義ノミカタ”に対する軍平の覚悟の決まり方がピンポイントでよく出ました。
いよいよトドメの攻撃が軍平に迫る時、満タンガンの一斉射がアンテナバンキを貫く。ギリギリの所で正気を取り戻した4人が駆けつけたのだ!
「軍平の叫びが、俺たちの心のプラグに、火を着けてくれたんだ! お陰で、ばっちり目が覚めたぜ」
「ふんっ、エンストは今回だけにしてくれよ」
5→1という逆順の名乗りで、ゴーオンジャー揃い踏み。
「五人揃った俺たちは、マッハで無敵、だぜ!」
主題歌2番をチョイスというのも、エピソード内容に合わせていて、良し。スーパーハイウェイバスターによる分身ガンパードソウルがアンテナを撃破し、産業革命。新曲でのロボ戦は、G6を発動するまでもなく、軍平怒りのガンパードガンラッシュでアンテナ粉砕。そもそもG6封じの為の作戦だった筈なのに、G6が出ずに敗北、というガイアーク側にとっては酷い結果となりました(笑)
アンテナバンキが倒れた事で人々も催眠電波の影響から解放され、元の姿を取り戻す街。軍平の愛の叫びにメンバー感謝感激、で幕。
(たぶん)初めて見る脚本家の方でしたが、非常に良い出来でした。映像的にも遊べる展開にした上で、通常の汚染作戦と繋げた所、風刺要素を盛り込んだ点は、ポイント高し。最後も、8話とは別のアプローチでしっかり盛り上げました。途中の思わせぶりな「野良犬」発言が終盤に活きるのかと思ったら特に何も無かったのは肩すかしでしたが、そこが決まっていればほぼ満点の出来。
あとくしくも『デカレン』と竹本監督の演出回が重なったのですが、竹本監督は“オーソドックスな戦隊演出”、を志向している節があるので、こういうわかりやすい造りの回が一番映える。


◆GP−12「走輔バンキ!?」◆ (監督:竹本昇 脚本:宮下隼一)
4人でコンビネーション訓練中のゴーオンジャー……走輔は、風邪を引いていた。
「ピットインするときはする。じゃないと、肝心なときに肝心な走りができないぜ。相棒」
風邪で寝込んでいる走輔だったが、街で自称ガイアーク最強の蛮鬼獣・発電バンキ(安定の檜山チンピラ怪人)が暴れだし、いち早く突撃。強烈な放電攻撃を防ぐ為に懐に飛び込むが、放電が暴発し、もろもとに落雷の直撃に巻き込まれる。この結果、二人の人格が入れ替わってしまって……という入れ替わりトラブル回。
走輔バンキはヨゴシュタインのアジトで放電能力を増幅される事になり、発電走輔はメンバーから代わる代わる風邪の治療法を強要される事に。それぞれ敵の懐に飛び込むもさっぱり活かせないまま、遂にぎんじろうを逃げ出す発電走輔。走輔バンキも放電増幅装置を破壊した事からヨゴシュタインに追われ、遭遇した両者は掴み合いに。
その光景を見て、真相に気付くヨゴシュタイン(凄い)。
そこにゴーオンジャー4人もやってきて、走輔バンキとゴーオンジャーをぶつからせようとするヨゴシュタインだったが、4人は真相に気付いたスピードルから話を聞いており、ヨゴシュタインの策に乗ったフリで逆にヨゴシュタインを攻撃。追い詰められた発電走輔は「レッツ・ゴーオン!」して発電レッドに変身するが、そんな自分の体を、躊躇なく叩きのめす走輔バンキ(笑)
「姿形は変わっても、俺のソウルはここにある! この俺が、江角走輔、ゴーオンレッドだ!」
やりたかった事はわかるのですが、ゴーオンジャー4人が真相に気付いた理由が「いちはやく気付いたスピードルから情報を聞いた」だけなので、微妙に盛り上がらず。走輔とスピードルの絆を協調するような展開になっていればまた別ですが、スピードルも何となく気付いただけですし(^^;
蛮鬼獣の姿のままゴーオンジャーの名乗り、というのは絵的には当然面白いのですが、次回予告でばっちり見せてしまっていた部分に物語の面白さを付加できず、絵が面白いだけ、に終わってしまいました。
その後、5体の炎神ソウルが奇跡の力で走輔ソウルを蛮鬼獣の肉体から分離し、発電レッドのボディに打ち込む事で、互いのソウルは元に。走輔に風邪をうつされた発電バンキは、さしたる反撃もできないまま、哀れ瞬殺。巨大化後も新曲(たぶんテーマ曲)で登場した炎神王G6のG6グランプリを受けて、あっさり滅殺されるのでありました。
軽い単発エピソードですが、定番アイデアの時ほど、脚本家のスキルが出るなぁ、と。
オチの見所は、
「ズバリ、乾布摩擦は風邪を引く前にやるもんっす。アロマだって気の持ちようだし。民間療法も根拠なんてないっす」
連はこういう感じで、彼女にフられれてきたんだろうなぁ(確信)。