はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2019〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『特捜ロボジャンパーソン』感想40

そういえば、もしかして「ウラメシ大作戦」の時のラーメン屋の女の子が春子ちゃんだったのだろうか? と思って確認したらそうだったので、春子ちゃんはさして重要な扱いではないのに小刻みに3回出ているという、割と珍しい使われ方だった模様。
◆第49話「炎に消えたGG(ガンギブソン」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
隠れ家を飛び出したガンギブソンは、キャロルの墓が掘り返されているのを確認する。そしてそこに遺されていたのは、黒い薔薇。
「キャロルがここで眠っていた事を知っているのは、俺とおまえを除けば、かおるしかいねえんだ」
ああなるほど、そう繋ぐか。
これで確かに、かおるの関与を決定づける要素として、キャロルでなくてはいけなかった、という理由が機能します。
「俺はあいつを、かおるを許さねえ! 絶対にな! ブラックキャロルを押さえて、かおるの居場所を突き止める。そして、きっちり落とし前をつけさせる。ジャンパーソン、おまえだろうと邪魔はさせねえ!」
ガンギブソンはかおるを探すために一人走り出す……だがその憤りすらも、かおるの手の平の上であった。ブラックキャロルはガンギブソンを誘き寄せる為の餌であり、かおるはガンギブソンとジャンパーソンの分断を狙っていたのである。
……まあ、裏切りが嘘だとしても、かおるにとって素でガンギブソン、微妙に鬱陶しい存在ですしね。
「なかなかの作戦だ」
「さいこーの作戦と言ってほしいわねぇ」
かおる、お局二人を挑発(笑)
「大したもんだ。我々もバラバラに引き離して、仲間割れさせるつもりか」
「かもね」
帯刀のかまかけに、ニヤリと笑ってみせるかおる。この辺り、うまい。
ブラックキャロルは警備会社のトラックを襲って逃亡、それを追跡した迂闊ガンモドキは倉庫の中へと誘い込まれる。その前に姿を現したのは――科学の奴隷、三枝かおる!
「動くとブスリよ、ガンギブソン
ガンギブソンと対峙したかおるは、自分が裏切った事を強調しながらも、倉庫に仕掛けられた監視カメラに目配せをし、ガンギブソンもそれに気付く。
(どういうこった、かおるは何を言おうとしているんだ、いったい何を)
かおるは裏切ったわけではないのか……? アイコンタクトを図ったガンギブソンはかおるの芝居に乗り、ブラックキャロルともつれ合いながら、そのメッセージを聞く。
「私はかおるが作ったブラックキャロル。キャロルではありません」
ブラックキャロルはキャロルを模してはいるが、あくまでもかおるが作ったメッセンジャーにすぎない。そしてその記憶回路にはかおるの手によって、ビルゴルディの恐るべき最終作戦のデータが隠されていた! 嘘か真か、かおるの策略に乗り、ブラックキャロルの記憶回路を手にしようと猿芝居を続けるガンギブソン、だがそこへ魔王一味が姿を現すと、もう用済みだとブラックキャロルを瞬殺。
「ばかやろぉ! 二度も、二度も俺を悲しませるつもりか!」
吹き飛んだブラックキャロルを抱きかかえつつ、その記憶回路を回収するガンギブソン。瀕死のブラックキャロルを横たえたガンギブソンはビルゴルディにスピンドルキャノンを食らわせようとするが、魔王はなんとロケットパンチで瀕死のキャロルを回収すると自らの盾とする。それがキャロルではないとわかっていながら引き金をひけないガンギブソンスピンドルキャノンを取り落とし、ブラックキャロルは完全抹殺、ガンギブソンは、帯刀組の一斉攻撃の的に。しかしトドメのニーキックミサイルが炸裂する寸前、横からの閃光がミサイルを空中で破壊。
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
ガンギブソンの信号をキャッチしたジャンパーソンが、間一髪、救援に駆けつける!
JP&GGvsビルゴルディ&マヤ、という2on2マッチもすっかりお馴染みになりましたが、最終局面という事で、火花飛び散る気合いの入った格闘アクション。ジャンパーソンとビルゴルディもガンガン回りまくりの殴りまくりで非常に格好いい。
そしてこっそりとラスボスともやり合うマヤ。
強すぎる……!
最近、謎のリモコンビームでJPにもGGにもダメージを与えられるようになっているシンディですが、さすがにバトルには直接参加せず。しかしあのリモコンは何なのか。いやどうして、小道具はあの形になったのか(笑)
壮絶な激闘は、光線兵器大盤振る舞いのビルゴルディにより、帯刀組有利に展開し、追い詰められたJPとGGは柱の陰に身を隠す。
「ジャンパーソン、かおるは、あいつは、裏切っちゃいねえ」
ええーーーーーー(おぃ)
「頼むぜジャンパーソン、ビルゴルディを、ビルゴルディを倒してくれ!」
ガンギブソンはブラックキャロルの記憶回路をジャンパーソンに托すと、ジャンパーソンをかばって飛び出し、魔王ビームの直撃を受けて炎の中へと消える……!
ビルゴルディが残るジャンパーソンにトドメを、と動いた所で、さっと前に出たかおるは倉庫に仕掛けていた爆弾のスイッチを入れ、凄まじい爆発で崩れ落ちる倉庫、その中へと消えていくジャンパーソン……ラスボスは範囲攻撃では殺せないので、これで大体、かおるの裏切りとJP抹殺が擬装である、という事が確定してしまいました。
どうなんだどうなんだ、と引っ張った所で、記憶チップをコンピューターに差し込んだら大爆発!!
「おほほ、あたしは奴隷よ、科学の奴隷!」
という展開もまだちょっぴり期待していたのですが、儚く夢と消えました(笑)
帯刀組が立ち去った後、崩壊した倉庫の瓦礫の下で身を起こしたジャンパーソンは、ガンギブソンのロケットを発見する……しかし友の姿を、見つける事は出来なかった。アジトになんとか帰還したジャンパーソンは周平に「ガンギブソンは……?!」と問われるが、無言で首を左右に振る。ここからガンギブソンの回想で、背後に流れる挿入歌が昭和歌謡調ヒーローソング「君は眠れ、そして歌え」という、三ツ村監督の音楽のセンスは相変わらず面白い。
ガンギブソンがジャンパーソンと違う独自の道を見せる第36話「命短し美少年!」で使われた挿入歌ですが、確認したらそもそもこの回の監督が三ツ村さんだったので、かなり意識的なリンクでもあるのかも。
ガンギブソンに托された記憶回路の中身を確認するジャンパーソン……そこに記録された映像に映っていたのは、三枝かおるその人であった。かおるが順子から聞いた魔王ビルゴルディの最終作戦――それは、ハイパーサブリミナルによる全世界同時クーデター!
「衛星放送を利用して、全世界の警官、兵士、民間人を問わず、武器を持つ全ての人々に一斉蜂起を促すメッセージをハイパーサブリミナルで植え付けるの」



立て!
武器をとれ!
魔王のために!


すなわち、魔王軍編成。
これまで直属の秘書以外に、組織だった戦力を持っていなかった帯刀が、この最終章において軍団を編成しようとする、というのは面白い。
……はいいのですが、「警官、兵士、民間人を問わず、武器を持つ全ての人々」にメッセージを植え付けると言っているのに、イメージ映像だとどう見ても「武器を持っていない民間人」が「武器屋を襲って火器を手に入れている」のですが(笑)
というか、ごく普通に街中にガンショップがあるYO!
嗚呼、ここは世紀末TOKYOディストピア
最終章で改めて、『ジャンパーソン』世界と《レスキューポリス》シリーズのディストピア観が重なってしまいました(笑)
この無法な世の中で、世紀末を紅蓮に染め上げる魔王軍大作戦において、一斉蜂起のバックアップを行うのが、密かに集めた志願者達を改造して編成される、バイオボーグ軍団!
さすがに一流のビジネスマンらしく、着実に最終作戦の準備を進めていた帯刀……それと知らずにハイパーサブリミナルの研究で帯刀に協力していた順子は、計画の真実を知って一斉蜂起プログラムの解除コードを作成していたがその途中で怪しまれ、逃亡。病院で順子から全てを聞いたかおるは、彼女になり代わって帯刀の懐に飛び込む事を決意する。
その為に順子を海外へと逃亡させ、囮のコピーロボットを用意して彼女の死を擬装。それを踏み台にして帯刀陣営に潜り込むと、ジャンパーソン達に多大な損害をもたらしてまで、その信用を勝ち得たのであった。
かおるが誰にも言わずにそこまでしなければなかった理由……それは、ハイパーサブリミナルによる一斉蜂起が来月に迫っている為だった。解除コードは仮に送信してもすぐに効果を発揮するわけでなく、それを仕掛けて発信するのは早ければ早いほどいい。帯刀の所有する通信衛星から、出来る限り早く解除コードを送信して一斉蜂起プログラムを無効化する為に、かおるは強引な手段を使ってでも虎口に飛び込む必要があったのだ。
ジャンパーソンはビルゴルディを倒す事は出来ても、ハイパーサブリミナルを解除する事はできない。
そしてそれを止めなければ、仮にビルゴルディを倒しても、世界は破壊の炎に包まれる。
ビルゴルディの最終作戦を完全に阻止する為に、かおる自身も戦わなくてはならなかったのだ。
と、かおるの裏切りは「お芝居でした」とごく普通であまり面白くない所に着地しつつ、一応、破綻しないレベルの理由はつけました。順子の死が相変わらずのコピーロボット擬装とか繰り返しネタでつまらなかったりはしますが、かおる自身の台詞にあるように、これは誕生編の意図的な焼き直しで、別の誰かの死を擬装する事によって、これまで死者であったかおるが甦る、というニュアンスか。
それはそれとして、実に酷い使われ方だったキャロルの墓をさらっと暴き、明らかにガンギブソン捨て駒やむなしの謀略を巡らすというのが、非常にマッド。
勝利の為に手段は選ばず、ジョージ真壁あたりとは、悪の器の違いを感じさせます。

「ジャンパーソン、あなたはビルゴルディを倒して。彼の正体は、帯刀コンツェルンの総裁、帯刀龍三郎よ」
「帯刀龍三郎……ビルゴルディ!」

ば・れ・たーーー!(笑)
ここで主題歌インスト。
「決戦だ決戦だ!」
「周平、必ずかおると一緒に帰ってくる」
「約束だよ、ジャンパーソン……!」
(必ず、必ず戻ってみせる)
途中途中は、物語導入用便利キャラ以上の存在にはなりませんでしたが、最終的にそこそこ周平に存在意義を出せたのは良かった。
かおるからの情報を元に、アールジーコとバイオボーグ手術施設へ乗り込むジャンパーソン。
「手分けしよう、アールジーコ
いやそこで手分けすると、アールジーコの命が危ない(笑)
案の定、撃たれて転がるアールジーコ。その声に駆けつけたジャンパーソンは、超鋼鉄の鎖によって動きを封じられてしまう。そして姿を見せる、人を捨て、人を超えた、闇の化身。
「ようこそ地獄へジャンパーソン」
「帯刀龍三郎……!」
奇矯なピンクのシャツのペロペロキャンディ男として初登場してから物語を積み重ねて約1年。今ここに遂に、ジャンパーソン、帯刀龍三郎と邂逅す。
「ジャンパーソン、ここが貴様の墓場だ。泣け、喚け、祈れ! 貴様はもう、終わりだ。終わりだ!」
帯刀はビルゴルディへと変貌を遂げ、自由を奪われたジャンパーソンに次々と炸裂する、デュアルレーザーとニーキックミサイル。果たしてラスボスはこのまま倒れてしまうのか、そしてビルゴルディの最終作戦の辿り着く先は。
「最終回、戦慄の大クライマックスが、幕をあげる!」
とうとう、劇中ナレーションまでメタに(笑)
そして散々楽しませてくれた次回予告も、いよいよファイナル!

「ジャンパーソン・ファイト・フォー・ジャスティス!
「ビルゴルディ・ファイト・フォー・イビル!」
ジャンパーソン!
ビルゴルディ!
ジャンパーソン!
ビルゴルディ!
ジャンパーソン!
ビルゴルディ!
ジャンパーソン!
ビルゴルディ!
ジャンパーソン!
ビルゴルディ!
いよいよ決着、最終回
「ジャンパーソンよ永遠に」
ソーロング!

両者の戦闘シーンを交互に入れながら、ひたすら名前を連呼し続けるという、怒濤のハイテンション。
最後まで素晴らしい次回予告でありました(笑)


◆最終話「JP(ジャンパーソン)よ永遠に」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
囚われのジャンパーソンが最終作戦を知っていた事から、かおるから情報が漏れている事に確信を得る帯刀。
「やはりかおるはダブルスパイだったということか。敵ながらあっぱれと誉めてやりたいが、遅すぎたよ」
泳がせすぎの感はありますが、完全に信用しきったわけでないのは、さすが良かった。
かおるは解除コードを完成させるが、監視していたマヤにより捕らえられてしまう。コンピュータールームから引きずり出される寸前、なんとか解除コードを発信するかおる。だが……
順子が疑わしくなった時点で、帯刀はハイパーサブリミナルによる最終作戦発動のタイミングを早めていた。それは一ヶ月後ではなく、ちょうど今日、この日の正午ジャスト。
そう、今がその時だ。


DESTROY
魔王の為に


全世界にハイパーサブリミナルによる暗示効果が発動。魔王軍が一斉蜂起し、世界中で暴動や内乱が発生。ビルゴルディは身動きできないジャンパーソンと、マヤが引きずってきたかおるに、その惨禍を見せつける。
「見たかジャンパーソン。我が勝利を。魔王ビルゴルディの勝利を」
「なに?!」
日本の裏社会を牛耳るどころか、ついに世界中を魔王の色に染め上げようとするビルゴルディ!
「ジャンパーソン、俺を見ろ。人間とロボットの共存。おまえの目指す理想こそ、この俺だ」
「違う! 違う!! 俺の、俺の理想はそんなものじゃない!」
あ、逆鱗に触れた(笑)
ジャンパーソンは怒りのハイパワーで、鎖を引きちぎる!

「人間にも、様々な人間がいる。生まれも育ちも、性格もみんな違う! ロボットもそうだ! だからこそ、互いを認め合い、尊重しあう。合体しなくても、手を繋ぎ合えるんだ、共存できるんだ! それこそが俺の理想だ。実現できるなら……実現できるなら、俺は死んでも構わん」

最後まで、理想の死を追いかけるJPさん。
つくづく、このヒーローのよって立つところが窺えます。
後これ、単体の台詞としては格好いいし、何となくこれまでの物語をまとめてもいるのですけれど、どちらかというとテーマとしては<ネオギルド>編のテーマ。本来なら<ネオギルド>編においてこのロボットと人間の共存とその理想についてが語られ、ビルゴルディ編ではもっと個人の執念みたいなものが中心に来る筈ではなかったのか。
まあ、がったがたになってしまった<ネオギルド>編もフォローしつつ、この暴風雨のような作品に一応の着地点を作り出した、という点は評価して良いかと思います。
「じゃあ、死ね」
ぼろぼろのジャンパーソンに次々と炸裂する、ビルゴルディビーム、シンディリモコン、マヤ光線銃。帯刀組の一斉射撃を受けたジャンパーソンは遂に倒れ、踏まれ、蹴り飛ばされ……活動を停止する。
「嘘よ……。嘘よ……嘘よ、ジャンパーソン、ジャンパーソン、ジャンパーソン!」
エネルギーゲージが消灯し、ぴくりとも動かなくなったジャンパーソンにすがりつくかおる。
「世界が、全世界が、この俺の、ビルゴルディの前にひざまづくのだ。ふふはははは、わははははははははは」
ハイパーサブリミナルによる世界一斉蜂起は成り、宿敵ジャンパーソンは倒れた。後は全世界に向けて魔王軍勝利のメッセージを発信する事で暗示は固定化され、世界は魔王ビルゴルディの名の下に支配される。
ジャンパーソンとかおるを残し、帯刀組はおめかししてTV局へ。
白スーツ帯刀、格好いい。そしてシンディさん、気合い入りすぎ(笑)
バイオボーグ手術施設に閉じ込められ、取り残されたかおるは、涙を流しながらジャンパーソンの側に寄りそう。
「ジャンパーソン……どうして……どうしてあたしを置いて……? ジャンパーソン……!」
ここで流れる挿入歌は、「紫狼伝説」。これ、物凄く格好いいので、是非フルで聞いて下さい。というか「正義のために」を調べた時に一緒に見つけて聞いたのですが、一番格好いい所の前で曲だけになってしまっているので(笑)
「ジャンパーソン……!」
沈黙して倒れるジャンパーソンのボディに指を這わせたかおるは、そっと顔を寄せていき、唇を重ねる。
演技といい、演出といい、完全にラブシーン。
三ツ村監督、やりきった!
かおる→ジャンパーソンは、これまでも微妙に匂わせてはいましたが、ここまでハッキリやったのは驚き。
「ジャンパーソン……アメリカから帰ったあの時から、あたしは貴方と生き、貴方と戦い、貴方と死ぬと決めていたの。だから、だから、あたしは貴方の側にいきます」
かおるはジャンデジックに手を伸ばすと、自らに銃口を向ける。
「ジャンパーソン……思い出をありがとう……」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
全部、全部吹っ飛ばした、この女の狂気が!!!!!!
凄い。
凄い。
凄い。
第3クールのマイルド路線で忘れかけていましたが、そうでした、三枝かおるは、ジャンパーソンより狂っているのでした。
これまでの戦いも全て、正義とか理想とかそんなものは脇に投げ捨てて、「ジャンパーソンとの思い出」に集約されるのです。
ジャンパーソンが届かない人間愛を信仰し続けるように、三枝かおるもまた、届かないロボットへの愛を抱えて深く静かに狂っているのでした。
前々回、ベンチでぼんやりと固まって「ジャンパーソン……!」とか叫んで走り出したのは、ジャンパーソンとの間に距離を感じたのではなくて、ジャンパーソンの勝利の為に他の全てを犠牲にする覚悟を固めていたのか!!
たった一人の肉親も、一緒に戦ってきたロボットも、そして自分自身さえも、ジャンパーソンの勝利の為に捨て駒に出来る女、それが、三枝かおる!!!
そして最終回において遂に重なる、ジャンパーソンのデストロイ願望と、かおるの心中願望。
これが、1993年に東映ヒーローが辿り着いてしまった、狂気の果てか。
だが、
「かおる……?」
かおるの指がジャンデジックの引き金を引く寸前、目覚めたジャンパーソンの手がそれを止める。
回復する胸のエネルギーゲージ、浮かび上がる「エネルギー充填完了」の文字。
……て、休憩していただけなのか(笑)
凄いぞラスボス。
つまり今の今まで、第一形態だったのですね。
そう、最近のラスボスなら、第三形態ぐらいまであって当たり前!
断じて愛の奇跡とかではありません(笑)
思えばMX−A1時代に廃棄された時も、こうして甦ったのか。
「かおる、死ぬにはまだ早すぎる。おまえも、俺も、ヤツを、まだビルゴルディを倒していないんだぞ」
自己修復完了、復活して立ち上がるジャンパーソン。そしてジャンパーソンは、ある一つの決断を下していた。
「あのビルゴルディを倒すには、今の俺自身を捨てなくてはならない」
「え?」
「MX−A1に戻るしかないんだ!」
MX−A1……それはかつて警視庁科学装備研究所で誕生した超高性能の警官ロボット。この世の犯罪を撲滅する為に生まれ、あらゆる悪を完全破壊する事をその生きる目的とした、ジャンパーソンの前身。
「MX−A1として作動するには、君にこの回路を切ってもらうしかない!」
廃棄されたMX−A1からジャンパーソンとして再生する際に取り付けられたリミッターの解除を望むジャンパーソン。だがそれは……
「馬鹿なこと言わないで! それは、理性を、良心を、正義を司っている、貴方の命ともいえる回路なのよ! ジャンパーソン、それを切ったら、善悪の判断を捨てる事になるのよ。そんな事、あたしに出来るわけないじゃない。敵しか見えないただの殺人マシンになってしまうのよ」
ジャンパーソンの新生は、まさに奇跡と呼ぶ他ない出来事であった。
そのリミッターを解除すれば、おそらくジャンパーソンは二度と、今のジャンパーソンには戻れない……・
「わかっている。だがこれしかない。敵に対する徹底的な攻撃と破壊本能。それこそが今の俺には必要なんだ。ビルゴルディを倒すために」
ここでジャンパーソンが選んだもの、それは……
理想の死よりも究極の勝利
信仰を、信念を、理想を、己の生き様、存在意義、自由意思による自己判断すら捨て、それでも、倒さねばならない悪がある。
己の「正義」を自ら見いだしたものが、今再び、絶対の「正義」に身をゆだねる。
強敵を倒す為に自分を見失いかねない強大な力の封印を解く……という劇作の構造そのものは、少年マンガ的な“禁断の力”パターンなのですが、ではその“禁断の力”とは何か――というと、判断を捨てた究極絶対の「正義」である、と。
今作のいびつさが巡り巡って到達したそこが、1993年に東映ヒーローが辿り着いてしまった、正義の果て。
「かおる! 回路を切ってくれ!」
「嫌。嫌よ! あたしは絶対に嫌よ!」
「かおる!」
「嫌よ、あたしにはできない……」
泣き崩れるかおるに、なおも迫るラスボス。
「かおる、今の俺にはこれしかない! ……頼む」
基本、JPさんは亭主関白。
そしてジャンパーソンが人間愛に勝てないように、かおるはジャンパーソンには勝てないのだ。再びジャンパーソンを失う事を知りながらも、かおるはリミッター解除の手術を敢行する……そしてジャンパーソン/MX−A1の究極正義回路に、倒すべき悪としてターゲットの名が刻み込まれる――その名を、ビルゴルディ!
今、魔王ビルゴルディ抹殺の為に、大魔王ジャンパーソンが、最終モードを起動する!
正直、ここ5話、主に脚本の問題でテンション下がる出来だったのですが、最終回、まさかの大大大逆転!
……まあなんか微妙に、MX−A1の設定変わっている気はしますが(笑) ここは、これを拾ってきた事に意地を見たい。
かおるの告白からキスシーン、ジャンパーソンの「MX−A1に戻るしかないんだ!」の怒濤の展開は、今作の締めくくりにふさわしい、狂気と正義のカオス。
人間愛に対する狂信者であり理想主義者であったジャンパーソンが、それに殉じるのではなく、勝利の為にそれを捨てる事を選ぶ。
「正義」の意味を追い求めたロボットが、究極の悪に打ち勝つ為に、あらゆる判断を捨てた「究極の正義」を選ぶ。
それはある意味ではヒーローの死であり、ジャンパーソンの敗北であります。
しかしジャンパーソンは、その果てに掴む勝利に意味を見いだした。
善悪の判断を捨て、敵しか見えないただの殺人マシンになっても、そこに「正義」はあるのか? 「正義」とは何か? 「悪」とは何か? 「勝利」とは何か? 何の為に生まれ、何の為に死ぬのか?
まさに今作ならではのクライマックスです。
自分達の勝利を信じて疑わず、TV局に向かう帯刀組の車に、風を切り突き刺さるJPカード!
地平線の向こうから姿を見せたのは、究極の正義の執行者として再び転生した、ジャンパーソン。
ジャンパーソンは懐かしのジャンパー姿からそれを脱ぎ、マスクを装着する。
これが、最狂最後のジャスティスだ!!!
「なに?!」
「ばかな!」
「ジャンパーソン……生きていたのか」
驚愕に顔を歪める帯刀組をターゲット確認、ジャスティスの鬼神はジャンデジックを抜き放つ。
「ターゲット・ビルゴルディ、抹殺する、破壊する」
もはや、「フォー・ジャスティス」すら言わないぃぃぃぃぃ!!!
そう、MX−A1にとって「フォー・ジャスティス」は自明なので、口にする必要すらないのだ!
最終回に決め台詞が無いのは残念ではありますが、実に合理的ではあります。
機械っぽい喋りに戻っているのも非常に良し。
というかここで1話のジャンパーモードを久々に展開したのは、やはり1クール目は抜けきっていなかったという事でしょうか、MX−A1(笑)
「どういう事だ。いつものジャンパーソンと、まるで違う」
そこへやってきた魔王軍を目にした帯刀は、ビルゴルディに変身すると、魔王軍(一般市民)をラスボスへとけしかける。
「破壊しろ!」「破壊だ!」「ビルゴルディ様のために!
ジャンパーソンを取り囲み、銃口を向ける人間達。
「邪魔をするな。今の俺に、善悪の識別回路は無い。ターゲットの抹殺あるのみ。体はそのようにしか反応しない。動かない。邪魔をするな」
でも案外と、理性的(笑)
あとMX−A1はあくまで「正義」を遂行するロボットであり、悪の基準自体は持っていた筈なのですが、ルーゴ回でガンギブソンが外そうとした善悪識別回路と、微妙に設定が混ざっているっぽい(^^;
だが、ハイパーサブリミナルの暗示化にある人々もまた、自己による判断の能力を失っていた。次々とジャンパーソンに銃弾が突き刺さり、ジャンパーソンはよろめきながらもビルゴルディへと歩を進め、「邪魔するな!」と人間を蹴散らす。
「こいつは見物だ。戦え、殺し合え。人間を、世界を敵に回せ、ジャンパーソン」
哄笑するビルゴルディ。
だがその時――かおるの仕掛けた解除コードがようやく効果を見せ始め、ハイパーサブリミナルによる一斉蜂起プログラムの呪縛から人々を解き放つ!
ここは若干、駆け足になってしまったところ。前後の記憶が無い筈なのに、銃を捨てた人々がいきなり怯えて逃げ出してしまうのも、タメが無いですし。……まあ、ラスボスが本能的に逃げ出さずにはいられないオーラを放っていたのかもしれませんが。
「むぅ……どういう事だ?」
「ビルゴルディ! 時間はかかったけど、ようやくハイパーサブリミナルが解除されたわ。ここだけでなく、世界中でね」
ニヤニヤしながら現れるかおる、超楽しそう。
「ビルゴルディ、おまえの作戦もこれで終わりだ!」
そしてもう一人……満身創痍のガンギブソンが姿を見せる。あの爆発を生き延びたガンギブソンは、バイオボーグ施設で志願者達の身柄を押さえ、アールジーコも回収して地獄から舞い戻ってきたのだ!
「あなたの負けよ、帯刀さん。――いや、ビルゴルディ!」
かおる、とにかく楽しそう。
まあ、かおるとすれば、折角取り戻したジャンパーソンを再び殺すも同然の事態になったわけで、帯刀への憎しみで巨大化ぐらい出来そうな気分だと思われますが。
「ターゲット・ビルゴルディ、抹殺する」
駆けつけた仲間達へ振り向く事もなく、ただひたすらに、正義の道を行くジャンパーソン。フォーマル衣装を脱ぎ捨てた帯刀組の銃撃がほとばしり、ガンギブソンはかおるを守るが、ジャンパーソンはその横を素通りする!
魔王vs大魔王、ひたすらノーガードの打ち合いに、轟く雷鳴。戦いは、何故かよく分からないが、打ち捨てられたマネキンの置かれた施設の内部へなだれ込み、ジャンパーソンとビルゴルディ、ガンギブソンとマヤが激しく激突する。
本日も苦戦するガンギブソンとうとう思いっきりマヤを撃つ。
降り出す雨。
回転するビルゴルディ。
雨中の戦闘でビルゴルディが、ジャンパーソンの打撃を軸にして、くるっと横回転して自ら地面に叩きつけられているのですが、どうやるんだあの動き。
「ジャンパーソン!」
「邪魔するな。どけ」
反撃を受けた倒れた所に駆け寄ってきたかおるを、冷静にはらいのけるジャンパーソン。
「ターゲット・ビルゴルディ、抹殺する」
割と物怖じしないアールジーコが合体し、ジックキャノンが正面からビルゴルディに炸裂。追い打ちでスピンドルキャノンも炸裂。ヘルメットが脱げ、よろけるビルゴルディだったが、その状況からなおも反撃し、吹き飛ぶアールジーコとガンギブソン。ラスボスはジャンブレーダーを装着すると、魔王ブレストビームを正面から受けながら突撃し――遂にその刃がビルゴルディを刺し貫く!
人間であろうが、ロボットであろうが、バイオボーグであろうが、一切の躊躇なく放たれた一撃はビルゴルディを深々と突き刺すが、魔王はまだ倒れない。再度の刺突に対するクロスカウンターを受け、動きの鈍るジャンパーソン。ビルゴルディはその隙にかおるを人質に取り、それを助けようとしたガンギブソンにはマヤが踊りかかる。
「ガンギブソン、地獄への道連れだ!」
ガンギブソンのボディを貫く、マヤの一撃。ガンギブソンは至近距離からマヤに銃弾を浴びせると、なおも攻撃を続けるマヤの首筋をナイフで突き刺し、更に喉を切り裂く。倒れるマヤを見たシンディは、ガンギブソンに突貫。
「死ねぇ!」
謎リモコンで自爆し、ガンギブソンを大爆発の巻き添えにしながら果てるシンディ。
始末しないわけにもいかないし、爆発巻き込まれパターンかと思われた帯刀秘書ズでしたが、壮絶な玉砕。特にマヤは、最後の最後まで凄かった。
そしてマヤとシンディの壮絶な忠誠心に、総裁のカリスマを感じます。
ただ一方でこの、モテすぎるという慢心が帯刀をしてかおるを取り込めると思わせ、最終作戦の破綻に繋がったと考えると、なかなか因果。
「マヤ……シンディぃぃぃ!!」
吠える帯刀に、突撃するジャンパーソン。帯刀はそれを迎え撃ち、エネルギーを大放出。二人の魔王の強烈なエネルギーのぶつかり合いは大爆発となり、その爆炎の中から、かおるを助けて現れるジャンパーソン。
「アイルビーバック!」
エネルギーを使い過ぎた為か白髪化した帯刀は、最後の力で魔王ビームを発射。
「危ない、かおる!」
ジャンパーソンはかおるをかばってビームを受け止め、全ての力を使い切った帯刀は、大爆発の炎に飲み込まれて消える……。
「大丈夫か……かおる」
「ジャンパーソン、回路が切れてるのに、どうして……」
満身創痍になり、そして究極正義執行モードに入っていた筈にも関わらず、ジャンパーソンは自らの意思でかおるを守った。
「……そうよ! 回路なんてそんな機械的なもの、関係ないのよ! 人間とロボットの境界を、ジャンパーソン、貴方は越えたのよ! 今こそ! 今こそ!」
降りしきる雨の中、ジャンパーソンに抱きつくかおる。
そう、ヒーローは今再び、自らの意思で自らの「正義」を掴み直したのだ!!
流れ出す主題歌。
「ベイベ」
ちゃっかり生きているガンギブソンは、毎度死にかけていたら死ななくなってしまった「閉店SALE」状態。今作の世界観で、思いっきり人間殺したのに生き残ったというのは、なかなか凄い。まあ、ジャンパーソンも実質帯刀を殺ってしまっているので、バランス的にとんとん、とも言えますが。
「かおる、ガンギブソン!」
二人の仲間に両脇を支えられ、立ち上がるジャンパーソン。
ナレーション「遂に、魔王は倒れ、世界は救われた」
ラストは、主題歌をバックに、子供達と遊ぶ平和な日常風景。アールジーコもちゃんと回復しました(笑)
いっけん牧歌的な日常風景……とはいえ、ビルゴルディ倒したら世界から悪と犯罪が消えるわけでなし、夜な夜な非合法パニッシュ活動は続けられている事でしょう――世界が、「正義」の恐怖に服従するその日まで!

「ありがとう、ジャンパーソン。ありがとう、ガンギブソン
君たちこそ、人間とロボットを繋ぎ、今日と明日を繋ぐ架け橋だ。
またいつか、ともに戦おう。
さらば、戦士達。さらば、僕等のヒーロー」

真っ暗闇の洞窟の中を全力疾走していた今作ですが、最後は割とマイルドに着地し、さらっとしたエンド。
今までの流れを考えると、若干「え……そういう話だっけ?」という部分もあるものの、迷走と暴走を繰り返した今作に、ヒーロー番組として表向き綺麗な着地点を見つけたのは、良い仕事だったと思います。
近年の流れや担当回の間隔からしていた嫌な予感が的中し、45−46話がぼろぼろ、47−48話も出来が良いとは言いがたく、だいぶテンション下がっていたのですが、最後は何とか踏ん張ってくれました。あえて1クール目の要素を拾いに行ったのは、2クール目以降の流れを踏んだ扇澤ラインとは別の、宮下さんのこだわりを感じます。まあ、44話までの勢いで、扇澤『ジャンパーソン』も見てみたかったですが(笑)
演出面でも、ジャンパーソン対ビルゴルディの力の入った格闘アクションに加え、主なBGMと挿入歌を使い切ったりと、三ツ村監督がラスト2話としてやる事をきっちりやってくれました。
最強最後の敵となった帯刀/ビルゴルディ、物語の都合による裏切られキャラはどうしても格が落ちてしまいがちなのですが、セーラの存在と、マヤとシンディが最後まで忠節を尽くした事により、女に助けられ、女を利用し、そして女に足下をすくわれるキャラクター、という事で一貫性が出たのは良かったところ。「英雄色を好む」とも言いますが、そういった英雄性を持たせる事により、悪の英雄としてある程度の器を保ったまま、退場する事が出来ました。その点では、秘書をただの侍らせキャラにせず、マヤにしろシンディにしろ割と前線で暴れていたというのも、最終的には作劇として効果が出たといえます。
最初はどうなる事かと思われましたが、迫力のある最後の敵、として見事に君臨してくれました。
……まあそれでもやっぱり、最後の最後までラスボスがラスボスだったんですが(笑)
まさかここに来て、第二形態と最終形態を発動するとは。
そしてそのラスボスすら倒してしまったのが……三枝かおる。
この物語の真の勝者が誰かといえば、三枝かおるを置いて他にありません。
かおるの狂気が、ジャンパーソンに押し勝った(笑)
途中で触れた「紫狼伝説」が、非常に今作のラストをイメージしたと思われる挿入歌なのですが(もちろん途中で作っていますので、あくまでキーワードやイメージを作詞家が汲んだ歌詞ですが)、「紫狼伝説」がトゥルーエンドだとすると、TVのラストは、グッドエンドないしかおるエンド(笑)
これだけ鮮やかな、ヒロインレース大逆転は、初めて見たかもしれません。
46話終了時点では、ヒロイン力0もしくはマイナスぐらいだったのに、ラスト4話で怒濤の大逆転。ヒロインの座を勝ち取るどころか、作品全てを飲み込みました。
正直私は、三枝かおるを見くびっていました。反省。
途中、あまりに人間として最悪だったかおるを補正する動きが3クール目にあったわけですが、メインライターである宮下さんが、「いや、やっぱりかおるはアレでいいんだ」と、初登場時の路線に戻した、というのは面白い所。まあ、初期が強烈すぎて補正が全く効果を発揮しなかったというのもあるかもですが(笑)
最終的にもっと突っ込んで欲しかった部分もあるし、45〜48話は本当に勿体なかったと思いますが、とにかくこう、凄いもの見た、と思わせてくれる作品でありました。
頭おかしい面も含めて、中盤はエピソードのアベレージも高く、加えて東映ヒーロー史的観点からも、再評価の望まれる作品です。僅かなりとも、ここまで書いてきた感想がその一助になれば良いなぁ。
ちょっと特撮ヒーロー物にすれている人の方が面白い、という面はありますが、一応正統派ヒーローとしてのカモフラージュも展開し、あまり計算していない感じなのに正義と狂気の果てに辿り着いてしまった奇跡の一作、鋼鉄のオデッセイ!
「正義」の勝利の筈なのだけど、その実態は、デストロイ願望を持つヒーローと、そのヒーローとの心中願望を持つヒロインによる、世直しテロリズム
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
残り色々はまた、総括で。