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『仮面ライダーブレイド』感想10

先週分。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第17話「逮捕」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
レンゲル登場で、OPにライダー増量。
そして前作『555』で全力機動だった井上敏樹が参戦。脚本家の技術と経験値に加え、監督も呼吸がわかって映像化しやすかったのか、これまでにないテンポの良さで展開。
カリスを凌ぐ強さを見せるレンゲルは、ブレイドとカリスが使おうとしたカードから、アンデッドを解放。逃げたアンデッドを攻撃して封印し、自分のものとするという新展開。
この際、蜘蛛の糸っぽい演出なのが、以前の蜘蛛アンデッドの、カード使用妨害の発展版といった感じで演出が繋がっていて秀逸。
新たなライダーの登場に、ベルトが誰かの手に渡ってしまった事を知った剣崎達は、「睦月」という名の高校生がベルトを拾った可能性が高い、と橘さんと情報交換。橘は「睦月」を一緒に探す事には同意するが、ベルトの返却は拒否し、あちこちの高校前などで、「睦月」について聞いて回る無職の二人。
おまわりさん、こっちです。
橘の見立て通り、レンゲルに変身していた睦月だったが、変身時の記憶は無し。しかし傍らのベルトからおぼろげに「自分が仮面ライダーになった」事を理解し、その力に救いを求める。
「助けてくれ……お前の力で……俺を」
コインロッカーと、赤ん坊の泣き声、果たして、睦月の見る夢の意味は何なのか?
ストレートに考えると、捨て子、といったところですが、前回、話の進行にあまり関係しないのに、睦月の家と母親が明確に描かれていたのは、その辺りの布石か。
ライダー化の影響か部活のバスケットでスーパープレイを連発する睦月だが、目立ちすぎで先輩に因縁をつけられ、素直に謝って引き下がる。他人と揉めるのが嫌で自分が頭を下げて済むならその方がいい、という睦月だが、強気な彼女はそんな睦月の弱腰の態度が不満。
たまたま剣崎と出くわした睦月は、自分が剣崎の探している「睦月」である事を隠しつつ、先日レオアンデッドに助けられたお礼として食事をおごりながら、仮面ライダーについて、うまく剣崎から聞き出そうとする。
剣崎いわく「給料も安いし残業代も出ない」という事なのですが……そもそも今、給料、出てないのでは。というか現状で、毎月給料だけ振り込まれていたら、その方がホラー。
ホント今作は、最初に“仕事”部分をしっかり描いていない為、本来なら面白くなる筈のこの手のネタが、全て活きずに勿体ない。
一方、橘は街中で、刑事を襲った犯罪者を「貴様に生きている資格はない!」といきなり電ショックで抹殺しているヒゲの男を目撃。その男の名は、桐生。かつてギャレンの適合者だった男。桐生を追う橘だったが、その姿を見失ってしまう……。
新キャラの桐生は、電ショックのスイッチが、腰のベルトについているというのが、おいしい。上着のまくり方とか、意図的なライダーとの被せ、というのがインパクトを強くしています。
橘が当初の目的を忘れて桐生を探し回っている頃、剣崎は万引きの罪を着せられていた。
たまたまそのスーパーでバイトをしていた睦月から、憐れみの視線を向けられる低所得仮面ライダー
ここは剣崎と睦月の関連を強める為のコミカル要素の強いシーンなのですが、主人公が犯罪の濡れ衣を着せられなくても良かったな、とは。しかも謝って勘弁してもらっただけで、実質犯罪者扱いのままというのは、どうもいただけない。別に剣崎が追いかけてきた睦月と一緒に万引き犯を捕まえる、という展開でも良かったと思いますし。
エンストしたバイクを押しながら「仮面ライダー」を気にする睦月につきまとわれる剣崎
仮面ライダーである事は遊びじゃない。下手に首を突っ込むと、大怪我するぞ」
「俺だって、俺だって遊びじゃない」
そこへアンデッド出現の連絡が入り、現場へ急行。レンゲルによって再解放された猪っぽいアンデッドと戦うブレイドだったが、その光景を見た睦月は、自らのベルトを取り出して装着する。
「俺も戦いますよ、仮面ライダーとして」
紫の紋章をくぐり抜け、睦月から変身したレンゲルは猪アンデッドを軽く蹴り飛ばす。
「そんな……それじゃおまえが、おまえが睦月ってやつだったのか!」
「違う。俺の名はレンゲル。――最強の仮面ライダー
変身した途端に睦月は主導権を乗っ取られ、レンゲルブレイドを攻撃。反撃しようとするブレイドだったが、またもカードの封印を解かれてしまい、更に3体のアンデッドが野に放たれる事となる――。
割と怪人の消費が激しかった今作ですが、ここで再利用展開。
そして橘の元には、ある“事故”以来、ボードから姿を消していたという桐生からの電話がかかってきていた……。
桐生とは果たして何者なのか、“事故”とは何か、睦月が執拗に「仮面ライダー」にこだわる理由は……? テンポ良く謎を畳みかけてくる展開は、井上敏樹、さすがの持ち味。役者さんの都合などもあったのかもしれませんが、ばっさり始さん不在にして、睦月に物語の焦点を集中する事で、今作のここまでの欠点である散漫さも減じ、すっきりとまとまりました。
また全体としての改善傾向になると思われますが、引っ張る新キャラ出すなら、いきなり腰の変なスイッチ押した! ぐらいのインパクトがやはり必要であるな、と。
ただ、テンポは良いものの布石回に終始しており、エピソードとしての面白さはまだ、いまひとつ。


◆第18話「俺たちが守るべきは法律じゃない」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
各ライダーの人間時のイメージカットも入って、ようやくOPがそれらしくなってきたけど、だからいいのか、というと、やはり良くはない。
クローバーという事でか棍棒もとい見た目魔法のステッキを振り回すレンゲルブレイドを滅多打ちにするが、戦闘中に苦しみだし、睦月の姿へと戻る。
そんな睦月の胸ぐら掴んで締め上げる剣崎さん、安定の不器用。
剣崎は変身してからの記憶が無いという睦月を農場に連れ込み、「もうちょっとしたら、慣れてきてちゃんとしたライダーになれると思う……」という睦月から、ベルトを取り上げて回収する。
「忘れろよ、ライダーの事なんか。普通の生活に戻るんだ。それが、おまえの為なんだから……」
一方、電話で呼び出しを受けた橘はかつてボードに所属していた男、桐生豪と接触する。桐生は、チベットに高飛びする前の烏丸所長から連絡を受け、愛戦士としてバーニングしたのも束の間、いい年して自分探しを初めてしまった橘へたれの力になるように頼まれていたのだった。
「情けない奴だ……! やはりギャレンには、俺がなるべきだったな」
当然、リングアウトした橘に、パイプ椅子を投げつける……!
「ついてこい、今の俺の仕事を見せてやる」
どうやら警察無線を違法に傍受しているらしい桐生はバイクで走り出すと、幼女を人質にとった逃亡犯の前にいち早く先回り。右手から放つ高圧電流で、犯罪者を抹殺する。
ジャン○ーソン・フォー・ジャスティス!
ギャレンの適合者として選ばれるも実験時の事故で変身に失敗、右手を失った桐生は鋼鉄の義手を改造し、犯罪者をデリートする必殺!仕事人に転職していたのであった。
……というかまあ、本人は「仕事」と主張していますが、裏に闇の組織があるといった雰囲気はなく、どうも私的に犯罪者を掃除して回っている、自称ハイパーメディアパニッシャー、みたいな感じっぽい(^^;
つまり、新 た な る 無 職 !
「俺の心には、行き場の無い正義への憧れが残っちまった」
仮面ライダーになれなかった男・桐生豪……法の壁をぶち破り、私的に犯罪者にジャスティスを執行するその姿を、比較的常識人のぽんこつは批難する。しかし……
「おまえにわかるか? ギャレンである事を捨てた腰抜けのおまえに、この俺のどうしようもない気持ちが」
この時の橘さんが、実にいい苦悶の表情。
近づいてくるパトカーのサイレンに桐生は走り去り、取り残される橘。
……早く逃げないと、逮捕されるぞ!
「現場に居た不審な男は、俺は仮面ライダーだ! などと意味不明の譫言を発しており、正常な判断力があった状態か……」とか、(2×歳・無職)の肩書きで報道されるぞ!
どうやら幸い官憲の手を逃れたぽんこつは、農場へ。いちいち「桐生さんと会った」とお喋りに来たり、「桐生さんに腰抜け呼ばわりされた!」と愚痴りに来たり、橘さんは本当に、友達居ないな!
前回ちらりと登場した桐生豪は、金の為でもなく、誰かを守る為でもなく、「正義」という名をつけた己のエゴを満たす為だけに犯罪者を抹殺して回るという、物凄くタチの悪いシリアルキラー
正義のヒーローになり損ねた結果、歪んでしまった男の登場により、正義のヒーローの持つ暗黒面「だけ」を抽出し、正義の持つ暴力性と狂気を瞬間的に抉りだしてみせたのは、さすがの手腕。完全に一線を踏み越えた人の登場で、なかなか刺激的な展開になって参りました。
剣崎達がぽんこつの愚痴に付き合っている中、再び姿を消すレンゲルのベルト。それは一体どうしたわけか、傷心で家に戻った睦月の部屋に姿を現す……と、すっかり呪いのアイテムに。
「おまえ……帰ってきてくれたんだ、俺のところへ。わかったよ、俺、頑張るから。頑張って、おまえの力、俺の物にしてみせる。もっともっと強くなって、そしたら、あの暗闇の中から、抜け出せる事が出来るんだ」
再びベルトを手にする睦月だったが、邪悪な意志の影響か、その性格に少しずつ変化が生じていく。バスケットの試合で荒れたプレイをし、先輩達を突き飛ばすなど、これまでになく乱暴な言動と行動を見せる睦月を心配する彼女。睦月を探してそんな彼女と接触した剣崎は、睦月が以前に、「俺は、暗闇の名から生まれた、とか……」と口にしていた事を聞く。そんな睦月が、犯罪者?の腕を捻り上げるのを目に留める桐生……。
ほぼ前振りなく、前を行くバイク(恐らくは犯罪者)をあおって交通事故を起こしかける桐生、というのは、身勝手な正義を振りかざす桐生がそれしか見えていない、という事の表現を含んでいたのだとは思いますが(この前の橘にジャスティス執行を見せつけるシーンでもあまり人質を気にしていませんでしたし)、やや強引にはなったか。あと、追う方も逃げる方もフルフェイスなので、単純に分かりづらかった。
その頃、自分探し1万年の始さんは、天音ちゃんからお試しメニューを振る舞われていた。
(暖かい……だがこの温もりは、俺にとって何を意味するんだ)
レンゲルにあしらわれた自分は、弱くなっているのではないか……?
人間との交流で得た暖かさには、意味があるのか、無いのか……。
一方、自分探し一年生の橘さんは、元はと言えば俺がへたれでぽんこつで薬に逃げてテンション上がって蜘蛛のエースアンデッドの封印なんかしたからだ……と最近の自分の所行について反省していた。
歪んだ正義に囚われて暴走する元先輩の姿に、さすがに落ち込む橘……またここは、橘の先輩である桐生は、剣崎の先輩である橘、の投影であり、橘さんにどれぐらいの自覚があるのかはさておき、電ショック桐生と打ち上げ花火橘の重ね合わせという意図も込められているのかと思われます(あくまで立ち位置の重ね合わせであり、内面は異なりますが)。
「何もそうやって、橘さんが全て背負い込む事、ないじゃないですか」
「そうだよな、俺は弱い男だからな」
面倒くさい受け止め方された!
或いは、透けて見える本音を読み取られた。
「そんな事は!」
「……いや。ギャレンのベルトを捨て、格好つけて飛び出していったくせに、俺はなんだかんだ言い訳つけながらお前らの周りをうろついている。一人になるのが怖いんだ」
自覚あった!!
くっ……ここ数話の橘さんの、最低のへたれ→愛バーニング→自分探し→完全なるぽんこつ化→自虐モード突入、という立ち位置のジェットコースターぶりは、面白すぎて目眩が……!
結局友達少ない同士、仲良くベルトもとい睦月を探しに行く事になる二人。一方、徐々に悪意に冒されていき、衝動的に彼女の首を絞めてしまった睦月は、ギリギリで正気を取り戻して走り去る。そんな睦月の姿を見つめる桐生、そこへやってくる無職ーず。彼女に襲いかかってしまった事にショックを受けた睦月はダムにベルトを投げ捨てるが、呪いのアイテムなので捨てる事ができない。
「俺を受け入れろ……俺の力を……」
とうとうストレートに喋りだしたベルト(CV:害地大臣)は、睦月の腰に勝手にはまると勝手に変身。追いついた無職ーずをあっさりと無視していつの間にか現れたバイクで走り出すレンゲル――その向かった先では、再利用アンデッドカルテットが「俺たち一緒にのし上がろうぜ!」と意気投合でもしたのか、みんなで仲良く人間を襲っていた。
そこへ飛び込むレンゲル、追いかけてくる剣崎と橘、そして駆けつける始。人々を守る為、レンゲルを止める為、3人は変身する!
……じゃなかった、約一名、役に立たないの居たわーーー。
一瞬凄く普通に、お、ここでいよいよライダー揃い踏み来るのか、というぐらい盛り上がった流れだっただけに、一人脇に突っ立っているだけ、という事実に気付いた時のがっくり感がひとしおで、実に素晴らしい構成(笑)
人々の危機に駆けつけたヒーローが揃って変身する、という約束事の流れ、視聴者の感じる条件反射、を逆手に取っている辺り、実に上手い。またここに持ってくる為に始さんのほのぼのシーンを挟んでおいたり、群像劇の流れの巧さはさすが。クライマックスに盛り上がりのピークを持ってくる為のシナリオの逆算、というのが(当然)しっかり出来ています。メインライターの方は、とにかくこれが出来ていない。出来ていない、というかそもそも、そういう計算してないっぽいというか。
ブレイド・カリス・レンゲル・再利用アンデッド4体・ぽんこつ(がや)
という、7人大乱戦。誰が敵で誰が味方かもよくわからない状況の中、どさくさに紛れてタマネギを殴る魔法戦士レンゲルさん。ブレイドを締め上げるレンゲルだったが、その光景に彼女の首を絞めた光景のフラッシュバックした睦月がそれを強引に押さえ込み、動きの止まったレンゲルブレイドは渾身のパンチを炸裂させる。
ブレイドパンチで吹き飛んだレンゲルは変身が解除され、気絶する睦月。そこへ歩み寄る白いスーツの影が、睦月の腰から外れたベルトへと手を伸ばす――。睦月の体に群がっていた蜘蛛が白いスーツの足下へと移動していき、人影は、手にしたベルトを腰にはめる。その男は……
「桐生さん!」
「変身!」
橘の見る前でレンゲルへと変身した桐生は、4体のアンデッドをさくっと従える――!
……おおおおおおおお、18話にして! 初めて! 今作を少し面白いと思った!!
キャラクター一人(桐生)でここまで劇的に面白くできるのか! という凄いエピソード。勿論、駄目なりにここまでの積み重ねがあった上で、ではありますが、井上敏樹の凄味と底力を見せつけられました。
何事も単純化できればいい、というわけではありませんが、

仮面ライダーを捨てた男・橘朔也
仮面ライダーになりたい男・上城睦月
仮面ライダーになれなかった男・桐生豪

という対比構造を明確にし、物語の軸がしっかりと定まる事で、キャラクターに感情移入しやすくなったのが非常に大きい。
ブレイド』の大きな欠点である、焦点の合わない物語の散漫さ、キャラクターへ感情移入する余地の少なさ、という部分に一気に風穴を開けてきました。
一つ一つは目新しいわけではないけれど、要素を組み合わせる事で化学変化を起こさせる、これが調理というものです。
またこの対比構造が明確になる事で、ひたすら真っ直ぐな男(多分)である剣崎が活きる…………ところまではまだ手が回っていませんが、縦糸としてはそういう事になるのかな、と。
上の表現を使うならば、

仮面ライダーであろうとする男・剣崎一真

といったところか。
とすると始はどうなのか、という事になりますが……今の流れだと、

仮面ライダーになるかもしれない男・相川始

なのかなぁ。
或いは、順序考えるとカリスのベルトの方がライダーシステムのオリジンないしそれに近い位置にある筈なので、「仮面ライダーだった男」という可能性もありますが。
個人的に好きなテーマ性が入ってきた、というのもあり、この盛り上がりを維持してくれるのを期待したい所ですが、次回、果たしてぽんこつは最底辺から脱出する事が出来るのか?!