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『特捜戦隊デカレンジャー』感想11

◆Episode.17「ツインカム・エンジェル」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
謎の物質・悪魔のスパイスの取引現場に踏み込むべく、張り込みをするデカレンジャー。現場で作戦指示を出すウメコだが、端からダメ出しをされる。
……あれ、本当にリーダーなのかウメコ
いよいよ取引が成立した瞬間、犯人グループの確保に動くデカレンジャーウメコのミスで逃げられそうになってしまうも、ジャスミンが上手く先回り、デカイエローの激しいカースタントの末、ブツの確保に成功する。ジャスミンの活躍と自分のミスに、風呂場で落ち込むウメコ
「なーんか私、リーダーらしくないかな〜、いまいち」
本当に本当にリーダーなのか。
ホージーさんの存在意義はいったい。
「前から思ってたんだよね。みんなジャスミンの事は尊敬してるけど、あたしの事はおこちゃま扱い、っていうか。…………決めた。あたし生まれ変わる!」
かくてウメコのイメチェン大作戦、胸にクールなハードボイルド、が始まったのであった。
「遅いぞウメコ……あ」
ジャスミンを意識したストレートの髪型で颯爽と本部に現れたウメコの姿に、硬直するボス。
「「「「え?」」」」
「どうしたんだおまえ」
「前からですよ」
「「「はぁ??」」」
「さ、ぼやぼやしてる暇は無し。作戦会議、どーんとやってみるミソ」
痛々しいものを見る目になるジャスミン(笑)
ウメコジャスミンの口調も真似、エスパーの真似事まで始めてバンの肩に手を置く。
ナレーション「ウメコは、エスパーではない。だから触れても、何もわからないのだ」
いつものナレーション多発を逆手に取り、淡々としているのが素敵(笑)
「ねえウメコ、一言いっていい?」
「ようござんすよ」
「ミソのつけかた、変」
そこか!
「え? そう?」
「ていうか、なに考えてるわけ?」
「なにって、あたしは……」
そこへスワンから、悪魔のスパイスの成分分析が完了したとの報が入る。悪魔のスパイスには常習性のある禁止薬物がブレンドされており、その混ざった料理を食べた者は、食べ続けるのを止められなくなってしまう恐ろしい調味料であった。いったい何者が、この調味料を地球に密輸しようとしたのか……マーフィーが反応を見せる大銀河飯店が怪しいと睨んだデカレンジャーは、まずは男3人がその捜査へと向かう。
大銀河飯店のオーナーシェフ・ワン役は、ダンディ坂野。演技がちがちで危険水域(^^; 正直アフレコは、エピソードにダメージを与えているレベル。『オンエアバトル』時代から、なんか嫌いにはなれないのですがダンディ。
なお世間的な人気の旬は2003年頃だったようで、放映当時はピークは過ぎたけど顔見ればちびっ子も知っているかな、ぐらいの頃だった模様。
捜査のカモフラージュの筈が、出された食事に手を出してしまい、あっさりと悪魔のスパイスの陥穽に落ちてしまうダメンズ共。まあそもそも、「ちょっと休憩で昼食に」という言い訳の時点で、詰んでいた気はするのですが。ワンはアリエナイザー・オズチュウ星人イーアルとしての正体を現すと、帽子から変な光線を浴びせ、3人の意識を奪う。
3人との連絡が途絶えた事で、出動する女子二人。ジャスミンは、アイドルから女優への路線変更をはかるウメコに疑問を呈す。
ジャスミンを見習って、ジャスミンみたいになるの。ジャスミンの言う通りにするから、よろしくね」
「やだ」
「え? なんで?」
「やだから」
「そんな〜」
「限りなく無駄だと思うし」
この辺りは、ジャスミンの微妙に口べたな所がうまく出た会話。
明らかに誤解を招く台詞で8割方凄くこじれそうな所でこじれないのは、ウメコの性格のいい所ではありますが(笑)
結局ウメコを翻意させる事はできず、その行為に「そっちこそ……なんで」と呟くジャスミンであったが、いざ現場に着くと、二人の息はぴったり。SPライセンスの特殊機能でチャイナドレス姿に変装して店内に潜り込むと、揚げ餃子にされそうになっているダメンズ共を発見する。
オズチュウ星人イーアルの目的、それは悪魔のスパイスで虜にした(下味も兼ねてる?)生物を具材にした餃子を作る事であった!
今回、女子二人を派手に活躍させる、という事だけが目的になっていて全体としてディテールの扱いが凄く雑なのですが、イーアルはマッド料理宇宙人として、しっかり描けばもっと面白いアリエナイザーになったと思われ、少し勿体ない。
よくわからないけど素で高速計算も出来るらしいジャスミンの指示で、二人はあわや餃子寸前の野郎達を救い出し、逃亡するイーアル。だが、追い詰められたイーアルは宇宙酔拳を発動。その不規則かつ強力な攻撃に叩きのめされた二人は変身が解除されてしまい、一旦物陰へと身を隠す。
「そうだ……!」
「なに?!」
「やめとく。……あたしの考えなんて、どうせ駄目だもん」
一瞬対策を閃くが、自分に自信が持てなくなっているウメコは、ジャスミンを頼ろうとする。
なお作戦指示の判断ミスが続いて落ち込むウメコに、追い打ちでトドメを刺したのはホージーさんである事をここに付記しておきます。
ジャスミンお願い、何か作戦考えて! 早くしないとあたし達!」
そんなウメコに、一閃するジャスミンの平手打ち。
「見損なった。微妙にじゃなくて、激しく見損なった」
ジャスミン……」
「私ずっと、ずーっと憧れてたんだよ」
「誰に?」
「決まってるじゃない、ウメコによ」
「うそ……」
「嘘じゃない。ウメコは私と違って、とんでもないやり方で、突っ走れるじゃない」
そこか!
お互いに無いものに憧れ、そして認め合う、という女性コンビものの鉄板展開ですが、外見から入ったウメコに対し、素直さとか明るさとかそういう話かと思っていたら、ジャスミン脳はあくまで現場レベルの話だった!
ジャスミン……」
「でももう今日でやめる。ウメコがそんななら、今日できっぱり見損なう!」
「そんなのやだ! ジャスミンに見損なわれるのなんて、やだ!」
ウメコウメコジャスミンジャスミン、一方的に頼るのではなく、互いが信頼し合える仲間である事を見つめ直したウメコは、やおら立ち上がると、いつのもの髪型に戻して、イーアルに突撃。酒瓶を奪って自分も酒を飲むと、内なるクンフーに目覚め、酔拳には酔拳、宇宙酔拳見よう見まね、でイーアルを打ち破る。
ジャスミンウメコは海岸にイーアルを追い詰め、ここで流れ出す、本人達の歌唱による二人のテーマソング。明るくポップ系の歌ながら、「ジャッジメント」の一節は入れずにはいられない所が、宇宙警察スピリット。
ヒーローが酒瓶奪って酔っ払い展開はどうなんだろう、と思ったら、
「良い子は絶対、真似しちゃ駄目よ! お酒は二十歳から!」
と戦闘中の台詞でちゃんとフォロー入れました(笑)
ピンクとイエローの連続攻撃により、イーアルの帽子の催眠装置が破壊され、正気に戻る人々。役立たず達も目を覚まして駆けつけるが、その前でイーアルは自らのツボを押して巨大化(笑)
酔いつぶれたウメコに替わって、デカマスターが5号機の運転代行。
「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな。絶対にな」
お酒ネタも00年代になると大変だなぁ(^^;
「オズチュウ星人イーアル、宇宙薬物取締法違反、および35の星における大量餃子化殺人の罪で、ジャッジメント!」
巨大イーアルは特に何をする間もなく、ウルトラ水流からジャスティスフラッシャーで瞬殺デリート。
「大量餃子化殺人」の言霊も面白いし、怪人としてのポテンシャルを生かし切れなかった感じで、勿体ない。まあ、ダンディの演技の問題も正直ありましたが(^^;
焦点はあくまで女子コンビという事で、そこまで含めたキャスティングでもあったのでしょうけど。
デカマスターの使い方は、面白かった。
事件が解決し、捜査本部に大量の餃子を持ってくるウメコ、げんなりする野郎達。そこへジャスミン、バスローブ姿で登場。
茉莉花ちゃん、良い子強い子元気な子」
ジャスミン、おまえまさか、ウメコになるつもりじゃ……」
ボス、本気で嫌そう。
「なーんてね」
ジャスミンウメコは微笑み合い、互いの友情と同僚としての敬意を再確認すると共に、駄目な男達を引っ張っていかなければ、と内心深く決意するのであった。
バンと誰か、以外でメンバー同士がメインで絡むエピソードは、17話にして今回が初。満を持しての女性コンビエピソードで、荒川稔久の煩悩が炸裂。
煩悩しか入ってないというか。
そんな煩悩回のEDは、ジャスミンウメコがエアギターしながらコスプレ披露したりしつつ劇中で使われたテーマソング(「girls in trouble! DEKARANGER」)を歌うというエンジェルエンド。野郎共も一応、バックバンドで参加しますが、存在感は限りなく透明。
女性戦士に歌を唄わせる事を生きがいに戦隊脚本を書き続ける荒川稔久、遂にED乗っ取りで、新たな形のアイドル回を成立させる(笑)
いやまあ勿論、これはスタッフ全体の仕業ですが、主犯は間違いない。
というか今回のエピソード全部、やっつけ気味な内容からして、このEDの為の前振りじゃないかという(笑)
次回……もコスプレ強化で京都からお届けいたします。