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『仮面ライダーブレイド』感想11

先週分。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第19話「腑抜けども、哀しみの正義を叫べ」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
桐生が変身したレンゲルはカリスを圧倒し、橘さんに浴びせたくなるような「この××野郎!」的な罵詈雑言と共に、魔法のステッキで顔面をつつきまくる。
「やめろ! 桐生さん、やめてくれ」
「ならばお前が戦え、橘! ギャレンとして、おまえがな」
カリスを虚仮にして満足した桐生レンゲルは気分良く去って行き、その指示で撤退する仲良しアンデッド四天王。ベルトを手にした桐生は、自らが辿り着いた力にほくそ笑む。
「遂に俺は手に入れた……最高の力を。俺は最強の仮面ライダーだ」
一方、ベルトを失った睦月は圧迫面接を受けていた。
「君みたいな愚図がライダーになれるとか、夢見るのやめよーよ」
「24時間戦える?」
「まずはここにある牛乳30本を全て飲み干して下さい」
「彼女居るの? その顔で?」
ガラの悪い無職4人に半円で囲まれてすごすごと帰宅した睦月は日常に戻り、元の睦月に戻った事を喜ぶ彼女。バスケットの試合で精細を欠く睦月の姿に、「よっし可愛いぞ! やっぱ睦月はああでなくっちゃ!」と喜ぶ姿には、入れ替わりの登場はもとよりポジション的にも小夜子さんの後継者となる素質を感じます。
レンゲルに滅多打ちにされた始はぼろぼろの状態で喫茶店へと帰り着くが、腑抜け呼ばわりにいたくプライドを傷つけられたらしく、屈辱にうなされる。そして思い悩むもう一人の腑抜けは、意を決して桐生の元へと向かう。邪悪な意志の宿るレンゲルのベルトを手放すようにストレートな説得を試みる橘であったが、桐生はそれを拒否し、橘にギャレンとして自分と戦うように求める。
「今の俺に悩みはない。俺の意志とベルトの意志は完全に一つだ。俺は全てのものを倒す。俺以外のライダーもな。それが俺とおまえが戦う理由だ」
「あなたの……あなたの正義はどうなったんです」
「そんなものどうでも良かったのさ。レンゲルの力を手に入れて、俺は初めて気がついた。正義なんてなぁ、ただの言い訳に過ぎない。俺はただ、力が振るいたかっただけなんだ」
エクスキューズを取っ払った「正義」の暗黒面を、これでもかと台詞にし続けるデンジャーな桐生さん。
ここでの橘と桐生の会話は、超至近距離で舐めるように睨み合っているようにカット割りで見せていて、熱い。
桐生はあくまでギャレンとの戦いを要求して去って行き、二人のやり取りを見ていた剣崎は、桐生は橘に助けてほしいのではないか、とドリームを語り出す。
「よせ……何ができる……何ができる」
しかし、腑抜けはただひたすらに腑抜けであった。
我腑抜け、故に我あり。
一方、平和な日常に戻ったかと思われた睦月からはまだ、ベルトの影響が消えてはいなかった。室内をひっくり返しベルトを探し求める睦月は、「俺を暗闇の中に閉じ込めておきたいんだ! 俺は出たいんだよ、暗闇の中から!」と両親に掴みかかると家を飛び出し、農場に忍び込んでギャレンのベルトを盗み出す(前回、伏線あり)。
立派な窃盗犯となった睦月は、レンゲル接触してベルトの交換を求めるが、仲良しアンデッド四天王を率いる桐生レンゲルは、それに応えようとはしない。
「無駄だ。ギャレンのベルトを持つ資格のある者はこの世でたった一人。……それは、俺ではない」
仮面ライダーになれなかった男”が、正義の力を渇望しながらも、一方で橘ギャレンを認めている、という姿に漂う、桐生の破滅的な自棄は、何とも物悲しさを感じます。
睦月を追ってきた無職ーずはこの局面に遭遇し、ブレイド変身。ブレイドレンゲルの戦いを見つめる腑抜けの脳裏に、あの事故後、病室の桐生から託された言葉が甦る……
「頼む……俺のかわりに戦ってくれ。ギャレンとして。おまえなら出来る」
なれなかった者から、なるべき者への言葉。
(おまえなら出来る……)
なすべき事は何か。
それは、歪んでしまった志をただす事。
橘の背後に迫るアンデッド、ここでバトルテーマが入り、一転、振り返った腑抜けは駆け出してアンデッドをかわすと睦月の取り落としたベルトを手にし、ブレイドレンゲルの戦う眼下へと飛び降りる。

「変身!」
「待っていたぞ、ギャレン!」

ぶつかり合う、ギャレンレンゲルギャレン容赦なく銃を乱射。
――橘朔也は、へたれで腑抜けでぽんこつである。だが、彼のへたれゲージがマックスまで溜まった時、蓄積されたマイナスのエネルギーが反転し、全身を駆け巡る反へたれ粒子の影響により、愛と哀しみの鬼畜戦士へと転身するのだ!
未だかつてアンデッドにすら見せた事のなかった、遠距離から手数で制するというえぐい戦法でレンゲルを押さえ込んだギャレンは、I Love You「さよこぉぉぉぉぉ!」キックを炸裂させ、派手に吹き飛ぶレンゲル
大ダメージを負ったレンゲルの変身は解除され、桐生から外れたベルトを手にするのは熱にうかされたような足取りで現れた睦月、桐生の体から睦月への体へと移動していく蜘蛛の群れ……。
デザインの良かったスパイダーイマジンですが、一貫して、小蜘蛛の演出はいい感じ。
睦月はどう考えても制作サイドの嫌がらせを感じるちょっと恥ずかしいポーズで、レンゲルへと変身。その変身を呆然と見つめた桐生は、アンデッド四天王に襲われる……。
危うくI Love You「さよこぉぉぉぉぉ!」キックが桐生さんの死因になって橘さんにキルマークがついてしまう所でしたが、桐生の始末はアンデッドが付ける事に。
とは言っても、半死半生にしたの橘さんだし、指示出すないし傍観していたのは睦月レンゲルではありますが。
桐生さんは因果応報的に処理しないといけないキャラクターだったので、責任の所在は分散してうまく誤魔化しつつ、睦月はどうも本格的に、救われないルートへ入った感も。
駆けつけたブレイドギャレンがアンデッドを撃破し、四天王はブレイドが再封印。……どさくさで、カリスの微妙に取られた?
瀕死の桐生はその光景――仮面ライダーの戦い――を目に焼き付け、駆け寄る橘に最期の言葉を遺す。
「ふっ、なんてツラしてんだ……情けねえ。……俺はな、昔からおまえに言いたい事があった」
「はい……」
「もっとバカになれ。真面目すぎるんだよ、おまえは。詰まらねえやつだ。これで良かったんだ……結局、おまえには勝てなかったって事さ。なりたかったよ、俺も……仮面ライダーに。ライダーに……」
正義に憧れ、正義を求め、正義に狂った男、桐生豪、死す。
その光景を見つめ、無言で去って行くレンゲル。そのまま無音で予告前のカットに入る、という演出が格好いい。
橘さんは、見せ場の度に周辺人物が死ぬ、という凄いキャラクターになってきているな!
小夜子さん変死の第一発見者の時点からだと思いますが、間違いなく、警察のマーク対象。
3エピソードで退場するも印象深かった桐生ですが、彼が終始、「仮面ライダー」という役割を求めていた、というのは面白い点。彼にとって「仮面ライダー」は力を振るい、正義を満たす為の器であり、逆に言えば、役割無き正義は満たされず、やがて外へ向けて振るわれる「力」になるしかない。
「正義とは何か」よりも「正義が満たされるとは何か」という所に踏み込んでいるのは、桐生編の大事なテーマだったのかな、と。
この辺り、一応のコンセプトである、職業としての仮面ライダー(重ねて書きますが劇中表現としてほぼ成立してないけど)、と絡めているのも巧みな部分でした。


◆第20話「剣崎、居候を自覚する」◆ (監督:長石多可男 脚本:今井詔二
せっかくの長石回なのに、脚本家、戻ってこなくていいのに……(ぼそっ)。
コインロッカーの記憶に悩まされる睦月を待ち伏せ、ベルトを回収しようとする昼間っからぶらぶらしている剣崎(無職・22歳)だったが、レンゲルが解放したムカデアンデッドの相手をしている内にまんまと逃げられてしまう。
してやったりでテンション高い睦月に迫る新たなる無職、橘へたれ。
ベルトが欲しいなら力尽くで奪ってみろ、と、恥ずかしいポーズを決めて変身する睦月だが、戦闘中に苦しみだし、強制的に変身解除。
「どうやら君は、力を自由に操れないようだな」
ベルトは睦月を弄んでいるだけだ、と説得を試みる橘だったが、「俺は強く、強くなりたいんだ!」と睦月は話を聞かず、ベルトを握ったまま走り去って行く。
そろそろこの、仮面ライダーになりたい睦月→やめろよそんなのー→ベルトが消えたり現れたりレンゲルが偏頭痛だったり→俺は強くなりたいんだ! も飽きてきたというか、あまり延々と引っ張るネタでも無いと思うのですが、いつまでこの流れ、続けるのか。いっそ桐生編のようにベルトが色々な適合者の所を転々として騒動を起こす、とかの方がまだ話を面白く作れそうな気もするのですが。
あと、今は亡き伊坂さん、自信満々だったのに全然ベルトがエースアンデッド制御出来てませんよ! 或いは、烏丸所長のライダーシステムが不備だらけというか。
カテゴリエースは睦月を弄んでいるが、強引に奪い取ってもベルトが自ら戻っていくだけ、そして睦月はどうしてあそこまで力にこだわるのか……根本的に解決する方法を思案する橘は、睦月のストーキングを開始。そこに剣崎も合流し、二人の無職に家を突き止められた睦月、社会的に大ピンチ!
……いや待て、逆に考えるんだ、これはチャンスだ、これは付きまとわれて自分の世間体が大ピンチ、ではない、むしろ通報して奴等を社会的に抹殺するチャンス!
…………と思ったけど、睦月も不法侵入と窃盗やってたーーーーーー!!
指紋ベタベタだし、失う者がない二人に対して、睦月の方がダメージが大きそう……という事で、お互いの世間体を人質に睨み合いに入る無職ーずと睦月。ここで橘と睦月が絡むのは、お薬最高時代の橘と、ベルト大好き睦月を重ねている、という所でしょうか。桐生の死によりへたれモードからやや脱却した橘さんに、周囲の人物を心配する心の余裕が出来ている、という表現にもなっています。
一方、すっかり喧嘩屋キャラが定着した始さんは、
(二度とあんな事は言わせない……今度こそ奴を)
と、しつこく腑抜け事件を根に持っていた。
そんな始に、そもそもどうしてここへ来たのか、を問う虎太郎だが、始はそれに言葉を濁す。しつこく始に迫る虎太郎だったが、天音から「始さんを責める人は、私の敵よ!」宣言を受け、叔父さん、リタイア。
傷心の虎太郎は農場への帰り道、エンストで困っていた女性と接近遭遇。謎の成り行きで女性を家に招く事になるが、その光景を背後から、派手な柄シャツの新たな上級アンデッドが見つめていた……。
「この二人は剣崎くんと広瀬さん。この家の居候なんだ」

「居候?!」
「……だって家賃払ってないじゃん」
「納得」

20話にして、剣崎がやたらに虎太郎(家主)に対して態度が大きいのは、そもそも居候の自覚が無かったからという事が発覚。もう剣崎は、先日の廃屋で暮らしていればいいと思う。
突然の春に浮かれる虎太郎は、自分の文章を女性に見せたいと、応接間のパソコンを触らせる……そのPCにはアンデッドサーチャーが入っている、と抗議する広瀬だが……広瀬さん貴女、家主(20代男子)のPCにサーチャー入れて、好き放題に使っていたのか。
酷い! 酷すぎるよ二人とも!
人間としての底辺すぎる扱いに、哀れな虎太郎に代わって強く抗議したいと思います。
虎太郎が女性と車で出ていった後、広瀬のもとへ「俺のアンデッドサーチャーが反応している」と橘から連絡が入る。へたれが単独であまりに役に立たないので、携帯電話に仕込んで貰った模様。だが、何故か反応しない広瀬のサーチャー。サーチャー壊れていると、広瀬さんの存在意義ガガガ。なんとか橘のサーチャーで場所を確定して、橘と剣崎は現場へと向かい、橘の姿を見た睦月はそれに同行しようとする。レンゲルの力は危険すぎると拒否する橘だが、強引にバイクで追いついてきた睦月と共に現場へと向かう事に。
「いいか、君は決して手を出すな! 俺の戦い方を見ているだけだ」
へたれから、何を学べと。
一方、剣崎の前には始が現れ、付近に現れては消える上級アンデッドの気配から、どうやら虎太郎がアンデッドに狙われているようだと忠告。剣崎は虎太郎の後を追い、ムカデアンデッドの元へは始が向かう。
サーチャーが後出しの都合もあって、相変わらず被害現場に間に合わない仮面ライダー達なのですが、初期はある程度アンデッド被害を描写する意義はあったように思いますが、わざわざ幼稚園バス虐殺とか、さすがにどうなのか。アンデッドがいつまで立っても通り魔的(人間の殺害そのものに深い意味が無い)な事も含めて、そろそろ、被害シーンを描写する意味そのものが、作品として薄れている、というかやりすぎるとマイナスにしかなっていない気がします(この辺りは、脚本と演出、どちら主導か何とも言えませんが)。
橘&睦月ペアより一足先にムカデと接触したカリスは、竜巻キックでムカデを封印。遅れてやってきた橘の顔を見て、(あれ……? 俺しばらく前に、こいつに殺されそうになったよな)と思い出す……。ストッパー(天音ちゃん)と接触していない橘さん、大ピーンチ。
その頃、虎太郎と女を追う剣崎の前には、柄シャツの上級アンデッドが立ちはだかっていた。口から青い衝撃波を放ち、変貌したアンデッドの正体を見て、怪訝な顔になる剣崎。
うんなんかこう、「これ何の動物?」という気持ちはわかります(笑)
果たして女の正体は上級アンデッドなのか、虎太郎の春は淡く儚く消えるのか、サーチャー不調の原因は、「ライダーを探す」と口にする柄シャツアンデッドの目的は……そして橘は生き残る事が出来るのか?! 次回予告を見る限り、少なくとも虎太郎は駄目そうだ!
伊坂デリートの後、桐生編を挟んで、新たな上級アンデッドが登場。とりあえず、演技が微妙(^^; 仮に上級アンデッドがスート×絵柄で12体居るとすると、今後はどんどん消費していく形になるのかもしれませんが。今のところ、虎太郎に接近した女が上級アンデッドなのかどうかは不明ですが、それぞれキング・クイーン・ジャックに該当するとすれば、4体の女性型上級アンデッドが居るという事になるのかしら。……まあ大体こういうのは、何体かはそれぞれの争いで敗れていて、出てこないと相場は決まってますが(笑)
伊坂・柄シャツ・女? と来て3体で、カリス/始さんは、そもそも封印されていたのか? という所から始まって、微妙に上級アンデッドとも違うカテゴリぽいのですけど、さて。
デザインに意匠が含まれていたりするのかはわかりませんが、設定としては各アンデッドの対応するトランプとかも決まっているのでしょうけど、割と使えない人だった事が判明しつつある伊坂さんがキングだったのかジャックだったのかは、少し気になる所です。
それにしても本当にこう、今井脚本になると途端に戦闘盛り上がらなくて、もはや凄い。これだけ流れがそこへ向かっていないと、演出でフォローするにも限度があります。
一つ興味深いのは、戦闘シーンの扱いが悪いからおざなりにラストにちょっとあるだけ、というわけではなく、むしろ、無駄な戦闘シーンが多い事。その為に盛り上がりの山が散らばった結果、結果としてエピソード全体が散漫になってしまう。
例えば今回で言えば、OPに繋がるブレイドとムカデの戦闘はともかく、ギャレンレンゲルの戦闘シーンは不要でしたし、少し前で言えば、ギャレンvs伊坂の決着編はAパート、Bパートで2回戦闘するよりも、喪服からの戦闘シーンで1発クライマックスにした方が盛り上がったと思います。
で、段々わかってきた事は、どうもこの脚本家の中では、戦闘シーンも、「物語を進める為のイベントシーン」として他の会話シーンなどと同列の扱いであって、「物語を積み重ねていって盛り上げた所で戦闘でクライマックス」という感覚が無さそうな事。
以前に“着ぐるみに愛がない”という表現を用いましたが、どうも「ギャレンレンゲルが殴り合う」と「虎太郎が始と話す」「橘と剣崎が睦月の家を見張って会話する」などが全て、脚本家内部でシーンとして等価なのではないか、と思われます。
それを一つの作劇法として全否定はしませんが、結果的にここまでの面白くなさを考えると、それはヒーロー物の作劇法としてやはり面白くない、と言わざるを得ません。
まあ根本的に、では戦闘以外のシーンで力入れて盛り上げられているのか、というと、そこも別に面白くない、というのもあるのですが(^^;
どうも演出陣の困っている感じが画面から伝わってくるのも含め、『ブレイド』が根本的にしっくり来ない一つの要因はそこであろうな、と。