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東映Youtube視聴完了作品ざっくりメモ2

この辺りでちょっと、東映Youtubeで最後まで視聴した作品の感想とか印象とかポイントを、箇条書きで適当に振り返ってみるの2(放映年順)。
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◆『世界忍者戦ジライヤ(1988)
〔→『世界忍者戦ジライヤ』感想まとめ
メタルヒーロー》シリーズの鬼子扱いされているが、明るい作風と複数勢力が入り乱れる忍者バトルにキャラクターの魅力が合わさって、割と秀作。ぱっと見の印象と微妙なタイトルで損をしている気がする。
とにかく前作の反省を活かした、という作り。
細かい事は気にしない。
悪・即・斬でも主人公は爽やか。
主人公の父であり師匠役に本物の忍者・初見良昭を起用したキャスディングが大成功。
えげつない山地哲山えげつない。
主人公は、義理の妹につんけんされつつ家事万能で、社会不適格者の父親の代わりにアルバイトで一家の生計を稼ぎ、几帳面に家計簿と日記つけていて字が綺麗、となかなか無い造形。
生アクションが重視され、ロケーションなどにも凝ったアクションは秀逸。また、敵の足を潰し、得意武器の間合いを封じるリアル殺陣路線が独特。
ミニチュア含め、メカ特撮無し。終盤、巨大特撮が入るが、あくまでキーアイテム扱いで、定番化はせず。
主人公が「変身」ではなく、「アーマー装着」タイプ。ただし、後に形骸化。
奇天烈な世界忍者達は必ずしも毎回のやられ怪人ではなく、時に味方、時に敵となり、多数のキャラクターが複数回登場するのが、大きな特徴。
統一した悪の組織(妖魔一族)は存在するが、必ずしも毎回の黒幕というわけでもなく、物語のバリエーションを広げた。
妖魔一族は、家族経営の零細企業的悪の秘密結社で、命>>>金>>>>>プライド、と潔い。
主人公サイドも悪玉サイドもコンセプトテーマに「家族」を抱え、終盤までしっかりとそれを使った、という点はけっこう貴重か。
物語的な伏線などはともかく、作風としては1年間、良くも悪くも比較的ぶれずに貫き通されているのも長所の一つ。
1話が意味不明なぐらい面白くなくて、その後すぐに盛り返す、という困った作品。
この後、《メタルヒーロー》シリーズの中核をなす、三ツ村鐵治が味のある演出を見せ始める。
挿入歌群がレベル高く、秀逸。
◆『特警ウインスペクター(1990)
〔→『特警ウインスペクター』感想まとめ
革新を目指した意欲作にして、一定の成功を収めた名作。
特撮ヒーロー+刑事ドラマ+レスキューの新路線で、以後3年続く《レスキューポリス》シリーズの基礎となる。
統一した悪の組織を置かず、一話完結形式で様々な犯罪に立ち向かう、という意欲的な構成。
名エピソードが数多いが、スタミナ切れと続編の関係で、残念ながら最終クールの出来が悪い。
しかしそれでもなお、名作と呼ぶにふさわしいエポックな作品。
最注目は、水を得た魚のように輝きを放つ扇澤延男。
竜馬さん、超格好いい。
嗚呼、世紀末TOKYOディストピア
呪われたオーバーキル武装、ギガストリーマー。
集団ヒーロー物というよりも、香川竜馬/ファイヤーを中心とした、チームヒーロー物といった作り。
途中登場のサポート/マスコットメカは空気。
子供キャラも後半空気。
従来作の怪人ポジションを犯罪者とし、あくまでも「逮捕」という構図を取りながらも、バトル或いはレスキューへの持って行き方で物語を盛り上げ、カタルシスを作るバランスが秀逸。ただし、後半から次回作以降にかけてはそれが徐々に崩れていってしまった。
◆『特救指令ソルブレイン(1991)
〔→『特救指令ソルブレイン』感想まとめ
残念ながら失敗作。
「人の命だけでなく心も救う」というお題目を大上段に掲げ、前作を刑事ドラマ方面へ煮詰めた結果、重苦しく後味の悪いエピソードが増え、しかもそれをヒーロー性で上書きできなかった。
何よりも“ヒーロー性”を見失ったのが痛い。
レスキューがどんどんおざなりに。
キャラクターの連続性を全く持たせられず、変化と成長が見られたのがロボット刑事・ソルドーザーぐらい。
終盤、面白いテーマを盛り込んでくるも、まとめきれずに吹き飛ばす。
残念、とにかく残念。
大型メカ、ソリッドステーツ−1による、メカ特撮あり。
◆『特捜エクシードラフト(1992)
〔→『特捜エクシードラフト』感想まとめ
前作の反省を踏まえて、一度世界観をリセット。今度こそ『特警ウインスペクター2』を目指した節があるは、やはり後半、行き詰まる。
最終盤のトンデモ展開が良く言われるが、超能力の実在を国家が認めていたり、宇宙人がやってきたり、通して割とおかしい。
前半のパワーアップ展開などは、前2作の反省を踏まえて、割と秀逸。しかし後半に行くにつれ、おざなりになる。
ロボット刑事を廃止、3人組の集団ヒーロー化。
主人公を超人系に戻し、ヒーロー性はだいぶ回復。
前作の反省を踏まえ、各キャラクターの過去がらみのエピソードも展開。
シンクレッダー格好いい。
やはりレスキューはどんどんおざなりに。
一話完結形式をベースにしつつ、一部のネタを引っ張ってみるという手法を挟んだが、中途半端になって巧く行かず。この反省は、続く『ジャンパーソン』に活かされた……のか?
改善点は色々見られるが、結局、1年間の物語としての重みを持たせられずに終了。
◆『特捜ロボジャンパーソン(1993)
〔→『特捜ロボジャンパーソン』感想まとめ
前2作の行き詰まりを突き抜けるべく大胆なモデルチェンジを行い、「正義」とは何かを問わず「俺が正義だ」を謳った結果、とんでもないオフロードに飛び出してしまい、ヒーロー物の極北へ辿り着いてしまった狂気の怪作。
主人公が狂っている。
そのサポート役はもっと狂っている。
ゲストキャラもかなりの確率で狂っている。
大幅に作風を変えた一方で、世界観は案外と《レスキューポリス》シリーズの流れを踏まえており、ポスト『ウインスペクター』の90年代的世界観に、70年代的ヒーローを融合したような作品世界。
メタルダー以来となるロボット主人公。
ロボット主人公が多くの場合「人間に近づく/なる」事を望む傾向があるのに対し、人間(愛)を信仰の対象とし、ロボットである己を全うしようとするのが、一つ大きな特徴。
その信仰は、もはや狂信。
三つの悪の組織が登場し、ローテーションで事件を起こす、という構成。
作品の硬直化を防ぐ事には成功したが、各組織の目的や首領の描写などは若干不足する事になった。
なお最もラスボス感が強いのは、圧倒的に主人公。
表向き正統派ヒーローとして高い火力を誇るジャンパーソン、サポートメカの車・飛行機・後に中型飛行艇と、力の入ったメカ特撮。全体的に派手かつ趣向を凝らしたアクションも格好いい。
途中登場のサポート/マスコットメカは空気にならず、うまく役割を与えられた。
全体的に狂気漂う作風だが、案外とアベレージは高く、作品として純粋に面白いといっていい。
色々迷走したが、最終的に変に問題作みたいな作りにせず、綺麗な所へ着地させた点は、高く評価。
ファイブマン』以来の東映ヒーロー物参加となった曽田博久が凄まじい化学反応を起こし、名エピソードを連発。
小林靖子、脚本デビュー。
色々な意味で、過去と未来が交錯した作品。
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90年前後の《メタルヒーロー》で重要な作品としてはやはり『特警ウインスペクター』。くしくも翌91年には『超人戦隊ジェットマン』が放映されており、80年代後半の停滞の打破を目指した、時代の転機となる重要な2作となっています。
一方で、『ジライヤ』『ジャンパーソン』と、合間に埋もれて知名度も今ひとつになっている2作が侮れない出来で、割と語るべき要素が多い。まあこの両作、真っ当に評価して語りにくいのも、わかるんですが(^^;
また、この時期のこと《メタルヒーロー》に関しては、扇澤延男抜きでは語れません。今日見ても感嘆するレベルの、密度と技術。