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『特捜戦隊デカレンジャー』感想15

先週分。
◆Episode.22「フルスロットル・エリート」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:荒川稔久
「この星を、恐怖のパラダイスにしてやる。刃向かっても無駄だって事を、愚民どもに教えてやるんだな」
地球に降り立ったブリッツの戦闘力はデカマスターをも上回り、叩きのめされる6人。ブリッツはじわじわと恐怖を味合わせる為に敢えてデカレンジャーにトドメを刺さずに立ち去ると、謎の呪文で前回目を付けたタワーを怪しげな拠点へと変貌させる。
ここまで特定の悪の組織が存在しなかった今作、タワー内部は黒背景にスモーク焚いて、いかにもな雰囲気に。
そこを訪れたアブレラ、メカ人間を納品。
「金は払わないぜ」
「ふっ……それよりも、宇宙警察を、侮っているようだ」
「あなどっちゃいねえ。冷静に見くびってるだけだ」
「それでは、今回は香典代わりという事にしておいてやる」
「祝杯代わり、だろう?」
「ふっ」
二本指を振り、妙に格好いく去って行くアブレラさん、商売人の矜持を理論武装で守る。
「この星を恐怖で埋め尽くせぇ!」
ヘルズ三兄妹はメカ人間を前に気勢を上げ、すっかりプチ悪の組織に。デザイン的にどうも、これから中盤戦を牛耳るぜ、という雰囲気はあまり無いのですが(^^; 正直、デカレンの怪人デザイン、人間に近い目鼻立ちのタイプはあまり格好良くない。すんなりスマートにしないで、妙に顔が大きく全体がごつい感じにしているのは、意図的な統一性(若干、地球人のフォルムから崩している)だとは思われますが、たまにはストレートにスマートなアリエナイザーも見たいような。というか今回、むしろ妙にアブレラさんが格好良く撮られていたり。
ベースに戻ったデカレンジャーは対策を協議し、気合いを入れ直す5人。そこへ、ヘルズ3兄妹の地球来襲の報を受けて、宇宙警察本部長官、ホルス星人ヌマ・Oから直接の通信が入る。
「現状の戦力では、かなり苦戦する相手だろう」
……て、え、地球署のスペシャルポリス全滅寸前レベルが「かなり苦戦」扱いで済まされる、それが修羅の集団・宇宙警察の常識。

犯罪者をデリートし終えた時、スペシャルポリスが一人でも立っていれば、それは宇宙警察全体の勝利なのだ。
つまり、宇宙警察は永遠である!

長官は、これまで蓄積されたデータから対ヘルズ3兄妹用の訓練を特に受けた特凶のスペシャリストを地球へと派遣した事を告げる。
特凶――特別指定凶悪犯罪対策捜査官。
それは、極めて凶悪なアリエナイザーに対抗する為に選抜されて厳しい訓練を受けた、スペシャルポリス最強の精鋭達である。
どうでもいいけど、漢字で書くと凄く凶悪な字面だ、「特凶」。
ヘルズ三兄妹よりいっそ邪悪。
あと正式名称が滑舌自慢大会みたいに。
長官の下で15年の経験を持つという、地球生まれのエリートデカ……しかしその到着を待つ前にボンゴブリンが街を襲ってビルを平らげ、デカレンジャーは出撃する。その途中、噂のエリートデカからかかってくる状況確認の通信に、明るく応答するバン。
「正義は絶対勝ーつ、ですから」
「正義は、勝つ……?」
ボンゴブリンと接敵したデカレンジャーは、「同じ手は使わない」と言いつつ蹴散らされるが、センちゃんが掟破りの戦闘中にシンキングポーズ。鍛えようのない口の中への集中攻撃が効果を見せ、ひるんだ所にDバズーカを決めようとするが、そこで再びかかってくる電話。
「まもなく現着します。余計な事はしないでください」
戦闘中でそれどころではない、と通信を途中で切断したデカレッドはボンゴブリンの口の中にDバズーカを直撃させるが、吹き飛んだボンゴブリンがなんと巨大化してしまう。ボンゴブリンは、一見弱点と思われる口の中にある程度以上の衝撃を受けると、暴走・巨大化してしまう体質だったのだ。デカマシンは修理中で発進不能。デカベロボで立ち向かうデカレンジャーだが、ボンゴブリンのスピードに翻弄される……と、デカベロボまで大苦戦。
基本この手のシリーズは、デカい=強い、という世界観なので、ここまで圧倒的だったデカベロボでしたが、早い内に、デカベロボ=パワータイプ、デカロボ=スピードタイプ、と適性を分けてきたのは、使い分けの理由になるので良い所。……まあ問題は、仮にデカロボ出せてもボンゴブリンに勝てそうにない所ですが。
「正義は絶対勝つんだ!」
コックピットで吠えるバンの叫びに、割って入るクールな通信。
「またそんな。ナンセンスなこと言ってないでどいてください」
デカベロボの頭上を飛び越え、一台のニューマシンが、地球の大地を走る!
その名を、デカバイク!!
……て、そのままだ!!!
名前まんまのデカいバイクは人型のデカバイクロボへと特捜変形(今回はCG)。

デカレンジャーロボ
デカベースロボ
デカバイクロボ

と今作ここまで、ひたすら直球。
暴れ回るボンゴブリンの前にその勇姿を見せたデカバイクロボは特殊装甲でゴブリンの打撃を跳ね返すと、両手のブレードによる竜巻回転斬りでゴブリンをすぱっとデリート、衝撃のデビューを飾る。
今ひとつよくわかりませんが、ボンゴブリンの弾力性筋肉を打ち破る為に点や線ではなく面(衝撃波)で攻撃、とかそういうイメージなのか。
そして戦いを観戦していたブリッツ、サキュバスの前にデカバイクロボから降り立つ、特別凶悪な、じゃなかった、特凶のエリート宇宙刑事
「なんなのあんた、なんなのさ!?」
「無法な悪を迎え撃ち、恐怖の闇を、ぶち破る! 夜明けの刑事! デカブレイク!!」
白ベースに青色が加わった2色構成、金色のラインで飾られ、意匠にローマ数字の「6」が入ったスーツの新戦士、宇宙警察本部から派遣された真のエリート(重要、テストに出ます)、その名をデカブレイク
颯爽と登場したエリート刑事は、腕だけ加速装置を用いた光速拳ライトニングフィストでブリッツのばらまく弾丸を全て受け止め、電撃拳エレクトロフィストによるパワーウェーブで兄妹を攻撃。物凄い噛ませっぷりで新戦士の踏み台にされた兄妹は這々の体で退却する。
「俺の左手は、ひと味違うぜ」
と、ですます調から一転、ブレイクさんは戦闘中は少し性格変わるタイプなのかしら。
ライトニングフィストは「もう一度見てみよう」的な巻き戻し演出が入り、意図的な『ギャバン』ネタ、「では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう」オマージュかと思われます。『ギャバン』第5話に、敵に狙撃されるも蒸着して弾丸を受け止める、というまんまのシーンもありますし(そこまで意識していかはともかく)。
くしくも後に映画『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン』を撮る事になる中澤監督ですが、映画のパンフレットでは、映画の話が来た時点で『ギャバン』については「蒸着」ぐらいしか知らなかったと語っており、脚本ないしその他スタッフの主導によるものかと思われます。あと中澤監督は『忍風戦隊ハリケンジャー』で大葉健二ゲスト回を撮っており、その際も監督わかってないのにアクション監督など周囲が盛り上がって大葉健二に「蒸着」ポーズをしてもらった事があったそうで、本人のあずかり知らぬ所で『ギャバン』映画を撮る布石が着々と打たれていた模様(笑)
「これが地球か……」
変身を解いたブレイクの中身は、20代前半ぐらいの青年。地球出身ながら地球の事を知らない様子、そしてこの若さで長官の下で15年の経験、という背景が物語に関わってきそうな気配。
そんなエリート刑事は、スーパースーパークール。
「正義は勝つとか言って、恥ずかしくありませんか」
通信を切断して事態をややこしくした相手が、「正義は勝つ」を連発する バカ バンだと知ると、前回の一致団結・大逆転の原動力を、ばっさり。
「どういう意味だよ、おい?!」
バンは基本キレキャラですが……沸点、そこなの?(^^;
突っかかるバンだが、本物のエリートは、どこまでもスーパースーパークール。
姶良鉄幹(あいらてっかん)です、テツでいいですよ」
さらっと愛称を要求してきた!
後は一人でやるので、所轄の無能どもは邪魔しないでネズミ捕りにでも精を出していて下さい的な発言に激高し、掴みかかろうとするバンと、それを止める4人。当の鉄幹は、涼しい顔でそれをかわしてみせ、あくまでスーパースーパークール。
そう、本当のエリートは、下層と同じ土俵になんて、降りてやらない。
長官肝煎り、真上から目線のエリート刑事はこのままヘルズ三兄妹を撃破できるのか。水と油のバンとテツは手を取り合う事が出来るのか、というか今のところ皆無な手を取り合う必要は生まれるのか。ホージーの存在意義、アブレラさんの独占市場、色々なものが揺らぐ中、テツは、今度こそ、本当に、正真正銘の、エリートなのか?!
そう簡単には信じないぞ!
大惨敗からの新戦士登場、衝撃のデビュー戦というわかりやすい流れ。一応、長官の台詞で、対ヘルズ3兄妹の訓練を積んだスペシャリスト、という事にしてバランスブレイカーぶりを和らげてはいますが(基本的に強いのは確かですが)、長官の台詞だけで、ブレイク自身による説明がないので、クッション効果は今ひとつ。ただ強いだけではなく、対策を練っているという理由があって強い、というのは好きなので、次回以降にうまく物語の中に組み込んで補正していってほしい所です。……ただただ問答無用で強いポジションは、既に埋まっていますし(笑)
おまけコーナーは、特凶――特別指定凶悪犯罪対策捜査官、について。
「全宇宙警察から集められた精鋭達の中でも、超難関の資格試験をクリアした、エリートのみがなれるのだ」
というマスターの説明だけで十分なのに、ホージーさんが横に立っているのは、どういう主旨の公開処刑なのかッ?!
酷い、酷いよ、ホージーさんがそもそも「超難関の資格試験をクリア」できなかった、どころか「全宇宙警察から集められ」なかった、という事実を強調するなんて、スタッフはホージーさんに一体どんな恨みがあるのか。
デカブレイク三分の一ぐらい青いし、戸増宝児、本格的に殉職の危機。
大丈夫、ホージーさんの残念は永遠だから。
というわけで、やたらにバンが突っかかるなど、今作序盤で失敗した、バンとエリート水と油の再挑戦、という要素はありそうなデカブレイク。ホージーは結局、言う程エリートではなかった上に残念だった、とバンと同じフォルダに突っ込まれてしまいましたが、一度失敗しているだけに、どんな差異をつけてどう転がすか見物です。
しかし急に言動が軽くなったり、無駄に喧嘩腰だったり、メインライターなのに、荒川さんが書くとバンの扱いがいまいち悪いのだけど、苦手なのだろうか、この手のキャラ。
次回、
「気持ちで勝てるなら、スペシャルポリスなんていらないですよ」
そう、大切なのは、装備と火力。
それが全宇宙共通のジャスティス☆