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『仮面ライダーブレイド』感想15

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第26話「ラブリー・センセーション」◆ (監督:長石多可男 脚本:今井詔二
あれ、脚本家、帰ってきた……しかもどうして、長石監督の時に限って今井脚本……!
というわけで、そんな怒りをライダーにぶつける象アンデッド(違う)
ハンマー攻撃を受け、砕けるブレイドのマスク、と初めてのスーツ破壊描写。
無駄な消耗戦をせずにアンデッド大戦を優勝しようという象だが、その力は強大。ブレイドギャレンは手も足も出ずに撤退を余儀なくされるのであった。
カットが急に切り替わったら2人揃って退却していて、どうやって逃げたのかは謎(^^; 長石監督にしては雑な繋ぎですが、尺の問題か、シナリオの問題か。
あまり何から何まで脚本家の責任にしたくはないですが、それにしても、今井脚本回は必要な前後の成り行きが抜けている回が多すぎます。
前もちょっと触れた気がしますが、特撮作品の脚本を書くにあたって、上原大先生とか高久先生の脚本を参考にしたのでは、という気がして仕方がない(^^; 確かに70〜80年代前半ぐらいまでは、イベントとイベントの繋ぎとか、時制とか距離感とか、異次元でねじれていたけど。
剣崎と橘は農場に退却し、ブレイドのアーマーは自己修復するという設定が判明。強力すぎる象アンデッドには逃げの一手しかないのか……思い悩む無職カルテットの元を、押しの強い黒眼鏡の男が訪れる。
「私の名は、嶋昇。この子はカナリアナチュラル。烏丸所長とは、チベットで一緒だった」
チベットに高飛びした烏丸所長の知己を名乗る男は、その証拠として2人が握手を交わす物凄い合成っぽい写真を見せる。……いや、作品上で合成というわけではなく、2人に握手だけしてもらって背景を合わせたという撮影の都合だとは思いますが(^^;
すっかり行方をくらましていた烏丸だが、一応チベットでアンデッド対策を研究し直しているのは嘘ではなかったらしく、嶋はその研究成果を手に来日したのであった。

「アンデッドとの戦いに必要なのはなんだ。それは心だ。烏丸所長から預かってきた言葉を言うぞ。逞しくあれ。そして怯む事なかれ。絶望の後にはかならず希望が来る」

て、役に立たないぃぃぃぃぃぃ!!
あの剣崎すら「それだけ?」という凍った空気に一切怯まず、農場の新たな居候となる嶋。
また1人、立派な無職がパーティインしました。
ボード社訓の復唱を要求する嶋を無視して電話に出た橘は、睦月から呼び出しを受ける。
「師匠達、象にぼこられたそうじゃないですか、ぷぷ」と、声が聞こえたという睦月、前回出番の無かった反動か、「戦いたい……俺は強くなりたい……」とまたも闇に飲み込まれそうな睦月は本気で鬱陶しいというか、どうしてまた、この展開に戻すのか(^^; ここでこれに戻すと、睦月はいつでもここに戻して事件の火種に出来てしまうので、非常に面白くない。
トラブルメーカーと捉えるにしても、トラブルメーカーキャラというのは、せめて他で愛される部分があるから許されるわけですが、睦月、好感要素0だし。
もはやどこまで誰の意志がストーリーを主導しているのかよくわかりませんが、どうしてもこういう睦月を描きたいなら、睦月こそ、劇中で最も好感度を上げる、ないし、愛嬌を与えなければいけないキャラクターなのですが。それが出来ないなら徹底して悪役にするしか無いけど、そういうわけでも無さそうですし。
その頃、麦わら帽子は始と接触し、長石階段でバトル。象の攻撃に押されるカリスだが、ベルトから変なフラッシュが放たれると、象は何故か人間体になってしまう。
「――貴様が“奴”だったのか」
始が“奴”なら、戦うのは最後……と謎めいた言葉を遺して帰宅した象は、プールに浮かんで対ライダー戦闘をシミュレート。ほぼ戦った事の無いレンゲルも加わってますが……「読み切った」という言葉とともにライダー達との決着をつける事を決める。
風と語る行者、とでもいった趣の嶋は、喫茶店を訪れ、帰ってきた始と接触
そして嶋が、なんとアンデッドであった事が判明する。
カリスの攻撃を軽々とかわす嶋が変身したその姿は……蜘蛛? 「戦う気はない」と告げる嶋だが、似たような事を言って殴ってきた奴も居るし、ここのところ騙されアレルギーになっている虎太郎と剣崎は「おまえたちは人類の敵だ!」「俺たちに近づいてきて何をたくらんでいる!」と、今回は沸点低め。
というか前回の今回で、虎太郎はこれでいいのか。
始さんは天音ちゃんが自転車でやってきたので離脱し、嶋を問い詰める剣崎と虎太郎だったが、ライダーを誘き寄せる為に象が暴れだし、剣崎は現場へ。嶋を信用してない割にはアンデッドと二人きりで虎太郎を放置しているけど、トモダチとしてそれでいいのか。
いちはやく象と接触したギャレンレンゲルだが象に叩きのめされ、変身解除。駆けつけたブレイドも、象のパワーに追い詰められていく。
「使命感や義務感では人は強くなれない」
その脳裏に浮かぶのは、アンデッドである事を知る前の、嶋の言葉。
人々を守りたいという想い……それは、「仮面ライダーである」という使命感や義務感から生じたものにすぎないのか? そしてそこが自分の強さの限界なのか?
象に蹂躙されるままに吹き飛ばされた剣崎は、逃げ遅れた子供を目にして咄嗟に象の飛び道具からかばい、ダメージを受けながらも、自分の中にある本当の想いに気付く。

「わかった……。俺の体を動かすのは、義務とか使命なんかじゃない。そこに居る人を守りたいという、思い。そうだ、人を愛してるから、俺は戦っているんだ」

ここで改めて、古典的な英雄的正義(大義)と、現代的な個人的正義の摺り合わせを行うのですが、剣崎の個人的正義が、まんま英雄的正義なので、そこを再確認する必要はあったのだろうか、みたいな。
剣崎の戦う理由が「人を愛しているから」なのは良いとしても、剣崎が「人を愛している理由」や「人を愛している描写」は、2クール使ってここまでほぼ一切描かれていない(むしろこちらこそ重要)ので、どうも上滑り感が強い。
その「背景」を構築するのがポスト『クウガ』のアプローチだったわけですが、肝心の部分が出来ていません。
後そもそも、義務感とか使命感って別にネガティブに捉えるものではないと思うのですが、まあ、「外から与えられたもの」と「内心から生まれたもの」の対比、という書きたいニュアンスはわかりますけど。
今作もしかしたら、『龍騎』『ファイズ』とだいぶごちゃごちゃしていたので、ストレートに70年代的ヒロイズムを、00年代的なアプローチで描きたいというコンセプトがあったのかもしれませんが、志だけあってアプローチに失敗しているので、目的地に辿り着けていない。
ゴールに台詞だけ置いても、物語は成立しないわけです。
今井脚本なりに「仕事」=「義務感・使命感」と置いて(それならそれで、剣崎のそういう部分をここまでで強調するべきだったのですが、そうでもないわけで)、今作のコンセプトと後半へ繋がる「正義」を描きたかったのかもしれませんが、前回の「仕事」=「理想・夢・希望」となぞらえた展開の方がすっぱりはまっていたというタイミングも非常に悪く、脚本家個人の責任だけではなく、全体の構成も悪かったと言わざるを得ません、というか、どうしてこうなった。
「そうだ、それだよブレイド
戦いの場に出現した嶋は、烏丸の本当の研究成果――ブレイドの追加装備――を投げ渡し、ブレイドはそれにレアカード?を通す。
――「アブソーブ・クイーン」「フュージョン・ジャック」――
多分、クイーンとジャックのアンデッドカーを読み込ませたという事なのでしょうが、そもそも誰がクイーンで誰がジャックとかの描写・説明がないので、もう一つ盛り上がりがいまいち。
ここで、苦闘の末に倒した○○と○○の力で! というのがわかった方が絶対に盛り上がると思うのですが、そういうギミック性がやはり足りない。これは今回ばかりではなく、ここまで2クールにおける基本的かつ根本的な問題ですが。
まあ倒す度にどのカードに該当するか説明するのはおかしいしテンポも悪くなるのですけれど、先日駄目師弟コンビがカードを順番に並べていたという事は、どれがどのカテゴリ(番号)、というのはボード側は把握していたわけで、そこは初期から巧く盛り込んだ方が良かったと思います。というか、そこを盛り込まなくていいと思った、コンセプトがそもそも悪い。
あとカードの意匠が凝りすぎて、パッと見で何のアンデッドかさっぱりわからないというのは玩具としてはともかく、映像的には正直非常によろしくない。で、その辺りの見せ方の工夫(これは演出陣も悪い)を全て投げ飛ばしたままやってきた(途中でカードを少しずつ強調するようになりますが)からこんな事になっているわけで、パワーアップ展開において、ギミックとキャラクターの心理的部分を重ねた方向性は悪くなかったと思うのですが、結果として今作ここまでの悪い所が見事に浮き彫りになってしまうという大魔術(^^;
作品として自業自得だけど。
そんなこんなで新装備に2枚のカードを読ませたブレイドに、羽が! そして金色に!
いきなり超強化されたブレイドは、「ここからは俺のターン!」状態で象を圧倒すると、最後はフライング電光斬りで一刀両断、かつてない強敵の封印に成功する。
しょ、所長が役に立った!
……まあ烏丸メイドなので、ものすっごい副作用とかありそうで、安心はできませんが。
果たして、アンデッドでありながら烏丸の知己を称する嶋の真意とは何なのか、ブレイド強化の秘密とは、小学生女子と遊んでいる内に象を封印されてしまった始さんの胸中や如何に?!
新キャラ・嶋昇を演じるは、『超光戦士シャンゼリオン』ファンには懐かしの、相澤一成。8年ぐらい経っていますが、あまり顔、変わってないなぁ。