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『パシフィック・リム』感想(最後までネタバレあり)


海底深くに発生した次元の裂け目から出現した異次元の巨大生物――怪獣。サンフランシスコを襲撃した怪獣は多大な被害を及ぼした末、米国陸海空軍の総力によって撃破される。だが、怪獣の恐怖はそれで終わりではなかった。次々と出現した怪獣は世界各地の都市を破壊、人類はこの脅威に対抗するべく人型巨大兵器イエーガーを完成させる。脳への負担を分担する為、2人のパイロットが機体の動きとシンクロして操縦するイエーガーの投入により戦況は一変、人類は怪獣相手に連戦連勝を収め、イエーガーパイロットはスターとなり、怪獣退治は極めて刺激的なショーへと変貌していく。だが……人類の勝利は束の間のものに過ぎなかった。出現の頻度を徐々に上げていく怪獣は、より巨大に、より強力になっていく。そして――。
一言でまとめると、海底から襲い来る巨大怪獣に、人類が2人乗りの巨大ロボットで立ち向かう話。
なお怪獣は、「KAIJU」です。「KARATE」とか「SAMURAI」とかと一緒で、「KAIJU」
という点が冒頭からストレートに伝えてくるように、怪獣映画に思い入れたっぷり。
そしてロボットアニメに思い入れたっぷり。
そのたっぷりの思い入れをストレートに放り込んで、ただ純粋に怪獣vsスーパーロボットを現代SFX技術を駆使して現出させた豪速球の実写映画。
というわけですので、何を言っているかさっぱりわからない、という方は出口は向こう側にございます。
こちらは特殊な趣味嗜好をお持ちの紳士淑女の方だけが愉しめる秘密パーティーでございます。
そんなわけで基本ひたすら、怪獣とスーパーロボットがくんずほぐれつで殴り合います。
一応、家族愛とそれにまつわるトラウマや、怪獣退治がショー化するくだりなど、ハリウッド映画らしい要素も含まれていますが、全体を貫く、というか覆い尽くしているのは、作り手の怪獣映画とロボットアニメへの愛。
つまるところひたすら趣味的。
でまあ、面白い事は面白かったのですが、あまりに趣味的というか、こういう展開がやりたかったのか……とか、こういうカットが入れたかったのか……とか、どうも見ていてそういった感覚が先に立ってしまって、個人的にはいまいち、映画そのものに没入できませんでした。
悪かったのが序盤、嵐の海で怪獣に接近された小さな漁船が「島だ……動く島だと? いや、島じゃない、怪獣だ!」みたいな感じで怪獣とロボットの戦いに巻き込まれるシーンがあるのですが、あまりにもオマージュすぎて、展開そのものを楽しむというよりも、「あー、まあ、とりあえずそれやりたいよね」みたいな視点になってしまい、そこから先になかなか視点が進められなくなってしまった事。
で、全編、映像的には凄いのですが、意図的に怪獣映画の定番カットを詰め込んでいる為に、一度視点が物語の中に入り損ねると、物語を楽しむというよりも、そういった映像を見せられるだけ、という感覚になってしまう。
基本、いやでも没入感の増す劇場向けの作品だと思うので、映画館のスクリーンで見ていたらまた違った感想だったかもしれませんが、そういったわけで、映像は凄かったけどのめり込めきれない映画、になってしまいました。
そんな中で、おお、と思ったのは香港での戦いで怪獣が変異して、空中戦に移行した所。それまで水辺を戦場とした泥臭い戦いが多かった今作で、急にスタイルが切り替わった所は素直に驚けて楽しかったです。
そういうドキドキ感がもっと全編で感じられれば良かったのですが……どうも今ひとつだったのは、上述したようにちょっと視点が引いてしまったというのと、一口に怪獣映画好きといってもツボは人それぞれ色々ある、という事なのでしょう。
公開当時、ツイッターのタイムラインで科学者コンビがやたらに人気あったのには、本編見て納得。基本、主要人物が前のめりな戦士系揃いの中、ああいうエッセンスは必要ですし、エッセンスとして非常に面白かった。自分の研究の為には無茶苦茶できるけど、かといって命知らずというよりもむしろ自分の生には執着している、という造形も人間らしくて秀逸。ユーモア要素であり物語の緩急の「緩」の部分の担当でもあるのですが、そういったテンポの部分は良い映画でした。
キャラクターというと司令官の人は、「共感も賞賛もいらないけど服従はしろ」とか、限定された戦力を逐次投入して無駄に消耗させる、とかひょっとして無能……? とか、ちょっと思ってしまってもみたり。
で、一つだけシナリオに納得がいかない事があって(以下、クライマックスのネタバレを含ます)……



ストライカー息子だけはあまりに可哀想だなーと。
出てきた時から9割方死相の見えているキャラではありますが、ストライカー父と一緒ならともかく、初コンビの司令官と一緒に玉砕で、しかも隣の司令官は「マコの為に!」とか叫んでいたけど、息子としては、いや、その人、ほとんど知らない……みたいな感じだし。
出撃前の時点で覚悟は決まっていたようですが、それにしてもあんまりというか、主役2人がえらい高性能な脱出装置で強引に助かっただけに尚更。
不在の司令官を穴埋めするには歴戦の勇士であるストライカー父を残すしかないし、そうなると展開上、息子に付き合ってもらうしかないわけですが、司令官出撃という燃え展開の為に生け贄にされた、という感じが強すぎて、そこは物語として不満。
あれだったら、ラストへの伏線も兼ねて、ストライカー息子は脱出装置で生存しても、特に問題無かったような。それまでイエーガーパイロットが次々と機体と一緒になぎ倒されていただけに、ジプシー・デンジャーの脱出装置の伏線は張っておくべきだったとも思いますし。
玉砕勝利ENDはあまり好きではないので、主役2人が助かった事自体は良かったのですが。
好きなロボットは、ロシアのごついの。ロシアだから、ごつくていいや、みたいな辺り(笑)